フィリピンの顔

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まさか~!! 虐殺事件の背景を考える。

2009年12月08日 | 気をつけて!!
最近はタクシーに乗ってはラジオで、家に帰ればテレビで、
始終「まさか~」「マサカー」と叫ぶようにこの言葉を耳にします。

【まさか~】って本当に「まさか?」って感じで聞き取れますが、

意味は、【Massacre】で「皆殺し」「虐殺」です。

先日、ここフィリピンはミンダナオ島のマギンダナオ地区で起こった大惨劇の事件のことで、フィリピンは大騒ぎをしています。

ついには先ほど、5日の朝、大統領府からエルミタ官房長官が
マーシャル・ロウ(Matial Law)を発表しました。

そうです、反乱の機器を感じた アロヨ大統領による

戒厳令が布かれました。


事件は11月23日に起こったマギンダナオ(Maguindanao)で、州知事立候補のマングダダト(Mangudadatu)氏の立候補届けを氏の妻が報道関係者や弁護士や親戚等を含め60人程同行させて提出をしに行ってる途中で、100人空の覆面をした暴漢に襲われ、全員【マサカー】虐殺されました。

およそ私の前記事に書いていますが、女性たちは殆ど強姦され、銃で撃たれたり切られたりして殺されていました。

氏の妻は、強姦された挙句、携帯電話で夫に『みんな殺される!』と、一部始終の内容を話した後に局部と顔を銃で撃たれ乳房を切られて殺されました。

すぐさま駆けつけた氏のサイドのヘリコプターまでアーマーライトで銃撃され近寄れなかったようです。

怖くなって抜け出した暴漢グループの一人が白状した内容は、事件の3日も前から一行のバスやジープが何台も埋められるような大きな穴を掘って待ち伏せをしていたと言う事です。



事件が起こって2週間になりますが、フィリピンは今だこの事件を大きく報道しています。

私も凄いショックを受けました。

こんな時に駄洒落を言っては不謹慎ですが、まさに「まさか~?」です。

普通の皆殺しじゃないんですよ、この虐殺は...

「猟奇虐殺事件」です。まさに...  怖いです...

少人数の強盗団やシンジケートは違って、

なぜ100人もの人間が99%揃って、虐殺行為が出来る?

極道さんたちが、「コンクリート詰めだ!!」「山に連れて行って穴に埋めるぞ!!」
って言っても、一人をコンクリート漬けにしても5人位でやれることでしょう。

60人からの人間に、100人がかりで虐殺が出来るほど悪い人間が纏まりますか、普通?

その事をずっと考えていました。



【戒厳令】とは、国の軍隊の指揮下に入ることで、個人的な自由や権利が主張できない状態になります。

夜出歩いたり集会などをやると、憲兵さんに連行される。ですね...


なぜこんな事態になったのでしょう?



私の気が静まらないので、少し背景を考えて見ましょう。

あくまでも私の考えであり、内容はニュースに出ていない事もあります。
まして宗教のことは、参考にもなりませんし、どちらかと言うと誤解を招いて私が危険な目に合うことが有るかも知れませんので、この事はあなたに対してだけ、独り言やたわごとを言っているのだと思って、決して他言しないで下さいね。



〇まずは人物から。

1.州知事に立候補しようとしたマングダダトゥは、虐殺された側の人。

2.現在の州知事はアンパトゥアン(父)。

3.その息子で虐殺の疑惑がもたれているのがアンパトゥアン(息子)町長。

3番目のアンパトゥアン(息子)は、1番のマングダダトゥと同じく州知事立候補。

それで、事件の首謀者だとされています。事件現場に居たようです。



〇次に近況。

アンパトゥアン町長(息子)は、現在マニラの【NBI】に拘置されています。

【NBI】とは、国家捜査局で、警察と違ってFBIのような機関です。

アンパトゥアン(父)は、先ほど拘束されました。

マニラに来るためにダバオから飛行機に乗る予定でダバオまで行きましたが、体調が悪いという理由で、5日にダバオ・ドクトーという病院に入りました。

5日朝、マギンダナオ州に戒厳令が布かれた後です。


〇地域。 マギンダナオ州

マギンダナオ州は、フィリピンを3つに分けるミンダナオ島の中に在り、ルソン島のここマニラから飛行機で1時間半くらい南西の方に在ります。

1時間半という飛行場はダバオ市かジェネラル・サントス市ですが、そのどちらからも3時間ほど車で行った所です。

小さな地区じゃありません。フィリピン北部の首都圏マニラの在るルソン島で言えば、カビテ、ラグナ、バタンガス、ビコールを合わせた地域に匹敵するような広さです。


マギンダナオ州は、【ARMM】イスラム教徒ミンダナオ自治地域です。

【ARMM】=Autonomous Region in Muslim Mindanao



〇民族、宗教、他。

この地域を代表するもう一人の人物が居ます。

【MILF】モロ・イスラム・解放戦線のミスワリ氏です。

【MILF】=Moro Islamic Lideration Front
※ 訂正:【MILF】では無く【MNLF】でした。  記事最下位を参照してください。

以前この広大な地域を治めていたムスリムの代表者です。

有名な、と言うだけで、このミスワリ氏の過去の歴史は良くわかりませんが、私はこの人が好きです。

2年ほど前のことですが、政府に逮捕されて拘留されている氏を3人で尋ねました。

拘留と言っても、住宅街の大きな一軒家でしたが、その二階に何人かの仲間の人達と一緒に謹慎拘留されていて、階段を上がる前に軍の人だと思いますがアーマーライトと言う長銃を持った警備の人から携帯電話やカメラを預けさせられましたので写真を撮ることが出来ませんでした。

