(み)生活

ネットで調べてもいまいち自分にフィットしないあんなこと、こんなこと
浅く広く掘っていったらいろいろ出てきました

( ´艸`)☆更新履歴☆(´~`ヾ)

(ガラスの・Fiction)49巻以降の話、想像してみた*INDEX (2019.9.23)・・記事はこちら ※ep第50話更新※
(ガラスの・INDEX)文庫版『ガラスの仮面』あらすじ*INDEX (2015.03.04)・・記事はこちら ※文庫版27巻更新※
(美味しん)美味しんぼ全巻一気読み (2014.10.05)・・記事はこちら ※05巻更新※
(孤独の)孤独のグルメマップ (2019.01.18)・・記事はこちら ※2018年大晦日SP更新完了※

(・Θ・)★せめて一言だけでも毎日更新★ (´∩ω∩`*)

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モバイルSuicaのエラー(S008)ともろもろ雑談

2016-05-23 10:55:03 | 雑談

数日来からモバイルSuicaでエラーが表示されるようになりました。
ネットで調べても結局ドンピシャな回答にたどり着かなかったので、
私の場合はこうやって解決したということを記載しておきます。

どこかで同じような人がいたら、やってみてください。


エラー内容

スマホアプリ:モバイルSuicaを起動させると

×起動エラー
起動中に予期しないエラーが発生しました。
お手数ですが、携帯電話の設定を確認の上、
再度お試しください(S008)

と表示され、起動できない。

※モバイル定期券の使用は問題なし
※モバイルSuicaでの買い物も問題なし

起動できない=定期購入および入金チャージができないという状況

ネットで調べた所、
設定→アプリケーション→"モバイルSuica"→データ消去
すると復活するという情報あり
試すも不発

スマホの再起動→不発

アプリを再インストール(再発行手数料500円ちょっとかかります)→不発

途方に暮れる

で結論、私の場合は
スマホが電池の消耗もはげしく、容量も少ないもので
殆どのアプリケーションを削除した状態、最低限のものしか
入れていません。
加えて、プリインストールアプリもほとんど無効にしている状態で
恐らくこの無効化したアプリのどれかが必要なのだろうと試したところ


■モバイルFeliCaクライアント

が有効になっていないとだめでした。
ってあ、これ常識です?

結局アプリの再インストールの必要はなかったので500円ちょっと
損したなーって感じでしたが、とりあえず無事定期も買えたし
チャージも、入退場もできたしよかったよかったです。

**************

ガラスの仮面Fictionの件 ページ

PC版じゃないと見れないのかもしれないのですが
一応お知らせでしばらくお時間頂きますと案内をしています。

なんでかというと、これから先の数話が
(み)完全オリジナルキャラ暴走シリーズになりそうで
マヤちゃんとか真澄さんとかの心情がほとんど書けない話。

読み手側の気持ちとして私の場合は先々の読めない展開に
ハラハラするのが好きじゃなくて、
結論が決まっているという安心感のもとジェットコースターを
楽しみたい派なのです。

あと、正直主要キャラ以外の人物がいろいろ動く回は
うっとおしい(じゃあ書くなよ、は×で・・)、
だったらせめてまとめて読みたい
というわけで、このくだりが終わるまでまとめ書きします。
全部書いたらまとめて載せますのでしばしお待ちを。。。

主要キャラ外の人物が勝手に動くと、なんか不幸の予感がして
いやじゃないです?私は完全ハッピーエンド希望派なので
むやみな修羅場とか危機とかいやなんです~~~~~~。
どうでもいいやつに引っ掻き回してもらいたくない!!
でもそれがないと物語的に盛り上がらないでしょ・・・
そのバランスが難しい。と思います。

でもオリジナルキャラ暴走シリーズは書きやすいというメリットも
あるので、恐らくそんなには時間かからず復活すると思います。
何度も言い訳していますが、主役に不幸はありません。

それにしてもだらだらと書いてる割に結構話数がすすんだな~と
この前少し感慨深く思いました。

原作はドラマチックな展開がないと困りますが
現実世界に生きていたらと考えたら、これくらいゆったりのんびり
二人の関係は続いていくのかなーとか
そんなに簡単にキャリアアップは出来ないよねーとか
リアルに存在する旬の女優さんを見ながら思います。

たった1作がその人の転機となり
たった1作がその人の価値を上げたり下げたりする
数字一つでイメージが固定化されたり
でも何気ない発言で急にイメージが変わったり
たった一つのスキャンダルですべての仕事を失ったり
見せ方ひとつでファンにもアンチにもなったり

本当に、自分を魅せる、自分自身を売る仕事をしている芸能人って
大変だなと思います、特に今の時代。

フィクションはフィクションとして、その時代を反映させながら
ハッピーな話これからも書きたい!!!

