(み)生活

ネットで調べてもいまいち自分にフィットしないあんなこと、こんなこと
浅く広く掘っていったらいろいろ出てきました

( ´艸`)☆更新履歴☆(´~`ヾ)

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【乃木坂46】東京メトロポスタージャック!まとめ

2015-03-23 11:46:44 | 雑談

乃木坂46の最新シングル『命は美しい』の販促企画で、
東京メトロの各駅全139駅に3/16~23(茗荷谷のみ3/23~29)で掲示されたポスター、
電車乗るの好きな身としては、是非ともコンプリートしたいと
先週平日仕事帰りにちょこまかと、そして土曜日に一日乗車券を使ってがっつりと
西から東へ北から南へ東京中をうろうろと地下鉄の旅をしていました。
ポスターの写真を撮るという目的は二の次、メインはむしろ
どうやっていかに効率よく回るかを考えるのが楽しかった一週間でした。

ポスターは、改札の中にあったり外にあったり、
ホームにあったり改札横にあったり、地上出口への通路にあったり、
本当に駅によってまちまち。
しかも普段あまり利用しないような辺ぴな場所にあることも。
(いや、むしろその方が多かったと思う)

ホームにある場合は上り下りどちらにあるのか、
古い駅の場合、どちらかのホームからしか出られない出口にあったりと、
結構ダンジョン攻略心をくすぐりまくる仕様になっていました。
改めて、東京の地下鉄の複雑さと面白さ、
乗換の面白さ、駅と駅の交差の絶妙さなど、
いろいろ気づくことの多い日々でした。おもしろかった~~。

以下、回り方で並べてみました。
今回の企画参加者は私と弟、平日は二人それぞれ分かれて行ける範囲を、
土曜日は午前中は分かれて、午後からは一緒に回りました。
どうしても効率的でない駅は、外部の方に依頼して撮ってもらった駅もあります(4駅)。
各プランごとに分けています。
<プラン名>
駅名(路線名)改札内/外 ポスターの人 

<渋谷(徒歩)>
渋谷・・・・・(銀座線)・・外・・桜井玲香
表参道・・・・(銀座線)・・外・・桜井玲香
外苑前・・・・(銀座線)・・外・・桜井玲香
北参道・・・・(副都心線)・外・・深川麻衣
明治神宮前・・(千代田線)・外・・生田絵梨花
※平日夜決行
渋谷に用事があったので、その周辺で改札外の駅を
歩いて回っていきました。


<南北線(徒歩)>
駒込・・・・・(南北線)・・外・・伊藤純奈
西ヶ原・・・・(南北線)・・外・・山崎怜奈
王子・・・・・(南北線)・・外・・伊藤純奈
※平日夜決行
雨だったので、近場で歩いていける改札外の駅を
潰しました。


<日比谷線(ルート)>
恵比寿・・・・(日比谷線)・内・・若月佑美
六本木・・・・(日比谷線)・内・・若月佑美
神谷町・・・・(日比谷線)・内・・若月佑美
築地・・・・・(日比谷線)・内・・川後陽菜
茅場町・・・・(日比谷線)・内・・川村真洋
仲御徒町・・・(日比谷線)・内・・生駒里奈
入谷・・・・・(日比谷線)・内・・佐々木琴子
三ノ輪・・・・(日比谷線)・内・・佐々木琴子
南千住・・・・(日比谷線)・内・・佐々木琴子
小伝馬町・・・(日比谷線)・内・・生駒里奈
広尾・・・・・(日比谷線)・外・・若月佑美
※平日夜決行
日比谷線の改札内の所のみを抽出して潰しました。
ポイントは、上りと下りを効率よく回ったこと。
ホーム間移動は極力なくすよう駅順を組み立てました。


<東西線(ルート)>
高田馬場・・・(東西線)・・内・・伊藤万理華
浦安・・・・・(東西線)・・内・・鈴木絢音
行徳・・・・・(東西線)・・内・・寺田蘭世
原木中山・・・(東西線)・・内・・寺田蘭世
妙典・・・・・(東西線)・・内・・寺田蘭世
葛西・・・・・(東西線)・・内・・鈴木絢音
西葛西・・・・(東西線)・・内・・鈴木絢音
落合・・・・・(東西線)・・外・・伊藤万理華
※平日夜決行
日比谷線と同じく改札内の所のみを抽出。
上り下りも考慮しての駅順です。
文字通り東西の移動がすさまじいルートでした。


<平日シリーズ0>
九段下・・・・(半蔵門線)・外・・中元日芽香
住吉・・・・・(半蔵門線)・外・・永島聖羅

<平日シリーズ1>
神保町・・・・(半蔵門線)・内・・中元日芽香
神楽坂・・・・(東西線)・・内・・伊藤万理華
早稲田・・・・(東西線)・・内・・伊藤万理華

<平日シリーズ2>
錦糸町・・・・(半蔵門線)・外・・永島聖羅
飯田橋・・・・(有楽町線)・外・・新内眞衣
市ヶ谷・・・・(有楽町線)・内・・新内眞衣
四谷・・・・・(丸ノ内線)・内・・伊藤かりん
四谷三丁目・・(丸ノ内線)・内・・伊藤かりん
新宿御苑前・・(丸ノ内線)・内・・伊藤かりん
新宿・・・・・(丸ノ内線)・外・・深川麻衣

<平日シリーズ3>
秋葉原・・・・(日比谷線)・外・・生駒里奈
東京・・・・・(丸ノ内線)・内・・秋元真夏
淡路町・・・・(丸ノ内線)・内・・秋元真夏
御茶ノ水・・・(丸ノ内線)・内・・秋元真夏
本郷三丁目・・(丸ノ内線)・内・・秋元真夏
新大塚・・・・(丸ノ内線)・内・・樋口日奈
池袋・・・・・(丸ノ内線)・外・・西野七瀬

※平日シリーズ0~3は、弟がランダム撮影及び
帰宅途中にルートで回ったりした所です。


<新宿以西MIX>
荻窪・・・・・(丸ノ内線)・外・・斎藤ちはる
南阿佐ヶ谷・・(丸ノ内線)・外・・斎藤ちはる
新高円寺・・・(丸ノ内線)・外・・斎藤ちはる
東高円寺・・・(丸ノ内線)・内・・斎藤ちはる
新中野・・・・(丸ノ内線)・内・・斎藤ちはる
中野富士見町・(丸ノ内線)・内・・能條愛未
方南町・・・・(丸ノ内線)・外・・能條愛未
中野坂上・・・(丸ノ内線)・外・・能條愛未
西新宿・・・・(丸ノ内線)・内・・能條愛未
新宿三丁目・・(丸ノ内線)・外・・深川麻衣
東新宿・・・・(副都心線)・内・・深川麻衣
西早稲田・・・(副都心線)・外・・西野七瀬
雑司ヶ谷・・・(副都心線)・外・・西野七瀬
要町・・・・・(副都心線)・外・・高山一実
千川・・・・・(副都心線)・外・・高山一実
小竹向原・・・(副都心線)・外・・高山一実
氷川台・・・・(副都心線)・内・・高山一実
平和台・・・・(副都心線)・外・・高山一実
地下鉄赤塚・・(副都心線)・外・・高山一実
地下鉄成増・・(副都心線)・外・・高山一実
東池袋・・・・(有楽町線)・内・・渡辺みり愛
護国寺・・・・(有楽町線)・内・・渡辺みり愛
江戸川橋・・・(有楽町線)・外・・渡辺みり愛
永田町・・・・(有楽町線)・内・・斉藤優里
※土曜日の午前中に一日乗車券を使って乗り潰した東京西部エリア
集合場所は銀座一丁目駅です。


<千代田線MIX>
町屋・・・・・(千代田線)・内・・斎藤飛鳥
西日暮里・・・(千代田線)・内・・斎藤飛鳥
千駄木・・・・(千代田線)・内・・斎藤飛鳥
根津・・・・・(千代田線)・内・・斎藤飛鳥
湯島・・・・・(千代田線)・外・・斎藤飛鳥
新御茶ノ水・・(千代田線)・外・・斎藤飛鳥
代々木公園・・(千代田線)・外・・生田絵梨花
二重橋前・・・(千代田線)・外・・中田花奈
有楽町・・・・(有楽町線)・外・・中田花奈
日比谷・・・・(千代田線)・外・・中田花奈
銀座・・・・・(丸ノ内線)・外・・松井玲奈
東銀座・・・・(日比谷線)・外・・川後陽菜
※土曜日の午前中に一日乗車券を使って乗り潰した東京北東部エリアと、
残していた一部千代田線駅を潰して集合場所へ向かうプラン。
二重橋前→東銀座、そして集合場所の銀座一丁目までは
歩きで回っています。


<メトロMIX>
銀座一丁目・・(有楽町線)・外・・中田花奈
京橋・・・・・(銀座線)・・外・・衛藤美彩
日本橋・・・・(銀座線)・・外・・衛藤美彩
三越前・・・・(銀座線)・・外・・北野日奈子
神田・・・・・(銀座線)・・外・・北野日奈子
上野広小路・・(銀座線)・・内・・生駒里奈
上野・・・・・(銀座線)・・外・・橋本奈々未
稲荷町・・・・(銀座線)・・内・・橋本奈々未
田原町・・・・(銀座線)・・内・・橋本奈々未
浅草・・・・・(銀座線)・・外・・橋本奈々未
末広町・・・・(銀座線)・・外・・生駒里奈
新橋・・・・・(銀座線)・・外・・堀未央奈
虎ノ門・・・・(銀座線)・・外・・堀未央奈
赤坂見附・・・(丸ノ内線)・内・・斉藤優里

