山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

スポーツ日の丸キッズ柔道大会

2009-04-13 20:23:39 | Weblog
 12日(日)は、第一回スポーツひのまるキッズ関東小学生柔道大会に行ってきた

 この大会は、ジャパンスポーツコミッションという会社が企画した大会である。子供達にスポーツで健全に元気に成長してもらいたいとの願いから様々な活動をしているが、社長が柔道経験者であるために、とくに柔道への思い入れから今回の大会が実施された。社長の柔道に対する熱意に動かされて私を含めて様々な先生方が協力していた

 これまでの大会とは違う様々な取り組みがなされていて興味深かった。
①試合場の脇にコーチ席が用意されたが、そこには指導者と保護者が座る。(家族の絆が大会のテーマであった)
②試合だけではなく、打ち込みコンテスト、受け身コンテスト、トレーニングセミナー、柔道セミナーなどが同時進行された。
③会場の外では、幼児向けにピエロが活躍、また、抽選会もあった。
④試合は1~6年生までの個人戦、体重無差別、男女の別なし。
⑤表彰は選手だけでなく、家族も表彰された。

 緊張した面持ちでコーチ席に座る保護者の方々は初々しかった。観客席からだと大きな声を上げて応援する両親もコーチ席では緊張のせいか、声も出せずにいる人も多かった今回は、コーチ席への参加だったが、今後は例えば、講習を受けて交代で審判などで参加させるなども可能だと思う。サッカーは簡単な講習で子供達の試合の審判資格がとれる。柔道の審判は専門性が高いように思われがちだが、試合を多く見ている人で、ある程度の知識があれば十分できると思う。また、自分が審判をすれば、審判への文句も言えなくなるだろう。関わりが深くなれば柔道への愛情も増す。こうやって一人でも多くの柔道ファミリーを増やす努力も大事であろう

 試合以外の受け身コンテスト、打ち込みコンテストでは、参加者(希望者、抽選の場合もあり)全員に賞状が贈られた。試合では一回戦負けだった子供も賞状を手にして喜んでいた。何かを持って帰れるというのは次の励みになる

 試合は体重別ではないので怪我など心配されたが、大きな怪我はなかった。女の子も得に中学年までは男の子に負けずに勝ち上がっていた。また、軽量の子が重量の子を投げたりすると会場が湧いた。体重無差別、男女一緒には賛否両論あるだろうが、私はこういった大会があっても良いと思う。ただし、気になったこともあった。

 一つは、小学生でもメタボ?と思えるような肥満体の子供が多かったことこの時期には体が大きければ簡単に勝ててしまうことも多い。しかし、そのまま大きくなったら技術が足りないというケースもみられる。体のことを考えても柔道だからといって肥満体を良しとするよりは、適正な体重(もちろん+αはありだが)を指導していくことも大事だと思う。体格はよくても体力のない選手が結構いる。体重が重すぎると稽古やトレーニングも実は十分にできていないこともある。今のルールでは動けない重量級は世界で勝てないという現実もある重量級でも均整のとれた選手が望ましい!

 もう一つは、決勝戦ぐらいは判定とせずに、ポイントをとるまでやらせるべきだと思った。この大会は試合時間が2分でポイントがない場合には判定となる。全体的にはお互いに技をかけあういい試合が多かったのだが、中には試合慣れしているのか、僅差で勝つために「かけ逃げ」ともみれるような技を連発する選手もいたこんな試合を子供の頃からやらせていては将来はない。時間の関係もあるので全試合は無理だが、決勝戦ぐらいはエンドレスでやってもいいのではないか!「柔道は投げるか、抑え込まなければ勝てない」、だから技を磨く!と教えたい

 久しぶりに子供の大会をじっくりみたが、こんなに大勢の人たちが集まっているのを見て、日本柔道も捨てたものではないと改めて感じた。しかし、もっと、こんなことを工夫したらもっと良い大会になるのでは?とも思った。