引き続き、生暖かい目で読んで頂ける方いたらうれしいです。


**************

孤独のグルメの件 ページ


なんか急に孤独のグルメ記事へのアクセスが増えた日があったので
急ぎ、閉店確認だけネット上ですが行いました。







(み)


ep第36話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2016-05-17 11:58:52 | ガラスの・・・Fiction
ep第35話←                  →ep第37話
********************
「緊張します・・・」
会場脇で記者会見を待つマヤはドキドキを抑えられずにいた」
「そうだね、マヤちゃんはなんていっても今日二本立てだもんね」
ともに会見に臨む是永、そして主演男優賞を受賞した境でさえ、余裕の表情だ。
「でもさ、後半の記者会見には速水社長も同席してくれるんでしょう。」
安心じゃない、と言われたマヤ、確かに1人よりはずっと気が楽なのだが・・・
「昨日の姫川亜弓の記者会見は見たの?」
「ええ、録画してもらったものを・・・」
あんなに堂々と受け答えできない!
かえってプレッシャーになりました、と顔を両手で覆うしぐさがかわいらしい。
「ま、気にせず本当のことを言えばいいよ」
それより見て・・・とうっすら開けたドアの隙間から会見場を覗かせる。
「あの金屏風、まるで婚約会見みたいだよね」
「なっ!!!???」
思わず顔を真っ赤にするマヤ、その瞬間会見場に開始を告げるアナウンスが
なされ、マヤは真っ赤な顔のままぎこちない手足の動きで壇上に上がることとなってしまった。
(もう・・・さいあく!)
しかしながら会見場では、経験豊富な是永そして境の援護射撃もあって
終始和やかに質疑応答が続き、
改めて、国際映画祭最高作品賞・主演男優賞受賞ということの大きさを
実感することとなった。
「えと、映画はもうすぐ、GWから公開です!みなさんぜひ劇場でご覧ください!」
なんとか映画の宣伝という大役も果たせ、ホッと一息ついたかと思いきや、
間髪入れずに
「それでは引き続きまして、北島マヤさんの単独記者会見に進みたいと思います」
と司会者の声に、落ち着いていたはずの心臓が再び高鳴りだした。
同席していた是永と境は壇を降り、座席が転換される。
そして中心にマヤ、その横にもう一つだけ椅子を残し、マイクの位置が整えられた。
「緊張してるのか、マヤ」
急にフラッシュがたかれたと思ったら、いつの間にか真澄がマヤの隣に立っていた。
「速水さん・・・」
「先ほど黒沼さんと桜小路くんには事情を説明した。」
詳細は後ほど・・・と言い残し、真澄は自分用にあてがわれた席につき、
マイクを握った。
「それでは只今より、来春の紅天女公演についての発表を
上演権保有者であります、北島マヤよりさせていただきます」
そしてマヤのほうに視線を送る。
(大丈夫。俺がしっかりフォローするから)
真澄のそんな心の声が届いたのか、少しずつマヤの緊張が解けていった。

**
「マヤにしては上出来だったんじゃないか」
夕刻社に戻った真澄は、速報を伝える夕刊紙に目をやりながら、
複数のニュース番組を流し見していた。
「ほとんど真澄さまが話されていた気もしますが・・・」
コーヒーを机に置いて水城がメガネをキランとさせる。
「ふ。まあ、テレビで使われるシーンくらいは話していたからよしとしよう」
舞台を降りればただの少女なのは昔も今も変わらない。


「みなさんは、亜弓さんの紅天女観たくないですか?」
私は見たいです。そういってのんきに笑うマヤのあまりに素直な言葉に
演劇界幻の名作『紅天女』の上演権を持つ唯一の人間であるという気負いは
全く感じられなかった。
作品をないがしろにしているのではないかと追及しようとしていた
マスコミも、そのあまりにまっすぐなマヤの発言
(と、その隣で発せられるなにかあったらただじゃおかないという
真澄の威圧感)にそれ以上意地悪な質問ができなかった。
「きっと素晴らしい紅天女だと、私は信じています」


「実際問題亜弓くんの演技に疑問のある人間などいないだろうからな。」
速水の口から具体的な権利関係の説明、特に前保有者である
月影千草からも正式に承諾を得ていることを伝え、
この決定が決してマヤの気まぐれで決められたものではないことを
説明した。
「彼女は『紅天女』という作品自体を高め、より多くの人に
 長く、広く愛される作品とするためにこのような決断をいたしました」
その言葉にウンウンと頷くマヤ。
記者たちの中には、かつての犬猿の仲だと言われていた時代を知る人間も
多く、北島マヤの完全に速水真澄を信用しているといった表情に
違和感を感じる者も少なくなかった。

「もう少し記者会見が長引いていたら危険でしたわね」
水城の言葉に何が?と顔を上げる真澄
「あの金屏風が婚約会見になるところでしたわ」
思わずコーヒーを吹く真澄に、
「真澄さま、幸せなのはよろしいですが少し気をつけていただかないと・・・」
一般は男と女の雰囲気に思いの他敏感ですわよ・・と
女性に対して朴念仁で唐変木な上司に忠告した。
「そうだな・・・」
と、真澄も記者会見の様子を思い出す。


「速水社長は、紅天女にとても執着されていましたが、
 北島さんが大都に所属したことで手中に収めたとお考えですか?」
「北島さんとは個人的にアドバイザー契約をされているとの
 ことですが、具体的にどのようなことをされているんですか?」
最近はテレビ新聞雑誌以外のメディアも多く、
怖いもの知らずの記者も混じっているようだ。
真澄はその質問を投げかけた記者の所属を確認すると、
「記者会見はこれで終了です」
と冷たい視線とともに会見を終わらせた。
「この媒体を調べておいてくれ」
一枚の名刺を、水城に差し出す。
「これは?」
「最後にあの質問をしたヤツだ。」
すでに各メディアには大都芸能の名で
本題と関係ない情報の取り扱いには注意するように、と
暗に報道規制の圧力をかけている。