溜池山王・・・(銀座線)・・外・・星野みなみ
国会議事堂前・(丸ノ内線)・外・・星野みなみ
桜田門・・・・(有楽町線)・外・・中田花奈

麹町・・・・・(有楽町線)・内・・新内眞衣
半蔵門・・・・(半蔵門線)・外・・中元日芽香

青山一丁目・・(銀座線)・・内・・斉藤優里
乃木坂・・・・(千代田線)・外・・集合サイン
赤坂・・・・・(千代田線)・外・・生田絵梨花
六本木一丁目・(南北線)・・内・・星野みなみ
白金高輪・・・(南北線)・・内・・星野みなみ
白金台・・・・(南北線)・・内・・星野みなみ
目黒・・・・・(南北線)・・内・・星野みなみ
麻布十番・・・(南北線)・・外・・星野みなみ
新富町・・・・(有楽町線)・内・・井上小百合
豊洲・・・・・(有楽町線)・外・・井上小百合
辰巳・・・・・(有楽町線)・内・・井上小百合
新木場・・・・(有楽町線)・外・・井上小百合

月島・・・・・(有楽町線)・内・・井上小百合
門前仲町・・・(東西線)・・内・・相良伊織

東陽町・・・・(東西線)・・内・・相良伊織
南行徳・・・・(東西線)・・内・・寺田蘭世
西船橋・・・・(東西線)・・外・・寺田蘭世
南砂町・・・・(東西線)・・外・・相良伊織
木場・・・・・(東西線)・・外・・相良伊織
竹橋・・・・・(東西線)・・内・・中元日芽香
清澄白河・・・(半蔵門線)・外・・永島聖羅

水天宮前・・・(半蔵門線)・外・・北野日奈子
人形町・・・・(日比谷線)・外・・川村真洋

八丁堀・・・・(日比谷線)・外・・川後陽菜
北千住・・・・(千代田線)・外・・松村沙友理
霞が関・・・・(丸ノ内線)・外・・和田まあや
後楽園・・・・(丸ノ内線)・外・・樋口日奈
東大前・・・・(南北線)・・外・・伊藤純奈
本駒込・・・・(南北線)・・外・・伊藤純奈
王子神谷・・・(南北線)・・内・・山崎怜奈
志茂・・・・・(南北線)・・外・・山崎怜奈
赤羽岩淵・・・(南北線)・・外・・山崎怜奈

※溜池山王~国会議事堂前~桜田門は徒歩で外回り
※麹町~半蔵門は徒歩で乗換
※月島~門前仲町の移動は都営大江戸線利用
※水天宮前~人形町は徒歩で乗換

※当初外注していた北千住駅が届けられないという事案が発生。
急きょ組み込んだため、人形町→八丁堀→北千住→霞が関という縦移動が
発生し、タイムロスとなりました。
最初からわかっていれば、千代田線MIXの最初に組み込んでおいたのに・・・。

最後の南北線シリーズが、次の電車が来るまで10分間隔という
待ち時間に悩まされたため、
後楽園→東大前→本駒込チーム
後楽園→王子神谷→志茂チームと
2手に分かれ、最後赤羽岩淵で合流し無事ゴールとなりました。

以上プランに加え、外注分
北綾瀬・・・・(千代田線)・・内・・松村沙友理
綾瀬・・・・・(千代田線)・・内・・松村沙友理
押上・・・・・(半蔵門線)・・外・・永島聖羅
大手町・・・・(丸ノ内線)・・内・・白石麻衣
と、3/23~掲示予定の
茗荷谷・・・・(丸ノ内線)・・・・・樋口日奈
を加えた全138駅/139駅を達成予定です。
残念ながら
中野新橋・・・(丸ノ内線)・・内・・能條愛未
は、掲示期間が過ぎていたため撮影が間に合いませんでした。


これでしばらくの間は地下鉄の乗換に不便はなさそうです。








ep第12話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2015-03-06 14:51:27 | ガラスの・・・Fiction
ep第11話←                  →ep第13話
********************
新春公演がロングランとなり梅の季節を迎える頃、
速水真澄は義父、英介と対峙していた。
速水邸を出て半年近く、これまでも必要に応じて英介に報告をあげてはいたが、
今回の用向きはそれらの集大成と言える

紅天女の行方・・・

先日マヤを伊豆に連れて行き、二人の間で意思確認は既にできている。
しかしそれは真澄にとっての切り札、何よりもマヤのためにどう切るべきか。
「興行は大成功のようじゃな」
「はい、お陰様で。黒沼先生の大胆な演出変更も、より紅天女の世界観を広げていると
 概ね好評価です。」
「ふむ。あくまで紅天女は復活して終わりではない、
 これからさらに新しく進化するというわけか・・・」
車いすに腰掛けた英介の表情は言葉以上にはうかがい知れない。
どちらが先に核心を突くか・・・
「・・・・千草と話をしたよ・・・」
英介が唐突にそう言った。

**
「紅天女」が終わる・・・・!!
1月からの復活公演「紅天女」も残るはあと1週間となった。
夢中で駆け抜けた3ヶ月、心も体も紅天女に、阿古夜に染まった日々だった。
なんだか寂しくなるな・・・
開演前の舞台でひとり、物思いにふけるマヤ。
「あと1週間だね。」
後ろから桜小路が声をかける。
「桜小路君・・・・、ほんとにもうあと1週間なんだね。」
「気づけばあっという間だったね。いろいろ迷惑をかけたこともあったけど、
 やっぱりマヤちゃんと一緒に舞台に立てて良かった。」
「わたしこそ、相手役が、一真役が桜小路君で良かった。相手が桜小路君だったから、
 紅天女として演れたと思う。」
屈託のない笑顔を見せるマヤ。
「その言葉が、また僕をまどわせるんだよな~~~あ」
「え??」
マヤの悪気のない言葉や振る舞いに、桜小路はいつも気を持たせられ、ドキドキしていた。
「マヤちゃんはさ、文字通り“舞台上の”魂の片割れだって思ってたんだろうけど、
 そんな目で言われて、現実とごっちゃにしない方が難しいよ。」
そう言って桜小路はにっこりと笑った。
「・・・ご、ごめん、、なさい。」
照れて顔を赤くしながら口ごもるマヤ。
「大丈夫大丈夫、マヤちゃんの気持ちは十分分かってるから。」
マヤとの共演のおかげで、桜小路も演じるという事を身に付けることが出来た。
「僕みたいなタイプの人間は、役になりきりすぎると危険ってことが分かったよ。」
のめりこみすぎると、現実の自分を見失う・・・・。
「・・・・あのね、桜小路君、うまく伝えらえるかどうか分からないけど・・・」
マヤが口を開いた。
「私、舞台上では桜小路君の事しか考えていないの。桜小路君の演じる一真でいっぱい。
 人を愛する感覚とか、大切だと思う気持ちが、現実の私が思うものと同じなのかどうか
 よくわからないけど、とにかく、舞台に立った時は、他のだれでもない、
 あなたを見てます。」
「・・・・ありがとう。マヤちゃん」
マヤのまっすぐな気持ちに恐らく他意はない。それだけに桜小路は
ようやくいえつつある失恋の気持ちが再びくすぐられる思いを感じつつ、
これから先マヤの長い役者人生において、自分と同様な気持ちを、
マヤの相手役は感じるのではないかと思いやった。
「マヤちゃん結婚とか・・・考えないの?」
唐突な質問にマヤは驚いて飛び上がる。
「え?け、結婚????って私まだ21になったばっかりだし・・・・」
「でもさ、マヤちゃんみたいなタイプは、若いうちに結婚して、
 そっちの面での心配を取り除いた方が
 演技に集中できるような気がするけど・・・・、って
 相手も思ってるんじゃないかな・・・」
なんてね、と桜小路君はぺろりと舌を出した。
「そーなのかな・・。」
「うん、じゃないとマヤちゃんの知らない所で勝手に魔性の女認定されそうだよ、
 今のままだと。」
「え、私が魔性の女!?まさか、ありえないでしょ、
 こんなチビで地味で何のとりえもないただの・・・」
「だからだよ!」
そう言って桜小路はマヤの肩をポンポンと叩いた。
「そんなどこにでもいる普通の女の子が、舞台上だとあんなに輝いて美しく、見る人すべてを虜にする。
 だれだって、その陰に素敵な男の影でも想像しなきゃ、普通納得しないんだよ。」
素敵な男性の影・・・・速水さん・・・・
ふいに真澄の顔を思い出し顔をぼっと赤らめるマヤ。
「それに・・・・マヤちゃんはともかく」
相手はさして若くもないよね・・・・ とは桜小路はさすがに言えなかった。
どこで聞かれているか、分かったもんじゃない。

