社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

4月13日(木)

2017年04月24日 00時06分37秒 | 2017年

  5時半起床。今日と明日は年度末の休日出勤の振替休日を頂き、2泊3日で福島へ旅行に行く。6時半前に家を出て、京急線と都営浅草線を乗り継いで浅草へ。平日の朝7時過ぎなので、さすがの浅草でも人はほとんどいない。

  浅草駅07時30分発の特急スペーシアけごん5号に乗り、下今市を目指す。今日は、ここ浅草から東武線、野岩鉄道、会津鉄道、JRの4社路線を通って会津若松まで行く。

  下今市で快速に乗り換え、鬼怒川温泉へ。先ほどまで乗っていた日光行きの特急は外国人観光客などでそれなりに混雑していたが、平日のこんな朝早くから鬼怒川方面に向かう人はほとんどおらず、車内は地元の人たちがぽつぽつ乗っているだけだった。

  鬼怒川温泉からは、快速AIZUマウントエクスプレス1号(10時01分発)に乗る。AIZUマウントエクスプレスというと、今は内装が豪華なAT-700/750型(赤色の車両)が人気だし、実際に前回乗った時はその乗り心地の良さに感動したのだが、今回乗車するのはひとつ古いAT-600/650型。これに乗るために、わざわざ早起きをしたのだ。AT-700/750型に比べれば、インパクトも弱いし内装もシンプルと言える。しかし、私にとってはそれもまたひとつの魅力であるように思われるのである。

  出発後、朝食兼昼食として、鬼怒川温泉駅で購入した「日光いなり」を頂く。牛しぐれや山菜など、5種類のいなり寿司が入っている。これは美味しい。元々いなり寿司が好きということもあるが、どの具材との相性も良く、味の違いを楽しむことが出来る。

  1時間半ほど列車に揺られ、塔のへつり駅で途中下車。駅から5分ほど歩いて、国の天然記念物にも指定されている塔のへつりを観に行く。エメラルドグリーンの川に架かる吊り橋と、その先にある断崖。吊り橋の上から眺める景色が素晴らしく、風も気持ち良い。吊り橋の先にある岩山にはお堂もあって、仏像が安置されている。岩の表面を触ってみると思っていたよりも柔らかく、砂を固めたような感触がして、簡単に削れてしまう。長年の川の流れや風雨で削られてきたというのもうなずける。ちなみに、「へつり」というのは地元の言葉で「断崖」を意味するそうで、塔のように見えるへつり(断崖)があることから「塔のへつり」と呼ばれるようになったそうだ。

立派な橋だが、それなりに揺れる。

お堂の中に入ることは出来ないが、中にいらっしゃる仏様はきちんと見える。

崖上の展望台からへつりを眺めると、岩肌の浸食ぐあいがよりわかる。

  塔のへつり駅に戻り、列車を待つ。簡素なホームに立っていると、風で木々が揺れる音と鳥の鳴き声だけが聞こえてくる。本当に静かな空間なので、線路のわずかな振動の音が列車の接近を知らせてくれる。

乗る列車が入ってきた。1両のワンマン運転だ。

  次の駅、湯野上温泉で再び途中下車。この駅は、本当に絵になる。ここを通り過ぎるわけにはいかない。

  先日宿泊をしたホテル大島で日帰り入浴をしようと伺ったのだが、水道管に漏れが見つかって修理中とのことで、運悪く入ることが出来なかった。どこで漏れているかを確認するために、一度全てのお湯を止めなければならないそうだ。また、実は前回宿泊した際に冷蔵庫の飲み物を頂いた代金を払い忘れていて、ついでに払おうと思ったのだが、「こちらが確認し忘れちゃったんだから」とサービスにしてくださった。ありがとうございます。必ずまた伺います。

  「露天風呂入浴できます」という大きな看板を見つけたので、「えびす屋」で日帰り入浴をお願いする。「この時間だと他に誰も来ないし、せっかくだから男性用も女性用も、両方のお風呂に入っていって」という優しいお言葉に甘えて、2カ所の露天風呂を独り占めさせて頂く。源泉かけ流しで、常に湯船からお湯が溢れ出ている贅沢な露天風呂だ。入ってすぐに、血管が拡張して血のめぐりが良くなり、身体が軽くなっていくのがひしひしと感じられる。途中からは半身浴で本を読んでいたのだが、今振り返ってみても、本当に幸せな時間だったと思う。

