(み)生活

ネットで調べてもいまいち自分にフィットしないあんなこと、こんなこと
浅く広く掘っていったらいろいろ出てきました

( ´艸`)☆更新履歴☆(´~`ヾ)

(ガラスの・Fiction)49巻以降の話、想像してみた*INDEX (2019.9.23)・・記事はこちら ※ep第50話更新※
(ガラスの・INDEX)文庫版『ガラスの仮面』あらすじ*INDEX (2015.03.04)・・記事はこちら ※文庫版27巻更新※
(美味しん)美味しんぼ全巻一気読み (2014.10.05)・・記事はこちら ※05巻更新※
(孤独の)孤独のグルメマップ (2019.01.18)・・記事はこちら ※2018年大晦日SP更新完了※

(・Θ・)★せめて一言だけでも毎日更新★ (´∩ω∩`*)

レディスアパレルセレクトショップ
始めました☆☆
公式HP:-オーレオリン- オンラインショップ

ep第51話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2021-11-16 15:18:09 | ガラスの・・・Fiction

ep第50話←        →ep第52話
********************
「....眠ったのか?」
「....いいえ、寝てません。聴いてるから、もう一回。」

イギリス郊外の森の中、こどもの秘密基地のようなこの場所は
鳥のさえずりや木々のざわめきだけかBGMの世界
ひときわ大きな幹の上にこしらえられたツリーハウスは
まるで大きな巣箱のようにひっそりと、日差しの間隙の
ような涼しさ、その小さな空間でマヤはゆったりと
真澄の胸に身をもたせ掛けていた。

「睡眠不足は俺のせいかな?」
「え?あ、いえ、そんなことは。昨日はちょっとびっくりしましたけど」
過労をおしての渡航と、久しぶりにマヤに会えるという安心感で
不覚にも記憶を失い倒れこんでしまった真澄だったが
「君の看病を受けるのは、これで何度目だ?」
「え??」
「・・ふ、いやなんでもない。」

あれはいつだったろう。
遠い昔のような、つい最近のことのような
暴漢に襲われるマヤをかばって負った傷
朝まで寝ずに看病してくれたのがマヤだと知った時の驚き
そして、
「君の気持ちがもしかして・・・と思った時の高揚・・」
「え?何か言いました?」
「あ、いやなんでもない。続きを読もうか。」
まるで子供に読み聞かせをするように、腕の中に
マヤを囲って真澄が手にしている本は、
今回撮影中の映画『スヴァンスタイン荘の住人』を
元にした絵本、その原版だ。
「それにしてもマヤ、英語は理解できているのか?」
「・・・・いいえ。でもお話は知っていますし、
 速水さんの英語、なんだか響きが好きなんです」
耳からだけでなく、そっともたせ掛けた真澄の胸から響く
その鼓動も、マヤの全身を安心感で包み込む。
「でも、いつも仕事で話している時とは違う感じがします」
「・・・ん、ああ。確かに普段の商談相手はアメリカ人が
多いからな。こちらの発音とは異なるが。さすがだな」
言語としての英語はちんぷんかんぷんだが、音として
奏でられる英語はダイレクトにマヤの五感を刺激し
吸収されているようだ。
「何言っているかは分からないけど、何を言いたいのかは
 なんとなく伝わってきます」
喜怒哀楽、それはマヤが言葉を超えて表現してきた
人間の感情の本質
「確かに、エイカーさんとの意思疎通はできているようだったな」
「ふふふ。そうですね、速水さんの話す言葉は
 こちらのスタッフさんの話し方に似ているかも、でも
 エイカーさんに一番近いかな、ダントツで」
その後もあの照明の人は機嫌がいいとこういう話し方になるとか
麗がまた女性に声を掛けられていたなどといった
イギリスでの出来事を話しながら、二人だけの時間を
こうしてゆったりと過ごすのは一体いつぶりだろうと
思いをはせる。

「こうしていると、いろいろ思い出します」
「・・・・」
「あの日、冷えた体を温めてくれた時、自分の気持ちに気づいたから」
「ああ・・。あの日は俺も自分の進むべき道、
 進みたい道との間でもがいていたな」
「こうしているのが今も不思議です」
豊かな黒髪に優しく指を通しながら、真澄は
この胸に抱いた小さくも愛おしい宝物と、
二度と叶わないとあきらめていた自身の幸せを
かみしめていた。

