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学者はウジ虫か

2019-11-04 14:48:06 | エセー

中島義道氏の本は、なかなか人前で言えない本音をズパッと言う。

 

 

人間嫌いも人並みでないようだ。電車内の放送、人混みでの雑音などすべて嫌う。

 

考えることが出来ないで死ぬのはあわれだと思う。笑いごとでなく、日々、毎日の生活を反省すると、その道にまっしぐらだ。

 

 

 

 中島義道著  『善人ほど悪い奴はいない』

 

 

1 テレビを見れば見るほど馬鹿になる?

 

「大手の新聞社や出版社は、えげつないほどの口調で権力者や有名人を足蹴にし続ける。みずから嫉妬と憎悪を持たなくても、大衆のうちに嫉妬と憎悪の炎を燃え上がらせ、そのうぇお煽りたてるのだ。

 

腹黒いジャーナリストたちは、真っ赤な嘘と知りながら、善良以外とりえのない弱者のみ正しい、という嘘ゲームを回転させ続け、本当の事がばれないように、絶えず強烈な麻薬を大衆の身体に注入する。

 

東京拘置所から出てくる有名人を、薄笑いを浮かべてガムをくちゃくちゃ噛みながら待っているカメラマンたちのこの世のものとも思えないほどの下品な顔、顔、顔。

 

 もちろん、本当の悪人は隠れた所にいる。ジャーナリズムの表舞台では厚化粧をした軽薄なタレントたちがキャーキャー歓声をあげるファン(視聴者)の前で腰を振って踊っているだけだが、その裏ではこのすべてを企画したジャーナリズムの主導者がいる。

 

 彼らをニーチェは毒蜘蛛(タラントウラ)と呼んで、激しい憎悪を向けている。

 

 現代日本は、毒蜘蛛どもと、煽動された腰を振り続ける学者、評論家、タレント、コメンテーターども、それらを見ながら、自分の意見を決める善良な市民=畜群どもがいる。

 

 誰も互いに見分けがつかないほど同じことを語り、同じ行動をし、同じ人生を歩んでいるのだ」と。

 

 

「大衆の嫉妬心や復讐心を煽り立て、その燃え盛る憎悪を巧みに利用して、平等、平等、と叫ぶ。彼らは大衆操作を裏でやる、タラントウラという毒蜘蛛である。

 

 テレビこそ諸悪の根源である。何も考えないバカでもわかる仕掛けが、バカに合わせた企画がひしめいている。

 中でもコメンテーターと自称する者は、お笑い芸人、落語家、漫画家、スポーツ選手、歌手、写真家、外食産業社長など、あっと驚く無教養大集団、その一人ひとりが真顔で、地球温暖化や政権交代や少年犯罪についてコメントするのだから、あきれ果てる。

 

 

 専門家のコメントでは難しくてわからないが、自分たちの低い目線にたった仲間のコメントが欲しいという頭の悪い視聴者のニーズに合わせて登用された。

 

 

 テレビ局のタラントウラたちは、無智蒙昧な輩でもわかるように思いきり白黒・善悪をはっきりさせたコメントが欲しい。こうして大脳皮質の退化はますます促進され、人々はますます単純なバカになっていく」と。

 

 

 テレビの街行く人にインタビューをして返る答えは、決まって同じであるようだ。そんなインタビューをしても何も面白くないが。

 

歌手とか、芸人とか、よく考えれば、聴衆の奴隷みたいだ。

 

 

 

2 現代の弱者は匿名で人を愚弄する?

 

 「かつて善良な弱者の一部は、人間として平等に生きる権利を主張して戦った。そこにはニーチェが指摘するように、弱さを武器にした悪臭、が満ちていたが、それでもまだ、空威張りである。

 

だが、現代版社会的弱者にはそれさえない。彼らはいかなる社会運動にも参加しない。ただ、匿名でありとあらゆる他者を嘲笑し、愚弄し・・・自室のパソコン画面の中で瞬時の快にふけっているのだ」と。

 

 

「まだ老いていない善人たちは、身の危険のない絶対安全地帯では、わずかの欲望満足の機会も見逃さない。

 

 そうした場所は、新型弱者にとっては、インターネットの掲示板(特に2チャンネル)なのだ。ここは、弱い羊の化けの皮が剥がれ、考える限り最も凶悪性を有する本性を垣間見せてくれるまことに貴重な空間である。そこにうごめくのは、嫉妬や羨望と憎悪と怠惰と恐れと投げやりと自嘲、これらのボロ布を幾重にもまとって、彼らは自分のさもしい欲望を全開させる。

 

 排泄する言葉のごみ溜めであり便所である。その臭気たるや、思わず鼻をつまみたくなるほど凄まじい」と。

 

パソコンが流行ったのは、まだまだ、歴史的に最近のこと。

一時的に鬱憤を晴らせて、掲示板で人に見られても、あっという間に忘れ去られる。次々と、掲示板に載るから。虚しい行為と思うが。

 

 

 3 なぜ、犯行を起こすのかは誰にもわからない?

 

 

「犯行の動機は、本人にもわからないほど、複雑で、入り乱れているのに、それを「~によって」と決め付けることが、いかに眉唾物であるか明らかなのに、ここに踏み入ることは危険だと察知して、、探求しないないように心がけているからなのだ」と。

 

テレビのワイドショーは犯罪が起きると、すぐ、原因をタレントや評論家が物知り顔で述べるが。

 

 

 

4 自分の下がまだいる、と思うと未来が開ける?