氏は快く私たちを迎えてくれ、大きなテーブルに座らせられて、沢山の写真や地図を広げて氏は一生懸命、私たちに夢を語ってくれました。

1時間半ほどしてお暇しようとする私たちを、氏は抱きついて左右の頬をほお擦りして別れを惜しみました。
おそらくムスリム式の挨拶でしょう。

この人物に、日本政府のODA援助資金が動いていたのでしょう。
ミンダナオ地方を開発することによって、フィリピン政府とミスワリ氏が率いる反政府軍の中を日本が取り持つことが出来れば、それは素晴らしい事だと思います。


そしてこのミスワリ氏がリーダーの座を譲って応援していたのが、残虐事件の容疑者、アンパトゥアン一族です。

ここまでは、この地域で大統領は票を得ていたものと思われます。
理由は私には解かりませんが、思うに、仲良くしなければ国が大変な事に成るという事も考えられますし、ここで人気を得ることは、選挙の票を獲得するのに大きな力に成ることも考えられます。
私は前者の方だと考えたいです。


さて、もうひとつが57人が虐殺された側のマングダダトゥ率いる一族です。


マングダダトゥとは人名ですが、フィリピン語で言えば「長になる人」ですね。
〔マング〕は未来形で「する」や「成る」で、〔ダトゥ〕は「酋長」「首長」「王様」です。


アンパトゥアンも人名ですが、地図にあるように地名でもあります。
フィリピン、ミンダナオ島、マギンダナオ州、アンパトゥアン町。


お話の途中ですが、これは私の勝手な解釈で参考にはならないと思います。
ましてやマングダダトゥの語訳は、私のこじ付けですから...


なんとなくそう気が付いたものですから色んな人に尋ねました。



そこで得た答えは、
マギンダナオ州は、マギンダナオ王国と言う別名もありました。

マングダダトゥもアンパトゥアンも、王様を目指していたんですね。

そしてこの二つの一族は、元は同じ家族、つまり親戚ですね。

そして少し昔から、この【ARMM】イスラム教徒ミンダナオ自治地域は、

フィリピンを二分して独自の王国を築きたかったのです。



〇宗教のお話を少し。

日本は宗教が入り混じっています。
八百万の神がいて、キリスト教も仏教も、もち、イスラム教も。。。

ところがここフィリピンではうかつに宗教の話が出来ません。
私は特に、変な考えがあるので余計危険です。
だからここでのお話は秘密にしてください。

日本の宗教観はまた別の機会にお話します。


まず、アジア内でキリスト教の国はフィリピンだけです。

そして世界の宗教は大別してキリスト教とイスラム教(ムスリム)です。

フィリピンも同じく大別して、キリスト教とイスラム教(ムスリム)です。

マギンダナオのムスリムは、勢力一番のイスラム教です。

「アルカイダ」や「アブサヤフ」とは一線を引きます。


〇信仰する神

私は今50台半ばになりましたが、精神年齢はまだ10代です。

子供の頃の私のヒーローに「アラーの使者」がいました。
神の力を借りて変身する正義の使者です。
主題歌に、
「♪ダ~イバ~ダッタの~力をか~り~て~♪」だったかな?
唱える呪文は、
「あのくたらさんみゃくさんぼ~だい」でした。 うん、覚えてる。
で、
頭には白いターバンを被ってました。

これって仏教ですか? イスラム教ですか? 神様は誰?

勿論、アラーですね。

でも何で、ダイバダッタが出てくるの?

何で般若心経の呪文なの?


実は、最高神はお一人ですね。

アラー、ミトラ、ミトラス、マイトレイヤー...ひとりの神です。

キリストが教会で野菜などを売っている露天商の品物を蹴り飛ばして怒った。
という教会はミトラ神の教会です。
後に各地にあるミトラの教会をキリスト教会に切り替えていきました。
ただ、聖書にあるように、キリストが父と呼ぶ存在があります。

ここフィリピンのクリスチャンは、最高神がキリストだと思っています。
これは完璧に、子供時代からの教えが間違っているからですね。
聖書をまともに読みません。
牧師さんらの、聖書から抜き出した言葉をそのまま信じているだけです。
フィリピン全土、殆どです。 エホバやヤーウェも解かりません。
旧約も新約も解かりません。