「速水さん、鷹宮紫織さんとの婚約を解消されたというのは本当ですか?」
会見を終え、会場を去る直前の真澄の背中に
そんな質問を投げかけ、会場の雰囲気を一気に氷点下に落とした記者
"実話プレス 編集長 高取修"
「ふ、食えん時代になったものだ」
「そうですわね・・・しかし当座の問題はむしろこちらかも知れません・・・」
そういうと水城はおもむろに手にしたタブレットを真澄に差し出した。
「・・・・!?な、なんだこれは、水城くん」

**
「ふあーーーーー、疲れたーーー!」
記者会見を終え、ようやく自宅に着いたマヤは
行儀が悪いと思いながらも、服のままベッドに飛び込んだ。
思えば帰国以来記者たちに囲まれっぱなし、心の休まる
時がなかった。
映画三昧で贅沢だったとはいえ、二週間も海外生活を
することなど初めての経験、見えない疲労がマヤに襲いかかる。
「だめ・・・このまま寝たら・・・」
速水さんに怒られちゃう・・・分かっていても急速な睡魔が
マヤを布団の中へと誘う。
"ちょっとだけ、5分だけこうやって・・・"
マヤが守れもしない誓いを立てながら深い眠りに落ちようとするその寸前

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

遠くから軽妙なメロディが響いてきた。
「!?」
慌てて飛び起きるマヤ
同時に、ベッドに放り投げていた携帯が光っていることに気づく。
"どんなに疲れていてもちゃんとお風呂に入ってから眠ること!
お湯はりセットしておいたからね、今日はお疲れ様!"
マネージャー大原からのメールに、先ほどのメロディが
お風呂の準備が出来たことを知らせるものだと気づく。
「大原さん・・・・ほんとありがと!」
"寝てました・・・"と素直な返信をして、
マヤは少しスッキリした頭とぐったりした体を引きずり、
バスルームへと向かった。


「ん?なんだこれ」
お風呂上がりにミネラルウォーターを飲みながら
携帯に届いていたメッセージを読んでいたマヤは、
麗からのメッセージに目を丸くした。
"トレンド入り チェックした?"
トレンド入り・・・・マヤには馴染みのない言葉だ。
そもそも機械に詳しくないマヤは、携帯でもほぼ
電話とせいぜいメール機能ぐらいしか使っていない。
一応自宅にはPCもあるのだが、使い方が分からずほぼ
インテリアと化している。
「ま、いいことも悪いこともあるからな」
真澄もそういって、積極的には教えてくれない。
この部屋でマヤが使える機器といえば、DVDの再生くらいだ。
"トレンド入りって、何?"
マヤにとっては初めて聞く単語だったようだ。

**
「ありがとうございました!」
帰国後のマヤは普段無縁なバラエティや情報番組の生出演など
変則的なスケジュールに朝から夜まで追われていた。
もちろん目的は出演する映画『微風のかたち』の公開宣伝だが、
いつもドラマや映画ばかりのマヤにとってはどれも新鮮で、
ついハイテンションにはしゃいでしまう。
しかしそんな素のマヤが特に若い視聴者に受け、
GW公開直後の観客動員もダントツの1位と好調だ。

これまでどちらかというと大人向けの舞台、特に『紅天女』という
伝説の舞台というイメージがマヤを遠い存在に思わせていたのが
今回の一連のテレビジャックが一気に北島マヤを身近な存在へと
変化させた。
それでいていざ演技となるとあの変貌、実力派若手女優の筆頭として
一気に名をあげた。
「オファーされる作品の質も変わってきました」
次の作品選びが、マヤの女優としての今後を大きく左右する。
「え、頭にシャープ?」
好調な動員を記念して急遽開催された舞台挨拶後の楽屋で、
マヤはしきりに境に教えを受けていた。
「単語の前に#をつけるんだよ、あー全角じゃなくて、、、」
「・・・マヤ、一体何を・・・」
「あ、大原さん!今ね、境さんにトレンド教えてもらってたの!」
トレンドって・・・いまいち理解していないような気もするが、
どうやらマヤは先日以来ずっとトレンド入りのことを
気にしていたらしい。
「マヤにだけは教えないように」
真澄のお達しに忠実な部下、大原はマヤの質問をのらりくらりと
かわしていたのだが、どうやらしびれを切らして境に質問したらしい。
「うわーーーーーぁ!すごい、なにこれ!」