 

「当時、ヒトラーのアーリア人種優秀説は、自分をダメだと信じ込んでいたどんなに多くのドイツの若者たちを救ったことであろうか。さらにその対極に悪魔の使いのような劣等人種であるユダヤ人を置くことで、なんと展望の利く形でその思想を受け容れることができたであろうか」と。

 

 

中国の統一には、日本の戦争犯罪を何度も庶民に訴える。そして、自国の優秀さを伝える。何となく似ているようだ。

 

 

5 一日の内で、どれだけの時間、自分で考えているか?

 

 

「彼(彼女)は、常に決まり通りの生活をしようと心がける。今日もまた会社に行くのは、会社に行くべきだからだ。今日もまた仕事が虚しくならないのは、自分の仕事が虚しいはずがないからだ。今日もまた家に帰るのは、家に帰るべきだからだ。

 これらの規範を破ってでもしたいことがあるわけでもない。これだけで、あと数十年間続ける充分な理由なのである。

 

 なぜなら、彼(彼女)は人の選択することを選択していることを選択しているだけ、人の望む幸福を実現しているだけ、人のしたくないことをしないだけだからである。

 

人とは誰でもない人であるとともにすべての人であり、普通人ないし世人であって、社会の保護色に身を隠すことのできる人である。

 

くそ真面目な精神は自分自身に向かってなぜ今日も会社に行くのか、なぜ今日も家に帰るのかを問わない人である。

 

 なぜ、問わないのか。勇気がないからである。とにかくそっちの方向に滑っていかないように、気を逸らせることが肝心なのだ。気を逸らせることに全精力を使って、人生を駆け抜けようとするのだ」と。

 

 

「善人は、みんな、と同じ行動をとることに、限りない喜びを感じる。善人の正しさの根拠は、みんな、である。

 

 みんな、とは誰か。最も多い者たちであり、最も物を考えない者たちであり、最も自己反省しない者たちであり、つまり、最も弱い者たちであり、しかもそれでいいと居直っている者たちである。

 

 

 みんなの考えていることはだいたい間違っているのになあ、という真理がかすかに頭をよぎることすらない」と。

 

みんなが美味いというから、僕もこの店で並ぼう。みんなが面白いというから、この本を読もう、みんながスポットに行くから、僕も行こう、等、いかに多い事か。

 

 

人が望む幸福を進んで、先にあるのは死。

何とも、浅はかな一生であることよ。何のために頭があるのか、わからないではないか。

 

 

6 偶然の不幸を嘆いてはいけない?

 

 

「天災や人災は、何の意味もなくただ起こるのだ。太陽が悪人をも照らすように、万有引力が善人をも落花させるように、どんなに善い人でも津波や地震で殺される。同じく車にひかれ、路上で刺されるのである。酒酔い運転者は悪い人を選んで車をぶつけるわけではなく、刃物で通行人に斬りかかる者は、善い男を避けて刺すわけでない。

 

 ニーチェは意志の錯覚として否定するとともに、善人にとって最も難しいこと、すなわち偶然を忌み嫌わないこと、恐れないことを提案する。自由意志と偶然のあいだに画然と線が引かれるわけではない」と。

 

ここ、数か月で、何人の人が台風で死んだことだろう。また、いつ、我々を襲うか。

最近、やたらと、テレビで台風前になると、身の危険を避けて非難してください、と報道される。わかっていても、家に居る、車に乗る。まさか、自分が、という思いがどこかにある。

 

しかし、災難に遭うべき時は、災難に遭うがよい、と良寛も言っているではないか。災難を前頭に、今、もし、最期なら、と考えるべきではないか。

 

 

7 一流と二流の違いは?

 

「学者として一流か二流かはすぐに見分けられる。一流の学者とは、自分と違う意見にも耳を傾けて聞こうとする姿勢なある者、二流以下の学者とは、同じ意見の者だけで集まって、違う意見の者を排斥する者である。

 

  強者は敵から逃げない。敵が強ければ強いほど、敵をしっかり見定める。敵との対決こそ人生の醍醐味だからである」と。

 

 

 読書でも、どうしても同じ傾向になる人は弱者なのか。自分と合わない考えの本を読んでこそ、強者となるのか。

 

 

 

8 学者の本より原典を?

 

「ニーチェの畜群批判とは、ルサンチマンの響きがする。英雄とはホメロスであり、アレクサンダーであり、ゲーテであり、学者たちはこれらの英雄の死体に湧くウジ虫である。ウジ虫が生きるためには、研究の対象たる死体が必要なのであるから」と。

 

もし、明日死ぬとすると、学者の本を読むだろうか。あれこれ批判している本より、原典(古典)を読む、と思う。

 

 でも、学者がウジ虫とはすごい言葉である。

 

多くのスポーツ評論家、政治評論家、経済評論家など、すべて、ある人物に焦点を合わせ、食い尽くすウジ虫とは可哀そうだ。

。 


最後だとわかっていたなら

2019-10-27 18:30:12 | エセー

【最後だとわかっていたなら】 ノーマコーネット・マレック著

2001年9月11日、アメリカで起きた同時多発テロの後、世界中に配信された、ひとつの詩がありました!