もともと、マルコポーロがキリスト教をフィリピンに入れる前の神は、

アラーでした。

密教での最高神は大日如来。 アラーです。

仏教の最高神、弥勒菩薩はマイトレイヤー。アラーです。


アラーこそが最高神だと言っているのじゃありません。

ぜーんぶ、太陽神のことです。 太陽崇拝から枝分かれです。


それを自分たちの神が最高だと宗教戦争をするのですね。


教えや戒律が違うだけで同じです。


よく何の宗派かと聞かれますが、「何でもない」と答えると、「無神教か?」
「神道」と答えます。「仏教じゃないのか?」と言われると。
「仏教は宗教じゃない」と答えます。
「仏教はアカデミー、キリスト教はスキルスだ」と答えます。

簡単に説明すれば、運転免許証を取るときの、学科が仏教で実技がキリスト教であり、どちらも欠けずに勉強してほしいと思います。

勿論仏教は、それ自体にアカデミーとスキルスがあります。
釈迦が月を指差して説明した「方便」のように、釈迦自身も普通の教えと、
特別な弟子に仏に成る為の特別な教えをしました。

仏も2つの意味があり、亡くなった人を「ほとけ」と言う仏と、
「ほどけて」超人アデプトに成って衆生を救う仏と。

神道も、人間になったことの無い神や自然界の神それに精霊と、
一方は、道真や将門など人間界から亡くなった人を祭る神と。

崇め拝み祈るだけの神道や技を尽くして神々を使う陰陽師や王仁三郎の世界。


私が簡単に説明してもややこしくなるほど、
それぞれの宗教にアカデミック系とスキルス系2面性があります。

それを統一しようと宗教戦争が起こるのでしょうが、

マギンダナオのムスリムは、それを代表できるほどの勢力があります。

スペインが戦争でフィリピンを植民化したときもマギンダナオ王国は落とせませんでした。

マルコポーロのキリスト教進出にもなびきませんでした。

本当にマギンダナオは、フィリピンから独立する可能性はあります。

それを、どの大統領もなだめなければなりません。

だから日本政府が仲裁をする形でいる(居る、そして要る)わけです。


マギンダナオのムスリム【ARMM】、簡単に言えば、反政府組織。です。


戒厳令を布いたからには、

一気に行動をしてしまわないと、

フィリピン全土が瞬く間に地獄と化してしまいます。


戒厳令を強いてからは、州知事の権利も何もありません。
アンパトゥアンの自宅付近から、爆弾やマシンガン類3000兆、玉何万発、戦車は勿論手榴弾まで出土しました。

州にはいくつもの豪邸があり、セブやマニラにも豪邸やマンション、ダバオでもマラカニャン宮殿に匹敵するような別荘が在り、それぞれに銀行に預けている金額をはるかに超える現金が保管されていたようです。

ミリオンじゃ無いですよ。千倍のビリオンです。
百万長者じゃなくて、億万長者ですね。
およそ30~50億円の資産ですから戦争を起こせますね。
小学校がいくつ出きるだろうか? 病院はいくつ?


11月23日に起きた惨劇は、アンパトゥアン側が事件の揉み消しまでやろうとしていたそうです。

州の警察も弁護士もアンパトゥアンの命令には逆らえません。

戒厳令を布いたことで、群に対して威嚇射撃をしたり、アンパトゥアン市長の兄を護送していたヘリコプターを銃撃したりするような気丈な人達が沢山居るのですから、桑原桑原です。


軍がマギンダナオに踏み込んだ今、戒厳令を布いた今、一気にかたづけないと、フィリピン全土が地獄と化してしまいます。


〇まあ、こんなところが背景でしょうか?


■ ェ、言いたい事はこれからです。 聞いてくださいよ。

私が不思議に思って恐怖感を覚えていた事が少し和らぎました。

何度も言いましたとおり、100人の武装集団が全員で3日がかりで穴を掘ったり残虐行為をして強姦射殺などを57人に対して協力して実行できるのかと言うことですが、


ひとつはこれ、王家の親族間の勢力争いだからまとまり易かった事。

アンパトゥアンは、マニラに来たときには、40人ほどのボディガードを引き連れてきてシェラトンホテルに泊まったりする。

護衛していた警官も地元から派遣して警官にさせて自分が使う、いわゆる「自警団」が主で、誰もアンパトゥアンに逆らえない。




この命令に逆らえない王国の家来たちもまた悲惨な心情で人殺しをやったことだと思います。

銃を自ら構えた容疑者の前で、3日に渡って人を埋める為の穴を掘っている時、どんな気持ちだったでしょう?

人殺しを、それも無慈悲無残な殺人を涙を呑んでやったのか?

ある人は家族の為に、また家族を人質にとられている様なものでしょうし、

神に許しを請う者、神に見放されることを覚悟の者も居たでしょう。

殺人を教唆するものは、従わないものを見せしめに殺すのも簡単でしょう。


まさに「まさか?」です。

惨殺された者も残された者も、惨殺を強要された者も、


みな、哀れです...




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訂正:申し訳ありません。文中の「ミスワリ氏」は、
   【MILF】では無く【MNLF】の元議長でした。
お詫びと共に、ウィキのリンクを張りましたので、参考にして下さい。

【MILF】モロ・イスラム解放戦線
【MNLF】モロ民族解放戦線
コメント (5)
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