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【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第23巻【ネタバレばれ】

2015-02-23 23:14:01 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第23巻 ※第12章(途中から)※第13章(途中まで)

第12章 紅天女

能面をつけて現れた千草の表情は見えない。
荘厳な天女
恥じらいを見せる乙女・阿古夜
うかがえない表情が見えるように、千草の演技は違和感なく観客全員を包み込む。
千草の演じる『紅天女』は、まさにこの地で演じられることで
一つの完成形を見せた。

しかしクライマックスを演じることなく、千草の舞台は終了する。
この続きは、若い後継者がきっと演じてみせます。
そう言って千草は、自らの紅天女を永遠に封印するかのように
付けていた能面を真っ二つに割った。

千草の演じる紅天女に魅入られ、その世界観にどっぷりと浸かるマヤ。
千草のしぐさ一つ一つの微妙な表現が、得も言われぬ紅天女の世界観を構築していることに
驚愕する亜弓。
何十年と愛し続けた紅天女を、千草を再びこの目で見ることが出来た英介の感慨。
仲良く寄り添う桜小路とマヤに、あきらめたはずの思いが嫉妬とともに再び沸き起こる真澄。

見ている者それぞれに深い感動と感銘を残し、千草の紅天女は永遠の眠りについた。

「紅天女の恋は、わたしの恋でした。
 舞台の上の阿古夜の思いは、そのままわたしの思いとなり、
 阿古夜のセリフはそのままわたしの言葉となりました。」
魂を乞う、それが恋・・・
出逢ってしまえば惹かれあい、近づきあい、どんなことがあっても離れる事ができない・・・
それが魂の片割れ

**
千草の紅天女を見た後のマヤは、素直にその感動に浸っていた。
体の中まで、紅天女の霊気が流れ込んでいるような感覚、
先ほど千草が演技で使用した打掛をこっそり身に着け、梅の枝を手に
梅の谷で阿古夜の気持ちを反芻させていた。
真澄もまた、先ほど見た紅天女の夢のようなひと時の余韻が冷めきれずに
一人梅の谷を歩いていた。
そして森の中に、天女を見つけた。

小川を挟んで対峙する二人。
何も言わず、見つめあう二人。
「あの日、はじめて谷でおまえをみたとき、阿古夜にはすぐにわかったのじゃ」
おまえがおばばのいう魂の片割れだと・・・
「捨ててくだされ 名前も過去も 阿古夜だけのものになってくだされ・・・」
マヤは右手をすっと差し出した。
その手に引き寄せられるように、真澄の手も差し出される。
その時・・・・
二人の体はまるで幽体離脱でもしたかのように宙に舞い、
魂と魂が結び合うように一つの大きな球となって、心と心が抱き合った。
身に着ける物など何もない、
ただ一人の男として、女として。
魂と魂の融合・・・。
次の瞬間、体が重なり合うように互いの体をすり抜けた二人の魂は再び、
それぞれの入れ物に戻って行った。
それは、実に不思議な体験。
現実とは思えない、非科学的な感覚。

真澄を呼ぶ紫織の声に、ふと我に返った時、目の前にいたはずのマヤの姿は
もうそこにはなかった。
あれは・・・幻?
マヤもまた、先ほどの感覚が現実だったのか理解できずにいた。
魂のふれあい、速水さんは私の・・・?

**
2ヶ月に渡る梅の里での稽古も終わり、いよいよマヤと亜弓が東京に戻る日がやってきた。
この地で学んだことを土台に、あとはそれぞれの紅天女を作り上げる・・・。
亜弓はいまだ自分自身がこの地で学び残したことがないか悩んでいた。
一方マヤは真澄の事を思い出しては涙を流していた。
すると千草は二人を呼び出し、吊り橋に火をつけると、もう二度と谷へと渡れないように橋を焼き落とす。
「紅天女はもう、あなたたちの中にあるのです」

最後の夜も、亜弓は雨の中必死に紅天女の稽古をしていた。
それに気づいたマヤは、亜弓の美しさに改めて驚き、やっぱり亜弓にはかなわないと震えた。
その様子にマヤに対するいらだちが爆発した亜弓は、あなたのそういう所が嫌いだと罵倒する。
天性の才能で、いつも当たり前のように演技をする。
亜弓が必死になってやっと掴んだ役との一体感も、マヤにとっては当たり前のいつものこと。
女優として、あなたに勝った覚えがない・・そういう亜弓に、
私なんかと自虐的に返すマヤを腹立たしく思う亜弓。
「あの日、橋から落ちそうになった時、私はあなたを見殺しにしようとした
 あなたなんかいなくなればいいと、本気で思っていた」
亜弓のマヤに抱いてきた劣等感。どんなに努力しても報われない思いを抱えながら、
それでも誇り高くあれと顎を上げて生きてきた女優人生。
私なんて、亜弓さんの方が・・・そんなことばかりいうマヤ、それなのに私はこの子に今まで一度も
勝てていない・・・。
不安、焦燥感、嫉妬、憎しみ、醜い感情は全てあなたのせいで私の中に生まれてきた。
亜弓の悲痛な叫びに、思わず涙を流すマヤ。
その姿に、同情などしてほしくないと亜弓はマヤの頬にビンタをくらわせた。
「紅天女は譲れない」
マヤも同じように亜弓の頬をはる。
初めて心と心をさらけ出して体中ボロボロになりながらケンカをするマヤと亜弓。
そして夜が明け、空が白み始める頃、
二人は互いのひどい姿を見ながら大声を上げて共に笑い、次は紅天女の試演でと、ライバルをたたえあった。

最後の挨拶にと、月影千草のもとを訪ねた真澄だったが、
五感はマヤの姿を探していた。
ひと目姿をみるだけでも、そう期待している自分がいた。
マヤへの思慕の思いを募らせながら、真澄は山寺を後にする。
外に出ていたマヤは真澄の車を見かけ、あわてて山寺に戻ってくるが
既に姿はない。
真澄が座っていた座布団を胸に抱え、改めて自分の中で膨らんでいく
真澄への恋心に涙を流す。
千草に、魂の片割れについて質問するマヤ。
その人に出会ったらどんな気持ちになるのかと。
マヤの目に本物の恋をしている色を察した千草は、優しく諭すように語った。
魂の半身にもしめぐり会ったのなら、魂と魂が響きあい、互いにとってかけがえのない相手だということが
理屈ぬきで感じあえる
もしそんな相手にであったなら、勇気をもって一歩を踏み出す事
自分の運命の扉を開くのは、自分だけ・・・
大切なのは魂と魂の結びつき、たとえ表面上の恋が実らなくても
そして共に生きる時、そのとき初めて生まれてきた意味を知る・・・
それが紅天女の恋ーーー

空に流れ星がきらめく。
以前、真澄と二人で見た星。あの時真澄は、俺の願いはきっと一生かなわない・・・と言っていた。
そんなの悲しすぎる。かなわないなんて・・・。
空に再び流れ星がきらめいたとき、
マヤはその星に願った。
“お願い・・・!”