かつてこの町で過ごしていた頃、
真澄に希望という言葉は存在しなかった。
人を信じるということは選択肢から消え、
ただ己の力だけが、己が力をつけることだけが
唯一であると信じ、生きていた。


「理屈じゃないんです。私、速水さんと一緒にいると
 安心するし、ドキドキするし、でもなんだか自分が一番
 自分らしくいる気がするんです。
 演じることも大好きだし、いろんな人の人生を
 歩むことができる女優というお仕事、本当に楽しくて幸せです。
 でも、こうして誰でもない、ただのつまらない女の子な
 北島マヤでいられることが、本当にすばらしいことなんだって、
 そのことに気づかせてくれた、
 それを叶えてくれたのが速水さん。あなたなんです」


いつの間にか読むことを放置された絵本は
だらりと所在なさげに真澄の片手に置かれ、
代わりに真澄は優しくも力強くマヤの体を抱きしめていた。

-- 君は時に恐ろしいほど大胆にまっすぐに
 予想外の動きと言葉で俺を惑わせる --

「・・・なあ、マヤ。一つお願いを聞いてくれないか」
「え?」
「・・・・名前で呼んでくれないか。」
「は?はや・・」
「・・・・俺の名前は知ってるか?」
「・・・・知ってます、、よ」
見えないマヤの顔が真っ赤に染まっていることを
想像するだけで、真澄の顔がほころぶ。
「くっくっく。いや、失礼。急に変えろと言われても困るな」

徐々にでいい。
君に速水さんと呼ばれるのも嫌いじゃない。




「おやおや、二人ともぐっすりと・・・」
木漏れ日がスポットライトのように差し込む中、
いつの間にか眠るマヤと真澄の寝顔はどこまでも柔らかく
警戒心を知らない安心感で満たされていた。



************

「本当に楽しかったよ。マヤ」
「ううん、こっちこそ。久しぶりに麗と一緒に
 お芝居できてうれしかった。」

撮影を終え帰国するマヤは、見送りに来てくれた
麗と共に空港に立っていた。

「それにしてもびっくりしたな。途中のインターバルから
 帰ってきたマヤがあんなに英語が流暢になっているなんて」
「流暢って・・・、決まっているセリフを言っただけで」
全然話せないんだけどね、といって笑うマヤ、しかし
麗をしても驚くほど、マヤの英語は本場のイギリス人も
気づかないほど、現地の発音に近いものになっていた。
「いったいどれだけマンツーマンレッスンを受けたら・・」
「ん?」
「いや。とにかく、本当に良かった・・・」
顔にかかる金髪を無造作にかきあげるしぐさはまるで
絵画のようで、マヤは少し憧れにも似た表情で麗を見上げた。
「マヤとこうして共演できたこと、そしてになにより、
 君が以前よりずっと輝いていることが分かった事」
本当に、幸せなんだね、そういうと麗はおもむろにマヤを
ぎゅっと抱きしめた。
「私の方こそ!
 イギリスに行っちゃった麗と再会できるだけでも
 楽しみだったのに、こうして一緒の作品に出られるなんて
 うれしくてうれしくて・・・」
いつの間にかマヤの声は涙でかすれ、麗の上着をびしょびしょに
濡らす。
「んも~まったく、泣き虫なのは変わらないんだね~マヤは。
 少しは大人になったかと、安心してたのにこれじゃ・・・」
まだまだ気にかかる妹、だな。
そう言って強く、優しくマヤの頭をポンポンと撫でた。
「日本に戻ったらすぐに紅天女がスタートするんだろ」

かつて、自らもあこがれた紅天女
全国から集められた類まれなる才能の卵たち
その中でもひと際異彩を、そして圧倒的存在感を放っていた

北島マヤ

少し悔しい気持ちもあるけれど、こうして今も演劇に
情熱を燃やし続けられる自分が居るのもその存在があってこそ
天に愛されたその才能を、今なら素直に認める事ができる
"だからといって、あきらめたわけじゃない"
自分には自分にしか表現できない世界がある
この世には、マヤよりも自分を求めてくれる人だっている