「素晴らしい舞台でしたわ。試演で見た時から更に洗練されて、美しくて・・・・」
マヤの楽屋に紫織が現れたのはそんな時だった。
ようやく少しずつ元の生活に戻ってきたとはいえ、まだ全回復とはいかず、
私が育てたものではなくて申し訳ないのだけど・・・といいながら白と薄紅の花束を
マヤに差し出す。
「あ、ありがとうございます。紫織さん。」
確かに以前よりも肌の色は白さを増し、頬もこけたように見えるが、表情は穏やかで
初めて会った頃のあの包み込むような優しさを感じた。
「マヤさんの紅天女、どうしても見たいと思って治療に専念していましたのよ。」
既に私の事は真澄さまからお聞きでしょう、と前置きして紫織はそう言った。
「あなたにはいろいろと申し訳ないことばかりしてしまって・・・・今振り返っても本当に
 謝る言葉すら出てこないのだけれど・・・・」
伏し目がちに語る紫織に、正直何と答えたらいいか分からない。
「亜弓さん・・・」
唐突にマヤが出した言葉に紫織が気づく。
「え?」
「あ、いえ・・・・。あの、亜弓さん、姫川亜弓さん、彼女と紅天女の稽古を積んでいた頃、
 亜弓さんに言われたことがあって・・・。」
同情なんて、結構。
私なんて、自虐的にそういいながらすべてを手にしているあなたがうらやましい。
「私、今までずっと自分に自信が無くて、見た目も平凡でチビだし、
 どこにでもいる普通の人・・・・」
だけど・・・マヤは紫織に向かって続けた。
「私が唯一誇れること、それが演劇なんです。演じている時だけは、いつもの自分と違う、
 どんな人生でも歩むことが出来る。そんな幸せを毎日感じながら生きています。
 何があっても失いたくない物、それが演劇なんです。」
紫織を吸い込むようなきらきらとした目に、紫織はこの目に魅せられた人を思った。
「私が、私に自信がないっていうことは、舞台上に立つ私を応援してくれるすべての人を、
 桜小路君のような素敵な相手役を、そして 亜弓さんのような素晴らしいライバルを
 否定する事になるって、私ようやくわかってきたんです、だから」
もう、自分なんてって言わないって決めました、マヤは力強く告げた。
紫織は、マヤがあえて真澄の名前を口に出さない所に、その優しさを感じた。
「私、あなたの紅天女に救われた気がします」
「え?」
「私が自分自身を傷つけて、誰かを恨んで心神喪失になったのは、
 あなたのせいだったかもしれない、
 いいえ、あなたのせいだと思う事で、
 私が愛されていないことから目をそむけようとしていた。けれど
 あなたの紅天女が私に一つの答えを教えてくれたのもまた真実です。」
「・・・・・・」
「私、真澄さまを好きになったこと後悔はしていません。とても優しくて素敵な方です。
 たとえそれが偽りのものだったとしても、私にはそれしか見えてなかったから・・・・」
「紫織さん・・」
「あなたにはきっともっといろんな部分を見せていたのでしょうね、真澄さまは。
 もしそんな姿を見ていたら、私はそれでもあの方を好きになれたかしら・・・・」
そう言って再び微笑む。
「人を好きになった時の自分の気持ちがとてもよくわかったから・・・
 いつか本当の魂の片割れの方に出会った時は
 きっとすぐにわかると思いますのよ。」
初恋は実らない・・・・そういうものですよね。
そう言ってにっこりとマヤに笑いかけた。
「あと一週間、素敵な舞台にして下さいね。そして・・・」
落ち着いたら是非、鷹宮の屋敷に遊びに来て下さいね、と紫織は言い残して楽屋を後にした。
桜小路、
紫織、
マヤと真澄の間で傷つけてしまった人たちがいる。
その人たちのためにも、私は紅天女をしっかりと演じる・・・・

マヤの紅天女、最後の一週間が終わったーーーー

**
「紅天女公演成功を祝して、かんぱ~~~~い!」
「かんぱ~~~~い!」
先週末、大盛況のうちに無事に復活公演千秋楽を迎えた『紅天女』
公の祝賀会は別日に開催されると、演劇協会から連絡が入っていたが、
3ヶ月間を、人によっては試演の時からずっと共に頑張ってきた気のおけない仲間たち、
そしてそれぞれを支える家族や関係者などと労をねぎらうため、
何よりこの日本中を熱狂に巻き込んだ一大プロジェクトの一翼を担ったという興奮に
今しばらく浸りたい気持ちで、簡単な打ち上げの場が設けられた。
みんな一様に満足感で表情がみなぎっている。

「毎度のことながら、マヤの豹変ぶりにはびっくりさせられるな~」
会場には、マヤの関係者として、つきかげの仲間や一角獣のメンバーも来てくれていた。
「そうそう、アルディスの時も驚いたけど、まさかの絶世の美女、
 しかもそれが全く違和感ないんだもん。」
「狼少女ぐらいか、マヤがやるってきいて最初から納得できたのは」
「んもうっ、みんな勝手な事ばっかり言って・・・・」
長年の呼吸で続く会話が心地よい。
マヤも、いつもは役が抜けきれずぼーっとすることが多いが、
今回は身も心も同化した余韻で、テンションが未だ冷めない。
「今思い返せば去年の今頃は、あきらめかけていた紅天女の切符を取り戻して、再スタートを
 切ったんだよな。ほんとよくがんばったよ、マヤ。お疲れ。」
そう言ってマヤの頭をポンポンと叩いてくれる麗の優しさに、マヤは涙がでそうになる。
“そうだ、去年の今頃は、紫のバラの人が速水さんだって気づいて・・・その頃には紫織さんと・・・”
たった1年、だがその間に起った出来事はマヤの人生にとって非常に重要な1年となった。
「いろいろあったけど、そうして今回もそのバラは届いたわけだし・・・」
マヤの胸には、先ほど届いた紫のバラの花束が揺れていた。
「ファンの人も、感無量だろうな。マヤの紅天女を見れて。」
一角獣の堀田団長はそう言って、紫のバラをしげしげと見つめた。
にやにやと口元をゆるませる麗を何故か赤い顔をしたマヤが睨んでいる。
「結局マヤは、紫のバラの人には会えたの?」
無邪気に問うさやかに思いきり振り返ったマヤの顔はさらに真っ赤に染まる。
「ええええ~~~~~~っと・・・・・いや、そのまだ・・・?」
「え、まだ正体は明かさないんだ、紫のバラの人も信念が強いのね・・・・
 私はてっきりもうマヤと挨拶ぐらいしてるのかと思ってたわ。だって・・・」
その指輪、紫のバラの人からの贈り物でしょう?と
マヤの左小指に輝くアメジストの指輪を指差した。
「あ・・・、えとこれは・・・・・違うの。」
「全く、君の居場所はいつでもどこでもすぐわかるな。」
紫のバラを抱えたマヤの頭上から、いつもの柔らかい声が響いた。

「速水社長って、あんな顔する人だったっけ?」
遠くで黒沼達と談笑する真澄とマヤの姿を見ながら、劇団のメンバーは話をしていた。
「巷では冷血鬼社長とか言われているけど、私達の舞台に出資もしてくれたし、
 何より今回、マヤの紅天女をしっかりサポートしてくれたわよね。」
「でもさ、例のあの婚約はいったいどうなったんだい?
 特に式を挙げたという話もきかないけど。」
「そうね、とりあえず左手の薬指にはなにも光ってはいなかったわ。」
目ざとい泰子がそう言った。
劇団つきかげ+一角獣のメンバーにとっては、業界人として厳しい指導はしながらも
的確かつ如才ない真澄の態度はどちらかと言えば好意的な印象だった。
「ところでさ、みんな、マヤの紫のバラの人って、どんな人だと思う?」
不意にさやかが話題を持ちかけた。
麗を除くメンバーは興味津々に、その人物を想像する。
「並大抵の財力じゃないわよね、だってマヤの学費だけじゃなく、
 劇場まで改修しちゃうんだもん。」
「月影先生の入院費用も出してくれたわ」
「マヤの演技に魅了された、にしてはやりすぎなぐらいの出資だからさ、
 実は俺ちょっと疑ってたんだ・・・・」
「疑う??」
「ああ、もしかしたらマヤに下心があって何とかしてマヤを・・・・とか。」
「きゃ~~~あ、その可能性もあるよね。あれ、麗顔が青いよ。」
「でも、こうして紅天女になってもなお、名を明かさないなんて、
 やっぱり本当に純粋にマヤの事を応援しているファンなのかな。」
「でもさ、たまに送られてくるドレスとかはなぜかマヤのサイズぴったりなのよね。」
「そうそう、何でそこまで知ってるの?みたいな気も」
「やっぱり全然遠くの人なのかしら、案外身近な人だったりして・・・」
「え~~、もし身近な人だとしたら誰だと思う? ねえ麗?」
「え?あ、ああ、そうだね・・・」(私に聞かないでくれ)
「年齢的には・・・・、やっぱりだいぶ年配よね~え、でもって
 有り余ってるくらいお金があって、演劇に詳しい人・・・・」
「そんな人、いる?」
「ま、まあどんな人でもいいんじゃないのか?マヤが心の支えにしているんだし・・・」
「そんなこと言って、麗、あ、そういえばマヤ、紫のバラの人に恋してなかったっけ?」
「ああ、そんなこと言ってた。ていうことはおじいちゃんではないのか?」
「・・・・・マヤは本当に、紫のバラの人の正体を知らないのかしら・・・」
それまで黙っていた美奈が突然口を開いた。
「え?」
「だって、紫のバラの人を愛しているからって、桜小路君を振ったんでしょ。
 普通会ったこともない人にそこまでの感情を抱ける?
 それに・・・・・、試演の時はまだ不安定だったマヤが、本公演ではやけに落ち着いていた。
 あんなに紫のバラの人に会いたがっていたのに、
 最近じゃ一言もそんなこと言わない・・・・」
これは、有り得ない。
冷静な指摘に麗はつばをのむ。
「そして、もう一つ。」
美奈は人差し指を顔の前で突き上げた。
「そんなマヤの変化に、麗が気づかないはずがない。」
全員の目が麗に集中する。
「・・・・・麗、あなた何か知っているでしょう?」
白状しなさい・・・・そう詰め寄る美奈の顔が怖い。
みんなもどんどん麗を囲んでにじり寄る。
(もう・・・無理です。。。ごめん、マヤ・・・・!)