紅天女の故郷での夢のような経験を胸に、真澄は東京へと戻ってきた。
向こうで英介に言われた言葉が重くのしかかる。
紅天女を必ず、大都のものにしろ。たとえ北島マヤであろうとも。
拒否するようだったら、マヤをつぶせ。
もしおまえができないのだったら・・・わしがやる
移動車の中で流れ星を見つける秘書水城。
東京でも見えることがあるのだと、改めて真澄は梅の里での出来事が
全て自分中の幻であることを、そしてこれから先自分はこの闇のような現実の中で
生きていくしかないことを思った。


第13章 ふたりの阿古夜

紅天女の故郷での日々、真澄と見た星空、一夜を過ごした社務所、
梅の谷での魂のふれあい・・・
マヤは東京に戻ったら真澄に会いに行こうと決心していた。
会って、これまでのお礼を言おう。そして、
好きだと伝えよう・・・・。

しかし、東京に戻ったマヤがたどり着いた場所は、真澄と紫織の婚約披露宴会場だった。

第24巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
「紅天女」の章はさくっとね・・・。
梅の里で見た流れ星に、マヤは願いを込めます。
その内容は分かりませんが、のちに私の願いはかなわないってわかったから・・って
嘆く所を見ると、やはり真澄との事を願ったのではないでしょうか。

亜弓さんみたいに、理論から入る人好きです。
天賦の才にあぐらをかかない努力の人、何ものちにあんな試練を与えなくても・・・。
今の所、心で紅天女を理解しているマヤが少しリード・・といった所でしょうか。



【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第22巻【ネタバレばれ】

2015-02-23 22:41:33 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第22巻 ※第12章(途中から)(途中まで)

第12章 紅天女

千草は夢を見ていた。
それは夢なのか、それとも過去の記憶なのか・・・・。

幼いころに両親を失った千草こと千津は、生きていくためにはどんなこともした。
盗みや詐欺、拾い食い・・・ 混乱期に幼い少女が生きていくにはあまりにも過酷な日々。
7歳になったある日、千津は月光座と呼ばれる劇場の楽屋に盗みに入ったところを取り押さえられる。
警察に突き出される寸前、千津を助けてくれた人こそ、
尾崎一蓮その人だった。
一蓮は月光座で台本や演出を手掛け、若くして人望も厚く恵まれた青年だった。
一蓮の父親は資産家で、座長とも懇意にしており、劇団創立以来多額の出資を続けていた。
千津は一蓮に引き取られ、東京にやってきた。
劇団月光座で千津は暮らすことになる。
掃除や洗濯を手伝いながら、時に一蓮に読み書きを教えてもらい、
千津は知らなかった安心という幸せを知る。
最初は胡散臭がっていた劇団員たちも、打ち解けてくるごとに千津に優しく接してくれる。
何より一蓮が、千津を大切にしてくれていた。
一蓮の妻清乃は、得体のしれない子供を引き取ることに難色を示していた。
しかし一蓮は千津をよそにやることをきっぱりと否定し、千津は責任を持って育てることを宣言する。
その言葉に、幼いながらも一蓮への感謝の思いと、彼を裏切れないという思いが千津の
胸いっぱいに広がった。

成長するにつれて日舞や芸事も習わせてもらうようになった千津。
子役として舞台に上がるようにもなった。
一蓮は時に優しく、時に厳しく演劇を指導し、
それにこたえるように千津も必死につらい稽古を耐え抜いた。
そして16歳になった千津は子役を卒業し、月の女神ダイアナという大役を演じることになる。
初舞台の日、その美しく光り輝く千津の姿に一蓮は圧倒され、観客達も美しさに息を飲み、
舞台は大成功をおさめた。
そして役にちなんで一蓮は千津に月影千草という芸名を名付ける。
その頃から、一蓮に対する思いは単なる育ての親に対するものではなく、
一人の男性へのものへと変化していった。
一蓮には妻も子供もいる。年も離れている。
叶わぬ思い、秘めなければならない恋・・・
まさに今の千草の気持ちをそのまま表現したかのような舞台『華炎』の令嬢彩華役は大はまりし、
その成功が千草を次のステージへと進ませる。
千草はただ、一蓮のそばに居られればそれでよかった。
千草の成長と成功に伴い、一蓮も月光座の実質的責任者になっていた。
二人で月光座を支えているといってもいい。
しかし千草の一蓮への思いは、決して表に出すことのできない秘めた恋。
人知れず涙を流し、それでも一蓮のためにと舞台に立ち続け、さらに活動場所を映画界にも広げていく。
全ては一蓮の為に・・・。