【最後だとわかっていたなら】

あなたが眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたなら
わたしは
もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように
祈っただろう

あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたなら
わたしは あなたを抱きしめて
キスして
そしてまたもう一度呼び出して
抱きしめただろう

あなたが 喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたなら
わたしは その一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう

あなたは言わなくても
わかってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい・・・
『あなたを愛してる』と
わたしは 伝えただろう

たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら

わたしは 今日
どんなにあなたを愛してるか
伝えたい

そしてわたしたちは 忘れないようにしたい

若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも
約束されていないのだということを

愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを

明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず

もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから

微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間
どうして惜しんだんのかと

忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかを

だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう

そして その人を愛していること
いつでも いつまでも
大切な存在だということを
そっと伝えよう

『ごめんね』や『許してね』や『ありがとう』や『気にしないでね』を
伝える時を持とう

そうすれもし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから

■ 上記は、ノーマコーネット マレック作の詩ですが、今日が最後の日だとしたら・・・


いらない物は捨てるべきか?

2019-09-23 18:10:03 | エセー

冷蔵庫が開いていると、自動的に「とびらが開いています」とうなる。

 

風呂が沸くと「お風呂が沸きました」と。そのたびに、うるさく思わないだろうか。

 下重暁子著 『持たない暮らし』

1 無駄な音をもっと、少なくできないのか?

 

それらに慣れると、もともと持っていた感覚を失う。機械に頼る。

 

風呂は何分で湧くか、御飯は何分で炊けるかなどの普段持っていた感覚が鈍る。これらに頼るから、ボケてくるのではないか。

 

ヨーロッパ人はそれを知っている。頑固に守る。

古き良きものを大事にすることは、人間の感性を豊にするはずだが。

 

僕は、これら便利な利器を使わないではいられない。改良してほしい。声を出さない炊飯器や冷蔵庫が欲しい。

 

 2 多く友達はいらない?

 

 

「ものを書く職業だが、自分の肉体を使う。できるだけ、手書きで字を覚える。意味を知るにも辞書を引く。図書館へ行って調べる。一見、無駄と思えるものが、「考える」余裕を与えてくれる。

 

 人と人とのかかわり合いも、出来る限り、面と向かって話をする。表情で細かな感情がわかる。

 

 広く浅くつき合ってもどういうことがあろうか。

友達は一人でいい。深く理解し合うことができれば。

 

 広く浅くから狭く深く、効率的な便利さから、自分のこだわる美意識へ。」と。

 

手書きで書くと頭に残る確率が高まる。しかし、パソコンで打っても、何も書かないよりましだと、思う。

 

今、しているフェイスブックは相手の顔がわからない。だから、どこまで、真の友達になれるか謎だと思いながらしている。

 

 

 

3 身の周りは余計な物ばかりで時間を奪われる?

 

 

 「本当に美しいものはさりげない。

いらない物を取り払った空間、茶室は、千利休の哲学のこもった空間。たった四畳か三畳の部屋に、武士も町人も刀を取り払い、同等になって、一服の茶を楽しむ。日本の美学だ。

 

 豪華なもの、便利で効率的なものばかり追う日本人。本物の美しさを見る目を失ったのではないか。

 

 予定や物や、眼に見えるものがたくさんあればるほど、人間は縛られる。物がなければとらわれない。この上なく自由だ。富や贅沢や欲望から自由になれれば、本当の贅沢を知る。

 

贅沢とシンプルとは、相反するようだが、実は、シンプル生活こそ、心の贅沢があると思う」と。

 

 

 

 

 

 

 山登りをすると、小鳥の声、梢を行き過ぎる風の音。土中から目覚める植物のざわめきなど聞こえる。

 

 人間も自然の一員と思い知らされる。

その声があっても、聞こえないのが現実ではないか。

 

散歩をしても、健康のために速歩きとか、イヤホンを聞きながらとか。余計な知識に振り回されていないか。その意識があると、自然の声から遠ざかる。

 

予定表を書くのは仕事や勉強のため。しかし、毎日、これをすると、心が自由にならない。何かに縛れる。精神的貴族になれない。

 

 

4 ちょっといい物は買わない?

 

 

白洲正子さんが言うには

「ちょっといいもはよくない、

 ちょっといいわねえ、と言って、買わない事」と。

 

 骨董では見る目が試される。目がなければ、偽物を高く買うことに。目をつくるには、本当にいいいもを日頃からたくさん見る事だろう。

 

 美術館めぐりも大切だし、ウインドウショッピングも役に立つと思う。普段からその気になって物を見る。衝動買いをしたくなる時、役立つ。

 

 

5 自分が持っている物をわすれるなら、大したことのない物?

 

 

 「年寄りは物を捨てられないのは、自分が持っていることを忘れてしまったので、みなとっておくことに。

 

 忘れている物は、自分のなかで必要がなかったわけだから、記憶の彼方に追いやられている。

 

 ボケても、大切なものは憶えているという説もある。

 

 いらないものは捨てた方がいい。いるいらないは判断は、記憶を頼りにする」と。

 

僕は、読書でも言えるのではないかと思う。

 

読んで忘れる本は自分に大した本ではないと。大切なら読後、何か残っているはずだ。

 

 

6 欧米では恥ずかしい事が日本で起こる?

