「ちょっと座ってていい?」
スーパーのエスカレーター脇にあるベンチの方を見ながら嫁さんに聞いてみた。
「うん、いいけど…痛いん?」
「ちょっとね(笑)」
「買い物なんか後で行くから帰ろうか?」
「大丈夫、座ってたら治まるから」
そんな会話してるところに
長女が走ってきた。
携帯で電話するのがもったいなくて
僕らを走って探し回ったらしい(笑)
「娘と一緒に座って待っとくから買い物してきていいよ」
「うん、じゃさっさと済ますわ」
「ゆっくりでいいよ」と言う言葉の途中で
嫁さんはカゴを手にして食料品売り場に消えて行った(笑)
そうこうしてるうちに目的のベンチは他の客で埋まっており
僕は娘と一つ上のフロアに上り空いているベンチを見つけた。
娘の手にはキラキラ光るハート型のアクセサリーのストラップ。
二人でベンチに腰掛けて早速取り付ける。
「これな、一つしか残ってなかってん!」
娘はちょっと興奮気味に自慢げに一気にまくしたてる
「めっちゃキレイやし可愛いやろ?」
「うんうん、貴方らしいの選んだなぁ」
「だってこれ一つしか無かったからすぐ買ったんやもん」
腰の痛みも治まりつつあったしニコニコしながら
得意げに話す娘を見ていた。
突然耳慣れない着信音が鳴った。
娘の携帯だった。
驚いた娘は慣れない手つきであわてて携帯を操作する(笑)
嫁さんからだった。
座る場所を移動していたので探していたらしい。
もうすぐ午後3時になろうとしている車内は蒸し風呂状態で、
エアコンをかけて暫くは車に乗り込めないでいた。
そのまま投票に行く予定だったのだけれど
僕の腰痛の様子を見るのと買った食料品を冷蔵庫に入れたいのもあって
一旦家に帰ることにした。
帰宅後すぐにクーラーをガンガンにかけて畳に倒れこむ嫁さん。
一旦帰宅したのは赤ちゃんいない間に昼寝したかったのも理由らしい(笑)
そこで日ごろの感謝を込めて
娘と2人でマッサージしてあげることにした(笑)
うつぶせになった嫁さんの足の裏を娘が踏む。
やせっぽちな娘の体重がちょうど心地よいみたいだ
僕は肩から背中にかけて軽く叩いたりさすったり
「どへぇ~」とオヤジのような声をあげる嫁さん(爆)
その気もち良さそうな顔を見てちょっと悪戯心が沸いてきた
娘と担当を交代して足裏マッサージと称して痛いツボを押してみた
「いっ!…」声にならないほど痛いらしい(笑)
娘に嫁さんを抑えつけておくように指示を出して
さらにグイグイと…
「☆○▲&×…%$$$”!」痛さに身悶える嫁さん(爆)
い、いや、あくまでも日ごろの恨み…
いえいえ、感謝を込めたマッサージですからね(笑)
大笑いして手を休めた瞬間に起き上がった嫁さん
「くっそー!噛んでやる~!」と反撃開始
マジで逃げる僕と娘…
そうなのだ、嫁さんの「噛み攻撃」はマジ噛みなのだった(笑)
「どうぶつ奇想天外」などでやっているじゃれているアマ噛みではなく
まるで
ブラッシーのようなマジ噛みなのである(爆)
いや、冗談じゃなく歯型残るほど噛むんだもん。
僕らの献身的なマッサージのおかげで
お昼寝を諦めた嫁さんは選挙に行くことを決意した(笑)
義母に電話をして一緒に投票所に向かった。
投票所は田んぼの真ん中に建っている立派な市民センター
投票を終えて赤ちゃんを抱いてベランダに出てみる
まだ低く青々とした田んぼを渡ってくる風が心地よい。
後から来た嫁さんが聞く
嫁「なぁ、あんなにいっぱい名前あったら誰書いていいかわからんよなぁ…」
僕「ん?」
嫁「最初の方は知ってる名前ばっかやったからわかったけど」
僕「…それって比例区じゃない?」
嫁「ん?」
僕「あれ、政党名書くんやけど…」
嫁「あれ?そうやったっけ?あはははは(笑)」
カエルも驚くほどの高笑いが田んぼに響き渡った…
夕飯は近所の人が釣ってきたマスを分けてくれたので
塩コショウでバター焼きにしてもらった。
ラグビーを見ながら赤ちゃんにご飯を食べさせ
僕はマスをつまみにビールを開けた。
久しぶりのビールは喉といわず食道といわず
カラダ全体に染み入るようだった。
フラフラととても心地よい
スープ餃子とご飯を食べ終わる頃には眠気が…
またやってしまった…
気づいたら日付が変わっていた(爆)
嫁さんも娘たちもすっかり寝静まっていた。
お腹の辺りにかけられたタオルケットがちょっと嬉しかった。
ぼうっとした頭のままテレビをつけて
冷たい麦茶をのどに流し込んだ。
F1グランプリがあるはずなんだけど…
どうやら放送時間が変更になったようだ。
何て事ない日曜日だったけど
疲れやストレスから一気に解放されたような心地よさに包まれて
選挙結果を競うように伝えるテレビを消して布団に潜り込んだ。