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Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「ヒタメン 三島由紀夫若き日の恋」

2018-09-19 12:22:16 | Book
岩下尚史著「ヒタメン 三島由紀夫若き日の恋」を読了。
先日読んだ猪瀬直樹著の「ペルソナ 三島由紀夫伝」を読んで、その流れでこの本を手に取りました。
著者の岩下尚史氏はラジオ番組での語りが独特で面白く、なんか変な人だけど興味がありました。花柳界に詳しく、その辺りの話も知らないことばかりでとても面白かったです。
この本では、「ペルソナ 三島由紀夫伝」のなかでX嬢として登場する、三島由紀夫が三年ほど毎日のように会っていた恋人の女性(豊田貞子)へのインタビューと、姉のように慕っていて親交が深かった湯浅あつ子へのインタビューがメインとなって構成されています。インタビュー時にはもうお二人ともご高齢でしたので、事実を伝える機会はこれが最後という雰囲気で受け答えされています。この時期に著者がこのインタビューをしたことはとても貴重だと思います。
当時の東京のナイトライフの様子、社交界の様子などもわかります。
上記二冊を続けて読んで本当に良かったと思いました。

本「ペルソナ 三島由紀夫伝」

2018-09-03 14:47:10 | Book
猪瀬直樹著「ペルソナ 三島由紀夫伝」を読了。
猪瀬直樹の著書は発売された当時から読みたかったものが多かったのですが、ハードカバーはかなり高くて、なかなか読む機会がありませんでした。
それから月日が流れ、最近は簡単に文庫で読めるので、たまに色々と読んでいますが、内容があり、とても興味深いです。
今回は、三島由紀夫についての本ですが、ただ彼の人生をたどるのではなくて、明治から昭和への歴史の流れ、政治と官僚、産業界の流れとともに語られています。体系的によく理解していない部分だったので、流れがわかり、勉強になりました。
また、三島由紀夫の本もいくつか読んだことはありますが、独特の優雅な文体が印象に残っているだけで、わたしは三島由紀夫を同時代的には知らないので、割腹自殺のイメージが強くあり、あまり深入りしていてはいけないというタブー的なヴェールに包まれていて、しっかりと読んだり、考えたりすることはありませんでした。
三島由紀夫の父、祖父が官僚であったこと、祖母の特殊な影響下にある幼年、少年時代を送ったこと、著作と彼がどんな人間でどう歩んでいったかなど、細かに書かれていました。彼がすごく意志の人なんだなということは心に残りました。
また、三島由紀夫の関連書や猪瀬直樹の著書を折りを見て読んでみるつもりです。



本「昭和16年夏の敗戦」

2015-05-22 07:46:23 | Book
猪瀬直樹著「昭和16年夏の敗戦」を読了。
戦前に作られた総力戦研究所では、各所から召集された若手エリートが、入手できるあらゆるデータを使ってさまざまな演習を行いました。その一つが、模擬内閣で、それぞれのメンバーが総理大臣、内務大臣、外務大臣、大蔵大臣などになり、想定された状況でどういう政策をとっていくかを考え、そうしたときの次の状況ではまたどうなるかということを繰り返し考えていくシミュレーションが行われました。
その結果でた結論が、日本は負けるということでした。
総理官邸の裏にあったこの研究所、この結論は東條総理の前でプレゼンもされたのですが、なしのつぶてで、日本は戦争へと突き進んでいきます。
本では、この総力戦研究所のこと、どのように開戦へと進んでしまったのか、東條総理のこと、研究所第一期メンバーの成り行きについて、書かれています。
ところどころ、難しい文書などがでてきて読みにくいところもありましたが、かなり興味深く読みました。
体調は良好です。