数秒後ーーーー
「ええええええええええええええーーーーーーーーーっ!!!!!」
訓練の行きとどいた腹式呼吸で発声される声はきれいなユニゾンで会場中に響き渡った。

**
「紅天女成功おめでとう!」
もう何度目だろう、乾杯の声が響く。
黒沼、桜小路、マヤそして真澄は、それぞれにこやかな笑顔で歓談していた。
「それにしてもここ1、2年は大変なご活躍でしたね、黒沼先生」
この一年は『紅天女』、更にその前は『忘れられた荒野』と、復帰後の黒沼は
演劇界の話題の中心にいた。
「まあ、したい事をしたいようにさせてもらっただけだからな、俺としては。」
頭をぼりぼりかきながら、紙コップのビールを一気にあおる。
「速水の若旦那にはホント世話になったよ。ありがとう。」
「そんな急にかしこまらないで下さいよ、黒沼先生らしくもない。
 大都としても大変お世話になりました。ありがとうございます。」
大都といえば・・・と黒沼が切り出した。
「お前さん、大都辞めるのかい?」
黒沼の言葉に、桜小路は思わずマヤの方を見る。
マヤは一瞬体をびくっとさせたが、表情は大きく変わらない。
「おや、いったいどこからそういう話が?」
真澄もにこやかな営業スマイルを崩さない。
「今更そんな顔したって・・・・。大体がこっちはお前さんに振り回されながら
 演出をやってきたようなもんだ。」
「振り回す・・・」
「身に覚えがないとはいわせないぞ。この際だから言わせてもらうが、
 紅天女の試演の時から、北島の調子が落ち込んだかと思えば、ノリノリになって、
 そしたら反対に桜小路が崩して・・・・大体この二人のどっちかがいつも
 スランプになるんだ、こっちは苦労したぞ。あんまり私生活に口出ししたくはないが、
 かといって演技に影響する様じゃ・・・・」
マヤも桜小路も、身に覚えがありすぎて顔をあげられない。
「この二人がもめてる時は、大体お前さんが裏にいるんだ。な、そーだろ?はははははは!!」
冗談めかして快活に笑う黒沼に、真澄も苦笑するしかない。
「何をおっしゃっているかよくわかりませんが、いずれにしろ何らかの迷惑を
 お掛けしたようで・・・」
「迷惑じゃないさ、心配してたんだ。速水の若旦那、お前さんは周囲が言うほど
 悪い奴じゃない、俺はよく分かってるよ。何より演劇を見る目、役者を評価する目は確かだ。
 で、どうなんだい?さっきの話は。」
「大都の件ですか?」
「ああ・・・」
「黒沼先生はどう思われますか?紅天女、来年も大都と組んでやれそうですか?」
真澄の目がキラリと光る。
「お前さん次第かな?」
黒沼もキラリと答える。
「今回は初演とはいえ準備期間も少なく、おまけに俺もいろいろ
 無理難題を言ったと思っている。
 それに大都は、というか速水の若旦那は完璧に応えてくれた。」
 お前さんの居ない大都で、同じことが出来るのか・・・・
「ま、それ以前に・・・・お前さんの居ない大都で上演することは、
 紅天女様が許さない気がするがな・・・」
黒沼がまたもや大きな笑い声をあげようと息を吸い込んだタイミングで、
遠くから大きな叫び声が響いた。

「ええええええええええええええーーーーーーーーーっ!!!!!」

**
「まさか千草、お前がわしを訪ねてくるとは・・・」
穏やかな日差しが春を思わせる2月中旬、速水邸を月影千草が訪ねてきた。
「ええ、私もこんな日が来るとは思いませんでした」
千草の横にはいつものように源造がしっかりと荷物を抱え支えている。
「もう、東京を発つのか?」
「ええ、私のすべきことはもう全て終わりました。あとはゆっくりと・・・過ごしたいのです。」
英介を見つめる千草の表情は硬い。
「紅天女・・・北島マヤの紅天女はいかがでしたか?ごらんになったのでしょう?」
千草の問いかけに英介はしばし宙を見る。
「ああ・・・。素晴らしかったよ。普段のあの子からは想像もできないくらい
 美しい天女だった・・・。」
しかし、やはり・・・
「わしにとっての紅天女は千草、やはりお前しかいない」
そう言って熱いまなざしを送る英介は、今から何十年も前に
さかのぼったかのような表情をしていた。
「去年の春、梅の谷で見たお前の最後の舞台、今でも脳裏にはっきりと焼き付いている。」
「・・・・私は一蓮を愛していました。」
千草はゆっくりとそう語った。
「妻も子もいるあの方を堂々と愛せるのは、舞台の上だけ、紅天女を演じている時だけだった・・・・。
 それでも幸せだった。あの人が私を見る目は同じように私を恋焦がれてくれる魂の片割れそのものだったのだから・・・」
千草の目線は、目の前の英介を過ぎ、その先にいる誰かを見ているようだ。
「お前の演技にくらべれば、北島マヤはまだまだ・・・」
「これからですわ。マヤの紅天女はこれからどんどん大きくなる。」
そういうと千草は、目の前の英介をすっと見つめた。
「私達の時代は、もう過ぎたのです。」
長年にわたる確執、最愛の人一蓮を奪った宿敵、速水英介。
「私と同じ思いを、マヤにさせたくないのです。」
「それは、どういう・・・」
「私はきっとこれからもあなたを許すことはできません。
 大都とかかわりを持つなどやはり一蓮に顔向けができない・・・。
 でもあの子、マヤは違います。」
あの子は誰よりも演劇を愛し、演技に生きる、天性の女優・・・・
「あの子が私と同じ恨みを抱く必要はありません。
 あの子はあの子の道を、紅天女を作り上げるでしょう。」
英介さん・・・・千草に声掛けに、英介は頬をやや赤くした。
「あなたにとってもかけがえのない後進を、
 自分の野望のためにつぶすのはもうやめませんか。」
私もマヤに、紅天女を継ぐ者にまで、自分の背に負ったものをしょわせるつもりはない・・・・
千草の言葉が、英介の心に突き刺さった。
「それは、つまり・・・・」
「マヤには、魂の片割れと結びついてほしいのですよ。私の分まで・・・・」

「わしがお前に出す条件は、ただ一つだ。」
英介は千草との話を語り終わると、そう真澄に言った。
「紅天女、北島マヤを大切にしろ。」



3月 紅天女千秋楽後、北島マヤは大都芸能正式にマネジメント契約を締結、
上演権は引き続きマヤが個人で管理し、
管理面でのサポートとして、速水真澄個人とアドバイザー契約を行った。

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~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
伊豆の招待後、3月の千秋楽を迎えました。
真澄は鷹宮との婚約破棄の後始末によっては
大都を、そして速水家を出る覚悟だったと思いますが、
英介はんの説得は、千草さんに出てきていただきました。
過去の清算は過去の人で・・・・未来は未来の人のため!!
紅天女獲得後のマヤの女優人生に関してですが、
マヤちゃんにはやっぱりいろんな舞台や映画、ドラマなんかでも
がんがん活躍してほしいから、やっぱりフリーでやるのは
いろいろと大変だと思いましたので、芸能事務所に所属して
頂く事に相成りました。
今後の虹の世界編になると、さすがにニューキャラを創造する必要も
出てくるかと思いますが、出来る限りオリジナルキャラクターのみで
構成していけたらと思っています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~


【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第26巻【ネタバレばれ】

2015-03-02 12:00:26 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら
49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第26巻 ※第13章(途中から)第14章(途中まで)

第13章 ふたりの阿古夜

オンディーヌでの稽古を中断し、今後しばらくは自分が稽古をつける事を小野寺に承諾させた歌子は
亜弓に、目が見えない状態での演技を徹底的に叩き込む。
みえないのであれば、別の方法で感覚を得るまで。
歌子の実の娘に対するとは思えない、いや実の娘だからこそ出来るスパルタ指導がスタートした。
物が落ちる時に起きる風圧、一瞬かおる匂い、火の熱さ、音の響く距離感・・・
亜弓はこれまで目に頼ってきた感覚を、体の全ての感覚を研ぎ澄ますことで補おうとしていた。
そして奇しくも、それにより亜弓は紅天女の感覚を引き寄せることになる・・・

