東京あたりでは温泉地の代表と思われている箱根だが、蒸気井を用いて造成される”造成泉”を使う施設が意外に多い。
造成泉には大湧谷系統(箱根温泉供給(株))、早雲山系統、大芝・元箱根系統(町営)などがあって、それぞれ旅館や保養施設などに配湯されている。なかでも規模的に大きいのが大湧谷系統で、強羅から仙石原にかけての多くの施設が使用している。
このお湯はイオウ臭香る白濁湯なので一般には人気が高いが、やはり”造成泉”であることと、多くの施設で使われているので、湯巡りのときには回避したい対象となる。
大湧谷造成泉をパンフやHPで見分ける方法はこんなところか・・・(笑)
1.まんま「大湧谷からの引湯」や「供給温泉:大湧谷温泉」とある施設。
2.「乳白濁のにごり湯」というキャッチの施設。(このエリアの非造成泉で
にごり湯になる源泉は稀)
3.泉質名が「酸性-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩・塩化物泉」
4.泉温65℃くらい / pH=2.6~2.9 と記載。
5.湧出量2,750~3,125L/min ないしは(蒸気造成) と記載。
このようにして振り分けていくと、かなりの温泉施設が該当してしまう。
また、残ったもののなかにも早雲山系統の造成泉が混じっている。(これの見分け方もあるが省略)
こうしてみると、強羅から仙石原、湖尻あたりにかけての非造成泉がいかに貴重なものかがわかる。(逆に、貴重だからこそ、造成泉の需要が高い。)
前置きがながくなったが、芦ノ湖湖尻にほど近い「箱根高原ホテル」は、そんな貴重な自家源泉をもつ宿泊施設のひとつだ。しかも、加水も加温も濾過循環も消毒もかけていないらしい。(以前は循環していたようだが、かけ流しに切り替えたような感じがする)
さして風情のあるホテルでもないし、飾り気のない男女別の内湯があるばかりだが、お湯はすばらしい。
赤茶の析出のでた湯口から50L/min近くも注がれる熱湯からは焦げ臭と金気臭が立ちのぼる。うすく緑茶色がかったお湯には茶色の湯の花が浮かび、キシキシとツルすべの入り混じる複雑な湯ざわりが楽しめる。鉄と重曹の気配が強いこのお湯は、白濁イオウ臭の造成泉と無色透明の弱食塩泉が多い箱根にあっては異色だ。
なお、この重曹分は、「中央火口丘が噴出する以前にあった湿原の植物が堆積物中で分解されてできたものと考えられ」ているとのこと。(やませみさんの「温泉の科学」より)
箱根では温泉資源保護の見地から、新規の温泉掘削がほとんど不可能なため、源泉自体が貴重品だ。それでもまだまだ多くの源泉が残っているらしく、小さな宿で自家源泉をもっていたりするので、じっくりと時間をかけて探っていきたいと思っている。
なお、姥子には「秀明館」という酸性硫酸塩泉系のすごみのあるお湯があり、100湯ラインは楽々クリアしているのだが、料金1,800円で残念ながらリスト外となっている。
Na・Ca・Mg-硫酸塩・炭酸水素塩泉 55.8℃、pH=7.0、96.1L/min、成分総計=1.359g/kg、Na^+=118mg/kg、Mg^2+=55.6、Ca^2+=101、Fe^2+=2.43、Cl^-=26.3、SO_4^2-=355、HCO_3^-=377、陽イオン計=292、陰イオン計=759、メタけい酸=240、メタほう酸=3.77、硫化水素=0.02 <H16.12.13分析>(源泉名:元箱根温泉※(元箱根第26号))
※ふつう”元箱根”というと箱根神社あたりを指すが、住所上は、湖尻や桃源台も含まれている。ここの泉源は元箱根字旧札場にあり、約1.1km引湯しているらしい。
文・画像 別働隊@うつぼ
造成泉には大湧谷系統(箱根温泉供給(株))、早雲山系統、大芝・元箱根系統(町営)などがあって、それぞれ旅館や保養施設などに配湯されている。なかでも規模的に大きいのが大湧谷系統で、強羅から仙石原にかけての多くの施設が使用している。