しかし戦争の波が、月光座に暗い影を落とす。
若い役者は兵隊にとられ、軍からは敵国の芝居はするなと上演停止令を受ける。
関係者も皆散り散りになり、一蓮の妻子も田舎に疎開していった。
月光座にはもう、一蓮と千草しかいない。
戦火によってとうとう月光座は燃え落ちてしまった。
そして一蓮は東京から、千草の前から姿を消した。
故郷、奈良の山寺にこもっていた一蓮は、そこで「紅天女」の執筆に取り掛かる。
そしてその脚本が完成した時、一蓮の行方を追ってきた千草が目の前に現れた。
“紅天女が現れた・・・”
後に一蓮はその時の事をそう振り返る。
千草にとって一蓮は、生きる全てだった。
戦争が終わり、一蓮は必死で劇団を再建しようとした。
以前にも増して厳しい指導を続ける一蓮、千草に風火水土の稽古をつける。
火の演技の時、一蓮の前で演じた八百屋お七、一蓮は千草の熱い思いに
気づいていながら何も答えなかった。
女性として愛されないのなら、女優として誰よりも愛されよう。
千草は決心し、神がかり的な紅天女は完成した。
千草演じる「紅天女」は空前の大ブームを巻き起こし、月光座の一枚看板として、
千草が支えていた。
言葉で交わすことはなくとも、一蓮と千草の間はどんな言葉でも表せないほどの
強い信頼と絆で結ばれていた。
こうして月光座は見事復活するかに見えた。
速水英介が現れなければ・・・・。

速水英介は、岡山の田舎から若くして家出同然に上京し、
身一つで大都運輸を立ち上げた。
ある日偶然目にした「紅天女」の舞台。
一目で千草に魅了された英介は、山のようなプレゼントを千草に贈るが、千草は丁重に断りを入れる。
それでもなんとか紅天女のためになりたいと、紅天女の地方公演のスポンサーを申し出る。
大都運輸で培った全国への運送ノウハウや地方とのつながりは、「紅天女」の地方公演にとても
役立ち、一蓮も英介を信用して思うがままにやらせていた。
しかし徐々に英介は本性を見せ始め、各地の劇場を買収し、劇屋主も兼ねるようになり、
映画会社と結びつくなど勢力を拡大させていった。
地元のやくざとのつながりも増え、潔癖な一蓮はそんな英介のやり方を拒絶し、
袂を分かったが、時すでに遅し、すでに英介の力は大きくなりすぎていた。
速水英介は大都芸能を興し、独自に芝居の制作を始める。
一蓮の元から役者を引き抜き、月光座は苦境に立たされる。
役者不足は、客演とそれに伴う台本の書き直し、芝居の質の低下と
悪循環を生み、徐々に客足は遠のいていった。
月光座は経営に苦しみ、一蓮は多額の借金を抱えるようになる。
しかし英介の方も、大都芸能を興してはみたものの、一蓮も千草もいない状態では
魅力的な芝居を興行することは出来ない。
そうなると一蓮に、「紅天女」の上演権を譲るようもちかけ、さらに千草を引き抜こうと画策する。
それでも動かないと見るや、罠を仕掛ける。
一蓮に相場の話をもちかけ、借金を膨らませ、月光座の公演でやくざを暴れさせる。
心労が祟って一蓮は病に倒れ、月光座は事実上解散したも同然になった。
しかしどんな状況にあっても「紅天女」だけは手放さない一蓮。
妻子も一蓮の元を去って行った。
それでもただ一人、千草だけが一蓮のそばにいた。

そしてあの夜、
千草はたった一夜、一蓮と結ばれ、翌朝、一蓮は首をつって自殺した。
「紅天女」を千草に遺して。

一蓮の遺志を継いで一人で「紅天女」を守り続ける千草。
速水英介に対抗するため、巧みな政治的戦略も巡らせる。
こうして、月影千草は大女優となり、
千草によって紅天女は永遠に守られるかに思えたその時、
落ちてきた照明によって千草は顔面に深い傷を負い、女優生命を絶たれる。
そして同時に、紅天女は長い封印の時を迎えた・・・・

最愛の人、尾崎一蓮、
彼が自分に遺した、唯一の宝「紅天女」
千草はこれを演じることで、一蓮への愛を紡ぎ続けた。
そして、自らが演じられなくなってから数十年の時を経て、
今、再び紅天女が息吹を取り戻そうとしている。
全ては一蓮のために・・・・。
一蓮、もう少しだけ、力を、私に・・・。

意識を取り戻した千草は、最後の気力を振り絞って、紅天女の伝承へと残りの命を燃やしていた。
“忘れないで千草 舞台の上でぼく達はいつも一緒だ・・・”

**
紅天女の故郷に、劇団つきかげ+一角獣のメンバーがやってきた。
千草が倒れたという連絡を源造から受けてやってきたのだ。
久しぶりの仲間との再会に喜び、夜更けまでずっと仲良く語らうマヤ。
紅天女の言葉の意味を必死で理解しようと集中する亜弓は、
無邪気に仲間と盛り上げるマヤの様子に苛立ちを感じていた。
紅天女の言葉の意味を考えなければならない、大切な時期に・・・。
つまらない平凡な子。あんな子に、負けられない・・・・。

意識を回復した千草は、二人を本堂へ呼ぶ。
そして、稽古の進捗を尋ねた。

ぶつかり合う二つの渦とは
天地を荒す二つの独楽とは
“樹”は“気”・・・
我が力は螺旋となりて・・・

理知的に、言葉の意味を追求する亜弓に対し、
紅天女だから分かるのだろうと感覚的に理解するマヤ
対照的な二人はアプローチはそれぞれの演技を刺激する。

千草はマヤ、亜弓そして劇団のメンバーを連れて梅の谷に入った。
ここで、「紅天女」の一節を演じるのが最後のエチュード。
梅の谷で、紅天女のイメージを膨らませていく中、千草が
劇団メンバーに自由にそれぞれ精霊を演じさせる。
風の精、霧の精、こだまの精、龍神、山の神・・・
それぞれが思い思いの精霊を描き自由に動き回る。
千草はそこで、マヤと亜弓に、まず梅の木としてその場に存在するよう命じた。
そして次に合図する時に、紅天女に変化しろと。

美しく佇んでいた亜弓は、合図を受けて実に優雅に、木から天女へと華麗な変化を
演じた。
ため息が出るほどの美しさ。
一方梅の木の生気を全身で受けていたマヤは、千草の合図が聞こえてはいたが
すぐに体を動かすことが出来なかった。
何か分からない、分からないが、体に伝わってくる梅の木の気が、体をとらえて離さない・・・。
まるで自分の体が自分の物ではないような感覚に陥ったマヤは、
「おおおおおおおおおおおおおおお」
とうなり声ともつかない叫び声をあげる。
千草が興奮して紅天女のセリフを言わせる。
「・・・まこと紅 千年の命の花を咲かそうぞ!!」