 

著者のアメリカの友人が、日本では考えられないものがはやるという。

 

 「一つ目がブランド品、二つ目がバレンタインデーのチョコレート。三つ目が紙袋。

 

 一つ目のブランド品は、有名ブランド品を買い漁り、みんな同じものを着て、同じバッグを持つ。

 

 人と同じ物を身に着けるのは、その人に個性がないことで恥ずべきことだが、日本では、人に遅れる、人と同じでないことが恥ずかしいという感覚がある。

自分がないから人が気になる。同じことをしていないと不安になる。

欧米では自分で考えたり、選んだりできない人は認められない」と。

 

同感である。休日に食べ歩きと言って、一つの店に行列を作りだす。時間の無駄も考えずに。

テレビの言う事を世論と勘違いしているのではないか。

 

 

 二番名は、バレンタインチョコ。聖バレンタインに由来する日を日本人はチョコレートの日に変身させた。

 

 聖バレンタインの事を何も知らず、チョコレートだけが行き交う。

 

 

 なぜ日本人とチョコレートなのか。戦争直後にさかのぶるのが著者の説。

 

 「敗戦で、物不足の日本では、食べ物に困り、子供たちは進駐軍のあとからついて行き、「ギブミー・チョコレート」と手を差し出した」と。

 

 

 

 

 三番目は紙袋。「なぜ、日本人は猫も杓子も紙袋を持って歩くのか。

 ほとんど企業や店の袋。みんな宣伝を買って歩いているようで、みっともない」とアメリカの友人がいう。

 ドレスアップして紙袋はみっともない。

 

僕は、やはり、有名ブランドを買ったぞ、と見せびらかしたいからだと思う。

 

あるいは、ゴミ袋にするためにもらうのか。

 

 

7 情報に惑わされずに、自分を作るには?

 

 

 情報が多すぎる。テレビ、新聞、ラジオ、雑誌、携帯、パソコンと。

 

シンプルに考え、シンプルに生きたいが、状況が許してくれないと。

 

 では情報にわずらわされない方法は?

 

「答えは一つ。自分を持つこと。いかに情報が多かろうと、選ぶのは自分だ。自分が情報を使うのであって、情報に自分が使われるのではない。

 

 人間がそこにいないから、引きずり回される。どんな場合も、毅然と自分がいれば、間違いはない。

 

 それでは、自分をどうやって作るのか。

 

 日頃から、人の話に耳を傾けるのは大事だが、決断は自分。はやっているから買うのではない。自分が欲しいから買う。友達がやっているからやるのではない。自分がやりたければやる。やりたくなければやらない。

 

 一つの方法として、人と同じことはしない。必ず違うことをする。

 友達が買った物を買わない。必ず違うものを買う。他人の意見に従うのではなく、自分の意見をもつ。

 

 万一、同感と思う場合、同感、と言った後で、その事を自分なりに解釈して、違う表現を言ってみる。主語は夫や、子供や友達でなく、自分にする。

 

 「私は・・・」とはじめれば自分の考えを言わざるを得ない。そうして、自分で決めればその結果がどうなろうと納得できる。自分で責任をとらざるを得ない。いつも人の考えに従うと、自分で決断できず、一生人のせいにする」と。

 

 

私は、・・・だ、私は・・・である、と書くと、自分の人格に自信が持てるような気がする。これらを多用してみては。

 

 

 

8 詐欺師はよくしゃべる?

 

 

著者は余分な思惑を考えず、自分に忠実にと心がける。言葉を話す前に一度頭のなかで考え、心で反芻してから口に出す。余分なことは言わない。お世辞や媚びは売らない。

 

 「電話で、こちらの都合も確かめず一時間もしゃべりまくる人がいる。

 

 一見ソフトだが、あの手この手でしつこく説明する人。詐欺師はだいたいよくしゃべる。テレビに映るその顔を見ると、なぜ騙されるのかわからないほど、胡散臭い。

 

 見る目さえ養えば、その人の話し方と言葉でだいたいの見当はつく」と。

 

 

見知らぬ人でこの人は信用を置けるか判断するには、人相に頼るしかない。

だから、面接試験なども、第一印象を採る方も方も大事にする。

 

しかし、日が過ぎて、相手と話し出すと、第一印象が薄れて、騙されることが多いのではないか。言葉はやはり魔物だ。


男と夏を感じる椎名誠

2019-09-05 14:55:38 | エセー

昔、テレビのコマーシャルで、椎名誠さんが砂浜でビールを飲んでいる場面が何ともおいしそうで、夏を感じた。

 

椎名さんは、町中で見知らぬ人と喧嘩をよくしたそうだ。

街中で、鉄拳勝負のヨロコビと悲しみが

、青春時代からサラリーマン時代にかけて六勝十一敗二十引き分けという。

 

そんな中、新宿の紀伊国屋で、椎名さんが立ち読みして本をラックに返そうとすると、横の若者が椎名さんの横に体を寄せて、返すことを邪魔した。

 

 その結果、椎名さんは若者を二度ぶっつづけに殴った。若者は鼻血を出し、倒れたという。

 それは、「まずい」ということで、椎名さんは紀伊国屋をとっとと、後にした話は印象に残った。

 

