山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

新しい体制への期待

2009-04-23 23:25:18 | Weblog
 近代柔道5月号を見ていたら「全柔連新会長に上村氏」という記事が載っていた

 読んでいくと、嘉納前会長(館長)の「上村氏を選んだ経緯」、上村新会長(館長)の目指していくものなどが簡単にインタビュー形式で紹介されていた。

 個人的には、このブログでも述べてきたように講道館館長と全柔連の会長が職を兼ねるということには反対である。しかしながら、結果的には今まで通り、両団体の長を一人の人間が兼ねることになった

 この結果を踏まえて、今、新しい体制に期待することは、「改革」である。嘉納前会長がその名前からなのか、背負わざる得なかったこと、守る姿勢を崩せなかった部分は理解できる。しかし、国際的にも守りでは太刀打ちできない今だからこそ、世襲ではない思い切った人事に踏み切ったのだと思う。

 それでは新会長、新館長は、どのような改革をしてくれるのだろうか?まず、残念に思うことは、就任してからこれまで「所信表明」なるものが示されていないことだ。私を含めて、今回の人事の結末を新聞の短い報道で知った人は多いと思う

 いつかはあるだろうと期待して待っていたが・・・。選抜体重別選手権の挨拶、先日行われた皇后杯、いずれにおいても通り一遍の大会に対しての簡単な挨拶であった新会長になって初めての大会であれば「この度、新会長に就任し・・・、こんなことを変えていきたい、実行したい」という話があってしかるべきではなかったのだろうか?そんなことを期待していたのは私だけなのだろうか

 講道館、全柔連のホームページもチェックしてみた。講道館発行の雑誌柔道5月号も見てみた。驚いたことに、いずれにも館長、会長が変わったことに触れていない広報は怠慢といわれないのか?雑誌柔道には、編集後記?雑誌の最後に簡単に触れられているが・・・。こういうときにこそ、巻頭言に新会長の言葉がなくてどうするのか?近代柔道に載っていて雑誌柔道に載っていないというのは、どちらが講道館の機関誌なのか?

 近代柔道のインタビューからは、新会長の思いの一端が述べられている。「全柔連では強化、講道館は正しい柔道の継承発展」「日本の発言力を高め、内外に発信していきたい。これからは面白くエキサイティングな柔道で『一本』を取る柔道の提案に力を入れていきたい」

 私が知りたいのは、ありきたりの言葉ではなく、これまでの体制から何を引き継ぎ、何を変えていきたいのか、具体的には何をやっていくのか?という点である。おそらく、会長の頭の中にはあるのかもしれない。しかし、何かを通して語られなければ伝わらない。柔道、講道館を支えているのは国内外を問わず多くの柔道家である。その新しいリーダーがビジョンを示すことは重要である

 29日には男子の全日本選手権が行われる。国内では最も歴史があり、権威のある大会である。おそらく、この時に私たちに向けてメッセージを用意しているのだろう。今年の全日本はチケットの売れ行きが悪いというが、試合はともかく、新会長の「所信表明」を聞けるとなれば全国から大勢の柔道家が集まるに違いない

 講道館、全柔連とも会議では満場一致で上村氏を承認したと聞いている。錚々たる重鎮が選んだのだから、間違いはないのだろう。おそらく、そういった会議の場では評決の前に、上村氏の決意表明なり、ビジョンが示されたに違いない。柔道界の未来を担うリーダーを選ぶのだから当然だろう。残念ながら、会議の中のことは私たち下々には漏れ聞こえてこない

 期待しているからこそ「新会長の決意、思いを直に聞きたい」と考えるのは私だけだろうか?


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3 コメント

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新しい体制への期待 (柔道パパ)
2009-04-24 21:34:39
いつも山口先生のブログ楽しみにしています
「全柔連では強化、講道館は正しい柔道の継
承発展」「日本の発言力を高め、内外に発信
していきたい。これからは面白くエキサイテ
ィングな柔道で『一本』を取る柔道の提案に
力を入れていきたい」
素晴らしい内容だと思います
今、時代の変化に伴い、日本の柔道界がどん
どん発言権がなくなってきていますが、私も
岡野的柔道論から、フランスに日本の代弁者
になってもらい、日本の伝統的な考えを少し
でも伝えて頂ければと思う今日この頃です。
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マニフェスト (元柔道家)
2009-04-25 02:59:25
私も山口先生の意見に近く、上村先生のマニフェストを聞きたいですし、上村先生も発表すべきだと考えています。

ただ、ここ数日はIOC評価委員の視察があり、下手にまとまっていないマニフェストを発表するとまずいと考えられたのか今は動くべきでないと考えたのか、いろいろ想像はできますね。(IOC評価委員が実際視察に来たわけですからそれはある意味アピールできる絶好のチャンスでもあったわけですけれども)

山下先生はどちらかというと上村先生と違ってIJF理事の選挙のときも「ビゼール氏に取り込まれて理事の座を守れと言われたら、柔道界から去るという選択肢もあった」と述べていました。それくらいハッキリ意思表示をしても問題ないと思います。そうしないと上村先生が何をやりたいのか伝わりません。

もし上村先生が今後も穏便な立場をとり続けるのであれば講道館長と全柔連会長に就任した意味がないですし、他の他の誰かでもよかったということになります。それは上村先生にとっても全柔連、講道館にとっても損ですね。
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大丈夫? (とおりすがり)
2009-06-05 13:44:07
人をいじめて楽しそうにしている人が新しい会長、館長になってしまった。
日本柔道は大丈夫だろうか?
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