先月末の記者会見が生中継されると、ネット上は紅天女のこと
だけでなく、そのあまりに美しく若き実業家、速水真澄の容貌に
沸き立った。
"あの社長超イケメン!"
"あの若さで大都芸能社長とか、勝ち組すぎ!"
"むしろ自分がモデルデビューしたほうがよくない?"
そして記者会見の様子を取り出したキャプチャー画が
#イケメン社長 のハッシュタグで大量にあふれ、その日の夜には
急上昇トレンド入りしていたのだ。
「速水真澄 11月3日生まれ 33歳 独身・・・って、こんなことまで。。」
次々にネット上に現れる真澄の情報にマヤも驚きを隠せない。
「速水社長から聞いてないの?」
「はい。どんなにきいても速水さんなんにも教えてくれなくて」
私も機械オンチだし・・・といいながらくいいるように
画面を見ている。
「どんな気分?自分の事務所社長がこうやって人気者になるのは」
ちょっといじわるかなと思いながら、境はマヤに尋ねた。
「やっぱり、速水さんってなにやっても絵になりますよね」
思えば出会った最初の印象も、背が高くて優しそうな素敵な男性だった。
その後の精神的フィルターから、素直に認めたくはなかったけど、
改めてじっくりと見る真澄はやっぱり美しくて。
"紫織さんと並んでると、本当にお似合いだったもの・・・"
初めて見た2人の立ち姿にどれほどの衝撃を受けたことか。
"私なんて、どんなに頑張ったってチビで地味で垢抜けなくて・・・"
どんくさくて目立たない子・・・こんな私が、真澄の隣にいてもいいのだろうか・・・
いつの間にか暗い顔になってしまったマヤを見て、境はおもむろに
マヤの手から携帯を取ると、手慣れた様子で何かを探し、改めてマヤに見せた。
「でも、いろいろあるけど僕はこの写真の速水社長が1番好きかな」
「・・・・・!」
その画像は、マイクを握って緊張しながらも弾けんばかりの
笑顔を見せるマヤと、隣でこれ以上はなく穏やかな微笑みでそれを見つめる
真澄の2ショットだった。
「こんな顔、まずお目にかかれないからね」
僕たちは・・・と小さく言うと、マヤの肩を柔らかく叩いた。
「・・・・・でもこれ。。。」
マヤはその画像につけられたコメントを読んだ。
「娘の成長を見守るイケメンパパ社長・・・って。。」
速水さんの、「俺はそんなに年じゃないぞ」という声が聞こえそうで
マヤは思わず吹き出した。
「わたしだって、いつまでも子どもじゃありません!」


**
「おかえりなさい」
イケメン社長様!というマヤの屈託のない笑顔に、
誰から知恵をつけられたんだと深いため息のような呼吸を
しながら真澄はネクタイを緩めた。
「全く参ったもんだ。最近はロクなモデルもいないのか」
大都芸能のモデル部門も見直しをかけねばならんなと
思いながら、マヤから水の入ったグラスを受け取り一気に飲み干す。
「でも速水さんがかっこいいのは昔からじゃないですか」
マヤの言葉に、そういえばマヤからそんな風に言われるのは珍しいなと
気づく。
「誰がかっこいいって?」
聞こえてたくせに・・・と顔を赤くしながら二度とは言ってくれない。
「自分ではそんな自覚はないが・・・」
「よくゆう!いつだって綺麗なモデルさんや女優さんに囲まれてにこやかに
 ダンスなんかしてたじゃないですか」
言い寄ってくる人間は昔から男女を問わず数多くいた。
そのほとんどが裏に自身の打算的な欲望を持っていることも
分かっていたし、下心は冷たくはねつけ、ただ事業に
つながることだけを考えてきた。
「本気で俺に興味があって近づいた者などいやしなかったさ」
「うそ!速水さんと話してる女の人はみんなうっとりとした目で
 速水さんのことを見ていたもん!」
速水さんだって、すごく優しい顔してた
「ふーん。そうかねえ。」
ラフな服に着替えた真澄は、ゆっくりとマヤの後ろに近づき
首まで真っ赤にしたマヤのうなじを見せるように
長い黒髪を片側に流した。
「少なくとも俺にはそうは見えなかったが」
「!?はっはや」
びっくりして振り返ったマヤを胸に抱き、
優しく頬に手を当てながら、
「少なくともこの俺に本音でぶつかってくる女など、1人ぐらいしか記憶にないな」
真澄の冷たい手がマヤのほてった顔を心地よく冷やす。
「それとも君も腹に別のことを隠し持っているのか?」
「・・・・・わたしは、速水さんとは違います」
思いがけない反撃に、今度は真澄が言葉を失う。
「速水さんがお腹の中で本当は何を考えてるかなんて、私今でもよく分かりません」
抗議するように口を尖らせるマヤが可愛くて、真澄は声をあげて笑った。
「はっはっは、俺はいつでも君には正直に見せているつもりだが」
どこがですか!とちらりと顔をそらしたマヤの視線の先には、
引越し祝いにと2人でかった紫のバラのプリザーブドフラワーが飾られていた。
「まあ確かに、過去においてそういった態度を取ってきたことは否めないが・・・」
それに・・・とマヤは甘えたように真澄の胸に顔を寄せ、両手を背中へ回した。
「愛想笑いしてばっかの速水さんは、ちょっときらいです」
本当はこんなにあったかい人なのに
どうして冷たい人のようにふるまうの
「速水さんがかっこいいって言われるの、うれしいです」
顔だけじゃない、この広い心と温かな優しさも
もっとみんなに、速水さんのいいところを分かってほしい
どれほど速水さんが長い間私の心の拠り所として支えてくれていたか
知ってほしい
「って思うのはやっぱり私がまだまだ子供だからでしょうか・・・」
不安げに真澄を見上げるマヤが愛おしくて、真澄は思わずマヤを抱き上げ、
奥の部屋へと連れて行った。
「いつの日かお互いに正直なまま外でも振る舞える、そんな時がくるさ」
「そうかな・・・」
「ああ、少なくとも俺は、君が側に居てくれさえすればそれでいい」
世間の目を気にせず、いとしい人とともに過ごせる日を思いながら
今はまだ、2人だけのささやかな世界でその愛を育むため、
真澄は白く柔らかな世界にマヤをゆっくりとおろしていった。