紫織は稽古終わりのマヤを呼び出した。
喫茶店で話をする二人。
真澄の婚約者との話など、気まずさ以外ないマヤだったが、
紫織もまた、ことさら自分が真澄の婚約者であることを誇示し、
未来の妻として、大都芸能社長夫人としての立場からマヤに接してくる。
そんな紫織に戸惑いを感じるマヤ。
真澄がマヤに厳しく接するのも、紅天女への思いから、
真澄を憎むようなことはしないでほしい、本当は優しい人なのだから・・・
そういう紫織の言葉に、
「わかっています・・・」
と答えたマヤ。
真澄が本当は優しい人だということ、いつだって
自分のためを思って行動してくれていたこと、
マヤは紫織よりもずっとそのことを分かっている。
しかしマヤのその返答は、紫織の猜疑心をさらに駆り立てる。
マヤは本当は真澄の事を、愛しているのではないか。
そして真澄もマヤの事を・・・・
紫織は二人の関係をなんとしても引き裂こうと画策する。
立ちくらみを装って鞄を落とすと、拾い上げようとしたマヤのバッグに
こっそりと自分の左手の薬指に光る婚約指輪を忍ばせる。
気付かないマヤはそのまま帰宅した。

外出から戻るや否や紫織が泣き崩れていると聞き、鷹宮邸を訪ねる真澄。
そこで紫織が婚約指輪をなくしたと聞かされる。
気にすることはない、また買えばいいと慰める真澄に、
せっかくもらった大切な指輪なのに・・・といいつつ、
もしかしたらあの時、とマヤの事を口にする。
今日マヤに会った時、とても物欲しそうにこの指輪を見ていたと。
暗にマヤが盗んだのではないかと匂わせる紫織に、
あの子がそんなことをするはずはないと取り合わない真澄。
その強い口調にたじろぐ紫織だったが、更なる罠を仕掛けていた。

鞄の中から紫織の指輪を発見したマヤは、すぐに返そうと紫織に連絡を取る。
そして紫織がいるという場所へ指輪を持って向かう。
そこはウエディングサロン、紫織はドレスの試着をしていた。
その美しい花嫁姿に、言葉を失うマヤ。
「お似合いです・・」
そう言うのが精いっぱいだった。
真澄と紫織の結婚にショックを受けている様子のマヤを見て、
秘かにほくそ笑む紫織だったが、更にマヤを追い詰めるため、
マヤに、わざとブルーベリージュースを自分のドレスにかけさせる。
その直後、衣装合わせに立ち会うため訪れた真澄が入室し、
ショックを受けた様子の紫織をかばうように抱きかかえる。
その様子に呆然とするマヤが落とした鞄からは、紫織の指輪が転がり落ちる。
「君が・・・こんなことを・・・」
信じられないといった真澄だったが、激高のままにマヤを怒鳴りつける
「俺が憎いのなら俺に嫌がらせをしろ。紫織さんは関係ないだろ!!」
真澄に信じてもらえなかったマヤは、深く傷つき、その場を後にする。

傷心のマヤのもとに届いた荷物
紫のバラが添えらえた箱の中には、かつてマヤから紫のバラの人へと贈られたマヤの写真が
ズタズタに切り裂かれた状態で入っていた。さらに高校の卒業証書も一緒に・・・。
「あなたに失望しました」
メッセージカードにはそう書かれていた。

真澄に、信じてもらえず軽蔑された。
唯一の絆だった紫のバラのつながりも途切れた。
マヤの心はボロボロだった。

紫織にまつわるここ数日の事件。
水城はマヤがそのような事をする子だとはとても思えなかった。
真澄はそうは思わないのだろうか。
水城はいつか鷹宮邸で目撃した光景を思い出す。
「紫のバラは嫌い・・・」
そう言いながら部屋に飾られた紫のバラを切り落としている紫織の姿を・・・

いつものように忙しい社長に急な仕事が入ったため、
代理で紫織を美術館へとアテンドする水城。
途中鷹宮の車に紫織のポーチを取りに戻った水城は、
車の中に落ちていた、紙片を見つける。
それは、破られたマヤの写真のようだった。

**
真澄もまた、マヤがあのような事をするとはとても思えずにいた。
あの時は激高してあんなことを言ってしまったが・・・。
それほどまでにあの子に嫌われているのか・・・。
紫織との約束を水城に任せ、深夜まで社長室で仕事に従事する真澄を、
紫織が訪ねてきた。
度重なるデートのキャンセルに少し文句を言いながらも、
自分に対して優しくいたわるように接してくれる真澄の対応、
そのまるで商談相手に接するようなよそよそしさを感じながらも、
今度の週末は絶対に紫織との時間を取る、そう約束してくれた真澄に、
紫織は機嫌を少し直す。
二人で大都芸能を出る直前、化粧室に忘れ物をしてきたことに気付いた紫織は、
取ってくるからと再び上階へと上がって行った。
一人駐車場へ向かった真澄は、
そこに立っているマヤの姿に気づく。
「なんでこんなところにいるんだ。まだ何か文句があるのか。」
そう言う真澄にマヤは、
疑われているかもしれないが、自分は絶対にあんなことはしていないと
強く主張する。
マヤは真澄に誤解されたままなのはたまらなかった。
そして、本当に真澄が、紫のバラの縁を断ち切ろうとしているのかを
確かめるため、ずっと大都芸能の前で真澄が出てくるのを待っていたのだ。
その時・・・
ガラの悪い数人の男たちが二人に怪しく声をかけてきた。
彼らは、以前真澄が引き抜き工作を行って主力タレントを奪われた
北斗プロの息のかかった者たち。
以前から真澄に恨みを持ち、脅迫状を送りつけていた。
とうとう実力行使に出てきた・・・。
真澄は、マヤだけでもなんとか逃がそうとするが、暴漢につかまってしまう。
とっさに暴漢に殴り掛かると、真澄はマヤをかばうように抱きかかえ、
必死にマヤの身を守った。
「この子にだけは手をだすなっ!!何かあったらただじゃおかんぞ!!」
そう言いながらひたすら暴行を受け続ける真澄。
真澄の胸の中で守られながら、何もできないマヤは、
頭から血を流しながらもそれでもマヤの安否を気遣い続ける真澄の様子を見て、
決してこの人が、あんな絶縁状を送ってくるような事をするはずがないと確信する。
エレベーターから降りてきて、真澄とマヤの様子を目撃した紫織は激しく動揺し、貧血で倒れこんだ。
大声を上げて助けを呼ぶマヤ、騒ぎに気付いて駆け付けた警備員に
マヤのために事が大きくならないよう、警察は呼ぶなとくぎを刺した真澄は、
そのまま倒れこみ意識を失った。

社長室に運ばれた真澄をマヤは介抱する。
自らのハンカチを濡らし、真澄の血をふき取りながら、
真澄へのあふれる思いを今更ながら痛感する。
こうやってこの人はずっと、私の事を守ってくれていた・・・・。
涙を流しながら必死に真澄の事を思う。
そして、阿古夜のセリフを口にしながら、眠り続ける真澄に思いのたけを告白する。
「捨てて下され、名前も過去も」
「阿古夜だけのものになってくだされ」
そして、マヤは真澄の唇に、自らの唇をそっと重ねた。

翌朝、
社長室で目覚めた真澄のそばには紫織が立っていた。
ずっと介抱してくれたのか、との問いにうなずく紫織。
マヤを気にする真澄に、あの子は怖くなってさっさと逃げて帰ったと告げた。
それでも真澄は、マヤが無事であることに安堵をする。
しかし真澄の頭の中には、紅天女の言葉、そしてマヤを思わせる暖かな感触が
そこはかとなく残っていた。
あれはすべて、夢か・・・。

あの夜、貧血で倒れていた紫織は意識を回復するとすぐに社長室に行き、
そこで真澄を介抱するマヤを発見、怒りにまかせてマヤを追い出していた。
しかし紫織は気づいていた。
うなされながら真澄がうわごとのようにマヤの名を呼んでいたことを。
紫織はさらなる画策を企てる。

前日、無残に送り付けられた紫のバラを受け取って深く落ち込んでいたマヤだったが、
翌朝はまるでそんなことなかったかのように元気に稽古場に現れた。
紫のバラの人は、きっとあんなことしない。
そう言い切るマヤに、黒沼もきっとそうだろうとうなずく。
再び真澄を信じ、自分は紅天女に向かって努力するだけーーー
やる気を取り戻し再スタートを切ろうとした矢先、紫織の謀略がマヤに襲い掛かる。

黒沼、そしてマヤを訪ねてきたのは紫織の側付、滝川。
滝川は、度重なるマヤの紫織及び真澄に対する無礼を非難し、
今後一切二人に近づくなと警告しに来た。その監督責任は黒沼にもあるとも。
事実無根の言いがかりに反論しようとするマヤを押しとどめた黒沼に、
滝川は一通の封筒を差し出す。
もし今後、こちらの言うとおり邪魔をしないでいてくれれば、これからの
演劇活動に鷹宮として支援をすることを約束する。
これはそのうちの一部だと。
封筒の中には、1000万円の小切手が入っていた。
お金で買収しようとするいけ好かない態度に怒りをあらわにする黒沼。
こんなもの受け取っては、自分がやりましたと認めるよなものだとマヤを急き立て、
返してこいと命令する。
電話で紫織が向かっているという場所を聞き出した黒沼は、
マヤにその情報と小切手を持たせ、急ぎその場所へ向かわせた。

