いつもお世話になっている大川印刷さんの「SDGsやめるってよ!」のイベントに参加させていただきました。
いまや、大川印刷さんと言えば、中小企業のSDGsの筆頭にあがる会社。その大川印刷さんが「SDGsは大衆のアヘン」と喝破する最近話題の書籍『人新世の「資本論」』の著者の斎藤幸平さんをお招きしてのイベントというから楽しみだ。
私が今回のイベントに参加して思ったことは、斎藤さんに指摘されるような大衆のアヘンと称される会社と、大川印刷さんのSDGsの取り組みの違いは、その試みがコミュニティから生まれた活動であるかどうかだ。
それがコミュニティかどうかの見極めはストーリー性だと私は思っている。今回の大川印刷さんの一つの例として普段会社までバスや車での通勤を、イベントとして1日徒歩デーにし、Co2排出量の低減に貢献すると試みの話は、それ自体は試みとしてはわかりやすいイベントだ。しかし、そこに社員参加型のフォトコンテストにし通勤途中の様々な気付きを写真に収めると言う。弊社も日光街道を143キロただひたすら歩くイベントをやっているがこの場にどのようなストーリー性をもたせるのかが一番の重要な視点なのだ。それはコミュニティとしての場から生まれてくるのだ。
そして、もう一つの事例として働き方改革の取り組みの社員さんからの発表があった。これも見事な事例。残業が多い社員さんへ原因を求めるのでなく、システム全体の縁起として生じている現象として捉えて行くことにより、会社全体の取り組みとしていく。残業時間が多い本人だけの問題でなく誰もがその現象を引き起こしている当事者として課題解決に対して皆が主人公のドラマとして取り組んで行く。
結果、残業が多いとされていた問題の社員以外の仲間の社員が機械を操作する免許を取得したり、社員の多能工化が社内全体の取り組みとして動き出し、そのドラマは社内のみならず関係各社まで展開され働き方改革がバリューチェーン全体の動きとして展開していくのだ。
パネルディスカッションでは、こちらもまたまたお世話になっているワーカーズコープ連合会の古村理事をお呼びしてのディスカッション。
ワーカーズコープは、地域から生まれる仕事を資本と経営、そして労働が一体となった働き方を世の中に展開し40年の歴史をもつ。
古村理事長のいう、雇われない働き方。
そもそも日本の就業者は1920年では7割が自営業者、3割が会社員だった。
それが、逆転したのは1959年。
今のような社会長い働き方の歴史の中ではたかだか70年ほどでしかない。
では今までの歴史を無視して自営業かというとそうでもない、雇う、雇われるの関係は社会が発展して行く中でそれなりに意味があるのだ。
ではどうなるのか古村理事長は、そのあいだの働き方を世に投げかける。「くらしごと」の仕事観だ。
まさに、斎藤さんのコモンズへの展開がそこにはある。
お金儲けの手段としてのSDGsでなく、SDGsこそが目的であり
それは地域社会や職場がコモンになることを目的とする。
ストーリーは居場所から生まれる。
つまり大川印刷さんの今日のイベントの仕掛けは見事。大川印刷さんがやってること、やろうとしていることは斎藤さんの著書そのものなのだ。
誰もが主人公の職場、そして地域社会。
大川印刷さんの試みを拝見し、若い司会者の宮崎さん、そして学生インターンの中田さんの両名の素晴らしい進行を拝見した。そして最後に市民議会の試みを披露してくれたが、まさに私も同感である。
来年1月には、労働CSRをテーマに台東区で産学官民金でのフォーラムを開催していこうと社労士会の台東支部として展開する予定である。なかなか同業にも理解されないで苦労しているが、大川印刷さんの若い二人に勇気をいただいた。
改めてこれから展開されていく最適化社会への流れをしかと感じる良いイベントでした。
(東京都社会保険労務士政治連盟 台東支部会長 年始挨拶)参加型社会の実現へ!コロナ禍、私たち社労士は、地域社会にどんな存在を示せるのだろうか!▼