"才能はひとつだけじゃない"
"努力だけは、万人に与えられた才能だ"

「私は私らしくこれからも演技を磨いていく、そして
 またマヤと共演できるように努力するよ」
だから、マヤはマヤらしく、その才能を花開かせ続けてくれ


ゲートの向こう側に消えていくマヤの姿を見ていると、
麗は自分の上着に残った、マヤの香りを感じた。
「マヤのぬくもりが、残ってる・・・」
それは、演劇への飽くなき情熱
麗はぎゅっと、その体を抱きしめた。






******
「おかえりなさい、マヤちゃん。疲れたでしょう」
空港に迎えに来てくれた大原マネージャーの車に乗ると
「ううん、飛行機の中でたくさん映画が観れたの!」
と時差をものともしない明るさでマヤは答えた。
「ふふふ、だと思った。でもまあ無理しないで。
 それに家に着いたらびっくりするかもよ」
「え?なに?」
「おおっと、これはまだ言っちゃいけないんだった。
 私もよく知らないんだけど、速水社長がなにやら
 素敵な物が届いたから飾って・・・・ってマヤちゃん?」
いつの間にか後部座席のマヤからはスース―と
寝息が漏れていた。
「・・・・・お疲れ様でした。マヤちゃん。
 ゆっくり休んでね」

信号待ちのタイミングで、大原はそっとマヤに
ブランケットをかけた。




「・・・・素晴らしいですわね、真澄様」
「そうだな。それにしても一体いつの間に・・・」
「フフ、でもしっかりと分かりますわね、これがマヤちゃん、そして
 こちらが・・・真澄様」
アンティークな額に縁取られた一枚の絵画
その絵の中はしばしの安らぎを過ごした、あのイギリスの
森が描かれていた。


「それにしても、あの有名な作家、ジョージ・エイカーと
 その妻にして絵本画家のジェニファー・エイカーの家に
 ホームステイしていただなんて、さすが速水家ですわね」
「ふむ。まあでもすでにエイカー夫人は引退して、気が向いた時にしか
 絵は描かないと、全てのオファーを断っていたらしいが」
「そんな巨匠に思わず筆を取らせるなんて・・・いったいどれほど」
幸せそうな顔をしていたのか、水城には想像ができる気がした。

「マヤが見たらきっとびっくりするだろうな・・・なんといっても」

スヴァンスタイン荘の住人=おそろし荘の住人の作者自身が
描いた絵だからな・・・・




その森の中には、
この上もなく優しい表情で顔を寄せながら眠る
二人の男女がそっと描かれていた・・・




「もうすぐマヤの飛行機が到着する頃だな」
この絵を一体どこに飾ろうか
この絵をみたマヤは一体どんな顔をするだろうか

きっとそんなことを考えているのだろう、
絵の中の自分と同じ表情を浮かべる真澄を見ながら
水城はそんな風に思った。







ep第50話←        →ep第52話
~~~~解説・言い訳~~~~~~~~

とりあえず、とりあえずですね、イギリス編は終わりました。
もっと書きたかった気もするけど、そうするとまた
ずるずる更新が伸びそうで。

あと、結局PCで書くことも変わらずで。。


でもなんとか書けて良かった、うれしいです。
~~~~~




そしてそして、shopの宣伝
オーレオリンオンラインショップ
お洋服のお店です



エピソード再開準備中

2021-10-15 19:57:10 | 雑談
こんにちは。
前回お久しぶりの投稿をしてから
また少し空いてしまいましたが、
一応再開するにはどうしたものかを
考えていました(ホント!)

これまで主に(仕事の合間をぬって)PCで
投稿していたのですが、
やはり今後もその時間を取ることは
難しそうであることと、
やはり今はほとんどの方々
スマホ版で読まれるだろうことを感じ、
これまでのようなPC向けの構造
(主にリンク面)を省略し
シンプルにこちらもスマホ投稿に
切り替えようと思います。

で、iPadを新しいのに買い換えたんですよ!
容量大きいやつ!
まだ届いてないんですけど。
それが来たらさらにさらに機動力
上がるんじゃないかと期待しております。


これからは本当に文字だけ、の世界に
なっていくかもしれませんが
その分ちゃんと更新していこうと
思っています。
たまにPCで体裁整えるつもりですが。


と、いうわけでしばしお待ちを......