先週のデートキャンセルのお詫びにと、今度の土曜日は携帯を持たずに
来てほしいと、紫織に言われるまま鷹宮の用意した車に乗り込む真澄。
社を出る直前、掃除の担当者から、社長室に落ちていたというハンカチを受け取る。
血の付いたそのハンカチ、紫織の物にしては子供っぽいが・・・。
真澄はとりあえずそのハンカチを胸ポケットにしまうと、運転手に連れて行かれるまま、
紫織のもとへと向かう。
着いた所は船着き場。渡された乗船券、それは
アストリア号 ワンナイトクルーズ・・・・
支配人に案内されるまま上船した真澄は、紫織が手配したという
ロイヤルスイートルームに入る。
そこで目にしたものは、
豪華な天蓋付きのキングサイズダブルベッド、
その瞬間真澄はきびすを返し、元来た道を戻って行った。
「降りる」
真澄の様子に慌てた支配人が必死に押しとどめようとしている時、
向こうの方で何やら騒ぎが起こっていることに気付く。
「離して下さいっ、この船に乗っている人に用があるだけなんです
 渡したらすぐに降りますから・・・・!!」
船員に取り押さえられている人は、
「マヤ・・・!!」
「・・・・?は、速水さん!?」

船着き場に向かう紫織は、決心をしていた。
真澄の心を繋ぎとめるためならば、私は後悔しない。
真澄のためならば、なんでもできる。
“おじいさま、はしたないとは思わないで下さい・・・”
しかし紫織を乗せた車は高速道路で事故渋滞に巻き込まれ、
前にも後ろにも進めなくなる。
無情にも過ぎていゆく時間・・・
もう、出港の時間が過ぎてしまう。
皮肉にも二人の時間を邪魔しないよう、真澄に携帯電話を置いてくるようお願いしたのは
紫織自身であった。
“こんなことになるなんてっ!!”

紫織に小切手を返しに船に乗り込んだマヤ、
紫織に言われるがまま、船に乗り込んだ真澄、
しかしそこに紫織はおらず、二人を乗せたアストリア号は静かにワンナイトクルーズの旅に出た。

第14章 めぐりあう魂

レストランで食事をとるスーツ姿の真澄と普段着のマヤの姿はとても不釣り合いで、浮いていた。
噂になっていると心配するマヤに、せいぜい姪と叔父にしか見えないと軽口を飛ばす真澄。
マヤが紫織に用があって船に乗ったことを察した真澄は、その理由を問う。
見抜かれたマヤはやはり真澄に隠し事は無理だと、素直に小切手の件を話す。
紫織は何を考えているのか・・・・
真澄の中で初めて紫織に対する不信感が芽生えた。
「私、あの人に、あなたの大切なあの人にあんなこと、絶対してませんから!!」
そういうマヤに疑って悪かったと詫びた真澄は、受け取った小切手を目の前で破った。
「これは俺から紫織さんに返しておく」

食事が終わり、船内のブティックでマヤにドレス一式をプレゼントする真澄。
綺麗にドレスアップされたマヤの姿は、これまで見たこともないほど美しく、大人の女性だった。
「チビちゃんがよく化けたな」
軽口で自分の動揺をごまかそうとする真澄だったが、
「わたしもうチビちゃんじゃありません、大人です。結婚だってできるんですっ」
と叫ぶマヤに、そうだったなと心ここにない返事をする。
そしてマヤを船内で開催されるレビューショーやパーティーに連れて行く。
経験したことのないような華やかなステージにマヤはすっかり魅了される。
そんなマヤを真澄はダンスに誘うが、経験がないからとマヤは拒絶する。
「前にも踊ったことあるじゃないか?」
「あの時は授賞式で、速水さんが・・・」
「あの時のように、俺に任せてついてくればいい・・・」
そう言ってマヤの手を取ると、優しくエスコートした。
真澄に促されるままステップを踏むマヤ。
次第に動きにも慣れ、華やかに舞い踊るマヤと真澄に、いつの間にかダンスホールの人たちも
注目し、ダンスが終わった時には盛大な拍手を受けた。
真澄と過ごす、つかの間の幸せな日々。
マヤはこの時をかみしめた。

パーティーも終わり、部屋に戻る真澄の顔はさえない。
促されるまま通された部屋は、ロイヤルスイート。
真澄は、他に部屋が取れなかったからとマヤをこの部屋に残し、
自分はロビーで休むとその場を後にした。
部屋に残されたマヤ。
目の前のダブルベッドを見た瞬間、マヤは本来ここで一夜を過ごすはずだった
真澄と紫織の事を思い出す。
“そうだった、ここで本当は真澄は紫織と過ごすはずだったんだ・・・”
悲しい現実に、先ほどまでの幸せな日々は幻だったかのように、
マヤは涙と共に真澄にプレゼントされたドレスを脱ぐ。

マヤの事を思いながら、デッキで夜風を浴びながらグラスを傾ける真澄。
そこへ、泣きながら普段着に着替えたマヤが現れた。
そして、これお返しします、と買ってもらったドレスを真澄に渡す。
「あの部屋、速水さんが紫織さんと過ごすために手配した部屋ですよね。
 私あんなところで寝られません。」
体だけは丈夫だからと、鍵を返しロビーに行こうとするマヤ、
真澄は思わず声をかけた。
「待ってくれ!」
そして自分もあの部屋を使うつもりはない、と鍵を海に投げ捨てる。
「俺も知らなかったんだ。今日は紫織さんに言われて何も知らされずに船に乗って・・・。
 降りるつもりだった・・・・・・。」
船上で、君の姿を見るまでは・・・
そう言った真澄の顔をマヤは驚いた顔で見つめる。

お互いに帰るべき部屋を失ってしまった・・・と笑いあう真澄とマヤ。
夜は冷えるからと真澄のコートをかけてもらいながら、二人で星空を鑑賞する。
いつか、プラネタリウムで見た空。
梅の里で見た、空。
そして、今・・・・
頭上には、満天の星空が広がっている。
二人は飽きることなくずっと、星について語り明かした。
当たり前みたいに、なんでもない会話が出来る・・・・。
今はただ、それだけで十分幸せだった。

**
翌朝、
ロビーのソファーでそれぞれ過ごした二人。
目覚めたマヤがデッキに出ると、そこには薔薇色に輝く朝焼けがきらきらと輝いていた。
“速水さんにも、見せたい・・・”
マヤは寝ている真澄を起こすと、腕をひっぱって真澄をデッキまで連れ出した。
寝ぼけ眼の真澄も、目の前できらめく夜明けの美しさにしばし言葉もなく立ちすくむ。
「よかった間に合って・・・。この景色、速水さんにも見てもらいたかった・・・・」
そう言ってほほ笑むマヤに、ふと真澄は暴漢に襲われた日の事を思い出す。
胸ポケットには、血の付いたハンカチが、もしや・・・・。
「君のハンカチを俺の血で汚してしまって悪かったな・・・・」
そう言って真澄が差し出したハンカチを受け取ると、マヤはあの夜の事を思い出し
顔を真っ赤に染めた。
紅天女の言葉にのせて伝えた、真澄への愛の告白。
顔を真っ赤にしたマヤの姿を見て、あの夜の感覚は夢ではないのではないかと
思った真澄は、マヤにお願いをする。
「阿古夜のセリフやここで演ってくれないか。」
真澄がもしかしたらあの日の事に気づいているのではないかと緊張するマヤだったが、
真剣な真澄のまなざしに、自分のありったけの気持ちを込めて伝えようと決意する。
そして、おもむろに靴を脱ぐと、マヤは手すりに寄りかかる真澄の側に立った。
「お前さまが好きじゃ」

その声はあの夜、真澄が夢うつつで聞いた声そのものだった・・・
「!?」

マヤは、真澄への愛情をセリフ一つ一つにのせて語る。
真澄を見つめる視線はどこまでも愛おしく、真澄以外は誰も映っていない。
マヤの本心が信じられない思いでいる真澄だったが、
真澄のジャケットをふんわりと抱きかかえ、頬を寄せながら
「お前さまに抱かれている時はどんなにか幸せ・・・」
そう言って恍惚の表情を見せるマヤに、もう冷徹の仮面をかぶり続けることなど
出来なかった。
そしてーーー
「すててくだされ 名前も過去も 阿古夜だけのものになってくだされ・・・」
そういって優しく真澄の頬に手のひらを当てるマヤの表情は、
魂の片割れに対する真実の愛情表現だった。
“もう、だめだーーー”
これ以上、自分の気持ちに嘘をつくことなどできない・・・・
真澄はマヤをきつく抱きしめた。

“速水さんーーー!!”