このお湯はイオウ臭香る白濁湯なので一般には人気が高いが、やはり”造成泉”であることと、多くの施設で使われているので、湯巡りのときには回避したい対象となる。
大湧谷造成泉をパンフやHPで見分ける方法はこんなところか・・・(笑)
1.まんま「大湧谷からの引湯」や「供給温泉:大湧谷温泉」とある施設。
2.「乳白濁のにごり湯」というキャッチの施設。(このエリアの非造成泉で
にごり湯になる源泉は稀)
3.泉質名が「酸性-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩・塩化物泉」
4.泉温65℃くらい / pH=2.6~2.9 と記載。
5.湧出量2,750~3,125L/min ないしは(蒸気造成) と記載。
このようにして振り分けていくと、かなりの温泉施設が該当してしまう。
また、残ったもののなかにも早雲山系統の造成泉が混じっている。(これの見分け方もあるが省略)
こうしてみると、強羅から仙石原、湖尻あたりにかけての非造成泉がいかに貴重なものかがわかる。(逆に、貴重だからこそ、造成泉の需要が高い。)
前置きがながくなったが、芦ノ湖湖尻にほど近い「箱根高原ホテル」は、そんな貴重な自家源泉をもつ宿泊施設のひとつだ。しかも、加水も加温も濾過循環も消毒もかけていないらしい。(以前は循環していたようだが、かけ流しに切り替えたような感じがする)
さして風情のあるホテルでもないし、飾り気のない男女別の内湯があるばかりだが、お湯はすばらしい。
赤茶の析出のでた湯口から50L/min近くも注がれる熱湯からは焦げ臭と金気臭が立ちのぼる。うすく緑茶色がかったお湯には茶色の湯の花が浮かび、キシキシとツルすべの入り混じる複雑な湯ざわりが楽しめる。鉄と重曹の気配が強いこのお湯は、白濁イオウ臭の造成泉と無色透明の弱食塩泉が多い箱根にあっては異色だ。
なお、この重曹分は、「中央火口丘が噴出する以前にあった湿原の植物が堆積物中で分解されてできたものと考えられ」ているとのこと。(やませみさんの「温泉の科学」より)
箱根では温泉資源保護の見地から、新規の温泉掘削がほとんど不可能なため、源泉自体が貴重品だ。それでもまだまだ多くの源泉が残っているらしく、小さな宿で自家源泉をもっていたりするので、じっくりと時間をかけて探っていきたいと思っている。
なお、姥子には「秀明館」という酸性硫酸塩泉系のすごみのあるお湯があり、100湯ラインは楽々クリアしているのだが、料金1,800円で残念ながらリスト外となっている。
Na・Ca・Mg-硫酸塩・炭酸水素塩泉 55.8℃、pH=7.0、96.1L/min、成分総計=1.359g/kg、Na^+=118mg/kg、Mg^2+=55.6、Ca^2+=101、Fe^2+=2.43、Cl^-=26.3、SO_4^2-=355、HCO_3^-=377、陽イオン計=292、陰イオン計=759、メタけい酸=240、メタほう酸=3.77、硫化水素=0.02 <H16.12.13分析>(源泉名:元箱根温泉※(元箱根第26号))
※ふつう”元箱根”というと箱根神社あたりを指すが、住所上は、湖尻や桃源台も含まれている。ここの泉源は元箱根字旧札場にあり、約1.1km引湯しているらしい。
文・画像 別働隊@うつぼ
ホテル系だと日帰り客への対応が冷たいと思われる方もいらっしゃることと思いますが、ここは別です。時間は厳守でありますが、日帰り入浴客向けに「源泉くらぶ」なるスタンプカードを発行しています。10ポイントたまると1回無料入浴、20ポイントで宿泊代5000円分の優待券、温泉好きにはうれしいサービスであります。是非、お試しあれ。
それにしても、うつぼさんの記事はますます磨きが掛かって絶好調であります!