先日行われた柔道フォーラムで、「日本人選手が世界で勝つためには?」「世界で通用する選手を育成するためには?」といった議論の中で、多くの人から出た言葉は「2本(両手)持って投げる正しい柔道をさせること」ということだった![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
では「正しい柔道」とはどういう柔道なのだろうか?議論の内容に注意深く耳を傾けてみるといくつかの要素がありそうである。
①引手、釣り手を両方つかむこと(釣り手は帯や背中などではなく前襟もしくはやや奥襟)
②右もしくは左自然体で組み、極端に横を向いたりといった変形の形をとらない
③背中をまげたり、屈んだりしないで姿勢がよい
④一本をとれる技を持っていること
他にもあるだろうが、大まかに言うとこんなところだと思われる。
最近、「正しい柔道」という言葉を聞いて思うのは、柔道に「正しい」「正しくない」が存在するのかということだ。柔道には横文字のJUDOと柔道があるわけではなく、柔道は柔道だというのと同じで、ルールに則って競技している以上、正しい、正しくないという表現は適切ではないように思われる。また、日本人は外国人の柔道に対して「正しくない」という表現を使っているようにも思えるのでこれもいただけない![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/down.gif)
他の競技と比べて柔道が素晴らしいのは、これといった天賦の、生まれ持った才能や能力がなくても努力次第ではチャンピオンに慣れるところだ。フォーラムの基調講演において上村専務理事は子供時代の100m走の記録が20秒フラットだったと話され、その後、研究と努力でチャンピオンになったと話をされた。ここが柔道の幅広い可能性を示している。運動能力だけが勝敗を分けるのではない。瞬発力の乏しい人間は力をつけて押し倒して勝っても勝ちは勝ちである。つまり、自分の持っている特性を最大限に生かせば勝つチャンスのある競技なのである。体育の授業でボールゲームでは全くの運動音痴でも柔道では頑張れたりする![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_do.gif)
柔道はそういった意味では非常に許容範囲の広い、懐の深い競技だと言える。だからこそ、身体能力では負ける欧米人に対しても勝ってくることもできた。にもかかわらず、「これは正しい」「これは正しくない」という判別をするのはいかがなものなのだろう。盛り上がったWBCを見ていても、日本や韓国が強いのはバントや足を絡めての緻密な野球だったからではないかと思う
アメリカ人から見ればもしかしたら「バントなどは正しくない」と言われてしまうかもしれないが、私たちからすればセコいわけでもなく、素晴らしい技術と戦術だと評価できる![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/up.gif)
私が、日本人に目指してもらいたいのは、「正しい柔道」ではなく「美しい柔道」である。オリンピックで金メダルを獲得しても美しくない柔道の選手はいる
逆に負けはしても美しい柔道をしている選手もいる
アテネ・北京と2大会連続オール一本での金メダルを獲得した谷本の柔道は勝っても負けても「美しい」。井上康生は昨年、パリ国際で負けはしたものの観客は大きな拍手を送った。なぜなら彼の柔道に対する姿勢や柔道の取り方が美しいからだ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hakushu.gif)
石井選手はオリンピック前から彼の柔道の取り方が物議をかもした。一本を取る技がない、ポイント柔道ということが主な理由だったように思う。しかし、北京で彼は素晴らしい闘いをし、ほとんどの試合が一本勝ちだった。彼の柔道自体は北京前も北京も変わっていない。違ったことは、北京での彼の闘いはポイントを取ったあとでも逃げることなく向かっていったことだ
辛口解説の篠原君でさえ絶賛していた。つまり評価されるのは技以上に戦う姿勢だと思われる![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hand_goo.gif)
日本サッカーの父と言われ、メキシコ五輪で日本代表を銅メダルに導いたクラマー氏(ドイツ)の本にも、オシム氏の本にも「美しいサッカー」という言葉が出てくる。勝つことも大事だが、攻める気持ち、果敢にゴールに向かってトライする姿勢、それが「美しいサッカー」であり、見ている人が面白いと感じ、感動するのだと述べている![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_en.gif)
最近の日本人の試合を見ていて感じるのは「リスクを背負ってでも戦う勇気」のようなものが欠けているのでは?ということだ。北京での谷選手の戦いは象徴的だった。リスクを背負わず計算した試合をしてしまい、結果、敗れた