本「ミカドの肖像」

2013-05-02 15:11:20 | Book
猪瀬直樹著「ミカドの肖像」を読了。
800ページを超える、読み応えのあるノンフィクション。1986年に書かれたものですが、まったく色あせない内容で、とても興味深く読むことができました。
ベルギーのバンドMikadoへのインタビューからはじまり、海外で人気のゲームMikadoの話が混ざり、海外で長年人気のオペレッタ「The Mikado」についての話が絡みます。どうして、これらにミカドという名がついたのかを調べるために著者は海外取材も行って、探っていきます。
Mikadoといえば、こちらではポッキーと類似のお菓子の名前がMikadoです。これは、ゲームのMikadoが細い串状のものを使うゲームなので、その棒とよく似ていることからつけた名前なのでしょう。
この本には、なぜ明治天皇の肖像写真が欧米顔をしているかについての考察もあり、その原因に大きくかかわっているのが、当時紙幣に肖像を入れるのに銅版画の技術が必要で、そのために招聘した外国人技術者エドアルド・キヨッソーネでした。彼は、多数の日本美術工芸品を収集し、死後、その美術品は故郷イタリアに送られて、現在美術館になっています。
ここで、以前、ロッテルダムのWereldmuseumに「SAMURAI」展を見に行ったときに、出展されている多くの鎧やかぶとがイタリアの聞いたことがない美術館からのもので、不思議に思ったことを思い出しました。ああ、あの展示物はこのエドアルド・キヨッソーネの収集物からなるイタリアのジェノバにある美術館(エドアルド・キヨッソーネ東洋美術館)から来ていたのだなと、納得することができました。この本を読むまでは、この人物のことをまったく知らなかったので、読んで、知識がつながって、うれしく感じました。
また、プリンスホテルが旧皇族の跡地に建っており、西武の堤一族がどのようにして土地を買い、今の繁栄を築いたかについても書かれており、いろいろと多岐にわたるテーマが絡み合った一冊ですが、一応、天皇、皇族、ミカドという点で収斂され、とても面白かったです。
同著者の別の本も読んでみようと思っています。日本の明治以降の歴史には、自分が知らないことが多すぎるなあと感じています。
体調は良好です。


本「天皇の影法師」

2012-12-10 13:54:20 | Book
猪瀬直樹著「天皇の影法師」を読了。
自分の知らないことがいろいろ書かれていて面白かったです。
大正天皇が崩御されたときのことが詳しく書かれていて、次の年号が昭和になったいきさつがミステリーのように解き明かされて書かれています。また、「光文」という年号になるという誤報が新聞に載ったことについても深く調べてあり、どうしてそういう誤報がでてしまったのかが推察されています。
私は大正天皇についてほとんど知識がなかったので、病気がちであったとか、昭和天皇が早い時期に摂政となっていたとか、初めて知りました。
また、葬礼の際に、棺をかつぐ役目を担う人々が京都県の山間の集落の村から選出されていて、その村の人たちを八瀬童子と呼ぶということなどもまったく知りませんでした。
森鴎外についての文章もあり、彼の最晩年の話が調べて書かれています。私は、子供の頃から森鴎外より夏目漱石が好きでした。読みやすいし、子供には話しが面白かったのでしょうね。でも、歴史的な人物として見ていくと、森鴎外はとても重要な役割をしているのだなと思うようになりました。彼の墓石には彼の意思により、「森林太郎の墓」とのみあるそうです。彼にとって明治という国家が与えたいくつもの役職や褒章は意味をもたないものだったようです。それはなぜなのか、また元号について彼がどう考えどうかかわったのかもわかります。
マクルーハンが書いていたかと思いますが、本を読むときに新しい知識が含まれる割合は30%くらいまでがよいそうです。それを超えると、何が書いてあるのか頭脳がスムーズに処理できないとか。猪瀬氏の本は、ちょっと私には新しいことが多すぎて、読むのに頭が疲れます。だからすぐにではないですが、たまに彼の他の本にも手を出していこうと思います。
それにしても、東京都知事になるのかなー。結果が楽しみです。
体調は良好。外はかなり寒いので、家でゆっくりしています。





本「東条英機 処刑の日」

2012-05-17 07:51:22 | Book
猪瀬直樹著「東条英機 処刑の日」読了。
この日は、単行本のときには「ジミーの誕生日」というタイトルで、文庫本になった際に現在のものに変更されました。副題は、「アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」」とあります。
「ジミーの誕生日が心配です」という言葉を最後に綴られなくなった古い祖母の日記帳を見つけた女性が、この言葉の謎を解くことを著者に依頼したことから、本は始まります。
ジミーの誕生日が何なのかという謎はすぐにわかりますが、どうして、それがその日記帳に書かれていて、その言葉を最後に日記が書かれなくなったのか、という謎について解明されるのは、かなり後半までかかります。
第二次世界大戦がどう始まり、どのように終わって、戦後の裁判がどういうふうに行われたのかという、歴史の教科書ではわからない部分が、この本を読んで、かなりクリアーになりました。また、天皇の立ち位置がどうだったのか、マッカーサーはなぜ天皇を処刑せずに温存したのかが、よく理解できました。
史実的な記述も多く、読みづらくなりそうなところを、著者と女性が交わす現代での会話などがテンポを作り、読みやすくなっています。
この著者の本は興味はあったのですが、実際に読むのは初めてでした。また、別の本にも手を出してみようと思います。
体調は良好です。