※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※
仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら
49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら
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『ガラスの仮面』文庫版第23巻 ※第12章(途中から)※第13章(途中まで)
第12章 紅天女
能面をつけて現れた千草の表情は見えない。
荘厳な天女
恥じらいを見せる乙女・阿古夜
うかがえない表情が見えるように、千草の演技は違和感なく観客全員を包み込む。
千草の演じる『紅天女』は、まさにこの地で演じられることで
一つの完成形を見せた。
しかしクライマックスを演じることなく、千草の舞台は終了する。
この続きは、若い後継者がきっと演じてみせます。
そう言って千草は、自らの紅天女を永遠に封印するかのように
付けていた能面を真っ二つに割った。
千草の演じる紅天女に魅入られ、その世界観にどっぷりと浸かるマヤ。
千草のしぐさ一つ一つの微妙な表現が、得も言われぬ紅天女の世界観を構築していることに
驚愕する亜弓。
何十年と愛し続けた紅天女を、千草を再びこの目で見ることが出来た英介の感慨。
仲良く寄り添う桜小路とマヤに、あきらめたはずの思いが嫉妬とともに再び沸き起こる真澄。
見ている者それぞれに深い感動と感銘を残し、千草の紅天女は永遠の眠りについた。
「紅天女の恋は、わたしの恋でした。
舞台の上の阿古夜の思いは、そのままわたしの思いとなり、
阿古夜のセリフはそのままわたしの言葉となりました。」
魂を乞う、それが恋・・・
出逢ってしまえば惹かれあい、近づきあい、どんなことがあっても離れる事ができない・・・
それが魂の片割れ
**
千草の紅天女を見た後のマヤは、素直にその感動に浸っていた。
体の中まで、紅天女の霊気が流れ込んでいるような感覚、
先ほど千草が演技で使用した打掛をこっそり身に着け、梅の枝を手に
梅の谷で阿古夜の気持ちを反芻させていた。
真澄もまた、先ほど見た紅天女の夢のようなひと時の余韻が冷めきれずに
一人梅の谷を歩いていた。
そして森の中に、天女を見つけた。
小川を挟んで対峙する二人。
何も言わず、見つめあう二人。
「あの日、はじめて谷でおまえをみたとき、阿古夜にはすぐにわかったのじゃ」
おまえがおばばのいう魂の片割れだと・・・
「捨ててくだされ 名前も過去も 阿古夜だけのものになってくだされ・・・」
マヤは右手をすっと差し出した。
その手に引き寄せられるように、真澄の手も差し出される。
その時・・・・
二人の体はまるで幽体離脱でもしたかのように宙に舞い、
魂と魂が結び合うように一つの大きな球となって、心と心が抱き合った。
身に着ける物など何もない、
ただ一人の男として、女として。
魂と魂の融合・・・。
次の瞬間、体が重なり合うように互いの体をすり抜けた二人の魂は再び、
それぞれの入れ物に戻って行った。
それは、実に不思議な体験。
現実とは思えない、非科学的な感覚。
真澄を呼ぶ紫織の声に、ふと我に返った時、目の前にいたはずのマヤの姿は
もうそこにはなかった。
あれは・・・幻?
マヤもまた、先ほどの感覚が現実だったのか理解できずにいた。
魂のふれあい、速水さんは私の・・・?
