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Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「The Noise of Time」

2016-04-20 14:59:43 | Book
Julian Barnes著「The Noise of Time」を読了。
ショスタコーヴィチが主人公の小説ということで、興味を持ちました。
スターリン時代を生き抜いたロシアの大作曲家ショスタコーヴィチ。彼の人生がどんなものだったのかがこの本を読むと、なんとなく理解できたような気がします。
彼が若い頃に書いたオペラ「Lady Macbeth of the Mtsensk District(ムツェンスク郡のマクベス夫人)」は国外で高評価を受けましたが、スターリンがボリショイ劇場でこれを観劇した際にうまく行かず、プラウダ紙で酷評され、このオペラは禁止になり、その後スターリンが死ぬまで、彼はオペラを書くことができませんでした。
同業者が殺されたり、強制収容所に送られたりするなか、いつ自分にその手が及ぶのかとどきどきしながら、彼は作曲を続けていきます。
作中には、プロコイエフやラフマニノフ、ナボコフなどについての話も出てきます。
おそらくショスタコーヴィチが最終的に望んだことは、自分の音楽が、ソビエトという国、共産主義などと絡めて語られずに、純粋に音楽として聞かれることではないかと思います。
ソビエトは楽観を強いり、ロシアは悲観を強いる。だから、この二つは相いれない。などなど、魅力的な文がところどころにあり、自分の力を超えたところで翻弄される人生について考えさせられました。
また、プロコイエフとスターリンが同じ日に亡くなったことなど、知らない歴史上の事実も面白かったです。
ショスタコーヴィチに興味がある人にはおすすめの一冊です。
体調は良好です。