"速水さん、私も早くあなたを支えられるそんな大人になりたいよ"
今はまだ、こうしてあなたにしがみつくことしかできない私だけどーーー


ep第35話←                  →ep第37話
~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
るんるん♪ちょっと短いですけどかわいくいちゃいちゃする真澄&マヤは
絵になるから好き~~
ド昭和から始まったガラスの仮面を現代の文明に無理やりなじませてます
~~~~~~~~~~~~~~~~

ep第35話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2016-05-06 12:27:45 | ガラスの・・・Fiction
ep第34話←                  →ep第36話
********************
「始まったみたいだよ」
出演しているドラマの撮影中、共演者から声をかけられた僕は
手にしていた台本を丸めながらテレビの方へと向かった。

『姫川亜弓・芸能活動再開&主演女優賞受賞記者会見』
右上に出るテロップ、そしてまばゆいほどたかれるフラッシュが
金屏風に反射して目もくらむ。
 ※激しいフラッシュの点滅にご注意ください
画面上の文字自体がそのフラッシュでかすむほどだ。

「国際映画祭で主演女優賞を受賞して華麗に芸能界復帰とは、
 さすが姫川亜弓、さすが大都芸能だな」
僕の後ろで共演の先輩俳優も腕組みをして
記者会見の生中継を見ている。
画面の中では、ほほえみを浮かべる亜弓さんが
緩急様々な質問に余裕を見せながら答えていた。

「休業中は、フランスを拠点にヨーロッパ各地を訪問していました。」
「休業に入った段階では、女優業を再開させるかははっきり決めていませんでした。」
紅天女候補争い決着後、一度は引退も考えていたともいえるその発言に
会場がどよめき、矢継ぎ早に質問が飛ぶ。

「勝負に敗れた『紅天女』を演じるというのは、どなたが決めたことですか?」
「北島マヤさんと比べられることについては?」
「国際映画祭では北島さんに勝利したとお考えですか?」

なんとか亜弓の口から、マヤに対するライバル宣言を引き出そうと
必死のような気がして、見ていていい気持ちはしない。
しかし亜弓さんは挑発するような質問にも冷静だ。
「後日、北島マヤさん自身も記者会見されると思いますので、
 紅天女に関する質問は直接なさってください」
私が言えることは、と表情を切り替えると一斉にフラッシュの波がさざめく。
「次の紅天女公演を私は引き受けたということだけです」
もう少し映画賞受賞の話題にも触れてほしいわ、と冗談めかして笑う亜弓さんに
すかさず記者の声が飛ぶ。
「姫川さん、受け取ったトロフィーを見せて下さい!」
その言葉に、亜弓さんは少し申し訳なさそうに
「ごめんなさい。今手元にないんです」
と答え、記者たちを驚かせた。
「とても大切なものなので、とても大切な方に預けています。」
その方は誰ですか!?と、よもやの交際宣言かとどよめく記者をからかうように
「とても重要な願掛けをしていますから、みなさんには秘密です。」
と蠱惑的な笑みを浮かべて返した。

「・・・・主役交代、ということは君の出演はどうなるんだい?」
いつの間にか画面はワイドショーのスタジオに戻り、先ほどの記者会見について
司会者やコメンテーターがあれやこれやと感想を述べていた。
「・・・え、あ。僕の方にはまだなにも連絡は・・・」
これまで僕が一真として、マヤちゃん演じる紅天女の相手役を務めてきた。
本公演はまだ2年目が終わったところだが、その前の試演の時から考えれば
もう3年、僕にとっての紅天女はずっとマヤちゃんだ。
それが急に相手役が変わる・・・・しかも姫川亜弓に・・・。
まだ、心の整理がつかないのが正直なところだ。
というよりむしろ、マヤちゃんが出ない紅天女に、
僕が一真として出る可能性は限りなく低いような気もする。
「しかしまあ、なんだって北島マヤはせっかくの紅天女をよりによって
 ライバルである姫川亜弓に譲ったんだろう。試演までして勝ち取ったのに」
そうなのだ、僕もそこがひっかかる。
マヤちゃんは本当にもがくように全てを捧げて紅天女になるための努力をしてきた。
時に役になりきれず、時に私情に振り回され、さらに
僕の交通事故で不安な思いもしてきただろう。
様々な障害を乗り越えようやくつかんだ紅天女を、どうしていともたやすく
(のように見える)渡すとは、
・・・・・僕の気持ちを考えることはなかったんだろうか・・・・。

「桜小路さん!撮影入りますのでお願いします!」
スタッフの呼び声に、僕は現実に引き戻された。
紅天女の試演を前に劇団オンディーヌを退団した僕は、
現在大都系列の小さな俳優専門の事務所に所属している。
どうせならば全く別の事務所にしようかと思っていたが、
結局の所子役時代からお世話になっている大都が一番僕のことを
分かっていると判断して決めた。
実際舞台を中心に、こうやってドラマの仕事もほぼ毎クール入っていて、