マヤの振り上げた羽衣は螺旋を描き、周囲の人間はみな、そこに紅天女を見たと感じた。
そして誰よりも、その姿に衝撃を受けたのは亜弓だった。
自分がどんなに努力に努力を重ねても、天才の前には無力・・・。
自分がもがき苦しみながら必死に得ようすることを、マヤがいともやすやすと
呼吸をするように我が物にする姿を目の当たりにして、
自分との間の越えられない差を痛感し、亜弓の心はくじけた。

もうここにいても、自分が出来ることは何もない。
自分が紅天女に選ばれることなどない。
みじめな思い、深い失望と共に、亜弓はこの地を去る決意をした。
荷物をまとめ、人目に付かないようにこっそり山寺を抜け出した亜弓は、
最後にもう一目と、梅の谷へと向かう。
しかし谷へとかかる吊り橋が腐蝕しているので危険だと村人に教えられ渡ることを断念した。
そしてその場を去ろうという時、何も知らないマヤが、同じように梅の谷へと向かおうとしている
姿に気付く。
橋は危険だ、そう伝えようとした亜弓の脳裏に悪魔がささやく。
もし、このままマヤがあの橋を渡ったら・・・
腐蝕に気付かずもし、橋から転落することになれば・・・
マヤがいなくなれば紅天女は・・・
亜弓の中で、これまで一度も芽生えたことのないあさましい嫉妬の心。
しかしいざマヤの悲鳴が聞こえると、亜弓は必死にマヤをひっぱりあげ、助け出した。
命を救ってくれたと素直に感謝するマヤ。
しかし本当の亜弓は、知っていながら見殺しにしようとしていたのだ。
自分の中に有ったこんなにも醜い心・・・。
亜弓は改めて自分に潔癖であろう、たとえ勝負に敗れるとしても、
誇り高き女優であろうと改めて決意し、もうどんな壁を前にしても逃げない事を心に誓う。

**
毎日毎日、全身ボロボロになりながら紅天女のけいこを積む、マヤと亜弓。
これまでの風火水土で学んだこと、
紅天女のセリフに込められた意味を読み解き、体得しようともがく二人。

千草に秘かに介抱されていた英介は、源造の行動を追っていた部下によってその所在を
発見された。
英介無事発見、その一報はすぐに東京の真澄のもとにも届けられ、
その吉報を素直に喜ぶ紫織とともに、真澄は再び紅天女の故郷へ向かう。
そして紅天女の故郷に集まった、演劇協会理事長はじめ実行委員会関係者、
小野寺や黒沼、そして桜小路や赤目慶・・・
梅の里を訪ねてきた人々に千草は、
谷へとかかる吊り橋が復旧したのち、ここにいる皆の前で
亜弓とマヤの「紅天女」エチュードを梅の谷で行い、
そして最後に、月影千草自身が、紅天女を演じる事を宣言した。
これが最後の、千草の紅天女・・・・

山の中で稽古中に真澄の姿を見つけたマヤ。
そばにはぴったりと寄り添う紫織の姿。
まさにお似合いの二人。
泥だらけのマヤの姿を見て、まるで先日の社務所での事などなかったかのように
マヤをからかい、嘲笑する真澄に、マヤは反論もできずただ顔を真っ赤にして涙を流す。
そんなマヤをなぐさめるように肩を抱き、その場を後にする桜小路との様子を
真澄は見送ることしかできなかった。

神がかり的なマヤの演技、しかし亜弓は、その憑依的な能力に表現力が追い付いていないことを悟る。
たとえどんなに紅天女そのものになれたとしても、表現できなければ舞台として観客に伝えられない・・・
そこにマヤの弱点があった。

**
梅の谷、そこは一年の大半を梅の花が覆うような、異空間の地。
まさに、紅天女の故郷。
演劇協会理事長を始め協会関係者や大都芸能の速水英介、真澄そして紫織
黒沼に小野寺、桜小路に赤目慶、さらにカメラマンのハミルなど、関係者も梅の谷に
準備された簡易的な客席に座り、二人の稽古の成果を待っていた。

まずは亜弓の演技ーーーー
亜弓の動きはまさに天女の舞、軽やかで優美で神秘的でさえあった。
亜弓の声はおよそ同じ人物が発しているとは思えないほどの
時に高く鳥のような、時に地鳴りのような低い声、
ここにいるのは人間ではない・・・・誰もがそう思った。

そしてマヤの演技ーーーー
マヤはまるでずいぶん昔からこの地に存在していたかのような自然との調和を見せる。
その存在感は圧倒的で、見る者は異空間のような世界観を全身に受けていた。
披露終了後、マヤに声をかけた真澄。
試演が楽しみだと言って去ろうとする真澄に、マヤは思わず声をかけた。
「今の私にはこれが精いっぱい。
 だけどきっと試演までには、あなたに喜んでもらえるような天女を完成してみせます」

現段階で二人がこの地で吸収した紅天女が、そこに居た。
そしていよいよ、千草の紅天女が、降臨する。

一蓮 魂の半身
今わたし達は一体になる
これが最後の「紅天女」

第23巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
千草と一蓮の関係について触れられる巻でした。
一夜を共にしたのち、自殺されるなんて・・・・。
マヤと亜弓、どちらがより千草を受け継いでいるのかな、と思ってみたのですが、
どちらかというと亜弓さんのようが、往年の月影千草に近いのかなと、
私は思いました。
綺麗だし、表現力もあるし。
でも、一途に一人の男を愛し続ける所(幼い時からの因縁がある所)、秘めた恋
とかは完全マヤだよな・・と思ったり。

この巻、紫織がすごく有頂天に真澄に絡みつく所がいやなんですよね・・・。
晴れて正式に婚約者となったからかなんなのか・・・・
露骨にマヤの事見下すし。
それに調子を合わせてる真澄も、やな奴に見えてきます。
次は月影先生の演技メインだから・・・短くなりそうね。




PINK HOUSE × MCZ

2015-02-22 22:45:38 | MCZ

PINK HOUSE×伊勢丹新宿TOKYO解放区meetsももいろクローバーZ HP

行ってきました。

残念ながらピンクブルゾンは売り切れ。
とりあえず入荷見込が立ったら連絡くれるように申し込んでおきましたが、
全体的な在庫の割り振りもあるので未定とのこと。



こちらは女性用Tシャツ(Lサイズ)


こちらは男性用Tシャツ(Sサイズ)

男性用の柄が好きだったのでSサイズで、あえての白を選択。
これなら普段も着れるかな?


