jump in the box

この小さな箱の中で飛んだり跳ねたりしてみます(笑)

拝啓 ジーコ様

2006年06月23日 | サッカー
W杯を目標として戦ってきた以上
1次リーグ敗退という結果は残念で悔しくてたまらない。
結果が全てである大会で結果が出せなかった事について
僕らサポーターは「良くやった」「頑張った」「感動した」などと
甘っちょろい事を言ってはいけない。
親善試合ならともかく本番の戦いで敗れたのだ。
この4年間、代表として戦ってきた全ての選手達に失礼だ。
彼らはサポーターに感動してもらうためにサッカーをしているわけではない。

だから今回のような試合を見せられると
悔しくて悔しくてたまらなくなるのだ。

2点差以上の勝利が絶対条件だったブラジル戦
1-4の惨敗だった。
挑んで戦って攻めきっての敗戦ならまだ納得がいく
それが世界との差なのだと感じられるなら仕方ない。
フランス大会と今回では敗戦の種類が全く違う。

全力で戦ってぶつかって勝てなかった戦いと
勝つチャンスを自らの手で摘み取ってしまう戦いでは
同じ敗戦という結果でも悔しさが違うのだ。

今朝のブラジル戦、試合終了のホイッスルの瞬間
思わず口から出た言葉がある。
「またか…」
オーストラリア戦と全く同じ
攻めない走らない諦める。
戦わないのだから負けて当然だ。

後半の入りでマズイと思った。
1-1で前半を終えたブラジルの方が必死だったからだ。
後半は全くやる気の無い試合展開
攻める気持ち、勝つ気持ちが全く見えない。

それでも1-2になった時点では希望を持ったものだ
「さぁ!攻めるしかないぞ!」
しかしその瞬間戦う事を止めてしまった。

マイボールになっても攻めあがりもしないし
相手のボールを奪おうという意志もなく
立ち止まり、歩き、目の前に来たボールはただ蹴り出す
ブラジルのパスワークを見守り続け
世界最高のチームにフリーになる空間を与え
ゴールに入りませんようにと神と川口に祈った。

「倒れてもいいから死ぬ気で走る」んじゃなかったのか?
「勝つしかない」んじゃなかったのか?

世界の壁は厚い?
そんなことハナからわかってた事じゃないか
何故戦おうとしない。
何故1点でも多く奪おうとしない。
何故ヤラレルとわかってて一歩前に出ない。

正直10点でも20点取られてもいいから
もう1点を奪いに行って欲しかった。

泥臭く追いかけまわし
交わされ、遊ばれ、回されても諦めず
倒れても倒れても起き上がり
得点を奪いに行かなかったのか。

結局こういうことなんじゃないだろうか。
ジーコの考えは4年間かけても選手には届かなかった。

オフトで開花しトルシエで成熟させた「組織」で戦う集団は
アジアで一番になるところまでたどり着いた。
しかしその「戦う集団」は世界にかなわないとわかると
途端に「戦えない集団」になってしまう。

ジーコはその「戦う集団」に「個人」を融合させることで
世界で「戦える集団」にしようとしていた。
以前から言っているが
僕はその理想は間違っていないと思う。

組織力だけでもスーパースターが一人いても世界では戦えない。
強豪国と言われるチームは組織の上に個人の能力が上手く融合している。

ジーコが示した世界への扉はあまりにも重く
今の日本では開くことができなかった。
と言うか
その重さに開く事を諦めてしまったのではないだろうか。

「戦う集団」の一員として集まった選手たちと
「戦う個人」の集団を目指したジーコ
ジーコジャパンと名付けられ祭り上げられた集団は
すれ違ったまま4年間を過ごした。

その差が明確になったのが皮肉にも本番の初戦オーストラリア戦だったというわけだ。
そう、あのゲームでもう1点を奪いに行かなかったことに全てが集約されていた。

落胆するのと同時にそんな事を思い
ちょっとスッキリもした。



拝啓、ジーコ様

4年間お疲れ様でした。
日本という国のサッカーを強化するため
貴方の指し示した方向は決して間違っていないと思います。
個々の試合では疑問に残る部分はありましたが
貴方の掲げる理想は日本サッカーが世界のレベルに到達するためには
避けて通れない扉なのだと思います。

ただ、4年間という時間はあまりにも短すぎました。

クラマー氏によってこの国にサッカーという競技が齎され
メキシコ五輪で世界という夢を見て
アジアのライバルにとことん跳ね返されながらも
世界の檜舞台に立つことを諦めなかった。
何度となく挑戦しようやく世界の入り口に立つ事ができた。
その扉が4年間で開かれるはずは無いのです。

ドーハを見て育った世代がピッチに立っているように
ドイツを見た世代がピッチに立つようになる頃には
貴方の理想とするサッカーの原型が出来上がっているかもしれません。

これで終わりと言わず
どうかこのまま日本のサッカーを見守っていてください。
10年かかるか20年かかるのか
或いはもっとかかるのかもしれませんが
貴方の掲げた世界という重い重い扉を
必ずいつの日か開ける事ができるはずなのです。

おそらく多くのサポーターからは批判が相次ぐ事でしょう
僕も今大会の結果は非常に残念に思います。
しかし、貴方の掲げた理想は間違っていなかったという事を
何年かけてでも我が代表は証明してくれる事でしょう。

敬具