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これからの組織開発を考える〜中村和彦先生『入門 組織開発』より

2020-06-04 11:08:36 | 組織開発・社風改革
先日、ある社長さんから連絡がありました。
何か手続きの話か?それとも検討途中になっていた就業規則の件か?等々思って電話に出ると、「新型コロナ対応でのリモートワーク期間を経て、これまでと変わらず仕事できている人と、成果に難ありが顕在化した人と、差が顕著になり、これから組織をどう良くしていったらいいのか考えてるんですよね」という相談でした。
社長と数名の社員からスタートしたこの会社は、今では30名を越える規模まで大きくなり、堅実な経営を続けてきました。しかし、新型コロナで少なからず業績も影響を受け、社長自身がこれからの自社の組織のあり方を考えるようになったのだと言います。
そのような中で、改めて職場を見渡してみると、この変化の中でも変わらず頑張っているパートさん、これまで頑張っているように見えていただけの営業マン、変化に押されて頑張れなくなった現場のメンバーなど、デジタルを取り入れたリモートワークによってさまざまな仕事ぶりや業務プロセスが一気にあぶり出され、これからどうしたものか…と考えてしまっている、とのことでした。



日本の組織開発研究の第一人者である中村和彦先生は、「日本企業にはかつて(1970年~80年代)”同質性”の強さのもと、チームで働くことを得意とし、人と人との関係性への配慮も存在していたが、その後の仕事の個業化・高度化の流れでその風土が薄れてきた」と指摘しています。
この点は、”組織におけるコミュニティシップの希薄化”を指摘するヘンリー・ミンツバーグ教授が、かつての日本企業にコミュニティシップ経営のあり方を学び、それを取り入れたアメリカ企業が飛躍的な成長を遂げた、というエピソードとも重なり、私も非常に共感するところです。
だからこそ、組織の多様化・プロセスの複雑化が進む現代において、”関係性の質の変化が結果の質の変化をもたらす”という考えのもと、組織開発の取り組みを実践していこう、というわけですが、この新型コロナの影響で多くの人たちが働きかた・暮らしかたの変化に直面した今、ますます、どんな組織を目指したいのかを描く重要性が高まっていると感じます。

この点について、中村先生は”提供価値(デリバラブル)”の視点から、「どのような職場や組織をつくりたいのか?」「どのような関係性が育まれている職場や組織をつくりたいか?」「そのために自分自身は何をもたらしたいか?」を考えていくことが重要、とおっしゃいます。
しかも、誰か一人が一生懸命考えるのではなく、当事者である皆が。つまり、社長や幹部だけではなく、職場のメンバー一人ひとりが当事者なのであれば考え対話するところから、具体的な行動を実践していきましょう、ということです。

先述の会社は、社長自身がこのデリバラブルの視点を持ち始めた、と言えます。
その変化の兆しを、いかに職場全体での思考へと展開できるか。そして、例えばクラウドツールを駆使した業務プロセスの見える化や、1on1ミーティングのオンライン実施など、デジタルトランスフォーメーション(DX)を踏まえた行動を実践し、皆で”試行錯誤”できるかどうか。
その組織の変容を推し進める中で、きっと、「先代から引き継いだこの会社の存在意義って何だろう?」「世の中も大きく変化していく中で、うちの会社はどうあるべきか?」といった”あり方(Being)”への問いかけも数々生まれてくることと思います。
事務のパートさんや技術系の社員、長年働く現場スタッフなど、既に組織の多様化が進んでいるこの会社。ぜひ大いに対話を重ねながら、社会の変化にもしなやかに対応する持続的な経営を実践していっていただきたいと思います。

今度、この書籍を題材にオンライン読書会を行ないます。士業の皆さんのみのご参加となりますが、更に学びを深めていきたいと思います。
https://odsr0618.peatix.com/



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