朝焼けを背に、デッキで抱き合う二人。
他の乗客がデッキにやってきて、思わず離れようとするマヤを、
真澄は離そうとしない。
「もうすこし、このままで。」
「う、噂になります。速水さん。」
「俺と噂になるのは、いやか?」
そう言う真澄の声は真剣で、マヤは覚悟を決めた。
「いいえ、速水さん。」
そういうとマヤは真澄の背に回した手をギュッと握りしめた。
その姿を見ていた乗客は、あてられたようにそそくさとデッキを後にした。

「いつからだ?いつから俺をいやじゃなくなった?」
「最初は・・・でも、あなたの優しさに気付いてから・・・・」
たどたどしく答えるマヤをゆっくりと放した真澄は、
マヤがもうチビちゃんとは呼ぶなと言っていたことを思い出し、
これからは違う呼び方にになってもいいか?と尋ねた。
「マヤ・・・」
その言葉に顔を赤らめるマヤだったが、続けて真澄に
おれの事を冷血仕事虫やゲジゲジ、イヤミ虫と呼ぶものもやめろと説教され
思わず吹き出してしまう。
二人で屈託なく笑いあう、長らく忘れていた感覚だった。

伊豆沖を航海するアストリア号。
この近くに別荘を持っているという話を真澄がする。
自分以外は限られた人間しか来たことがない。自分の隠れ家。
そこにいると、自分自身を取り戻せるような気がする・・・
そう語る真澄は、今まで見てきた顔ではない、素のままの真澄だった。
砂浜を裸足で歩くとキュッキュッと鳴って、
岩場ではカニがブクブクと泡を吹いている
そして夜になるとテラスからは満天の星空が見える。
私も見てみたい・・・そういうマヤを真澄は
「来るか・・・?今度。」
と照れたように誘った。
伊豆の別荘、星空、その日はきっと帰れない・・・・・
「はい、速水さん。私も一人で行きます。」
速水さんがいやでないなら・・・と照れたように、でもはっきりとマヤは答えた。

もうすぐ帰港ーー
君といる時は自分を取り戻せるようだ、そういってくつろいだ様子の真澄を見ていると、
思わずマヤは側に身を寄せた。
夢のようなひと時が、もうすぐ終わる。
真澄は優しくマヤの肩を抱き寄せた。
名残を惜しむかのように、マヤと真澄は黙って身を寄せ合い、
ようやく手に入れた幸せをかみしめ、そして船を下りてからの現実を思った。

港では、真澄の帰港をまんじりとした思いで待ちわびる紫織が、
そして、船に乗ったまま出港してしまったことを聞いて、マヤを迎えにいこうと
バイクを走らせる桜小路が向かっていた。

**
船着場に着いた真澄とマヤ。
ゆっくりと人波に流されながら出口へと向かう。
“夢のようなひとときも、終わる・・・”
その時、真澄はマヤの肩をしっかりと抱き、言った。
「これから、俺を信じて待っていてくれるか?」
しばらくは会えないかもしれない・・・だが、
「いつか、いい形で君を伊豆に迎え入れたいと思っている。」
はっきりとそう言った真澄に、マヤは待っていますと答えた。
真澄がマヤと二人で出てきた姿を見て驚愕する紫織。
なぜ、ここに、北島マヤが、真澄と一緒に・・・!
紫織の姿を見つけても動揺することなく真澄は、マヤと偶然船で会ったこと、
マヤは紫織にこれを返しに来ただけだ、とポケットから小切手を取り出した。
「破ったのは、僕ですが・・・」
そして真澄はマヤを送っていくと告げ、紫織の前を素通りした。
“気づかれている、自分がマヤにしたことを・・・”
そして船上で二人っきりで過ごした・・・
紫織の目の前は真っ暗になり、そのまま倒れこんだ。

倒れこんだ紫織をさすがにほっておけない真澄は送ってやれないことをマヤに詫びると、
タクシー乗り場に連れて行った。
タクシーに乗り込む直前、
「桜小路くん!?」
バイクでマヤを迎えにきた桜小路は、マヤが真澄といることに驚いた様子だったが、
いつになく深刻な表情の真澄は
「マヤを頼む・・・」
と桜小路にマヤを送っていくことを頼んで、自身は紫織の運ばれた医務室へと去って行った。
マヤと真澄の間に流れるいつも違う雰囲気を感じながらも、
マヤを連れて行こうとする桜小路だったが、それを拒否したマヤは、
走って真澄の後を追っていった。

「待ってください、速水さん!!私まだ大事な事言ってない・・・!!」
廊下でマヤの声に振り向いた真澄の胸に、マヤは飛び込んだ。
「私、まだ子供で、大人の世界の事なんて分からなくて・・・・だけど私、早く大人になります。」
早く大人になって、速水さんを助けられる人になりたい
「だから・・・、私の事待ってて・・・!」
全身でぶつけてくる健気なマヤの思いに、真澄も思いのたけを込めてきつくマヤを抱きしめ応える。
「もちろんだとも・・・!君こそ俺を待っていてくれ・・・!」
紫織の休んでいる医務室へと続く廊下で、真澄とマヤは
これまで伝えられなかった思いを全て吐き出すように、互いを抱きしめあった。

“・・・!?どうして、どうして速水さんとマヤちゃんが・・・!?”
マヤの後を追ってきた桜小路は、その様子を目撃してしまう。
放心状態でバイクに戻る桜小路。
“昨日、二人に何があったんだ。船の上で・・・いったい何が・・・”
信号を見落とした桜小路のバイクは、トラックに激突した。

**
桜小路の交通事故の一報を稽古場で聞いたマヤは、仲間たちと病院へ駆けつけた。
全治2ヶ月ーーー
あと1ヶ月に迫った試演には間に合いそうもない。
病院のベッドの上で目を覚ました桜小路は、なぜここにいるのか、
記憶をたどる。
そして目の前でみた、マヤと真澄の熱い抱擁を思い出す。
その時の残像を思い出し、そばに駆け寄るマヤに冷たい対応しかできない。
せっかくここまで築き上げてきたのに・・・こんな風にあきらめるなんて・・・
一真として、必死にもがき作り上げてきたものを、桜小路はあきらめたくなかった。
病院を抜け出し、松葉づえをつきながら、桜小路が稽古場にやってきた。
試演の行われる10月10日まで、完治は出来ないが今より少しはましになっているはず。
であれば、その状態で舞台に立て、黒沼は桜小路にそう告げた。
マヤに対してのわだかまりはまだ解けないが、それ以上に
一真役への強い意欲が桜小路の中に生まれていた。
なんとしても、自分の一真を演じる。
マヤは、露骨に自分を避けている桜小路の態度に疑問を感じつつも、
戻ってきてくれたことに安堵の気持ちでいた。
舞台の上での相手役、私の一真・・・。

その頃真澄も、伊豆の別荘であの船での出来事を改めて思い出していた。
今でも体に、マヤを抱きしめたあの感触がよみがえる。
今頃になって、愛しくて愛しくてしかたない。
真澄の体内では血が熱く燃えたぎっているような感覚すらある。
ここにあの子を、招く日が来るとは・・・。
しかし真澄にはまずやらねばならないことがある。

聖の報告で知った、マヤのもとに届けられたという身に覚えのない紫のバラと
びりびりに破られたマヤの写真、そして送り返された卒業証書ーーー
それでもマヤは「紫のバラの人を信じています」と健気に言ったという。
やはり、ここ伊豆の別荘から無くなっていた。
ここに来れる人物は限られている・・・。

そして、水城に渡されたマヤの写真の切れ端。
鷹宮の車で発見したという。
紫織の指輪紛失事件と、ドレス事件・・・
真澄の中で一つ一つのピースがつながっていく。

「結婚式を中止する場合の損失と、鷹通との提携解除のシミュレーションを」
真澄からそう指示された水城の顔は凍りつく。
既に間近に迫った真澄と紫織の結婚式は、招待客1000名超の大がかりな披露宴、
料理やウエディングケーキ、引出物や挙式後の新婚旅行に至るまで、
最高級の物を準備し進められてきた。
ましてや鷹通との提携解除という事になればその損失は・・・
水城は、鉄壁だった真澄の心の鎧を壊したものは何なのかと思いを巡らせる。

**
母、歌子と二人っきりでほとんど見えない目を補う演技の稽古を続ける亜弓。
目が見えないと相手に分かられてはいけない。
歌子が手配した特別な稽古場は、誰の入室も認められていない。
相手との距離感をしっかりと把握して、視点を合わせなければいけない。
風や匂いやその他自分を取り巻くすべての物から情報を察知し、合わせていく。
過酷な稽古を乗り越え、歌子は小野寺と、相手役である赤目慶を稽古場に
招き入れ、亜弓の紅天女を見せる・・・

文庫版27巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
やっとこ来ました、めぐりあう魂編。
どんなに周りに邪魔されたって、魂の半身はめぐりあっちゃうものなのですよ。
マヤの事信じずに怒った真澄さんには腹立ちますが、それはまあ、鬱積した思いが
暴走したと汲んで、許してあげて下さい。
デッキでも鉄仮面かぶりっぱなしでスルーするかとヒヤヒヤしましたが、ようやく
自分の心に素直になってくれて・・・・うれしい。
でも、傍からみれば単にマヤが紅天女のセリフを情感たっぷりに語っただけなんですが、
よくあれでマヤの恋心に気付いたな、朴念仁真澄・・・と思えなくもなく。
とりあえずあの時は、マヤが自分の事嫌いじゃない程度の認識だったのかな。
で、船降りた後、改めてのマヤの告白で確信したのかな。
にしては、マヤもいったい何が言いたいのかいまいちよくわからない告白をしてますよね。
大人になるまで待ってて・・・って、どういう意味ですか?
奇跡的に通じてるけど「もちろんだともっ!!」

この後ハッピーラブラブ展開になるかと思いきや、どどどど~~~~~んと奈落の底に
落ちちゃうことはさておき、
これでひとまず文庫版は終わりです。続きはとりあえずコミックス版に移行しますね。

※2016.09追記:文庫版27巻発売されました~~~


【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第25巻【ネタバレばれ】

2015-03-02 11:17:04 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第25巻 ※第13章(途中から)(途中まで)