**
2ヶ月に渡る梅の里での稽古も終わり、いよいよマヤと亜弓が東京に戻る日がやってきた。
この地で学んだことを土台に、あとはそれぞれの紅天女を作り上げる・・・。
亜弓はいまだ自分自身がこの地で学び残したことがないか悩んでいた。
一方マヤは真澄の事を思い出しては涙を流していた。
すると千草は二人を呼び出し、吊り橋に火をつけると、もう二度と谷へと渡れないように橋を焼き落とす。
「紅天女はもう、あなたたちの中にあるのです」
最後の夜も、亜弓は雨の中必死に紅天女の稽古をしていた。
それに気づいたマヤは、亜弓の美しさに改めて驚き、やっぱり亜弓にはかなわないと震えた。
その様子にマヤに対するいらだちが爆発した亜弓は、あなたのそういう所が嫌いだと罵倒する。
天性の才能で、いつも当たり前のように演技をする。
亜弓が必死になってやっと掴んだ役との一体感も、マヤにとっては当たり前のいつものこと。
女優として、あなたに勝った覚えがない・・そういう亜弓に、
私なんかと自虐的に返すマヤを腹立たしく思う亜弓。
「あの日、橋から落ちそうになった時、私はあなたを見殺しにしようとした
あなたなんかいなくなればいいと、本気で思っていた」
亜弓のマヤに抱いてきた劣等感。どんなに努力しても報われない思いを抱えながら、
それでも誇り高くあれと顎を上げて生きてきた女優人生。
私なんて、亜弓さんの方が・・・そんなことばかりいうマヤ、それなのに私はこの子に今まで一度も
勝てていない・・・。
不安、焦燥感、嫉妬、憎しみ、醜い感情は全てあなたのせいで私の中に生まれてきた。
亜弓の悲痛な叫びに、思わず涙を流すマヤ。
その姿に、同情などしてほしくないと亜弓はマヤの頬にビンタをくらわせた。
「紅天女は譲れない」
マヤも同じように亜弓の頬をはる。
初めて心と心をさらけ出して体中ボロボロになりながらケンカをするマヤと亜弓。
そして夜が明け、空が白み始める頃、
二人は互いのひどい姿を見ながら大声を上げて共に笑い、次は紅天女の試演でと、ライバルをたたえあった。
最後の挨拶にと、月影千草のもとを訪ねた真澄だったが、
五感はマヤの姿を探していた。
ひと目姿をみるだけでも、そう期待している自分がいた。
マヤへの思慕の思いを募らせながら、真澄は山寺を後にする。
外に出ていたマヤは真澄の車を見かけ、あわてて山寺に戻ってくるが
既に姿はない。
真澄が座っていた座布団を胸に抱え、改めて自分の中で膨らんでいく
真澄への恋心に涙を流す。
千草に、魂の片割れについて質問するマヤ。
その人に出会ったらどんな気持ちになるのかと。
マヤの目に本物の恋をしている色を察した千草は、優しく諭すように語った。
魂の半身にもしめぐり会ったのなら、魂と魂が響きあい、互いにとってかけがえのない相手だということが
理屈ぬきで感じあえる
もしそんな相手にであったなら、勇気をもって一歩を踏み出す事
自分の運命の扉を開くのは、自分だけ・・・
大切なのは魂と魂の結びつき、たとえ表面上の恋が実らなくても
そして共に生きる時、そのとき初めて生まれてきた意味を知る・・・
それが紅天女の恋ーーー
空に流れ星がきらめく。
以前、真澄と二人で見た星。あの時真澄は、俺の願いはきっと一生かなわない・・・と言っていた。
そんなの悲しすぎる。かなわないなんて・・・。
空に再び流れ星がきらめいたとき、
マヤはその星に願った。
“お願い・・・!”
紅天女の故郷での夢のような経験を胸に、真澄は東京へと戻ってきた。
向こうで英介に言われた言葉が重くのしかかる。
紅天女を必ず、大都のものにしろ。たとえ北島マヤであろうとも。
拒否するようだったら、マヤをつぶせ。
もしおまえができないのだったら・・・わしがやる
移動車の中で流れ星を見つける秘書水城。
東京でも見えることがあるのだと、改めて真澄は梅の里での出来事が
全て自分中の幻であることを、そしてこれから先自分はこの闇のような現実の中で
生きていくしかないことを思った。
第13章 ふたりの阿古夜
紅天女の故郷での日々、真澄と見た星空、一夜を過ごした社務所、
梅の谷での魂のふれあい・・・
マヤは東京に戻ったら真澄に会いに行こうと決心していた。