 例えば、小さな兄弟を連れたお母さんは自分の子供の試合でもおちおち見られない人もいたので、会場内に託児所をおくこともありだろう今回の会場(会場の外も)は決して広くなかったので仕方がないこともあったが、食事をするスペースが少ない。朝早くから夕方までいる場合、下手をすると3食コンビニでなんて可能性もある野球やサッカーは規模が違うからできるとも言えるが、最近は食べる楽しみもあるほどに充実したものが提供されており、とくに女の人に評判がいい日本のスポーツ会場は、欧米に比べてこういったソフト面が弱い

 表彰式も少し長かった。5位まで表彰、家族賞もあったので結構な時間となってしまった。これもどの大会でも課題としてあげられる部分である

 柔道人口が減っているというが、やり方次第ではもっとやれる!と思う。今回の大会は、第1回目だったので、課題も多くあったが、『nice try!』と言いたいそれぞれの競技が様々な工夫をして競技人口の確保、普及に凌ぎを削っている。柔道も「もっとやれる」と思う


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8 コメント

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ひのまるキッズ柔道大会 (柔道パパ)
2009-04-13 21:56:06
とてもいい大会ですね!! 九州でもこのような大会があれば、是非!!参加したいですね
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Unknown (masa)
2009-04-13 22:54:45
山口先生のブログ楽しみに拝読しています。

今回の柔道大会に限らず多くの少年柔道大会が開催されていて、色々工夫している大会(例えば朝飛道場杯や力善トーナメント)もあるのでご覧になってみるといいと思います。

小学生の柔道人口は思った以上に多く活気もあるのですが、中学になると随分と減ってしまうのは残念ですね。
また、小学生から勝ちに拘り過ぎる試合が多い点についても同様に思います。
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現実はもっと… (東北)
2009-04-14 02:36:31
大会運営側から言うと…
託児所や食事施設…大会開催には施設料、パンフレット料、審判役員の弁当代金、雑費等まとまった金額が必要です。

1つの大会を開くのに何十万円もかかるため、地方の審判は日当なんかなく監督兼務の弁当のみボランティアでやってます。救護なんかも接骨院が無償で来てくれます。時計係などは中学生が試合と兼務してやる場合もあります。人数的余裕がなく、ましてや託児所など外注で呼ぶ金銭的余裕もないのが実態ですよ。

大規模な大会など寄附をお願いに頭を下げ歩く割には赤字になる場合もあります。

恵まれた東京の環境にはわからないでしょうが地方の現実です。
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夢と現実 (山口 香)
2009-04-14 08:16:34
 確かに大会を開くのは本当に大変だと思います。とくに柔道は参加費を徴収するということが定着していないので費用は開催者側が捻出しなければならない現状があります

 子供達の大会は、子供達へ夢を持ってもらいたいという趣旨で行われるのですが、大会に関わる人たちは現実と向き合って夢どころではない!というのは寂しいですよね。

 私自身もキッズ柔道というイベントを全国で行いながら、そういった現実と向き合っています

 都会と地方の差はあるかもしれませんが、必ずしも都会の方が恵まれているとも思いません。それぞれ一長一短あると思われます。

 私は選手達に「’しょうがない’’できない’では何も始まらない。何とかしようとトライする気持ちが前に進む」と言ってきました。自分も同じだと思っています。世の中、どうにもならないことばかりで嫌になることも多いですが、夢を持ってできることを工夫し、「しょうがない」と言い訳せずに頑張りたいと思います。

 このブログもそういった情報源の一つです。皆が意見を出し合って、情報を交換し、少しでも夢のある方向に向かっていければと願っています
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先生らしくない発言? (一生懸命)
2009-04-14 22:23:12
いつも大変ためになるブログだと思い楽しく拝見させてもらってます。
しかしながら、メタボ?肥満体という言葉は一生懸命指導されている指導者、親御さん、子供達には大変失礼だと思いコメントしました。
肥満体を「よし」と思っている人は一人もいないと思います。
現場を知らない上からの言葉にしか聞こえません。
確かに指導者は大きい子を柔道に誘っているかもしれませんが、反対に柔道をしていなければ、もっと大変なことになっている子もいると思います。柔道をして健全な体になる、よく食べて、よく体を動かすを指導者はしています!しかも、今では体が大きいだけで勝てませんよ。肥満体に見えますが上位に来る子は動きも良いし練習も沢山やっているはずです。
また、小学生時代に太っているからと食事制限までは、親も指導者も出来ません。小学生時代は、食べたいものは食べさせてやりたいそれでいいと思うのですが。
小学生時代の体がそのまま、大きくなるとは到底思えないので基本重視で良いんじゃないかと思います。体の大きさでで柔道をすれば伸びないことは指導者や親御さんも知っていると思います。(小学生時代しか興味の無い指導者は別ですが)