※アパレルshopのほうも宜しくですと宣伝


久しぶりすぎて申し訳ないです

2021-09-21 00:09:00 | 雑談

本当に、本当に、本当に・・・
お久しぶりすぎて合わせる顔もないとは
まさにこのこと。

上げっぱなしの記事を閲覧のみならず
コメントまで頂きました方々に
本当にどの面下げてという気持ちです。

お久しぶりです。


ログイン自体が久しぶりでした。
いささか不安でしたが私の体はちゃんと
パスワードを覚えていました。よかった。

さかのぼるとなんと2019年以来だったのですね。
一つ言い訳すると、ある時を境に
頻繁にgooアカウントがバグるようになり、
画面が平常を保てなくなっていたんですね。
はい、言い訳です。

既に過ぎてしまったことなので
明かしてしまうと、
当初ガラスの仮面のその後創作に関しては
2020年東京オリンピックの開会式で
紅天女を上演するという筋書きで
それまでの成長をまとめたいと思っていました。
ストーリーはフィクションながら、ある程度
現実世界の雰囲気を織り交ぜつつ
基本は昭和なゆるいコンプライアンス適用で
書きたいなーと思っていたのです・・・が。

予想を上回るペースで日本の芸能界事情が
変貌し、大手事務所から独立する人増えるわ、
いわゆる芸能界のドンみたいな人のパワーが
批判されるようになるわ、
ユーチューバー増えるわ、
とにかく、変化がめまぐるしくて
なかなかフラットな気持ちで創作することが
難しくなってしまいました。


はい、言い訳です。

それから時代がPCからスマホへほぼ移行
してしまったというのもあります。
こちらのブログ、PC版で見て最適化されており、
スマホだとなんだかな~~とか思っていたり。

でもそれも時代ですよね。
合わせていくべきか、否か。
まごまごしているうちに時だけが過ぎました。

で、これからどうするか。


このまま続きを再開するか。
いっそのことリセットして新たな時間軸で
スタートするか。

大体今、イギリスいるんですよね。
どうやって日本に呼び戻したらいいんでしょう。
とりあえず隔離されますか。
ワクチンはいつ打ちますか。

んん。難しい。

というわけで、まだどうすべきか、再開できるのか
非常に微妙なところでして
それでもコメントを頂いた方にお礼のひとつも
いえてないのは心苦しく思っておりましたので
こうしていったん記事を上げさせていただきました。

全世界のガラスの仮面ファンの皆様
続編が一向に見えないまま、ネットの世界で
こちらのページにたどり着いてこられた方も
多くいらっしゃらると思います。
半ばあきらめていませんか?最新刊何巻なのか
忘れていませんか?
私は忘れています。
(最後に買ったのはたぶん、付録のミニ冊子です)

一応こちらのサイトでは、本物の話の
筋における最終話までは完結しており、
現在その先のおまけストーリーを展開中・・・
という段階です。
なので、いつ終わるとも終わらぬとも分かりませんが
ヒマつぶしに読んでいただけると幸いです。


こうして記事を上げようと思ったきっかけは、
仕事の関係で、noteを登録しまして、
文字を書くのはやっぱり楽しいなーという気持ちを
再確認したからです。
いっそのこと、noteに過去記事移そうかなとも
思ったのですが、
なんとなく、二次創作ははばかられるような気が
するのと、単純に仕事関係の人にこんなことやってるの
バレるのはずかしいというこれ95%の理由です。

ちなみにnoteでは、ECのお洋服屋さんの
紹介を載せています。
リンクを張ると、めぐりめぐって仕事関係の人に
バレそうなのでこわい・・・ですが。

表の顔のnoteサイトはこちら


なんだよ久しぶりに投稿しておいて宣伝かよ。
と思われた方すみません。
もう少し、ECサイトの運営が落ち着いてきましたら
正々堂々とこちらのお話も書けるかなと思っています。
(インスタとかツイッターとか、いろいろやることが多くて・・・)

いずれにしましても!
きちんとお約束できませんがお話は再開したいと思っていますので
よろしくお願いいたします。

ご相談ですが、
お話はやはり続きがいいでしょうか。
その際、2年ほどの空白期間をなかったことにしていいか、
それとも一昔前(before CORONA)の時間軸で
すすめたほうがいいか
お好みはありますか?

