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「ももへの手紙」感想

2014年05月11日 07時09分13秒 | アニメ
これ劇場公開されたのって去年だっけ?おととし?
いずれにしてもその時のテレビCMから受けた印象は
「お、プロダクションIGがこんなファミリー向けのアニメを?」
「うわ、また中途半端なキャラデザだな」
「大丈夫かコレ。ちゃんと稼げるアニメなのか?」
とかいったもので、当の自分はといえばさしたる興味もない作品だった。

アニマックスで放映されたものをカミさんが録画していて
ハードディスク容量確保のために編集作業をしている中でこの作品に行き当たったのだ。
録画時に既にひとりで視聴していたカミさんの表現によると
夫の自分には「ドロくさい絵柄なのでキライかも。話もまあ地味だし…」
とかいった感想で、あまり積極的に薦めて来ない。
絵柄はIGの劇場作品でおなじみのリアル系で「人狼」あたりのテイストだと認識していたし
”ドロくさい”という表現がナニをさしているのかよく分からなかったが
まあ、とりあえず観てみるかと観はじめたのだった。

結論から言えば非常にクオリティの高い、大人向けファンタジーアニメとして
「傑作!」というのが自分とカミさんの評価だ。
ここで手放しで”広くオススメ出来る~”的な形容詞をつけられないところが確かにあるかも。
それがカミさんの自分への推しの弱さに表れていたように思う。
ちょっとアニメに詳しい(つか、量を観ている)ヒトならば、
おそらく自然にジブリ作品の、ズバリ「トトロ」あたりと比較してしまうだろう。
そう、もはや郷愁系スタンダードとして定着した怪物アニメとである。
こうなってくるとさすがに分が悪い。
あっちは”かわいい”キャラデザなのに対し「もも」は劇画の範疇の絵柄だからだ。
劇画といっても写実系なので、ゴルゴ13とかのスタイルとは全く違うのだが。

最初、観はじめは確かに地味で
瀬戸内海の島の端正な描写や、乗り物、町の風景などに実写映画的な雰囲気を感じるだろう。
そこに持ってきて内向的な主人公の無表情さ。もちろん異郷の地に住まわざるを得なくなった
不満と心細さの演出なのだが、そこが”掴み”に優れたジブリ作品との決定的な差がある。
ジブリ作品は”共感”というのはあまり求めて来ないように思う。
この作品の主人公に惚れなさいと言わんばかりの自信(?)を持った展開が多いのに対し、
「もも」では、主人公の「あるよねー。いるよねー。自分もああだったかも」という
共感を求めてくるスタイルなのだ。そこが同じ成長物語として肌触りの違いだ。
そして「もも」のイントロで思うのだ。「これって実写で作ればよかったんじゃね?」

ところが”妖怪”が出てくるところから、主人公のももちゃんの印象が変わってくる。
実に表情豊かに驚いたり、怖がったり、怒ったりしてくるのだ。そう!アニメ的に。
ここまでくれば決してジブリ作品に引けはとらない。
そして物語の最後にはももちゃんもおかあさんもサイコーの笑顔をみせるという建付けになっているので
序盤で判断してもらいたくない映画なのだ。
リアル系ファンタジーなのだから、むしろこの展開で正解なのだ。

そうそう、おかあさんの寝姿やスクール水着のももちゃんに
仄かな女性の色っぽさを感じてしまったのには、我ながらオドロキだ。
特にももちゃんのスク水のシーン(劇中、数回ある)はいずれも見所の一つとなっている。
これはいわゆる最近のアニメアニメしたキャラデザでは決して出せない
本格的なロリ感漂う最強のシーンとなっている(強調し過ぎ)…と、思う、のだが。

とにかくひとりでも多くの人に観てもらいたい作品だ。
ジブリ作品の”口当たりの良さ”は確かにない。
でもこの作品がたとえば「トトロ」のように夏休みの定番アニメになるという可能性が
あってもよいと思うし、そうなるように願っている。
スタッフも頑張ったよなー。
もっと光を!アニマックスじゃなくて民放を狙うのだあ!





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