少しずつだが俳優・桜小路優の名前は世の中に浸透していることを
肌で感じる。
しかしやはり僕の中でも『紅天女』と言う舞台は別格であり、
もっとも守りたいライフワークだ。
"僕以外の一真は一真じゃない、そう言ってくれないのかなマヤちゃんは・・・"
頭の中に沸き起こる雑念を振り払うように、
僕は必死に、今やっている刑事役に集中した。


「桜小路くん、明日の撮影の前に、急きょ予定が入ったから」
休憩中、入所以来僕についてくれているマネージャーが、少し慌てたような声で
伝えてきた時、僕はその用件に察しがついた。
"いつもはのんびりしたマネージャーがこんなに緊張するということは・・・"
きっとあの人が動いているに違いない・・・・。
脳裏に浮かんだあの人の姿を、頭を振って打ち消す。
"もうふっきったじゃないか!すべてを忘れて、演劇に集中するって・・・!"
しかしそんな決意とはうらはらに去年の11月、紅天女のふる里でみた情景が蘇る。
深夜、刺すような冷気が漂う本堂で、マヤちゃんは火の演技をしていた。
ただ一人、あの人のために。

恋の業火に焼き尽くされるマヤちゃんの演技は、この世の物とは思えぬ
狂気と悲しみに満ち溢れ、
まるで寺全体が炎に包まれてしまったかのような熱気を感じた。
"このままでは・・・・焼き尽くされてしまう・・・"
思わずマヤちゃんのもとに駆け寄ろうとした、その数秒前に、
マヤちゃんはあの人の胸の中に収まっていた。
ゆっくりと、炎が収束するように・・・。
それ以上の情景を見る勇気も元気もなくて、
僕はその炎に、自分自身の恋心も燃やし尽くされてしまったんだ。

「光ってるよ、桜小路くん」
気付けば手に持っていたスマホが、メッセージの着信を知らせている。
「・・・・ふっ」
メッセージの送り主は、懐かしい人だった。
「ほんと、僕が落ち込んでいるのが見えてるのかな・・・」
ずるいとは思っていながらも、僕は彼女に返信を打つ。

"OK ちょうど今上がったからいつもの喫茶店でどう?"

**
「ごめんね、突然。でも今日のケーキは自分でも最高にうまく出来たと思って・・・」
桜小路くんに食べてもらいたいなって・・・と恥ずかしそうにしながら
舞はケーキボックスを僕に差し出してきた。
「ありがとう。ちょうど甘い物が欲しいと思ってたんだ。」
疲れているのかなと笑う僕の顔を見て、ほっとしたのか
舞は少しずついつもの元気な表情に戻っていった。
「ゴメンネ。撮影中にメールなんてして。」
「大丈夫だよ、ちょうど休憩中だったし。あと1シーンで今日の僕のシーンは
 終わりだったからね。」
マヤちゃんへの思いを自覚したあと、舞には男としてひどいことを
したという思いは残っている。
舞が僕を慕ってくれている気持ちに甘え、マヤちゃんの事を忘れるために
利用したのは、偽りようのない僕の本心だ。
しかし、舞と交際中はとても穏やかでささやかながら幸せを感じていたことも事実で。
たとえそれが純粋な愛情というよりは親愛の情にとどまっているものだとしても、
こうしてまた笑いかけてくれる舞を見ることができて、正直ほっとしている。
「あの・・・・、記者会見・・・・見た?」
おずおずといった感じで、舞が話しかけてきた。
恐らく本当はこのことを話したかったのだろう。
「本当に亜弓さんってすごい!1年間のブランクなんて全然感じさせないぐらい
 とってもきれいで、しかも国際映画祭の主演女優賞なんて!!」
やっぱり舞にはとても夢のまた夢のような世界・・・と昔を思い出すような顔をする。
かつて共にオンディーヌで劇団員として稽古に励んでいた舞は、
今はきっぱりとこの世界から離れ、別の夢を追っている。
「早めに見切りをつけて正解だったと思う」
少しさびしそうに笑う舞、演劇を続けていたのは、僕と一緒にいたかったからだと
はにかんだ。
「不純な動機では、だめだよね。」
そんなことないよ、と言ってあげたい気持ちもあるが、事実舞に女優としての才能が
あったかと聞かれれば・・・。
この世の中にはそれこそ星の数ほど女優を目指す人間が生まれ、そして
大半が志半ばで諦めている。
才能があるだけでもだめだし、才能がなければなおの事厳しい世界。
「売れるだけだったら、必ずしも動機は関係ないかもしれない。だけど、
 やっぱり"本物"を目指すとすれば、血のにじむような努力を惜しまないほどの
 情熱がないと大変なのかもしれないね、この世界は・・・」
少なくとも僕は、二人の天才女優が誰よりも努力をしている姿を
間近に見続けている。
「あの・・・・、桜小路くん、く、紅天女は・・・マヤさんから何か・・・」
口に出すのを少しためらいながら舞はマヤちゃんの名前を口にした。
「舞・・・」
「分かってるの!私はもう桜小路くんの彼女でもなんでもないし、
 桜小路くんがマヤさんの事を好きだっていうことも・・・・。
 だから、二人の仲を邪魔するようなこと、もうしないから・・・」
だけどやっぱり今でもテレビで僕の名前が出るとつい気にしてしまうんだと
うつむきながら言う舞を、僕は率直にかわいいと思った。
「・・・・・・もう僕はマヤちゃんとはなんでもないよ。」