買った枚数に応じてショッピングバッグがもらえました。


こちらのイベントはうろうろしているよ。

伊勢丹新宿店 本館2Fセンターパーク TOKYO解放区
2/18(水)~3/3(火)

日本橋三越本店 本館2F スペース#2
3/11(水)~3/17(火)

銀座三越 3F G-スペース
3/18(水)~3/24(火)

イセタンクローゼット ルクア イーレ店
4/2(木)~4/7(火)


ep第10話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2015-02-20 11:32:56 | ガラスの・・・Fiction
ep第9話←                  →ep第11話
********************
「親父と話をしたんだって?」

紅天女のロングランが決定した後、休演日にマヤは大都芸能の真澄の所へ呼び出された。
「あ、はい。話をした・・・というか、まさかあのおじさんが速水さんの・・・お義父さんだったなんて。。」
過去にも何度か話題に登場した、マヤのお茶友達のパフェのおじさん。
その人が速水英介であったことを、マヤは「紅天女」公演初日に本人から知らされたのだ。
「そりぁもうそれは、びっくりしました。いろいろ悪口言ってたし・・・本人に向かって・・・」

公演初日後のパーティーで、マヤと話をしたという事を聞いて以降、真澄は英介と
じっくり話す機会がなかった。
いまだホテル暮らしは続いているし、なにより鷹通との後始末で仕事もまだまだ山のようにあるのだ。
無理やり作った時間は、「紅天女」の視察に充てていたし。

「で、何を話したんだ?」
マヤに聞きながら真澄は、英介の事だ、既にこうやってマヤに直接聞いていることも
とっくに予想しているだろうと思っていた。
「なにって、素敵な紅天女でしたね、ってことと、あとは・・・」
「上演権のことだろう?」
真澄が言うと、マヤは驚いたように一瞬目を見開き、すぐにコクリとうなずいた。
「はい。今後上演権はどうするつもりなのか?って事と、大都に所属する気はないのかって事を・・・」
「それで君はなんて答えたんだ・・・。」
はやる気持ちで言葉が乱暴になる。
返事によっては既に英介がなにかマヤをおとしいれる策を練っているかもしれないのだ。
本当は初日当日にでも直接マヤに確かめたかったのだが、焦った動きは
かえって英介の思うつぼになることを警戒して、真澄は日を改めてマヤを大都芸能に呼んだ。
「紅天女に関しては、いくら私が上演権を持っていると言っても勝手に決められる問題ではないので、
 演劇協会の方と話をしたいです。あと大都に所属というのは・・・」
真澄の顔をちらりと見たマヤは、
「以前の事もあるので、まずは速水さんと話したいって言いました。」
「・・・・」
とりあえず英介に握られるようなことは言っていないようだ。
真澄は少し落ち着くと、
「ということは、おれはこれから君とその件で話し合いを持たねばならないということだな。」
と言った。
「む。」
マヤの顔がむくれる。
「?なんだ?」
「速水さん・・・・相変わらずいじわるですね。」
「それを言うか」
「イヤミ虫とは言ってません。」
「む。」
目を見合わせた二人は、一瞬のうちに大笑いをした。
「ははははは。そうだったな。約束したもんな。」
「そうですよ、それに速水さんはちゃんと守ってくれてるし。」
チビちゃん・・・・、確かに真澄はもうその呼び名は使わない。
「マヤ・・・」
真澄は優しくマヤの頭を2、3度撫でると、ソファから立ち上がってデスクの方に向かった。
「今日呼び出したのは他でもない。先ほど言った話し合いの場を設けたいのだ。
 しかしながら現在俺は非常に忙しくて時間が取れない。
 といっても君との話を数分の時間を縫ってやるような片手間にはしたくない、そこで・・・」
一旦言葉を切ると、真澄は顔を窓の方に向け、やや気恥ずかしそうに言った。
「来月の休演日に、その時間を設けてくれないだろうか・・・場所は・・・伊豆だ。」

**
「紅天女」の稽古に没頭していた去年11月~12月。
桜小路は必死に一真の心を再構築しようと、舞台に集中していた。
いや、そうではない。
マヤへの気持ちに踏ん切りをつけようと、舞台の事だけ考えていたのだ。
10月の試演の日、
マヤは一つの完成形を、紅天女に見せた。
あの頃のマヤはまだ不安定で、吹けばもろく崩れてしまいそうなぎりぎりの
砂の城といった感じ。
不安な気持ちを必死で信じることで隠しているようにも感じた。
そんな姿を見ていると、思わず手を差し伸べそうになる。
しかし、それはマヤにとって必要のない事だった。
試演終了後、そして紅天女がマヤに決定してから、マヤの雰囲気は一気に変貌を遂げ、
本公演の稽古に入る頃には完全に安定感のある紅天女になっていた。
目の前の舞台に集中する、役者。

「ちょっと酷だなと思う事はあります。」
稽古休憩中、黒沼と話す桜小路はやや伏し目がちにそう言った。
「酷?」
「ええ。だって紅天女は一真と魂の片割れな訳でしょう?
 そして実際の世界で、マヤちゃんはそんな片割れに出会えた。
 舞台ではその感覚を再現すればいい。
 でも僕には・・・その感覚が分からない。」
「・・・お前には想像力はないのか??」
「え?」
「そもそも北島が、舞台の上で一真以外の事を考えているとでも思ってんのか?」
「・・・・・」
黒沼は乱暴に煙草を二吸いすると、灰皿に押し付けた。
「あいつはどう思っているかしらんが、少なくとも舞台の上の北島は、紅天女として
 目の前の相手、お前の一真しか見ていないぞ。」
たとえその感覚の先に、速水の若旦那がいるとしてもだ・・・。
「そうでしょうか・・・」
握りしめた両手に力が入る桜小路。
「お前、北島の事が好きだったのか?」
「・・・ええ。好きでした。」
でした・・・、本当に過去形なのだろうか。桜小路の気持ちはまだはっきりしない。
「好きなら、相手の幸せは自分の幸せなんだろうが・・・、人間の煩悩はそうはいかないな」
紅天女じゃあるまいし、といった黒沼の言葉が心に残る。