でもいきなりマヤや真澄さんがマスクする世界を描くのって
なんかリアルでいやだな....

もう少し悩みます!


ep第50話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2019-09-23 00:50:33 | ガラスの・・・Fiction
ep第50話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】


ep第49話←        →ep第51話
********************
「カット!・・・・・OK!!」
監督のその言葉に張りつめていた空気が
一気に安堵の色に変わった。
映画『スヴァンスタイン荘の住人』の撮影も
中盤を過ぎ、スケジュールはほぼ予定通りに
進行していた。
今日の撮影は天候に合わせて、
NGが出せないほぼ一発撮りの重要シーン
だったため、出演者・スタッフ共に
いつもに加えた緊張感があったが
何とか無事、時間内に撮影を終えることができた。

「明日は一日オフになります。
 それから来週のスケジュールは
 スヴァンスタイン荘"伯爵家軸"の撮影に
 なりますので、ここで一旦北島マヤさん
 出演シーン終了になります。」
来週は青木麗がメインの撮影がまとめて
行われるため、
マヤはしばしの休みとなる。
とはいっても、その翌週にはいよいよ
この作品の肝となるトリックシーンの
撮影が始まるため、マヤにとっては
大切な準備期間にもなっているのだが。

「本当に大丈夫かい?一人で列車の旅なんて」
「多分・・・。いざとなったら携帯もあるし」
「その携帯をどっかに落っことさないかが
 心配なんだけど」
「大丈夫!麗はほんとにいつまでも私を
 子供扱いするんだから」
この準備期間を利用して、マヤはイギリス郊外に
短い旅に出かける予定を立てていた。
そこは今回の作品とは直接関わりないものの
原作者の出身地であり、その情景が
作品の世界観にも反映されているといわれている。
「まあ、すぐに速水さんも来るんだろう?」
原作者がかつて住んでいた家は
現在ミュージアムとして開放されており
ファンの聖地として有名だが、
そのすぐ近くにある小さな別荘は
かつてその家族が住んでいたという家であり、
現在はプライベートステイで
滞在できるよう改装された施設となっている。
その一棟を真澄の手配によりこれから一週間
貸切で利用するのだ。
「うん。明後日の早朝ロンドンに着くって
 言ってたから、別荘に来るのはその夜になるのかな」

****

「Oh~~! Welcome!!!!」
管理人のまさに熱烈な歓迎を受けながら、マヤは
麗から習ったわずかばかりの英語を駆使して
ようやく部屋のベッドに寝転がった。
「ほとんどなに言っているか
 分からなかったけど・・・・・」
たまに出てくる「マスミ」の言葉に、
恐らく真澄の古くからの
知り合いであることは察したものの、
何故時折涙を浮かべながらマヤの肩を抱く程
感動しているのかは
ついに最後まで理解できなった。

異国の地でのたった一人の列車旅、
ただ揺られているだけの時間でも
だいぶ消耗していたとみえ、
安心感とともに思い出されるのは
もうしばらく会っていない最愛の人のことだった。
「もう数時間もすれば、会えるのに・・・不思議ね」
思い起こせば舞台『NATASHA』の頃から、マヤはほとんど
真澄とゆっくり過ごしていなかった。
マヤ自身は気づいていないが、『NATASHA』が
かつての恋人里美茂との久々共演ということで、
スキャンダル狙いのメディアにスクープを張られていたため
真澄は意識的にマヤと仕事以外の距離を置いていた。
それがどれほどのストレスで、どれほどの影響が
主に水城に与えられたかはさておき
当の本人はがっつりと役に集中していた。
そして舞台がハネるや、すぐにこの映画撮影のため渡英、
図らずもすれ違いの日々をもう数ヶ月は送っていることになる。
「よくよく思えば、速水さんにとって私、いったい何ができているんだろう・・・」
イギリスでの生活を麗と共に過ごしている中で、
マヤはどれほど麗が自立した女性として生きているかを感じ
同時に自分がどれほど周囲の人に甘えっぱなしの毎日を送っていたのかに
気づかされた。