彼女の全盛期の試合は見ていて鳥肌が立つほどに素晴らしかった。幕張の世界選手権では決勝戦で中国選手を相手にポイントを取ってリードしていたにもかかわらず守らず、残り数秒で足にしがみつくようにして相手を倒し、終わりのブザーと同時に一本が宣告された。「この執念こそが世界一にふさわしい」と感激したことを覚えている![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_heart.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/good.gif)
WBCがあそこまで盛り上がったのは、韓国が頑張ってくれたからに他ならない。競り合いの中でみせる選手達の必死さが胸を打った。「やるかやられるか」の競り合いこそ勝負の醍醐味であり、いまの柔道が面白くないとしたら、この部分が欠けているからにちがいない。組み合わないというのは競り合いを避ける弱い気持ちの表れだ
競り合いを恐れず戦える心技体を持った選手こそが美しい
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では「正しい柔道」とはどういう柔道なのだろうか?議論の内容に注意深く耳を傾けてみるといくつかの要素がありそうである。
①引手、釣り手を両方つかむこと(釣り手は帯や背中などではなく前襟もしくはやや奥襟)
②右もしくは左自然体で組み、極端に横を向いたりといった変形の形をとらない
③背中をまげたり、屈んだりしないで姿勢がよい
④一本をとれる技を持っていること
他にもあるだろうが、大まかに言うとこんなところだと思われる。
最近、「正しい柔道」という言葉を聞いて思うのは、柔道に「正しい」「正しくない」が存在するのかということだ。柔道には横文字のJUDOと柔道があるわけではなく、柔道は柔道だというのと同じで、ルールに則って競技している以上、正しい、正しくないという表現は適切ではないように思われる。また、日本人は外国人の柔道に対して「正しくない」という表現を使っているようにも思えるのでこれもいただけない
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他の競技と比べて柔道が素晴らしいのは、これといった天賦の、生まれ持った才能や能力がなくても努力次第ではチャンピオンに慣れるところだ。フォーラムの基調講演において上村専務理事は子供時代の100m走の記録が20秒フラットだったと話され、その後、研究と努力でチャンピオンになったと話をされた。ここが柔道の幅広い可能性を示している。運動能力だけが勝敗を分けるのではない。瞬発力の乏しい人間は力をつけて押し倒して勝っても勝ちは勝ちである。つまり、自分の持っている特性を最大限に生かせば勝つチャンスのある競技なのである。体育の授業でボールゲームでは全くの運動音痴でも柔道では頑張れたりする
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柔道はそういった意味では非常に許容範囲の広い、懐の深い競技だと言える。だからこそ、身体能力では負ける欧米人に対しても勝ってくることもできた。にもかかわらず、「これは正しい」「これは正しくない」という判別をするのはいかがなものなのだろう。盛り上がったWBCを見ていても、日本や韓国が強いのはバントや足を絡めての緻密な野球だったからではないかと思う
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私が、日本人に目指してもらいたいのは、「正しい柔道」ではなく「美しい柔道」である。オリンピックで金メダルを獲得しても美しくない柔道の選手はいる
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石井選手はオリンピック前から彼の柔道の取り方が物議をかもした。一本を取る技がない、ポイント柔道ということが主な理由だったように思う。しかし、北京で彼は素晴らしい闘いをし、ほとんどの試合が一本勝ちだった。彼の柔道自体は北京前も北京も変わっていない。違ったことは、北京での彼の闘いはポイントを取ったあとでも逃げることなく向かっていったことだ
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日本サッカーの父と言われ、メキシコ五輪で日本代表を銅メダルに導いたクラマー氏(ドイツ)の本にも、オシム氏の本にも「美しいサッカー」という言葉が出てくる。勝つことも大事だが、攻める気持ち、果敢にゴールに向かってトライする姿勢、それが「美しいサッカー」であり、見ている人が面白いと感じ、感動するのだと述べている
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最近の日本人の試合を見ていて感じるのは「リスクを背負ってでも戦う勇気」のようなものが欠けているのでは?ということだ。北京での谷選手の戦いは象徴的だった。リスクを背負わず計算した試合をしてしまい、結果、敗れた
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WBCがあそこまで盛り上がったのは、韓国が頑張ってくれたからに他ならない。競り合いの中でみせる選手達の必死さが胸を打った。「やるかやられるか」の競り合いこそ勝負の醍醐味であり、いまの柔道が面白くないとしたら、この部分が欠けているからにちがいない。組み合わないというのは競り合いを避ける弱い気持ちの表れだ
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