  湯野上温泉駅に戻り、13時36分発の快速AIZUマウントエクスプレス3号に乗る。今度は、豪華なAT-700/750型車両だ。さっそく、ふかふかのシートに滑り込む。ここからは初めて乗車する区間なので、終点の会津若松まで車窓を眺めながらのんびりと過ごした。

  会津若松駅に到着後、しばらくの時間、駅構内を散策して列車の写真を撮る。会津若松周辺は電化されていない区間も多いので、数多くの気動車を見ることが出来た。国鉄時代のキハ40系がこれほど集まる駅というのも、今となってはかなり珍しいのではないだろうか。

  レンタカーを借り、今日の宿、東山温泉の「新滝」へ。チェックインをしてから、さっそく温泉に入る。ここには湯治場時代をイメージした古風なお風呂があって、雰囲気が素晴らしい。泉質は硫酸泉だと聞いていたので少し刺激があるのかと思いきや、肌に優しいお湯でゆっくりと浸かることが出来た。湯野上温泉もそうだが、このあたりの温泉はお湯が柔らかい。

  部屋で少し休憩してから、夕食をとるため再び会津若松市街へ出る。会津名物の馬肉をはじめとした郷土料理を食べるため、「鶴我」へ。宿を出る前に電話を入れておいたら、のれんで区分けされた半個室のようなテーブルを用意しておいて下さった。注文は、馬刺しの8種盛(実際には9種盛だった)、桜鍋、郷土料理名物セット(にしん山椒づけ・棒たら煮・天ぷら饅頭)。食べたいものを厳選した。

飲み物は会津あずき茶。すっきりとした味で美味しいが、あずき感はそれほど感じない。

お通し。もずく酢が特に美味しい。

馬刺し8種盛。定番の赤身に始まり、カシラのルイベ、脊椎、フタエゴ、ユビヌキ、タテガミ、レバー、タン、ホーデン(睾丸)と、様々な部位を食べられる。どれも印象的な味で美味しいが、分厚い赤身やこりこり感のあるレバー、なめらかな食感のタテガミが印象的だった。

赤身。こんなに分厚い赤身は初めて食べた。

脊椎。つるつる、こりこりした食感。

タテガミ。これまで食べたタテガミとは全く違う味。こんなに美味しかったとは。

レバー。新鮮で臭みが一切なく、ねっとりした食感の中にこりこり感があるのが印象的。

ホーデン(睾丸)。しっとりした舌触りの中にほのかな甘さと香ばしさがある。

タン。見た目がまさにという感じ。歯ごたえが良い。

さくら鍋。馬肉(フタエゴ)をすき焼き風の鍋でしゃぶしゃぶして、卵につけて食べる。お肉は刺身用の新鮮なものなので、ちょっと火を通すだけでいい。お肉をつける卵もふわふわに仕上げられている。私はちょっと長めにしゃぶしゃぶするのが好きだ。お肉を食べた後、その脂の入った鍋に入れて食べる野菜や豆腐もまた美味しい。

会津三大名物セット。にしん山椒づけ、棒たら煮、天ぷら饅頭。天ぷら饅頭の甘じょっぱさが絶妙。

  食後のデザートを食べに、「會津壹番館」へ。野口英世が左手の手術を受けた会陽医院の建物の1階が喫茶店になっている。建物の外観はもちろんだが、中の雰囲気もレトロで落ち着いている。ホットコーヒーと地元の酒蔵で出た酒粕を使ったプリンを注文(デザートセットになってアイスクリームもついてきた)。珈琲もそうだが、酒粕プリンが濃厚で美味しい。

  旅館へ戻り、温泉にゆっくりと浸かってから、部屋で本を読む。この2泊3日で読もうと文庫の小説を2冊持ってきたのだが、一気に読み終えてしまった。まあ、明日からは妻が合流するから、本はなくていいのだが。