私が演じる姿を見ているのが、この上のなく幸せだ

確かに真澄はそういって、事実マヤに演劇に集中できる環境を
公私ともに手配してくれる。
大原をはじめとするマネージャーやスタッフも、マヤの演技の事を第一に
動いてくれる。
そんな中でいつの間にか自分が演技"しか"できない人間になっているのではないか、
マヤはふとそんなことを思い始めた。

「私がやることといったら役作りばかりで、本当の北島マヤはどこにいるの?」
そしてそんな自分のままで、速水さんは幸せなの?
そんなことを思いながらマヤはいつの間にかベッドの上で
うつらうつらと眠りに落ちていった。

****
ガチャガチャガチャドンッ!!!

突然の大きな物音でマヤは跳ね起きた。
「な、なに??」
玄関で聞こえてきたその大きな物音に
得も言われぬ恐怖を感じながら、そっと部屋を出て玄関のほうへ
向かった。
「・・・・・・・!?は、はやみさん!???」
そこには横に置いたスーツケースにもたれこむように倒れた
真澄の姿があった。
「速水さん!?どうしたの??大丈夫??」
「・・・・マヤ・・・・か。 す・・まない。少し体調を崩し・・・て」
大したことはないという言葉と裏腹に額に脂汗を浮かべる真澄。
何度もうわごとのように「マヤ」とつぶやきながらゆっくりと意識を失っていった。

「・・・ここは。」
「あ、まだ体おこしちゃだめ!!」
次に目を覚ました時、真澄の体はだいぶ楽になっていた。
「・・・時間は・・・」
「えと、朝9時です。よく眠れましたか?」
手にしたトレイからオートミールを脇のテーブルにうつしながら
マヤはにっこりと笑った。
「・・・すまない。せっかくの休みを」
「とんでもない!昨日は本当にびっくりしましたけど、
 すぐにエイカーさんを読んだら
 お医者さんを手配して下さって・・・・」
ただの過労と睡眠不足が原因だと分かった時はほっとしました・・・と
トレイを胸にギュッと抱えながら微笑む顔は、明らかに寝ずの看病をしてくれていた
跡が見て取れた。
「・・・・ありがとう。」
そっとマヤの腕を取り、傍へと引き寄せる真澄に体を預ける形となったマヤは
耳まで赤くさせながら
「あ、こ、このオートミール、エイカーさんに教えてもらいながら
 私が作ったんですよ!!」
と照れ隠ししている。
「・・・・食べさせて」
「・・・・え?」
まだ疲れが残っているのだろうか、普段の真澄から出るはずのない言葉に
一瞬わが耳を疑ったマヤだったが、そのややうるんだ瞳に真澄が常に抱えるプレッシャーを少し
おろしているのだと感じ、たどたどしくもひとさじずつ、オートミールを真澄の口に運んだ。
「どう・・ですか?」
「おいしいよ。」
先ほどからの真澄の直接過ぎる熱い視線がマヤの顔をどんどん赤くする。



「食べさせて」
なんであんな言葉を発したのだろうと、今でも不思議に思う。
確かに無理がたたって不覚にも意識を飛ばしてしまったが
それでも普段の真澄であればそのような甘えた言葉など口にするはずもなく、
まさに魔が差したとしか言えない。
恐らく一晩中真澄のことを心配して傍についていてくれたのだろう、
元気そうなそぶりをしていても疲れは溜まっていたはず、
こうして自らの膝の上でぐっすりと眠る姿に逆に安心感を覚えた。
「あの姿は・・・反則だろう」
髪を後ろで一つ結びにして、エイカーさんに借りたのだろう
大きすぎるエプロンを体に巻きつけながらトレイをもって満面の笑みを
浮かべるマヤの姿に、得も言われぬ愛おしさを感じ、
つい気がゆるんでしまったとしか言いようがない。