会って、これまでのお礼を言おう。そして、
好きだと伝えよう・・・・。
しかし、東京に戻ったマヤがたどり着いた場所は、真澄と紫織の婚約披露宴会場だった。
第24巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
「紅天女」の章はさくっとね・・・。
梅の里で見た流れ星に、マヤは願いを込めます。
その内容は分かりませんが、のちに私の願いはかなわないってわかったから・・って
嘆く所を見ると、やはり真澄との事を願ったのではないでしょうか。
亜弓さんみたいに、理論から入る人好きです。
天賦の才にあぐらをかかない努力の人、何ものちにあんな試練を与えなくても・・・。
今の所、心で紅天女を理解しているマヤが少しリード・・といった所でしょうか。
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※
仮面年表は こちら
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『ガラスの仮面』文庫版第23巻 ※第12章(途中から)※第13章(途中まで)
第12章 紅天女
能面をつけて現れた千草の表情は見えない。
荘厳な天女
恥じらいを見せる乙女・阿古夜
うかがえない表情が見えるように、千草の演技は違和感なく観客全員を包み込む。
千草の演じる『紅天女』は、まさにこの地で演じられることで
一つの完成形を見せた。
しかしクライマックスを演じることなく、千草の舞台は終了する。
この続きは、若い後継者がきっと演じてみせます。
そう言って千草は、自らの紅天女を永遠に封印するかのように
付けていた能面を真っ二つに割った。
千草の演じる紅天女に魅入られ、その世界観にどっぷりと浸かるマヤ。
千草のしぐさ一つ一つの微妙な表現が、得も言われぬ紅天女の世界観を構築していることに
驚愕する亜弓。
何十年と愛し続けた紅天女を、千草を再びこの目で見ることが出来た英介の感慨。
仲良く寄り添う桜小路とマヤに、あきらめたはずの思いが嫉妬とともに再び沸き起こる真澄。
見ている者それぞれに深い感動と感銘を残し、千草の紅天女は永遠の眠りについた。
「紅天女の恋は、わたしの恋でした。
舞台の上の阿古夜の思いは、そのままわたしの思いとなり、
阿古夜のセリフはそのままわたしの言葉となりました。」
魂を乞う、それが恋・・・
出逢ってしまえば惹かれあい、近づきあい、どんなことがあっても離れる事ができない・・・
それが魂の片割れ
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千草の紅天女を見た後のマヤは、素直にその感動に浸っていた。
体の中まで、紅天女の霊気が流れ込んでいるような感覚、
先ほど千草が演技で使用した打掛をこっそり身に着け、梅の枝を手に
梅の谷で阿古夜の気持ちを反芻させていた。
真澄もまた、先ほど見た紅天女の夢のようなひと時の余韻が冷めきれずに
一人梅の谷を歩いていた。
そして森の中に、天女を見つけた。
小川を挟んで対峙する二人。
何も言わず、見つめあう二人。
「あの日、はじめて谷でおまえをみたとき、阿古夜にはすぐにわかったのじゃ」
おまえがおばばのいう魂の片割れだと・・・
「捨ててくだされ 名前も過去も 阿古夜だけのものになってくだされ・・・」
マヤは右手をすっと差し出した。
その手に引き寄せられるように、真澄の手も差し出される。
その時・・・・
二人の体はまるで幽体離脱でもしたかのように宙に舞い、
魂と魂が結び合うように一つの大きな球となって、心と心が抱き合った。
身に着ける物など何もない、
ただ一人の男として、女として。
魂と魂の融合・・・。
次の瞬間、体が重なり合うように互いの体をすり抜けた二人の魂は再び、
それぞれの入れ物に戻って行った。
それは、実に不思議な体験。
現実とは思えない、非科学的な感覚。
真澄を呼ぶ紫織の声に、ふと我に返った時、目の前にいたはずのマヤの姿は
もうそこにはなかった。
あれは・・・幻?
マヤもまた、先ほどの感覚が現実だったのか理解できずにいた。
魂のふれあい、速水さんは私の・・・?
