山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

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総会続報

2009-08-26 13:54:03 | Weblog
 前回伝えた総会の速報の他にいくつかの決定事項がわかった。また、総会後に変更になったこともある。

 まず、10月に開催される世界ジュニア選手権大会は結局パリでの開催に昨日の理事会で決定したようである。アテネの準備不足ということだが、大会まで2ヶ月を切った状態での変更は非常に異例である。9月に開催される予定であったマカオでの無差別の大会もキャンセル、来年の東京での世界選手権もペンディングになった状況などを考えるとIJFが求める大会準備が非常にハードルの高いものであるのではないかという予測がつく。また、日本でさえもそのハードルを越えられないということになると世界の本当に限られた国でしか開催ができないということになる。

 総会における議決の委任状は一切認められないことに決まった。これは、フランスから提案されたもので、採決の結果、多数の賛成によって可決された。また、総会の成立も以前は加盟国の3分の2以上の参加であったものが、2分の1となった。さらに法令などの重要事項の変更は総会参加国の2分の1で決定できることとなった。現在約200カ国の国と地域が加盟しており、その半分の半分で重要議題が通るということは約33カ国の承認となる。これは何を意味するかと言えば、ヨーロッパの加盟国だけで約50カ国なので彼らの賛成だけで重要議題が決定できるということである。ヨーロッパ主導の流れを押さえることはますます難しい状況になった。

 ドイツから提案されたカデ、ジュニア世界選手権においては敗者復活戦を以前のように準決勝に進出した選手に負けた選手は権利があるようにしてほしいという提案は議論も行われず、ドイツが取り下げる結果となったようだ。今回の世界選手権からベスト8に進出しなければ敗者復活の権利を得られなくなった。昨晩、抽選があったが、100kg超級の棟田選手は2回戦でロシアのミハイリン選手と対戦、78kg級の中澤選手は1回戦でフランスのルブラン選手と対戦が決まった。どちらが負けるにしても優勝の可能性があるであろう選手が早い段階で姿を消す。IJF側は「全日本選手権と同じで優勝者を決める大会なのだから敗者復活戦はベスト8以上で充分」という論理を展開している。しかし、観客など見る側の心理はどうだろうか?強い選手であれば、敗者復活戦であってもそのパフォーマンスは1試合でも多く見たいと思うだろう。ゴルフの石川遼選手が優勝には絡まなくても予選を通過したかどうかで視聴者の興味は大きく変わりテレビの視聴率にも影響する。こういったこともマーケティングの観点からIJFは検討するべきではないだろうか。

 審判理事のバルコス氏の提案で「帯から下の部分を手で技をしかける技にはペナルティ-を与える。一度目は指導、二度目は反則負けとなる」こと、「審判は主審のみ(一人)で行う」との提案がなされ、10月の世界選手権で試験的に導入され、11月の理事会で決定されることとなった。最近の試合で選手達の姿勢が前屈みの状態が増え、足をとる朽木倒や双手刈、肩車を多用する選手が増え、レスリングに近い状況が懸念された結果だと思われる。しかしながら、いくつかの懸念がある。まず、いつもそうだが、世界ジュニア選手権という選手にとっては生涯において何度もないチャンスである選手権大会を試験的な大会としていいのかということである。また、二ヶ月を切った段階での決定は、それぞれの国や選手に周知するには時間が短すぎる。また、双手刈を得意技をしていた選手はいきなり武器をもぎ取られて闘えと言われたようなものである。確かに最近の傾向は目に余るものがあるが、朽木倒や双手刈、肩車なども講道館柔道の立派な技である。こういった技をルールによって排除することは技術の多様性を排除することにはならないか。こういった状況が好ましくないのであれば、かけたから反則にするのではなく投げてもポイントを有効までに押さえるなどといった方法も考えられる。

 審判を一人にするという案も時期尚早な気がする。高いレベルの審判の数を確保することが難しいなどの状況はあるだろうが、世界選手権やオリンピックなどの決勝戦の主審であっても副審に何度となく訂正を促される状況がある。優秀な審判であってもその人間の主観であることは間違いない。副審に訂正されるのであれば良いが、一人となって場外にいるテレビの再生を見ているジュリーに訂正されるとなると審判の権限は低くなる。また、ゴールデンスコアの時間が短くなったことで判定に持ち込まれるケースも多くなっているが、この場合も主審は一人で判定を下すことになる。審判のプレッシャーは相当なものとなる。

 現在のIJFの体制は多くのことが理事会、つまり何人かの考えで即座に決定され、実行されていく。確かにスピード感があって改革は進む。しかしながら、動き出してしまえば止めることや軌道修正をすることは困難である。多くの問題が柔道という競技の本質を変えてしまう危険もあるにもかかわらず、比較的簡単に動き出しているようにみえる。こういった状況に対して柔道創始国日本はどのような立場で臨むのかが問われている。
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2 コメント

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はじめまして (たかこ)
2009-08-26 23:19:46
初めまして(^-^)v
応援してま~す。

頑張ってくださぁい(^o^)/♪
福見さん勝ちましたね。 (元柔道家)
2009-08-27 01:31:43
たった1回のチャンスをモノに出来る彼女は相当な実力があるとみるべきでしょう。

敗者復活戦の件はこれでいいと思います。基本的に勝者を決めるための大会であり、敗者にチャンスを与えるための大会では無いと考えます。


その証拠に福見さんは一回きりのチャンスを掴みました。

審判が1人というのは怖いですよね。1人の審判が見える角度は案外狭いですから。

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