そもそも何か始まっていたのだろうか。
自分の言葉に疑問を抱きながらもそう答えた。
目の前でしょんぼりする舞がかわいそうで、
気を持たせてはいけないと思いながらもつい舞の頭を撫でてしまう。

ーーーマヤちゃんにその気がないのなら、思わせぶりな態度は取らないでほしいーーー

かつてあの人にそう言った僕自身が、同じような事をしている。

「桜小路くんが、舞の事妹みたいに思ってくれてるのは分かってる・・・」
喫茶店を出て、分かれ道に来たところで舞が話し始めた。
「舞の事が心配で、こうして会ってくれてるのも、本当は早くあきらめなきゃいけないってことも・・・」
だけど・・・と舞が意を決したように僕の顔を見る。
「もう少しだけ、桜小路くんのことを好きでいていい?」
たとえ振り向いてくれないって分かってても・・・
「舞・・・、確かに僕はもうマヤちゃんとはなんでもない、というより諦めなきゃいけないって
 思っている。だけどだからといって舞、君とまた・・・」
「分かってる!!」
分かってるけど、好きなの。
舞の必死の告白を聞きながら、自分の中でくすぶりつづけるマヤちゃんへの思いと重なる。
「・・・・諦めて、次の恋愛に進んだ方が幸せになれると思わない?」
それは、僕自身への忠告だ。
「好きな人なら、幸せになって欲しいと思わない?」
それは、僕自身への問いかけだ。
「・・・・・・それでも・・・・」
舞はやっぱり、桜小路くんが好き!とはにかむ姿は
今の僕には眩しすぎた。

**
「急に集まっていただいて申し訳ない」
翌日、僕は黒沼先生と共に大都芸能を訪ねた。
「昨日の姫川亜弓の会見、ご覧いただきましたか?」
3月末、紅天女の千秋楽で最後に顔を合わせて以来の速水さんは
少し痩せたようだが、活力はむしろみなぎっているようにみえた。
「ああ。で、俺らが呼び出された理由は
来年の紅天女公演のこと、ってわけだ」
ええ、と軽く頷いた速水さんは、黒沼先生に
灰皿を勧め、自分のタバコにも火を付けた。
「本日午後、北島マヤが記者会見を行います。
その席で正式に発表することになるのですが、
その前に演出家である先生と、主要キャストである
桜小路くんには先に説明と了解を頂きたいと思いまして。」
もともと紅天女の試演は、黒沼グループ・小野寺グループに
分かれて行われたが、キャストやスタッフそれぞれが
それぞれのポジションを対戦相手と競ったため、
必ずしも紅天女の上演権をマヤちゃんがとったからといって
配役含め全て黒沼グループが勝利したわけではない。
確かに、演出家は黒沼先生、一真は僕と、主要ポジションは
ほぼ同じグループから選出されたが、これは
紅天女=北島マヤという決定路線において、最もその能力が
発揮できる布陣を選んだともいえる。
契約も毎興行更新制で、上演権を保有するマヤちゃん以外は
必ずしも専属というわけではない。
「すなわち紅天女を姫川亜弓がやるとなった以上、
演出家も他のキャストも一新されるというわけか。」
タバコをグシャグシャと灰皿に押し付けながら、黒沼先生は
答えた。
「ええ、そのことなんですがね・・・」
コンコンコン、と会議室のドアがノックされた。
速水さんの返事に合わせて開かれたドアからは
速水さんの秘書に続いて、
「お久しぶりです。」
亜弓さんが現れた。
「速水社長、遅くなって申し訳ありません」
頭をさげる亜弓さんは、昨日テレビで見た通りの
美しさだった。
「いや、こちらこそフランスから帰国してすぐに
記者会見、無理させてすまない」
「いいえそれはお互い様・・・」
速水社長こそお疲れでしょう、といってにこやかに
笑いながら席についた。
「で、本題に戻るわけだが・・・・」
「私の方から説明させて頂いてもよろしくて?」
亜弓さんはそういうと、真剣な眼差しを先生、そして
僕へと順に向けた。
「今回、マヤの指名で紅天女を演じる決断をしました。
お二人にとっては納得のいかないこともあると
それは重々承知しておりますわ。」
「前置きはいいから、早く核心を教えてくれないか。」
演出家は、小野寺でいくって言うんだろ、と小さく乱暴な声を出した。
「そのことなんですけど・・・」
亜弓さんはそんな先生の仕草を気にするでもなく、
相変わらずの芯の強い声を発した。
「私は、演出家並びに相手役は、これまで通りでお願いしたいと
速水社長にお願いしています」
「・・・・・」
「・・・・・!!」
思いもよらないい発言に、先生の口からくわえたばかりの
新しいタバコが落ちる。
「なんだって・・・・」
そんなに驚かれるのは・・・と苦笑する亜弓さん。
そりゃそうだろう。先生はともかく、僕が亜弓さんの相手役・・・
「紅天女は、北島マヤのものです」
亜弓さんははっきりと言った。
「私が演じる紅天女、正直一度は諦めた夢、忘れた夢、
 自分の中でまだ、どういう風に演じればいいのか、固まっていません」
それでも・・・と、亜弓さんは改めてまっすぐな目を
僕たちに送ってくる。
「やるからには、正々堂々と向き合いたい」
自分に合わせた布陣ではなく、これまで作り上げてきた世界観の中に