 

 

 椎名誠著  『フグと低気圧』

 

 

 

1 蚊が噛まれたくなかったら、ピンク色の物を身に着けよ。

 

 

  「昼間にとまっている蚊にむかって人間が、「ハアーッ」と息を吹きつけると蚊はたいへんにコーフンするらしい。それからまた蚊の視覚はある種の色に反応するらしく、青とダイダイ色を見るとやはりコーフンするというのは人間にもけっこう沢山いるようなきがするが、蚊は人間と違ってピンク色が嫌い、という実験データもある」と。

 

夜中に、僕はよく蚊に噛まれるが、扇風機を回していると何とか防げる。

 しかし、蚊に色がわかるとは。

 

 

 

2 猫に「立ち入り禁止」がわかるのか?

 

 「小平市の公園の入り口に行ったら笑ってしまった。看板が立っていて「犬猫立入禁止」とデカ文字で書いてあった。私の息子がこれを見て「ネコに字が読めるかよ」と言った。犬はまあヒトがクサリにつないで散歩させているからわかるとしても猫にまで「いかんいかん!」とわめいている小平市のコッパ役人たちの頭を笑ってくれい」と。

 

猫にクサリをつけて、歩けると、面白いが、将来、ロボットにクサリをつけて散歩する時代が来るように思うが。

 

 

 

3 今は、コメを嫌う人が多いが。

 

 

「日本の男の真の食いものはドンブリである。ドンブリこそ男の人生なのである、という想いを一にしている人がわたくしのまわりの結構いる」と。

特に、作者は鉄火丼も好きだが、カツオをのせた銀火丼(初めて知った)が大好きのようだ。

 

 

 4 ナマコの逃げるの見てみたい。

 

 

「日本酒の肴で好きなものをたて続けにあげろ、と言われたらウニ、ホヤ、ナマコと答える。共通点をあげれば、この三者はいずれもその生前のお姿が人間中心とした生物相観からするとたいへんに醜い、という共通項がある。

 

 ナマコというのは本当にヘンなやつで、ナマコを襲う外敵に対して、やつは肛門から自分の内臓を放出し、敵がそれを食っている間に逃げるのだ。どうやっても逃げるのかと思ったら、彼には体の下にちゃんと移動用の触手がある。すると普段ごろんとしているのはやはり「めんどくさいかんね」という怠惰のこころ以外はない。もの凄いことにやつはこの内臓を放出だけでは間に合わないとき、神経環まで放出してヌケがらだけになって逃げるのである。まったくどういう神経をしているのだろうかと思う」と。

 

 

ナマコを食べる時は、このことを想像してみたい。

 

 

 

5 海のカニと川のカニでは大違い?

 

 

「底引き網はビニールの袋、ウイスキーの瓶、大量のドロ・・・。要するに、海底のドブさらい、といったようなかんじなのである。

 

 あのうまいけれど高い、というので有名な越前ガニであるからもっと上品にかつ美しく獲られいるのではあるまいか、と思っていたのだがカニとはいえどそんななまやさしい獲りかたなどしていないのであった。

 カニ獲り人たちはホースの水でドロを洗い流し、ゴミを捨て、引っかかってきた魚やエビをよりわけ、最後の残ったカニを拾い上げるのである。

 

 

 カニというのは陸に上げられると反省と怒りと好奇心で熱心にあっちこっち動き回て始末に困るものではあるまいか、と思っていたのだが、その実態はただもうみんなヤル気なくドタンと横たわったままでいるのだ。

 

 いまなんの気なしに川蟹の蟹の漢字にしてしまったが、海ガニはカタカナのカニがふさわしく、川蟹はあくまでも漢字であらわした方がそれらしのではあるまいか、とこれはまことに極私的にそう思っているのである。

 

 川蟹は実にすばしっこいやつで、ザルから鍋に入れようとすると全身もがきで暴れ回るわハサミをふり回すわの大抵抗で、鍋の中に放り込んでも素早く蓋をしないとたちまち飛び出してきてしうのだった。やっぱり川に住む蟹は一Gの気圧の下の生き物なのである」と。

 

食べている海カニがドロと一緒だとは。他にも海でとれる物もよく似ているのだろうか。

 

 

6 普段、何気なく聞く店員の声に耳を傾けるのも面白い?

 

 

「浅草駅間の近くに「むつみ屋」というケッとばし専門の一杯吞み屋があった。馬刺しとさくら鍋が売り物で、夕方になるとあの界隈の勤め人でいつもにぎわっている。

 

 店には二人のあんちゃんがいて、実に威勢がよかった。とくに客からの注文を厨房に伝えるときの声が素晴らしかった。

 店の中は相当に騒々しい。その騒々しい声の上をキュンと突き抜いて、この二人のあんちゃんの声が、厨房まで走るのでだ」と」と。

 

 マクド等で、本を読んでいると、横の会話が耳に飛び込んでくる。その時も「うるさい」ではなくて、まわりが相当、客がいればいるほど、どんな声が美しいか、詮索するのも一興かも。

 

 

 

7 男は四十歳でハゲるかどうか決まる?

