山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

祝48kg級福見金メダル

2009-08-27 02:01:22 | Weblog
 派手なガッツポーズもなく、飛び跳ねることもない、とても静かな勝利の瞬間だった。世界選手権初出場、初めての世界チャンピオンとは思えないほどの冷静な態度で、見ている方には物足りなささえ覚えさせた。16歳で女王谷を敗ってからここまでの道のりがいかに長かったかを感じさせる。彼女にとっては世界選手権で優勝するプレッシャー以上のものを幾度となく超えてきたに違いない。

 事実上の決勝戦は、準決勝だった。相手は北京五輪金メダルのドミトル(ルーマニア)。相手は必要に右奥襟を狙い、福見の動きを封じようとする。福見は冷静に対処して足技をみせて相手を揺さぶる。冷静な試合運びが相手に攻撃のチャンスを与えず、二度の指導を奪う。その後相手が焦って攻めにきたところを返して一本勝。

 今日の試合は一回戦から決勝戦まで、落ち着いた自信に満ちた試合運びだった。早い組み手から足技での崩し、背負い投げ、寝技と攻めに躊躇する部分がなかった。

 女王谷亮子の大きな壁に何度となく跳ね返されてきた。しかし、そのことが福見をここまで強く大きくしたに違いない。これまでにも世界選手権に選ばれてしかるべき時もあった。それでも選ばれなかったのは、今日のような万全の闘いができる準備が足りなかったのかもしれない。そう思えば、これまでの試練も肯定できる。

 世界チャンピオンになったからといって安泰ではない。日本で代表になることの難しさは今後も続いていくだろう。しかし、少なくても‘世界での実績がない’と言われ続けたハードルは越えることができた。

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3 コメント

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福見選手、とても立派でした。 (Hiro)
2009-08-27 10:33:41
とても冷静かつ積極的な試合運びをされていましたね。
背中に自信がみなぎっているように見えました。
金メダルが決まっても、ちゃんと相手や周りに対して礼を尽くし畳から下りてこられたのはとても立派でした。
あれでこそ日本人のチャンピオンだと思います。
インタビューもとても落ち着いた受け答えをされていました。
人間的にもとても素晴らしい方だと思います。
これからますます活躍されることをお祈りしております。
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おめでとう! (一応柔道関係者)
2009-08-27 12:56:42
いつかは!と願ってましたが、とうとうやってくれましたね!

福見先輩(娘のです!)をはじめ、日本の柔道界も若い力の台頭が目立って来てる様に感じます。
ベテランの選手もそれに負けず頑張る事で更に力をつけて行かれる事と思います。

山口先生ら全日本の役員の方々も明るい材料の一つではないでしょうか!?

また、惜しくも2位だった平岡先輩(娘のです!)もまだまだ今後活躍されることと思っております!
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福見さん おめでとうございます (SAM)
2009-08-27 21:43:21
福見さん、優勝おめでとうございます。
山口先生にも、心よりお祝い申し上げます。愛弟子の優勝、本当に良かったですね。

以前の選考の時に、山口先生が言われた言葉が今でも耳に残っています。この勝利が公正な選考が行われるようになるきっかけになればと願っています。

実力がありながら、機会に恵まれず、また海外で弱いと言われるのを聞くにつけ、福見さんのファンとしてとても残念で悔しい思いをしてきました。苦しい思いをされた分、それを乗り越えた本当の強さを見た気がします。

マスコミは福見さん一辺倒の報道ですが、山岸さんも頑張っています。お二人のどちらが優勝してもおかしくない階級です。素晴しいライバルと共に、益々のご健闘をお祈りします。
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