山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

バンクーバー五輪

2010-03-04 00:09:18 | Weblog
 バンクーバー五輪が終わった。普段は見ることのないような競技も多くあり、興味深く見ることができた。日本選手もスケート種目を中心に活躍し、多くの感動があったしかし、お隣の韓国を含めて海外の強さも大きく浮き彫りにされた

 韓国は勝てる種目に強化を集中して徹底した強化を行っているようである。その例が、スケート種目では強いが、スキー系、いわゆる雪上種目は存在感がみられない。日本は、優先種目はあるが、韓国に比べると満遍なく強化している感が否めず効率が悪い。「オリンピックはメダルだけが目的ではない」という前提に立てば良いのかもしれないが、ここまで競技力が上がってくると浅く広くの強化でメダル獲得争いではなかなか勝負できないのが現実かもしれない。また、焦点を絞って強化されていることも影響しているのか、韓国選手の気迫、自信は日本人にはないものであった。「勝って当たり前」というオーラが感じられた。韓国のナショナルトレーニングセンターでは全種目的に合宿が常時行われており、トレーニングの厳しさは半端ではない。「科学的」とはいい難い根性論的なものも残っている。欧米人に負けない体力を養うために徹底してトレーニングを行う。日本の男子柔道において近年競技力が低下しているのも実は技術ではなく体力の低下である可能性もある。強靭な体力は強い精神力につながる。
 
 カナダは史上最高の14個の金メダルを獲得したそれぞれの種目で金メダル争いを演じた選手達は、見ていてもずば抜けた技術と体力、精神力を兼ね備えていたようにみえた。ジャンプのアマン選手(スイス)、スノーボード ハープパイプのホワイト選手(アメリカ)などは、他の選手とは異次元で闘っているように見えた五輪となるとつい日本中が「頑張れニッポン」になってしまうのは致し方ないが、上述したような選手達にもっとスポットを当てて見せて欲しかった気もする。オリンピックの価値は世界最高峰のパフォーマンスが見られることにある。日本人であっても外国人であっても素晴らしさに変わりはない。そういった技をみて子供達は「自分も」という夢を描く。メダルの裏にある苦労や人間関係をみせてもらうことは感動をより強くするが、そういった部分が多すぎて競技力という部分に焦点が当たらなかったのはスポーツ好きには少し残念だった。今回に限らず最近のスポーツ中継はドラマ仕立ての向きが強いが、とくにNHKぐらいはタレントを使わずに淡々と競技を中継してもらいたかった

 今日のテレビで、パシュートで銀メダルを獲得した3人がインタビューで橋本聖子団長からレース前に「死ぬ気で行け!死ぬつもりでいっても死ぬことはないんだから!」と言われたと笑いながら話していた。最近は試合前から「プレッシャーにならないように」とか「自分の力を出し切れば」というような甘い論調が多い中で橋本団長の「死ぬ気で行け」という言葉は「その通り」と思わず言いたかった国を代表し、数えきれない人々に支えられ、その選手に負けて出られなかった選手達の夢も背負って闘うのに「楽しんで・・」などと言っている場合ではない。(と私は思う)「死ぬ気で行け」という橋本会長の激に「オリンピックはそうあるべき!」と溜飲を下げたのは私だけだろうか

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2010-03-05 12:30:15
さすが橋本会長!

今回、女子スピードスケート陣が全てのクラスで入賞者を出し、銀メダルまで獲得した事は橋本会長の圧倒的な存在感抜きには語れないです。


選手時代オリンピックのスピードスケートの全てのクラスに出場したり(死ぬ程キツい事かと)、
第3子出産二日後にはもう大切なスピード連盟理事会に出席したりした会長の放つ言葉は、重みも説得力も違います。
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敢えて苦難の道を行く (信天(のぶたか))
2010-03-05 20:12:28
合理的訓練は必要ですが、遠回りであってこそえられるものも確かにあると思います。理屈抜きに馬鹿になって励むことも大切だと思います。死ぬ気になっても死んだ者はいない。橋本さんが如何に日々死ぬ気で頑張ったのか、解るような気がします。
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