大島の空の下で

伊豆大島在住の中年のおっさんのブログです.日々の出来事を綴っていきます.一部は mixiとマルチポスティングしています.

「ひとり日和」

2007-02-12 01:15:05 | Weblog


ほぼ毎回酷評といってよい選評しか書かない石原慎太郎氏までが押す今期の芥川賞受賞作です.青山七重という作家名を見て,一瞬だけど「週刊アスキー」に連載しているミセス漫画家と勘違いしてしまいました.まぁ,アノ雑誌に関してはその程度の認識なんです.

10日の新聞に見開きで掲載された広告にのった彼女の全身写真を見て小説を読む前に気に入ってしまいました.決して美人とは言えないけれど,とにかく雰囲気の良い立ち姿です.お嫁に行く前ワタシの一番のお気に入りだった総務課のマユミさんにどことなく似ているのがなお良い(^^♪

内容ですが,二十歳の女性の一年間.京王線沿線と思われる遠縁のおばあさん宅での下宿生活を中心に出来事や心の移ろいを抑えた文体で綴った作品です.主人公が若い女性ゆえ当然のごとく恋愛や性も出て来ますが虚無感ただよう残り火のような事件として描かれています.物語り全体を通しても一般的に一番輝いて見える世代の話のはずなのに,なにやら脱力感のある不思議な心地よさが感じられます. 今時の女性の生活感はこれほどさめたものだと言うような普遍化した解釈は無用ですが,現代の空気を確実にすくい取れている小説です.一読お勧めです.