「ご苦労様です」
その時、稽古場に長身の男性、それに続いてメガネをかけた長い黒髪の女性が入ってきた。
「お疲れ様です!速水社長」
休憩していた役者陣が次々に速水の周りに集まり挨拶をする。
その輪の少し離れた所で、のぞくようにマヤの姿も見える。
「あ、ほら」
その様子を見ていた黒沼がつぶやいた。
「あいつら、隠してるつもりなんだが、バレバレなんだよな。」
目を合わす機会が多いわけではないが、常に視界の端にマヤを置いている様子の速水、
そして他の役者と話をし、差しいれに手を伸ばしながらも、ふとした瞬間に見上げる
マヤの視線の先には、速水がいた。
「そんなに食べて大丈夫か?」
「大丈夫ですよ、紅天女だってお腹はすきます」
「梅の木なら、食べ物より水の方がよかったかな?」
「ひどい・・・っ」
それを見ていた桜小路がため息をついた。
「本当にマヤちゃんが思っているように、速水さんはマヤちゃんの事、魂の片割れと
 思っているんでしょうか?」
「お前にはそうは見えないか?」
「・・・・分かりません。」
桜小路は真澄が紫のバラの人であることを知らない。
黒沼の口からその秘密を告げる事も出来ず、どうしようかと思っていると、
速水の方から黒沼に、そして桜小路に声をかけてきた。
「稽古の具合はいかがですか?黒沼先生。」
にこやかに話す真澄はここ最近の噂話を察するに、やややせた感はあるが、
それ以上に体内にみなぎる熱気がそれを差し引いて余りある雰囲気だった。
「順調だよ。何より紅天女様があの調子だからな。」
「それは何より。」
そう言って、真澄は黒沼の横でタバコに火を付けた。
「試演では完璧に北島の紅天女におんぶにだっこだった。だから本公演ではもっとしっかりと、
 全体で紅天女を作り上げたい、おれはそう思ってるんだ。」
そう語る黒沼のキラリと光る眼を桜小路はじっと見ている。
「一真はどうだ?順調に稽古は進んでいるか?」
タバコを優雅にふかしながら、速水は桜小路に声をかける。
「・・・どうでしょうか。速水さんにはどう見えますか?」
「う・・・ん、どうだろう。」
一瞬宙を見て、記憶の中に入り込んだように見えた速水だったが、
すぐに現実に戻ると、桜小路の方をじっと見て、
「おれも一真のように、まっすぐに紅天女を思えたら幸せだろうなと思うよ。」
と答えた。
「それは・・・・どういう意味で・・・?」
現実では既に二人は・・・そう思うと桜小路の気持ちも波打つ。
「おれは役者でもなんでもない、ただの観客だ。
 どんなに舞台上の紅天女を美しいと思い、阿古夜に恋をしても、
 その世界に立つ事はできない。
 その代わり舞台の上の一真に感情移入して、まるで自分が一真のような気持ちで
 束の間の夢を疑似体験しているような気になる。だからこそ・・・」
一真である君の演技がとても大切になってくるんだ・・そう語ると真澄は、
タバコを灰皿に押し付け、稽古場を後にした。

「待ってください、速水さん・・・!」
速水を追いかけた桜小路は廊下で声をかける。
「それって・・・、さっきの言葉って・・・・。速水さんもしかして・・・・」
舞台上の僕に、嫉妬しているんですか?
実際はマヤちゃんを手にしているのに・・・
その言葉に真澄はゆっくりと振り返ると、
「舞台の上のマヤは、誰のものでもない。彼女は紅天女だ。
 そしてその天女の最愛の男性は、一真だ」
と言った。
「紅天女に恋をさせてやれるのは、一真、君だけだ」

「黒沼先生、一真はしょせん人間なんですよね。」
稽古場に戻ってきた桜小路は、何本目なんだろうというタバコを口にしている黒沼の横に
再び腰かけると、そう言った。
「人間なんて、煩悩まみれだ。紅天女は神だけど、一真は人間。
 しかも男だ。時に揺らぐこともあるし、信じたいと思っても信じられない時もある。
 梅の木の精はそれがない。好きだと思えばまっすぐ愛するだけ・・・・
 そしてそんなまっすぐさに僕はあこがれている・・・・」
マヤちゃんは何より演劇を愛している。
芝居がしたい、その情熱だけで生きている。
そしてそんな情熱を全て包みこみ、愛しているのが速水真澄、あの人だ。
僕はマヤちゃんの事を好きだと言いながら、演劇にだけ集中する彼女に寂しさを抱いた。
舞台上では恋人、と言いながら、現実世界でも彼女にそれを追い求めてしまった。
「僕は・・・凡人だ・・・」
頭を抱える桜小路だったが、次の瞬間
「でも僕は一真だ。紅天女を愛する事はできる。自らに課せられた使命と
 阿古夜への愛とのはざまで苦しむ一真。
 僕の心の揺らぎはそのまま一真の心の迷い・・・」
今まで僕が集中しきれなかった、それは、
マヤちゃんが僕に、僕でない人の影を重ねているように思っていたから。
一真を演じる僕ではなく、現実世界の速水真澄を見ているように感じていたから。
でも舞台上でマヤちゃんはちゃんと僕の一真を見てくれている、愛してくれている。
そしてそのことを、速水さん自身もそう感じている。
彼女は、ちゃんと演じているんだ。

「黒沼先生、さっき先生が言った言葉の意味、僕やっとわかりましたよ。」
そういう桜小路の目にもう迷いは見えない。
「マヤちゃんは・・・紅天女は僕を見ている、僕を愛している。だから僕も、それを信じる。
 だけど僕は人間だから、弱い男だから、時に煩悩がそれの邪魔をする・・・だけどーーー」
それでもいいんだ・・・・
僕は僕として、一真になればいい。