 

 

「四十歳を通過して何となく安心していることがある。「ハゲなかった」ということなのだ。男のハゲというのは四十歳がひとつの歯止めラインではないか、と思うのである。すなわち、四十までハゲの傾向がなければなんとかよっていける・・・」と。

 

そうだと、うれしいが。

 

 

8 鯛の船盛りは芸術作品か?

 

「鯛の姿づくりが出てきた。船盛りというやつである。ぼくは昔から海べりの宿に泊まってこの船盛りを前に酒を飲むときというのに人生のシアワセの貴重な瞬間を感じている。

 

 鯛をメインにハマチ、イカ、サザエ、アジ、イセエビなどが鯛の横たわったまわりにかしずいている。本日の脇役陣というかんじである。

脇役の中にいつでも鯛にかわって主役の座に寝ころがれる実力者イセエビがいて、なかなか迫力がある。ハマチやアジやサザエというのは船盛りの主役というのをハナからあきらめているからイセエビほどの迫力はないが、逆にわたしら生涯脇役ですから・・・というさばけた気配があってなかなかいいかんじである」と。

 

 

 

 9 政治家は怪しさ?

 

 「まず「先生」と呼ばれる人々というのは例外なくあやしい。いしばん悪質的にあやしいのが政治家、代議士の先生たちだ。

 「わたしは正しい。わたしの眼を見てごらんなさい」

と胴間声はりあげている政治家の眼を見ると例外なくにごっている。 そういう人がにごったおのれの目を指さし、「これが嘘をついている目ですか」などと堂々と言ったりするのだ。本当に正しい人はそんなことを言わない」と。

 

僕も、街頭演説でこの言葉を聞いたことがある。

選挙になると、何の断わりもなく、演説カーで街中に響き渡る声を聞くと、腹立たしくなる。本が読めない。

 果たして、何人の人があの怒鳴り声を真剣に聞いているのか。

 

 自己中の見本に見えるが。


オリーブオイルも亜麻仁油も体に悪い?

2019-06-27 17:45:48 | エセー

 

 欧米人の全遺伝子が解読された。その後、十三年たって、2016年に、ようやく日本人の標準的な遺伝子配列が明らかになった。

 

 健康本やテレビの健康番組はアメリカの健康食を真似たことを言って宣伝する。しかし、遺伝子が欧米人と日本人では異なる。健康食も自ずから違うとわかってきた。

テレビを鵜呑みにすると、大変なことになるようだ。

 

 

 

 

奥田昌子著  『日本人の体質』

 

 

1 無酸素運動で、やせるのか?

 

 

 「無酸素運動は、ダンベル体操やスクワット、腕て伏せで、筋肉がつくと基礎代謝量が増える。

 基礎代謝とは、心も体も安定している時に消費する必要最小限のエネルギーのこと。

 

 無酸素運動をすると、その後、約48時間にわたって、基礎代謝が高い状態が続くので、筋力トレーイングはやせ体質になれる」と。

 

 

僕は、有酸素運動はやせると思うが、無酸素運動は太るようの思うが。

 

 

2 テレビではオリーブオイルの宣伝が激しいが?

 

「オリーブオイルも大量にとると、かえって心臓病になる。なぜか。油が脂肪そのものだから。

オリーブ油、アマニ油、ごま油は健康によい、と言われるが、油は大さじ一杯で約110kmlあります。

 日本人は欧米人に比べて、内臓脂肪がつきやすいので、脂肪を摂取すれば、すぐに体につき、血糖値が上がり、血圧も上がり、動脈硬化が進む。心臓病も増える。

 

 動脈硬化を防ぎたいなら、善玉であろうと、油そのものを控えるべき」と。

 

 

欧米人はこれらのオイルをとっても余り問題ないが、日本人は欧米人の物真似をしても、体質に合わないようだ。

 

 

3 大豆は積極的に?

 

「日本人のカルシウム摂取量は米国人の約半分。骨粗鬆の発症率は米国白人の方が2倍高い。

これを、カルシウム・パラドックス、という。

 

 

 なぜか。日本人は、大豆や海藻、小魚、緑黄色野菜などからカルシウムを取ってきました。

 

 大豆製品にはイソフラボンがあり、骨からのカルシウム流出を防ぐから」と。

 

 

4 乳製品の脅威?

 

 

「日本人は乳製品はあっていない。

 乳製品の摂取量が増えるにつれて、男性では前立腺がん、女性では乳がんの率が高くなる」と。

 

「日本人は年齢を問わず、肥満になると、乳ガンの発症率が上がる。

 

 

 身長も乳ガンの発生に関係あり。閉経前、閉経後、いずれにおいても、背の高い女性は乳がんになりやすいことが明らかに。 

 

 

  日本人では運動による予防効果が明らかなガンは、大腸ガンと乳ガンのみ。

 

 

 夜間勤務の女性は乳ガンに1・4倍なりやすい。旅客機の女性客室乗務員は退職後、乳ガンになる確率が、そうでない女性に比べて5倍という報告がある」と。

 

 

僕は、乳製品が好きなので、ショックだが、ほどほどはいいと、勝手に思うことにしている。

小さい頃、牛乳を飲めば、背が高くなると言われ信用していたが。確かに、女性も身長は高くなるようだが、乳ガンの率が高まるとは。

 

 

5 心臓病に赤ワインはいいというが、ガンになる危険も?