自分を投じて演じたい
「もちろん、マヤの築き上げてきた世界観に自分の演技を合わせることはしません。
 私はあくまで姫川亜弓として紅天女を演じます。」

なるほどそういうことか。
マヤちゃん以外は全て同じメンバーでの紅天女、
出来上がったチームの中に後から入ることはプレッシャーもかかるし
ともすれば浮いてしまいかねない。
北島マヤだったら
北島マヤのほうが
そんな感想が出てくるのも仕方がないことだ。
それならばいっそ演出も、相手役も刷新したほうが
新しい紅天女として受け入れられやすいだろうし、
亜弓さんなら十分観客を魅了する舞台になるだろう。
万が一酷評されたとしても、チームでの責任となれば
亜弓さんだけ責められることはない。
だが・・・

「・・・ちょっと考えさせてもらってもいいか」
先生は結局落としたタバコに火を付けることもなく
そう話しだした。
「正直これまで、北島マヤを紅天女としてイメージしてきた。
 なに、お前さんが素晴らしい才能のある女優さんだってことは
 わかっているよ。それでもな、俺の中でまだ、
 お前さんの演じる紅天女が浮かばないんだ。
 こんな状態で、やすやすと引き受けていい仕事でもない。」
少し、保留にさせてくれないか。
その言葉に、亜弓さんはさも当然といった様子で
「もちろんですわ」
と答え、そのまま僕にも声をかけた。
「桜小路さんも、突然相手役が私というのはとまどいますわよね。」
とほほえんだ。
「ええ、まあ・・・」
今までずっと、マヤちゃんを魂の片割れだと思って演じてきた。
現実世界のマヤちゃんが、たとえ僕以外の男のことを
愛しているとしても、少なくとも舞台の上でだけは
彼女のパートナーは僕以外ないと思ってきた。
それがふいに彼女は僕の隣から消え、代わりに他の女性を愛せという。
もちろんこれは演劇の話、実際僕だって他の仕事でいろいろな女優を
相手に恋の演技をしてきた。
だけど、それでも、僕にとっての『紅天女』はやっぱり特別で・・・。

「それではどうでしょう。今度亜弓くんの演じる紅天女を
 見ていただいては・・・」
前回の試演時は、目の事情もあり特異な演出での紅天女となったが、
今一度、本公演として姫川亜弓の演技が使えるか、
オーディションしてみてはどうか。
「もしオーディションの結果、やはり姫川亜弓では難しいと判断されたなら・・・」
次の公演も北島マヤでおこないます。
速水さんははっきりとそう言った。
「どうですか?黒沼先生、それに桜小路くん」
「・・・私は異存ありませんわ」
自分の顔色を伺う僕たちの視線に気づいたのか、
亜弓さんははっきりと同意の答えをだした。
「そうだな、それが1番手っ取り早いか・・・」
しかしその案、北島がウンというかね、という先生の言葉に、
「先生が決めたことなら、彼女はノーといいませんよ」
とはっきり断言する速水さんが、僕よりずっとマヤちゃんの
ことを分かってると言わんばかりでちょっとくやしい。
「よし分かった。その案に乗ろうじゃないか」
いいだろ桜小路と、もはや僕の答えは無視で先生が決めてしまってる。
それでは具体的なスケジュールは追って・・と速水さんが先生に話している時、
亜弓さんが声をかけてきた。
「桜小路さん、ひとつお願いがあるのだけど・・・」
「・・・え?」
「オーディションの時、相手役を頼まれてくれないかしら」
「・・・・亜弓さん・・・」



「どうして即答しなかったんですか?」
会議室を出た僕は、帰りの道すがら先生に尋ねた。
「ん?なにをだ」
「さっきのことですよ。先生だったら受けるなら受ける、受けないなら速攻で
 断るはずでしょう。それを保留だなんて1番らしくない・・・」
どうしてなんだろうと、僕は気になって仕方なかった。
「・・・・うーん、ま、あれだな、きっと」
そういわれれば・・と頭をぼりぼりかきながら答えた。
「見てみたいと思ったのかもしれんな」
姫川亜弓の紅天女を
できることなら自分の演出で
「先生・・・」
ちょっと照れくさそうに笑う先生の顔は、
早くも新しい挑戦に心を踊らせる少年の様だった。


その日の午後はまたドラマの現場に戻って
深夜まで撮影が続いたため、結局マヤちゃんの
記者会見は見ずじまいだった。
記者会見で彼女は一体どんなことを話したんだろう。
一体どんな顔で、会見したんだろう。
そんなことを思いながら、僕は明日の撮影に備え布団にくるまった。



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~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
定期的に現れる、桜小路くんパート。
まだ未練タラタラしてました!!

以前、鷹宮紫織名誉回復キャンペーンを行った(み)としては、
今回果敢にも舞ちゃん名誉回復キャンペーンをがんばって
みましたが、いまいち回復しきれませんでした。
相変わらずのうざ子ちゃん・・・・でもそれが
舞だよねっ(笑)
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