取り留めの無い文章となりましたが、日本柔道の底辺部分をもっと知って欲しいと思いましたのでコメントしました。

今後ともブログを楽しみにしていますのでよろしくお願いします。

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面白いと思います (kohai)
2009-04-14 23:04:29
山口先生、こんばんは。
とても面白く、魅力ある試合だと思いました。

参考になるかはわかりませんが、私がお世話になっている道場は1年に1回試合を主催しています。子供たちから1人300円を参加費として徴収しその300円全てを子供の参加賞としてノート、鉛筆のセット(しかもキャラクターつきやブランドのものだったり)で渡しています。しかも試合に出た子供たちに勝っても負けても参加賞の賞状を渡します。(1位から3位までの表彰ももちろんあります)審判は道場の参加チームの先生方がやってくださいます。試合規模としては4~5道場がする位小規模ですが、子供たちは試合が出来る喜び、緊張、または他の道場のお友達が出来る良いチャンスでもあったり、いい刺激になります。ひのまるきっずのように色んなことは出来ませんが、子供を喜ばせたい、という気持ちはどこにも負けないくらい先生方は工面してくださっています。有難いと思っています。(個人戦のみですが1回戦2回戦で負けた子供は決勝戦の前にもう一度負けた同士試合をさせてくれます。少数の大会だから出来ることかもしれませんが)

食べ物の話ですが、県大会の時にパン屋さんが60種類くらいの菓子パン惣菜パンを体育館の隅で販売しています。お昼頃になるとたくさんの人が並んで買って食べています。残念なことにこの体育館で年に4~5回試合があるのですが、ある大会の時にしか来ないことなんです。試合の度に販売してくれたらいいのにと思うことがあります。

また阪神甲子園では予約で有料託児所があるそうなので今後柔道の大会でも出てくるかもしれませんね。
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様々な意見 (東北)
2009-04-15 03:36:48
本来は何も気にしないで子供達だけのためを思って試合開催できれば一番いいのですが。やはり先にたつ物がないと…団体参加費の他、個人参加費の徴収も考える時期に来てます。

試合ではないですが柔道フェスタみたいなイベントを増やしていただければ子供達も喜ぶでしょう。東北は6県ですが各県で入場制限があるために柔道フェスタは6年に1度しか参加できません。
2年に1度くらい各県にてナショナル選手による柔道教室を開催して欲しいです。
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我が家の場合は… (夏蜜柑)
2009-04-18 08:39:39
日の丸キッズの大会案内をいただきましたが、行く事が出来ませんでした。

理由は娘が新1年生で入学したてのこの時期、ただでさえ疲れて帰ってくるのに、遠出は厳しかったからです。

また、我が家は年子2人で柔道をしていますが、柔道を見ているのは私1人になります。兄弟で参加された方はどうしていたのでしょう?

もうひとつ。私の息子はどちらかというと軽量(決してガリガリではありません)ですが、無差別の試合では潰されてしまう危険があるので(実際に練習で腰を痛めた為に)…大きな試合には参加出来ずにいます。
この頃の試合では人数が少ないからか、手間を省く為か、低学年は無差別の事が多いのが気になってます。
軽量の子が大きい子に勝つ為・投げる為に、掛け逃げして潰れるのを見かけますが、自分の子供達には正々堂々戦って欲しいので、「今は我慢のとき」と息子にも自分にも言い聞かせてます。

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