片岡義男を読んでいた頃・・・

「片岡義男」・・飲み会でこの作家の名前を久々に聞いた。

自分の部屋の書棚に彼の本が10数冊ある。
文庫本の最後の初版発行の日付を見ると昭和50年代前半だから
1970年代半ば~80年代前半、
自分が彼の小説をむさぼるように読んでたのはこの時期だと思う。


『オートバイ』や『ステーションワゴン』やいろんなツールが出てきて、
それでいてラブストーリーもハードボイルドもありハッピィエンドもあれば
バッドエンドもありで一言でこんなジャンルの小説と
いいきるのは難しい小説だったけど。
当時の自分は彼の小説の中に出てくる人物たちがとても好きだった。

でも当時の彼女は片岡義男的な恋愛にはまったく興味をしめさなかった。
やはり男のロマン的なストーリーなのかな~と思ったりもしたものだ。

でも「スローなブギにしてくれ」とか「美人物語」など映画になった作品もある
(どちらも映画より本の方がよかったが『スローな・・』の浅野温子が
ヌードでベッドシーンを見せるのは今では貴重)。

彼の本は部屋で読むよりアウトドアで読めとか言われていて、
車で遠出しては缶コーヒーを飲みながら彼の文庫本を読んでいた思い出がある。


彼の小説を解説した評論家が「片岡義男の小説は普遍的なものではない。
彼の小説は、いいハワイ音楽に似ている。トルストイの圧倒的な小説とか
ベートーベンの音楽はこの地球上のどんなところでも、どんな気候の中でも、
どんな時間に、どんな状態で読んでもあるいは聴いても、
やはりトルストイの芸術、ベートーベンの芸術で、
それが芸術の欠点でもあるのだが、ハワイ音楽とか片岡義男の小説は、
読み手と送り手の条件が合わなかったら、まったく意味がないし楽しめない。
書き手と『物語』と読み手が一つの気分の中に入らないとだめなのだ。

そういう意味で片岡義男の小説は普遍的ではなくローカルなのだが、
それが彼の小説のよさなのだ(宝 謙二)」と書いていた。


たしかになぜか今彼の小説をもう一度読みたいと思っても
なぜかなかなかページが開けない。
その後自分はもっと人間の心情を書き込んだ小説が好きになっていき
いろいろと読んだし今も読み返せる。
なのになかなか彼の小説は読み返せない・・ま、あの頃と今の自分が違うのは
仕方がないのだけど・・・でもまた楽しめればいいなと思う。
そのための一冊を車のダッシュボードに忍ばせておこう。

彼のブログがあることがわかった。今現在の彼の作品が読めるようだ。
自分の好みかどうかはまだ不明だが
しかし今見てもこのブックカバーのセンスは素晴らしいと思う。
特に写真は本当にいい。
それとなんといっても『マーマレードの朝』『スローなブギにしてくれ』
『缶ビールのロマンス』『ときには星の下で眠る』『味噌汁は朝のブルース』
『アップルサイダーと彼女』・・本の題名がいい!
これだけは今も昔も関係なく心からいいと思える
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