山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

最終回

2011-02-25 16:58:19 | Weblog
 このブログを立ち上げたのは北京オリンピックが終わった翌年の09年の元日、柔道界にさまざまな新しい風が吹き始めたときでした。07年に国際柔道連盟会長が朴会長からビゼール氏に交代。ビゼール氏は強いリーダーシップで様々な改革に着手していきました。

 このブログを書くきっかけともなったのが、彼の最初で最大の改革とも言うべきIJFの法令改正でした。それまで選挙によって選ばれていた理事を会長指名とするなど独裁が可能な組織を作りました。改革のスピードと効率を考えれば必要なことだったのでしょう。しかし、独裁的な組織が方向によっては大きな危険をはらんでいることは、チュニジアやエジプトの革命をみても明らかです。

 こういったなかで日本の柔道はどうあるべきか。柔道創始国である日本が世界で果たすべき役割とはどういったことなのかを改めて考える時期がきたのだと感じました。また、これはたくさんの柔道家たちと一緒に考え、情報を共有していくことが重要だと考えてブログを立ち上げることにしました。

 あれから2年と2ヶ月が経ちました。

 日本柔道界は上村春樹氏という嘉納家以外から初となる柔道家を講道館長・全柔連会長に迎え、新たな道を歩き出しました。講道館と全柔連という目指すものの違う二つの組織を一人の人間が束ねることにも危惧を感じ、論じてきました。

 世界の柔道、日本の柔道、どちらも抱えている問題や課題は少なからずあります。しかし、IJFも全柔連、いずれも新たなリーダーのもとに新たな道を歩みつつあります。これまで、思うこと、感じたこと、批判を述べてきました。まだまだ言いたいことはありますが、このブログを始めた目的の部分は役割を終えたのかと考えています。
 
 ブログには全国に広がるたくさんの柔道家、柔道ファンのみなさまから柔道に対するさまざまな声が寄せていただきました。大会などで直接「読んでるよ」などと声をかけてくださった方も大勢いました。ブログのヒット数はこの2年間で約57万件。他のブログはわかりませんが、かなりの数にあたるのではないかと思います。私のブログをチェックしてくださった方がそれほどいらっしゃったということは、直接コメントをくださった方以外にも読んでくださった方々が本当にたくさんいらっしゃったということでしょう。柔道を愛し、柔道を考え、柔道をよくしようとする方々が大勢いることを感じることができました。こういった人々こそ柔道の財産です。

 山口 香の「柔道を考える」は今回をもって最終回とさせていただくことにいたしました。これまでこのブログを読んでくださったみなさま、コメントをくださったみなさま、本当にありがとうございました

 このブログは閉めますが、近い将来、また違う形で新たなブログを立ち上げることもあるように思いますので、そのときはまた是非おつきあいください