【 日本では、休まない人は偉いって ???】
ペーターさんの興味あることは、やはり働き方の違い。
日本とスウェーデンの違いに驚くことも、考えることも。
・スウェーデンでは、当番なし(掃除など)
仕事内容の区分けがはっきりしていて、掃除する人は掃除の仕事をします。
自分の仕事内容ではない仕事をさせることはない。
日本では、当番の日に始業時間の40分も前に来て、掃除をする。
スウェーデンでは、あり得ないことです。
・スウェーデンでは、まっすぐの出世
どういう意味かというと、仕事に専門分野があり、その畑に専念して出世もします。
日本では、同じ人がちょっと総務、ちょっと会計、ちょっと開発などと部署がいろいろ変わります。
スェーデンではそんな人は、真面目に思われません。
終身雇用もないので、個人は自分の専門性でもって何回も職場を変えていきます。
日本では同じ会社でいろいろ経験していきます。
最近ペーターさんは、日本のシステムの方も良い気がしています。
なぜなら、色々なことがわかるし、40歳こえての再就職するさいに、分野が固定されないからです。
・スウェーデンでは、無理やりの転勤なし
10年も海外で働いている日本人もいます。
スウェーデンでは転勤はそう簡単に命令できません。
・日本は「残業」で有名
スウェーデンでは、許可なしの残業はありません。
25%以上の割増賃金を残業手当として渡さねばなりません。
ですから企業はコストがかかるので残業させたくないのです。
・働き方の考えの違い
日本では「休まない人は偉い」と思われています。
「あの人は休みも取らずに、良く働きはるわ~。すごいねえ~、よく頑張ってはるわあ~」
ここで「ああ~」と参加者からそれ思い当たる、思い当たる、という反応がありました。
スウェーデンでは「あの人は、なぜ8時間で終わらないのか。ちゃんと8時間で仕事しないと、クビになるよ」ということになります。
・私生活を大切にする
スウェーデンでは、家族との生活や自分の趣味の時間を大切にします。
もし残業させられたら、それが侵害されます。
従業員は上司に対して厳しいです。残業をイヤとはっきり言います。
日本では2~3時間残業が当たり前ですね。
ここからは感想です。
以前、日本の大企業で働く、オランダのアレックスさんをゲストに迎えて「ぞうすいの会」を開いたことがありました。
ヨーロッパは伝統的に労働者の権利が守られていると痛感します。
オランダでも残業はなく、日本の大企業で働く彼は、日本の習慣にびっくりしていました。スウェーデンと同じように、オランダでも「終業時間に早く帰る人がいい人。遅く残るのは、仕事ができない、家族を大切にしない悪い人」というイメージだと語っていました。
しかも日本の場合はサービス残業が一般化しています。
日本でも残業に関して、割増賃金を含め、規定は労働基準法にあるのですが、守られていません。
おそらくヨーロッパでは法律が法律として機能し、人々の生活を守っているのでしょう。
労働者の権利に対する国や企業の姿勢や、働く人々の側の意識の違いなどが背景にあります。
スウェーデンやオランダの子育てをめぐる環境も参考になります。
少子高齢化を抱える日本。
労働のあり方が、社会全体の姿を決定する鍵になっています。
ヨーロッパでは20世紀当初、労働運動に対して軍隊を使って弾圧していた政府、国ですが、その後、逆に労働者の側について福祉国家を目指した歴史があります。
日本では同じ明治時代以降、社会主義の影響を受けた労働運動は、治安維持法のもと、弾圧されます。
一定の成果を見つつも、その後日本はファシズムの道をすすみ、人々の生活は軍国主義国家に組み込まれ、滅私奉公が美徳とされました。
個人の生活を大切にするという思想は、民主主義の戦後になっても、そう簡単には根付かないものなのでしょうか。
「あの人は休まずに良く働きはるわあ~」「頑張ってはるわあ~」「偉いわあ~」と、つい言ってしまう私たち。
内なる私たち自身の仕事中心の価値観、集団主義に気付かされます。
ワークライフバランスと国が唱えても、一向に進まぬ実情。
国際語にもなってしまった日本の「過労死」。
死ぬまで働くというのが、理解できないといわれます。
この解決は、意識だけの問題ではありませんが、制度だけの問題でもありません。
「仕方ない」とあきらめないで、自分自身の働き方に、もう一度向き合うことが大切です。日本の中で日本の企業で働くペーターさんが、「私は残業をしません」「家族との時間を大切にします」と、職場で意志を貫く自然体の勇気に触発されます。
【 福祉と税金 】
参加者から、福祉国家と税金についての質問がありました。
大学まで無料の教育以外の例では、医療費は18歳までは無料です。
大人の払う医療費もほんの少しで手術費も安いです。
医療、教育には心配なさそうです。
その代わり、所得税は30%、消費税は一般に25%で、食品は10%、薬品は0%です。
スウェーデンの税金は高いです。
日本の今後は、アメリカ型かヨーロッパ型かその中間かと、福祉と国民負担のバランスが問われています。
それぞれの地域の実際の社会の姿のレポートに、功罪含めて耳を傾けるのは大切なことです。
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