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2ヶ月に渡る梅の里での稽古も終わり、いよいよマヤと亜弓が東京に戻る日がやってきた。
この地で学んだことを土台に、あとはそれぞれの紅天女を作り上げる・・・。
亜弓はいまだ自分自身がこの地で学び残したことがないか悩んでいた。
一方マヤは真澄の事を思い出しては涙を流していた。
すると千草は二人を呼び出し、吊り橋に火をつけると、もう二度と谷へと渡れないように橋を焼き落とす。
「紅天女はもう、あなたたちの中にあるのです」
最後の夜も、亜弓は雨の中必死に紅天女の稽古をしていた。
それに気づいたマヤは、亜弓の美しさに改めて驚き、やっぱり亜弓にはかなわないと震えた。
その様子にマヤに対するいらだちが爆発した亜弓は、あなたのそういう所が嫌いだと罵倒する。
天性の才能で、いつも当たり前のように演技をする。
亜弓が必死になってやっと掴んだ役との一体感も、マヤにとっては当たり前のいつものこと。
女優として、あなたに勝った覚えがない・・そういう亜弓に、
私なんかと自虐的に返すマヤを腹立たしく思う亜弓。
「あの日、橋から落ちそうになった時、私はあなたを見殺しにしようとした
あなたなんかいなくなればいいと、本気で思っていた」
亜弓のマヤに抱いてきた劣等感。どんなに努力しても報われない思いを抱えながら、
それでも誇り高くあれと顎を上げて生きてきた女優人生。
私なんて、亜弓さんの方が・・・そんなことばかりいうマヤ、それなのに私はこの子に今まで一度も
勝てていない・・・。
不安、焦燥感、嫉妬、憎しみ、醜い感情は全てあなたのせいで私の中に生まれてきた。
亜弓の悲痛な叫びに、思わず涙を流すマヤ。
その姿に、同情などしてほしくないと亜弓はマヤの頬にビンタをくらわせた。
「紅天女は譲れない」
マヤも同じように亜弓の頬をはる。
初めて心と心をさらけ出して体中ボロボロになりながらケンカをするマヤと亜弓。
そして夜が明け、空が白み始める頃、
二人は互いのひどい姿を見ながら大声を上げて共に笑い、次は紅天女の試演でと、ライバルをたたえあった。
最後の挨拶にと、月影千草のもとを訪ねた真澄だったが、
五感はマヤの姿を探していた。
ひと目姿をみるだけでも、そう期待している自分がいた。
マヤへの思慕の思いを募らせながら、真澄は山寺を後にする。
外に出ていたマヤは真澄の車を見かけ、あわてて山寺に戻ってくるが
既に姿はない。
真澄が座っていた座布団を胸に抱え、改めて自分の中で膨らんでいく
真澄への恋心に涙を流す。
千草に、魂の片割れについて質問するマヤ。
その人に出会ったらどんな気持ちになるのかと。
マヤの目に本物の恋をしている色を察した千草は、優しく諭すように語った。
魂の半身にもしめぐり会ったのなら、魂と魂が響きあい、互いにとってかけがえのない相手だということが
理屈ぬきで感じあえる
もしそんな相手にであったなら、勇気をもって一歩を踏み出す事
自分の運命の扉を開くのは、自分だけ・・・
大切なのは魂と魂の結びつき、たとえ表面上の恋が実らなくても
そして共に生きる時、そのとき初めて生まれてきた意味を知る・・・
それが紅天女の恋ーーー
空に流れ星がきらめく。
以前、真澄と二人で見た星。あの時真澄は、俺の願いはきっと一生かなわない・・・と言っていた。
そんなの悲しすぎる。かなわないなんて・・・。
空に再び流れ星がきらめいたとき、
マヤはその星に願った。
“お願い・・・!”
紅天女の故郷での夢のような経験を胸に、真澄は東京へと戻ってきた。
向こうで英介に言われた言葉が重くのしかかる。
紅天女を必ず、大都のものにしろ。たとえ北島マヤであろうとも。
拒否するようだったら、マヤをつぶせ。
もしおまえができないのだったら・・・わしがやる
移動車の中で流れ星を見つける秘書水城。
東京でも見えることがあるのだと、改めて真澄は梅の里での出来事が
全て自分中の幻であることを、そしてこれから先自分はこの闇のような現実の中で
生きていくしかないことを思った。
第13章 ふたりの阿古夜
紅天女の故郷での日々、真澄と見た星空、一夜を過ごした社務所、
梅の谷での魂のふれあい・・・
マヤは東京に戻ったら真澄に会いに行こうと決心していた。
会って、これまでのお礼を言おう。そして、
好きだと伝えよう・・・・。
しかし、東京に戻ったマヤがたどり着いた場所は、真澄と紫織の婚約披露宴会場だった。
第24巻へは・・・こちらから
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「紅天女」の章はさくっとね・・・。
梅の里で見た流れ星に、マヤは願いを込めます。
その内容は分かりませんが、のちに私の願いはかなわないってわかったから・・って
嘆く所を見ると、やはり真澄との事を願ったのではないでしょうか。
亜弓さんみたいに、理論から入る人好きです。
天賦の才にあぐらをかかない努力の人、何ものちにあんな試練を与えなくても・・・。
今の所、心で紅天女を理解しているマヤが少しリード・・といった所でしょうか。