 

 

「日本は心臓病の発症率は世界で最も低い国。

 

 死亡率もフランスより低い。しかし、予防として、赤ワインを飲め、という。これは、隣の芝生は青い、そのもの。

 

 ポリフェノールは赤ワインだけではなく、果物ならブドウよりブルーベリー、スモモ、イチゴに多い。コーヒーにも赤ワインなみに含まれている。ニンジン、ホウレンソウ、大豆、ゴマ、ニンニク、ナッツ類、海藻、緑茶にも含まれている。

 

 だから、赤ワインを飲む必要はない。

 

  問題はアルコール。

 

 アルコール消費量は、フランスを1とするつ、日本は0・66。

 アルコールそのものに発ガン性があるので、フランスは肝臓がん死亡率が欧米諸国の2倍から3倍高い。

 

 しかし、アルコールの発ガン問題は、欧米人より日本人の方が深刻。

 日本人の半分はアルコールを肝臓で分解する酵素が弱いので、食道ガン、肝臓ガン、大腸ガンになりやすい。

 日本人はビール中ビン1本以上飲むと、飲まない人に比べて、ガンの発症率が8倍になる」と。

 

 僕は、これらのデータを、飲みすぎの時、自戒して思い出したい。

 

 

6 お茶、コーヒーで不安定な気分に?

 

 

「カフェインは日本人には相性が悪い。

 

 摂取しすぎると、頭痛、不安、抑うつ、不眠、下痢となる。

カフェインは体に与える影響は個人差が大きい。

 日本人を含むアジア人は、カフェインで不快な症状が起きやすいタイプの遺伝子を持つ人が半数。

特に、カフェインを150ml摂取すると、不安定な気持ちになる。

 

 カフェイン150mlは玉露一杯、コーヒー一杯に同量が含まれている。

 

 一方、欧米人やアフリカ系の人、中国人は、カフェインが合わない人は少数。

 彼らと日本人は体質が違うのです」と。

 

先日も、テレビでコーヒーを飲むと、肝臓ガンを防ぐ、緑茶は熱中症に効く、と言っていたが、矛盾することが多すぎる。どちらをとるべきか。

 

 

7 日本人は少し太るだけで、糖尿病に?

 

「糖尿病は肥満しているとなると思っている人が多い。

 

 欧米人やアフリカ系ではあてはまる。米国白人糖尿病患者はBMIが30以上。

 対して、日本人患者のBMIは、糖尿病でない人よりわずかに高いが、普通体重に治まっている人が大部分。

 

 日本人は少しおなかが出る程度で危険信号となる。

 

 内臓脂肪は悪玉物質を多く分泌する。インスリンの効き目が落ちる。そして、糖尿病になる。悪玉物質は血糖値を上げる以外に、動脈硬化を促す。血の固まりを作って、脳の血管を詰まらせ脳梗塞にもなる。

 

 ところが、驚くことに、欧米白人はどんなに肥満しても内臓脂肪がつきにくい。大部分が皮下脂肪になる。

 

 伝統的に脂肪を大量に摂取してきた欧米人と異なり、アジア人は脂肪の少ない食生活を送って来たので、皮下脂肪をためる能力に欠ける。代わって、内臓脂肪に蓄積される。

 長年の食生活に合わせて遺伝的素因が変化したのです。

 

 

 内臓脂肪は、おなかのまわり、腹囲で、わかりやすい。

男性の腹囲の基準値は日本とアメリカではかなり違う。日本は85㎝、アメリカは102㎝。この基準値の意味は、腹囲102㎝のアメリカ人についている内臓脂肪量と、腹囲85㎝の日本人についている内臓脂肪量が同じということ」。

 

 

8 糖尿病の原因は脂肪の取りすぎ?

 

「終戦直後、ひどい食糧難だったが、カロリー摂取量で見ると、誤解する。

 

 現代人の方が食べていないのに、糖尿病になる人がはるかに多い。

 

 砂糖の摂取量も増えていない。砂糖の摂取量は1970年代以降、減り続けている。

 では、日本人に糖尿病が増えた原因は何か。

 

 答えは、カロリーの総摂取量に占める脂肪の割合が上がり、炭水化物の割合が下がったのです。

 

 

  かつて、沖縄の人たちは簡素な食事をし、糖尿病発症率が全国で最低だった。しかし、戦後、米国の統治で、一気に食の欧米化が進み、脂肪の割合が全国平均を上回っている。メタボの割合も全国でトップクラスになった」と。

 

 

9 日本人が体重を減らすなら、糖質制限はいいが、糖尿病防止には低脂肪で?

 

 

「糖尿病と言っても、日本人と欧米人では発症の仕組みが違う。日本人が糖尿病を予防し、進行を抑えるには、内臓脂肪を減らすことと、炭水化物を十分摂取することです。

 

 

 低脂肪食は、低炭水化物質と比べて、体内の脂肪が1・7倍多く落ちた。しかし、体重は低炭水化物食の方が減ったのです。

 

 

 炭水化物を少ししか食べないグループは、十分に食べているグループに比べて死亡率が1・3倍高いというデータがある」と。

 

 

10 日本人が糖尿病を防ぐには?