「ようやく目覚めたか、本物の一真が・・・」
にやりと笑うと黒沼は、稽古の再開を皆に叫んだ。


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ep第9話←                  →ep第11話

~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
一晩寝たら、妄想がつながりました。
そうか、英介を動かす人がまだ、東京にいたんだった・・・。
例の伊豆の約束果たす時がやってきた!
だけど伊豆話、長くなりそうだし、マヤと真澄のラブ関係話は
体力使うので、さっさと脇道に逸れて脇役キャラのその後を
書く事にしてしまった・・・・。

桜小路君・・・・結局何が言いたいのか分からなくなったけど、
マヤの紅天女を支えられる程度には、存在感を発揮してほしい。
そう願っています。
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ep第9話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2015-02-19 16:21:48 | ガラスの・・・Fiction
ep第8話←                  →ep第10話
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新春公演『紅天女』は、まるでそうなることを見越していたようにロングラン公演となった。
マヤは舞台上で紅天女になれることに喜びを感じ、何度舞台に立っても新たな発見と
次への挑戦欲を高めた。
幕が下りた後はいつも、この激動の一年を振り返る。
そして、思い出すのは、初日の舞台ーーー

**
「月影先生!!!」
マヤの初日を観るために、そして何より『紅天女』復活を見届けるために、
千草は上京してきた。
薄氷を踏むような危うい体調なのは変わりがないが、今は紅天女を後身に託せた安堵からか、
穏やかな表情をしている。
「どうでしたか???私の・・・・紅天女は??」
着替えるのもとりあえず、マヤは矢継ぎ早に千草に尋ねた。
「すばらしかったですよ・・・。あなたの紅天女は。これこそ、紅天女です。」
そういって優しく微笑む千草の顔を見た瞬間、マヤの目から大粒の涙が流れ落ちる。
「おやおや舞台を降りたらいつもの普通の女の子に戻ってしまったようだな。」
そう言ってにこやかに二人の所に近づいてきたのは、他ならぬ真澄だ。
「速水さん・・・」
「よくやったな、マヤ。素晴らしかったよ」
そういう真澄の顔は、どこまでも優しい。
いつからだろう、人前でこんな表情を隠さずにするようになったのは・・・・。
千草はこれまで知っていた真澄の冷たく、決して人に本性を見せない鋼鉄の顔を思い、
ここまで変わった理由がマヤにあること、そしてそんな二人の関係が、
今日のこの素晴らしい紅天女の礎となっていることを悟った。
「マヤ、あなたの目には本物の恋の炎がありましたよ。全ての物を包み込む慈愛と、
 自分の命よりも大切な、一真への思い。
 あなたが観客みんなに魂の片割れのリアリティーを感じさせていました。」
千草の言葉は、マヤにとって何よりの励まし。
千草は、マヤが紅天女に新たな息吹を与えたことに、心から喜びを感じていた。
それは、かつて自身が尾一蓮に思いを託した、あの紅天女とはまた異なる、
今の時代の、天女だった。
“一蓮、私とうとうやり遂げました。あなたの紅天女を、復活させることができた・・・
 あなたは喜んでくれていますか・・・?そして私を、褒めてくれますか・・・”

初日後のパーティーがあるからと、準備のためマヤがその場を離れると、
真澄は千草に尋ねた。
「で、月影先生、これからどうなさるおつもりですか?また梅の里に戻られるのですか?」
「私のやるべきことはこれで本当にもう全て終わりました。
 マヤの紅天女を見届けて、私はもう思い残すことはありません」
そう語る千草の顔はどこまでもさっぱりしていて、まるでもうこの世に未練などないというようだった。
「月影先生、思い出に浸って余生を過ごすのも悪いことではありませんが、どうですか?
 今しばらく体を優先に、ちゃんとした治療を行うというのは・・・」
「・・・真澄さん、私は先ほども言った通り、もうやり残したことなどありません。
 あとはただ穏やかに、暮らしたい。そしていつか一蓮の元へ、・・・・その時は・・・」
そういう千草の意志は固く、梅の里に戻る決意は揺らぐことはなさそうだ。
「それならせめて月影先生、向こうでの最低限の医療的対応と、生活の保障をさせて頂けませんか?」
「それはどういう意味です?真澄さん。
 あなたはまだ、私の紅天女に固執しているの?それとももしや・・・」
速水英介・・・あの人の指示で?と問う千草に、真澄はゆっくりとかぶりを振った。
「いえ、これは僕の個人的な申し出です。それともこういえば理解して頂けますか?・・・これは・・・」
紫のバラの人からの、お礼だと言えば・・・・・。
そう語る真澄の目は、真剣だった。
「紫のバラの人は、北島マヤさんの先生である月影さんの事を大変案じています。
 北島マヤさんが安心して舞台に集中できるよう、何かあったらまた指導を賜れるよう、
 月影先生にはいつまでも長生きして頂きたいと思っています。」
「・・・・真澄さん・・・・あなた・・・・あなたが・・・・」
「そして、速水真澄自身としても・・・、僕はもう見たくないんですよ。」
そう言って一瞬下を向き、拳を握りしめた真澄。
再び顔を上げたその目には、熱い思いが燃えていた。
「マヤが、また大切な人を失って悲しみにくれる姿を・・・・、もう二度と・・・・」

**
真澄と千草が話をしているその頃、マヤはマヤで一つの事実に直面していた。
「素晴らしい舞台でしたね」
そう声をかけられたマヤが振り返るとそこには、車いすにのった男性がいた。
「パフェのおじさん!!!」
駆け寄るマヤ、しかしここは関係者以外立ち入り禁止のエリアのはず。
「おじさん、どうしてここに入れたの?観客の方はみなもうお帰りになっているはずじゃ・・」
「おやおや、そういえばわしはまだ、あんたに自己紹介をしてなかったかのう。
 わしはこの劇場の関係者じゃよ。」
そういうと、そばにいた秘書に名刺を手渡させた。
それを受け取ったマヤは、その名刺に書かれた文字を読んで息をのむ
「大都グループ会長・・・・速水・・・・英介・・・!?」
「いつもうちの息子がお世話になっていたようじゃな」
速水さんの、お義父さん!!
「ゲジゲジの大将!?」
思わず大声を上げたマヤに、英介の周囲の人間が驚き焦るのと対照的に、
英介はいつものような大声で笑った。
「はっはっはっはっはっはーーー!!そうじゃ、わしがその、ゲジゲジの大将じゃよ!!」

