
長明発心集 第三 親輔養兒往生の事
親輔養兒往生事 中比壹岐前司親輔と云人取子をしてをさなくより はぐゝみ養けり。此兒三と云ける年、ずゞを持てあそびと して更にこと物にふけらず。父母こ...

長明発心集 第三 証空律師希望深き事
證空律師希望深事 藥師寺に證空律師と云僧ありあけり。よはゐたけて後 辭して久く成にけるを、彼寺の別當の闕に望申さんと 思はいかゞあるべきと云。弟子たるに同じさまに...

長明発心集 第三 樵夫独覚の事
樵夫獨覺事 近比近江國に池田と云所にいやしき男ありけり。をのが 身は年たけて若き子をなんもちたりける。ふたり相具し てなすべき事ありき。奥山へ入たりけるに良久やすみ居た り。此は...

長明発心集 第三 蓮花城入水の事
蓮花城入水事 近比蓮花城と云て人に知れたる聖ありき。卜蓮法師 あひ知て事にふれ情をかけつゝ過ける程に年比ありて、此 聖の云ける樣は、今は年にそへ...

長明発心集 第三 書写山客僧断食往生の事 此の如き行を謗るべからざる事
書冩山客僧斷食往生事 不可謗如此行事 播磨書冩山に外よりうかれ來たる持經僧ありけり。所の 人のなさけにてなむ年比過ける。取わき長者なる僧を 相憑たりけるに此侍者云ける樣、我ふかく...

長明発心集 第三 或る女房天王寺に参り海に入る事
或女房參天王寺入海事 鳥羽院の御時ある宮腹に母と、むすめと同じ宮づかへする 女房ありけり。年比へて後此女母にさき立て、はかなく 成にけり。歎...

長明発心集 第三 或る禪師補陀落山に詣ずる事
或禪師詣補陀落山事 賀東上人事 近く讃岐の三位と云人いまそかりけり。彼めのとの男に て年...

長明発心集 第三 讃洲源大夫俄に発心往生の事
讃洲源大夫俄發心往生事 讃岐國に何れの郡とか源大夫といふ者ありけり。左樣の 者のならひと云ながら佛法の名をだにしらず。いき物を ころし人をほろぼすより外の事なければ...

長明発心集 第三 伊予入道往生の事
伊豫入道往生事 伊豫守源頼吉は若くより罪をのみ作りて聊か慚愧の 心なかりけり。況や御門の仰と云ながら、みちの國にむかひ て十二年の間謀反の輩をほろぼし諸の眷属境界を ...

長明発心集 第三 伊予僧都の大童子頭の光現はるる事
伊豫僧都大童子頭光現事 奈良の都に伊豫僧都と云人ありけり。白河院の末にや...