 

 

 「魚の摂取量が増えるほど男性の糖尿病の発症率が下がる。効果が高い魚は、アジ、イワシ、秋刀魚、サバなどの背中の青い魚とウナギ。

いずれも脂が多い魚。魚の脂に、EPADHAが豊富。日本人を含むアジア人にはあてはまる。

 

しかし、欧米人には研究では、同じ結果が出ない。

 魚を食べると、反対に糖尿病の発症率が上がるデータがある」と。

 

 

 

11 減塩よりも、アルコールと肥満で高血圧になる?

 

 

「減塩しても必ずしも血圧が下がるとは限らない。高血圧は、むしろアルコールや肥満など、塩分摂取以外の影響を強く受けている。

 

 これは、日本の秋田県は脳出血による死亡率が高い。

 1950年代、高血圧の患者の割合が秋田の農村は60パーセント。対照的に、同じ東北の岩手の漁村で20パーセント。その差、何と3倍。

 

 なぜか。

 秋田の農村は冬は雪に閉ざされ、新鮮な野菜や魚が手に入らないので、塩味の強い漬物や干し魚が多い。米どころなので、どぶろくを作り、屋内で酒を飲む。

 

 一方、岩手の漁村は、海藻や野菜、新鮮な魚を多く食べ、米が不足しているので、あまり飲酒をせず、冬にも涼に出て、体を動かしたから、脳出血が少なかった」と。

 

 

12 脳出血を防ぐには肉を食べて、酒は飲まない?

 

 

「脂肪には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がある。肉の脂肪は飽和脂肪酸。魚の脂肪は不飽和脂肪酸。日本人を対象とするコホート研究所の調査では、飽和脂肪酸を多く摂取する人ほど、日本人に多い脳出血の発症率が下がるとわかった。飽和脂肪酸には血管を丈夫にするのではないか」と。

 

「飲酒は脳出血の原因になる。アルコールは脳梗塞の発症率とほとんど関係なし。

 

 一日平均3合飲む人は、ときどき飲む人に比べて、2・5倍、脳出血になっている」と。

 

 

13 しかし、肉食は動脈硬化を引き起こす?

 

 

 「現在、日本では脳出血の割合が減り、代わって、脳梗塞が増えている。

 

 日本人の死因の四割が脳血管障害で、脳出血は脳の血管が破れて出血する。原因は高血圧。

 

 対して、脳梗塞は、脳の血管が詰まる。脳に血液が流れない。背景に動脈硬化がある」と。

肉食で脳梗塞に。

 

 

 

 

 

14 塩分を少々とっても、野菜でカリウムを補えばよい?

 

 

 「塩分の摂取量が多すぎても少なすぎても、死亡率や心臓病の発症率が上がる。

 専門家は、一日7・6gから15・2gの範囲という。

ただし、条件がついており、カリウムを十分摂取することと。

 和食の欠点で、塩分が多い割に、カリウムが少ない。高血圧や脳出血予防するには、併せて、一日、3・9グラムが必要。

 カリウムは野菜に多いが、ゆでると四分の一になる。生の方が多い」と。

 

 

 

15 現在、五十歳以上の人は、飲んだ井戸水で将来、胃ガンに?

 

 

「日本は、肝炎ウイルスとヘリコバクター・ピロリ菌の感染率が世界でも高いので、感染を原因とするガンの発症率が先進国の平均2倍高い。

 

 

 日本でピロリ菌感染者が多いのは、50歳以上の人。水道の整備されなかった時代に井戸水を飲んだことが原因。

 日本の上水道が90パーセント以上、普及したのは、1980年前後ゆえに」と。

 

 

 塩分を多く含む、イクラ、塩辛、練りウニなどを多く摂る人は男女ともに胃ガンになりやすい。

 

16 タバコを止めて、20年たたないと肺ガンの死亡率は減らない?

 

 

「日本は先進国の中で男性の喫煙率が高い。最近は少しずつ、減る傾向。 タバコを喫う人が減っても、ガンの発症率は目に見えて下がるには20年かかる。これを「タバコ病の流行モデル」という。

だから、タバコで肺ガンになる人はまだ、多い」と。

 

 

17 大腸ガンを防ぐには?

 

 

「日本人は赤肉の摂取量とともに大腸ガンの発症率が上がる。

 

 ここでいう、赤肉とは、牛、豚、羊、馬などの獣肉のこと。

脂ののったサーロインステーキは赤肉です。赤肉が発ガンと関係するのは、肉に含まれるタンパク質と、他の食品に入っている硝酸塩という物質が化学反応を起こして発ガン物質ができるという。

 

 白人は牛肉をしっかり食べても、ガンの発想率は大きく上がらない。日本人との人種差あり」と。

 

 

「肉の脂やラード、乳製品に含まれる動物性脂肪は体に悪いが、オリーブ油、ごま油、荏胡麻油は心配ないと言う人がいるが、間違い。

 どんな脂肪も体内で分解される経路は同じなので、胆汁の増加による発ガンには動物性脂肪も植物性脂肪もありません。採り過ぎれば同じく大腸ガンの発症率が上がる。

 

 

しかし、魚に含まれるEPADHAが大腸ガンを予防する。

 デスクワーク中心で体を動かさない人は、大腸ガンにかかりやすい」と。

 

運動が大腸ガン防止に効き目あることが明らかになったようだ。肉をとれば、ジョギングして防止を。