**
大都劇場ロビーでの『紅天女』再開公演初日を祝う会は、正月2日という事も相まって
大変な華やかさで開催された。
取材記者たちの数もさることながら、ありとあらゆる演劇関係者がその場にいたと言ってもいい。
そしてその記者たちの質問はやはり、主役である北島マヤに集中した。

「あ~~~、えっと・・・その・・・、幸せでした。やっと紅天女になれたんだなと思って・・・」
相変わらずの記者対応に、遠くで常に気にしていた真澄も思わず苦笑いをする。
そんな真澄の横に、英介が現れた。
「北島マヤと、話をしたよ」
真澄の背中が凍りつく。

真澄と紫織の婚約解消、最後まで立ちはだかったのは英介だった。
鷹宮側は、紫織が自らの体調不良が招いたことだと説明し、
いまだ安定しない精神状態を回復させるためにも、真澄から自立して一人静養することを
強く求めると、何より孫娘がかわいい鷹宮会長はそれ以上この縁談を進める意欲など
わきようもなかった。
そして真澄と紫織の間に、今までは感じなかったある意味での強い信頼関係があることを
見抜いた会長は、大都側にペナルティを求めるようなことはせず、
ただビジネスとしての関係を維持する形でソフトランディングしていった。

しかし英介からすれば、非常に納得がゆかない。
もう少しで、鷹通の全てを手に入れることが出来ていたのに、
真澄が紫織とあのまま結婚してさえいれば。
結婚に愛など求めない英介からすれば、真澄の決断ははなはだ甘くぬるいものであり、
ビジネスマンとして有り得ない結果だった。
たとえ紫織がどれほど病弱であろうとも、心身を病んでいようとも、
血縁すら信用しない英介にとっては、大した問題ではなかった。
書類上、形式上夫婦になるだけで構わない・・・。
しかしそれを真澄は拒絶し、婚約を破棄した。
大都がこうむる損害は最小限に抑えるよう最善の努力をするという事、そして
もし、それでも英介が納得しないというのなら、速水家を出ていくことも辞さないと。
そうまでして、紫織との結婚を拒否した理由は・・・・。
自分にあって真澄にないもの、そして真澄にあって自分にないもの・・・・
英介は一つの想定をしていた。

「紅天女はどうなったんだ?」
「素晴らしい舞台になったと思いますが・・・・」
英介の質問がその答えを求めていたのではないことは分かっていたが、
あえて真澄はそう答えた。
「手に入るのか?大都に?」
「・・・さあ、それはどうでしょう。僕自身、どうなるか分かりませんしね。」
「紅天女」の上演権は北島マヤ個人の物となっている。
今回の公演は、演劇協会が設立した紅天女上演実行委員会が執り行った。
裏で実質の制作にかかわったのは確かに大都芸能であるが、独占ではない。
今後の焦点は、北島マヤがどこの芸能事務所と契約をするのかに集まっている。
「北島マヤと、何を話したんですか?」
今度は真澄から質問した。
「それをお前に話す必要はない。」
「じゃあなぜそのことを僕に言ったんです。話すつもりがないなら言う必要もないではないですか?」
「以前、わしは確かにお前に言ったはずだが・・・?」
お前がやらなければ、わしがやると・・・・
「・・・!?お義父さん、何をお考えですか?」

その時、マヤに記者の質問が飛んだ。
「北島さん、今後どこか芸能事務所に所属するおつもりですか?」
「フリーで今後もやっていくんですか?」
「確執があると言われている大都芸能が今回の制作には関わっていますが、そのことについて何か?」
矢継ぎ早の質問に目をくるくるさせるマヤを助けようと、とっさに真澄が動こうとしたその時・・・
「北島マヤさん、お届けものです・・・」
マヤと記者の間に割り込むように、大きな紫のバラの花束がマヤの手に届けられた。
「紫の・・バラ・・・」
小さな体にいっぱいのバラの花をそれはそれは大切そうに抱えたマヤは、
しばらくその幸せの余韻に浸ったのち、記者の方を向き、
「とりあえず今は、紅天女の事だけを・・・・。今後の活動については、そして紅天女の今後の上演については
 幕が下りてから改めてお答えします。」
としっかりとした口調で話した。

「紫のバラの人・・・か。いったい誰なんじゃろうな。」
そう言いながら英介はちらりと真澄の方を見た。
先ほどマヤに花を届けた配達人・・・、見覚えがあるような・・・。

紫のバラを抱えるマヤの写真は、翌日の新聞でも大きく取り扱われ、
紅天女の舞台成功とともに、マヤの演劇人生を語るエピソードとして取り上げられた。
当初1ヶ月の予定だった舞台は、早々に3月末までの上演延長が決定したが、
更に興味を持った人々が殺到し、すぐにプラチナチケットと化した。
そして今回観ることの出来なかった人々からの熱烈な再上演を希望するメッセージが
上演委員会に届き、早くも来年以降の紅天女に向けての話が出ている。
しかし上演権はマヤが保有している。全てはマヤの意志次第。
こうして、日本を熱狂の渦に巻き込んだ『紅天女』の3ヶ月が瞬く間に過ぎて行った。


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ep第8話←                  →ep第10話

~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
なんだか微妙に伏線チックな表現がちりばめられていますが、
まだオチを悩んでいるだけだったりして・・・。

そういえば紫のバラの人カミングアウトは既にしてたけど、
缶ジュースのおじさんカミングアウトはまだだったことを思い出し、
挿入しました。
悩みどころは、カミングアウトせずにマヤにかまかけて真澄の事ゲロらせるか、
先にカミングアウトしてから真澄とのことを聞くのか・・・。

いわゆる悪英介だったら絶対最初のやり方だと思うのですが、
英介もマヤにメロメロだしな~~~、あと老いてきてるし・・・とか
悩みました。
で、結局、どうしたんでしたっけ??あ、まだ書いてないや。
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