第13章 ふたりの阿古夜


演劇協会理事長と共にKIDスタジオに現れた千草を前に、紅天女を演じるマヤ。
その演技は、これまで稽古で見せていたのとは全く異なる、
神がかり的な紅天女だった。
終了後も、紅天女が抜け切れないマヤに、千草は水さしを用意すると、
「どうぞ阿古夜」
とその手に持たせたコップに水を注いだ。
「・・・いただきます・・・!」
うやうやしく受け取るマヤ
その姿は、一杯の水に畏敬の念を表す、神々しさに満ち溢れていた。
「予想以上だったわ」
マヤの演技の評価を聞かれた千草はそう答えた。

その後、オンディーヌ新スタジオに亜弓の様子を見学に来た千草は、
マヤ同様、亜弓にも紅天女を演じさせる。
評判通りの美しく気高い亜弓の紅天女、見惚れる人々。
稽古終了後、千草は亜弓に水を差しだした。
「どうぞ、阿古夜」
「あ、ありがとうございます。月影先生」
そう言うと亜弓は、一気にその水を飲みほした。
千草からのアドバイスは特にない。
千草が先にマヤの稽古を見ていた事を聞き、源造にその時の様子を問いただす亜弓。
千草はマヤに対してもなんのアドバイスもしていない。
しかし、千草が差し出した水を大切そうに跪いて受け取り、深く頭を下げ、
なにかとても大切なものを頂いているようだったときき、
亜弓は不安でたまらなくなる。

マヤへの不安感を払しょくする為にも、ますます稽古に力が入る亜弓。
しかしそんな亜弓を追いかけていたカメラマン、ハミルは
「人形」の写真は撮らないと亜弓の姿を撮影することはなかった。
ある日の稽古で、不安定な照明器具が倒れ、ある役者が下敷きになりそうになる。
それをかばった亜弓が照明器具を受け、後頭部に強い衝撃を受ける。
「・・・つっ!!!」
一瞬目の前が光って気を失いそうになるが、
しばらくするとおさまり、特に問題はなさそうに見える。
亜弓はそのまま稽古を続けた。
しかし・・・・
その後、亜弓は時折視界をが大きく揺らぐ感じを感じたり、
一瞬目の前が真っ暗になる事もあった。
そしてついに・・・
亜弓はロッカールームで倒れてしまう。
次に気づいた時、亜弓は病院のベッドの上にいた。
目には何重にも巻きつけられた包帯。
後頭部に受けた衝撃により、脳内に血塊がたまり、視神経を圧迫しているという。
早急な手術が必要、さもなければ
失明もーーーー
しかし亜弓にとって、手術を受けるという選択肢はなかった。
このまま、行く。
紅天女の試演まで・・・・

**
「人は、会ったこともない人を愛せるものなのか・・・・?」
あの日、紫のバラを手にあふれる恋心を見せたマヤの姿が忘れられない真澄は、
水城にそう尋ねた。

東京に出てきた千草と面談した真澄は、改めて千草から
自分がマヤの母親を死に追いやった事実を指摘され心に痛みを感じる。
今まで秘かに送り続けた紫のバラは、伝えられない真澄自身の
マヤへの思いの象徴・・・・
全てをあきらめ、闇の中で生きることを決めた真澄。
マヤが自分ではない自分を愛している、しかし母親を死に追いやった自分を許すことはない。
どうしようもない切なさと絶望感を感じていた。

**
紅天女の話題といえば亜弓の事ばかり取り上げられる周囲に動揺しながらも、
マヤは必死に集中しようとしていた。
私の魂の片割れは舞台の上、相手役の桜小路・・・。
マヤとの稽古が続く中、マヤへの思いがどんどん高まる桜小路、
しかし休憩時間に魂の片割れの話がでたとき、マヤは苦しげに、
そんな人に出会ったらきっと今までの自分がどんなに孤独だったか気づくと思うと話した。
その言葉に、桜小路は聞き覚えがあった。


街で偶然桜小路と会った真澄は、吹っ切れたようにマヤへの恋心を話す桜小路を
うらやましく思う。
マヤちゃんに振られるのはなれてます、
でもいつか振り向いてくれるのを、待っている。
まっすぐな目で、マヤの事を好きだと語る桜小路。
そしていつか真澄と会った時に話したことを口にする。
「もし魂の片割れと出会ったら、自分がどれほど孤独だったか気づくに違いないって・・・
 速水さんと同じことを、マヤちゃんも言っていました・・・」
マヤも自分と同じことを・・・。

都会で見上げる夜空に、星はほとんどかすんで見えない。
あの日、マヤと二人で見た星空・・・。
空の星を見て、きれいだと無邪気に喜んでいたあの子の笑顔。
全然違う立場なのに、一緒にいる時はなぜか心が落ち着いて、同じ気持ちでいてくれるような、
そんな気にさせてくれる少女・・・。
現実世界で隣にたたずむ美しい人は、ほとんど見えない空の星よりも、
地上に輝くきらびやかで美しい都会のネオンの方が似合う女性・・・。

自分とっても会社にとっても申し分ない相手、
しかし真澄はその気持ちにはやく答えたいと思っていながら心が重く動けずにいた。
魂の片割れ・・・紅天女の恋・・・
真澄は千草を訪ね、そのことを教えてもらおうとした。
しかし千草が現在身を寄せている演劇協会会長邸を訪ねたとき、真澄はマヤに遭遇する。
マヤもまた、魂の片割れについて千草を教えを乞おうと訪ねてきたのだ。
街で偶然再会した車椅子のおじさん、彼が千草の居所を教えてくれた、
しかしまさかここで真澄に会うとは。
マヤは動揺する、しかしそこでマヤは真澄の政略結婚という現実を目の当たりにし、
真澄の優しさは自分が紅天女の候補だからであると心を頑なにする。
「あなたにはくれを渡さないっ絶対に!」
マヤは罵声を上げて真澄と千草の前から走り去った。
その言葉に重く深く心をえぐりとられた真澄は、結局千草に本当の事を話す事ができなかった。

**
紅天女のリアリティーを追求する黒沼組は、街へ出て稽古をする。
ファミレスで、歩道橋で、公園で。
現代社会の日常風景の中で、南北朝時代のセリフを口にする。
今までどこか非現実的だった会話が、一気に今の時代によみがえる。
昔も今も、生きている人は同じだ。
更にその感覚を育てるため、黒沼はマヤ達を新宿新都心の高層ビル街に連れて行く。
都庁展望室から見る富士山、そして一望できる東京。
この世界に何万もの人々それぞれのドラマがある。
生命がそこにある。
自然界のすべてに神の法があり、その法によってこの世のすべてが生かされている
マヤは急速に紅天女のセリフの意味が体に浸透していくのを感じた。
都会のオアシスのような不思議な空間。
オブジェ、水のカーテンを通してきらめく日の光
梅の里での大自然とは違うが、これも風火水土・・・・。
紅天女の世界観・・・!そして
神と仏の恋物語・・・

**
マヤと紫のバラ、そして真澄との関係に不安を抱く紫織。
父子2代に渡って追い求めてきた幻の舞台「紅天女」
その実現のために、女優として興味を持っているだけ・・・そう思う一方、
真澄の時折見せる冷酷な表情や、ことマヤに関して投げつけれる
辛辣な言葉などがかえって紫織の不安をかき立てる。
ある日紫織は、麗達からマヤと紫のバラの送り主の関係を聞く。
マヤが中学生、初舞台の時からの熱心なファンであること、
いつも紫のバラを贈り励ましてくれてきたこと、
時には学費や、劇場の改修まで支援してくれたこと、
マヤの女優としての心の支えであり、高校卒業時にマヤが
自身の卒業証書と学園生活をまとめたアルバムをその人に贈ったこと・・・
紫織はいつか真澄の別荘で見つけたアルバムの事を思い出し蒼白になる。
そしてついに見つけてしまう。
真澄の別荘で、マヤの高校卒業証書を。
真澄さま、あなたはずっとあの少女を、陰で支えてこられたのですね・・・・
誰にも真実を知られることなく、表だってはあんなにひどい態度で接してきた
北島マヤ、そこに真澄のマヤへの深い愛情を察知した紫織は、
絶対に真澄を奪われたくないと、嫉妬の炎を燃やす。

離れなければならない、忘れなければならないと思いつつ、
側に行きたい、一目でいいから見たいという気持ちを押さえられず、
真澄は仕事途中に一人、マヤ達が稽古をしていたという新宿新都心の広場に立ってマヤを思う。

その姿を、紫織は陰で見つめていた。
自分との約束は、仕事を理由にキャンセルするのに、
こうして仕事の合間を縫ってでも北島マヤの居た場所に立寄ろうとする・・・
真澄にとっての北島マヤの存在がもはや単なる一女優、紅天女候補としての
ものではないことを、紫織は確信していた。
“どんなことをしても 北島マヤを真澄様の心から追い出して見せますわ”

**
映画のロケ地から急きょ帰宅した亜弓の母、歌子は、手術を受けるよう説得する。
しかし亜弓は頑として首を縦にはふらなかった。
このまま試演を受けたとして、目が見えない状態で演技が出来ると思うのか。
そう問う歌子に、やってみなければわからないとあくまで挑戦する意思を曲げない。
根負けした歌子は、それならば私自身が稽古をつけると決意し、
母子の壮絶な稽古が始まった。


第26巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
二人の阿古夜編も前章に引き続きつらいつらーい章なので、まとめがやや浅く
なってしまいました・・・。直視できないよ、真澄はん。
紫織もとうとう覚醒してしまいましたし、次巻はほんとにジェットコースター展開です。