「ごきげんようマスミ、お加減はいかが? あら?小さな奥様は
 ぐっすりとお休みのようね・・・」
オートミールの器を下げに来たついでに様子をうかがいに来たエイカー夫人は
休んでいたはずの真澄の膝を枕にぐっすりと寝入るマヤの姿に
その柔和な顔をほころばせた。
「すまなかった。昨日はずいぶんと心配をかけたようで」
「なんのなんの。この子に比べたら私の心配なんてたいしたことないわ」
そういって昨夜どれほどマヤが慌てふためきながら
たどたどしい英語を必死に織り交ぜながらひたすら真澄のことを
助けようとしていたかを軽妙に説明した。
「会った瞬間わかったわ。あなたが変わったのがこの子のお陰だって」
優しくブランケットをマヤにかけながら、エイカー夫人はにっこりと
微笑んだ。
「あなたがこんなに感情を表に出せるようになるなんて、
 あの頃は想像もできなかったもの」
「・・・そんなものか」
ええ、とうなずきながら、エイカー夫人はかつて真澄と
出会った頃のことを思い出していた。
「あの時のあなたは微笑みを浮かべていながら
 1ミリも笑っていない、そんな顔をしていたわ」
まるで自分以外はみんな敵、そう思っているみたいにね、と
片目をつぶりながら語る。
確かに、あの頃の自分は感情というものを失くすことで
生命をつないでいたといってもいい。

誰も信じない
誰も愛さない

そう決めて、ただひたすら義父への復讐の念だけを
育てていたあの頃
周囲に心を許すことなど決してなかった。

「本当に生意気で失礼な、恩知らずのガキだったと思いますよ。」
誰も近づけようとしないオーラを放つ真澄に
好き好んで近づく者などなく、気付けば真澄はこの異国の地で
たった一人でいることがほとんどだった。
「そんな私に、唯一声をかけ続けてくれたのがエイカー夫人、あなたでしたね」
イギリス留学時代、郊外へのホームステイで訪れたこの小さな田舎町、
誰とも話さず一人で本を読み続ける真澄に
秘密の場所があると声をかけてくれたのが、エイカー夫人だった。
「あの場所は・・・」
「今もあるわよ。といっても最近はめっぽう手入れをしていないから
 入口を見つけるのは大変かもしれないけど。」
「もしよければ・・・・」
「ランチボックスを用意するから、その子が起きたら出かけなさい」
真澄の意図などお見通し、と言わんばかりににっこりをエイカー夫人は微笑んだ。
「連れて行きたかったんでしょ、マスミ、自分の秘密の場所に、その子を」

****
「さっきから全く進んでいないようだが?」
「・・・・そうですか?」
マヤにオールを託して数分、二人が乗ったボートはただ
湖面の揺らぎに合わせて方位磁針のように向きを変えるだけで
どこかに向かう気配は一切感じられなかった。

昼過ぎにようやく目を覚ましたマヤを連れて
真澄はエイカー荘近くの湖でボートに乗り、
対岸の森に向かっていた。
最初は真澄が漕いでいたのだが、マヤが自分もやってみたいと
いうので渡した所、このような状況に至る。
必死な形相のマヤと対極に、まったく進まないボートに
揺られながら、なんだかとても安らぎを感じ、あえて助け船を
出すことなくそのままにしていたのだが、さすがにこのままでは日が暮れる。
結局真澄が遅れを取り戻すかのように優雅に漕ぎ手を請け負い
あっという間に対岸に到着した。
「ボートは速水さん得意でしたのもんね。」
言い訳をするかのように話すマヤのちょっとすねた顔がかわいらしく
思わず頭をポンポンっと叩く。
「チビちゃんは負けず嫌いだな」
「あ、あ~~~~」
それ言うの禁止だったでしょ~~~と追いかけてくるマヤの声を
背中に聞きながら、真澄は久しぶりに自分が腹の底から笑い声をあげていることに気づく。
「そういえば、昔はよくこうやって、君と憎まれ口をたたき合ったものだ」
冷血漢の仕事の鬼がマヤといる時はなぜか大きな笑い声を出すと
あの頃周囲がみな目を白黒させたものだ。
「いつの間にか、ずいぶんと守りに入ってしまったものだ。」
マヤとの交際をスタートさせて以降、表だってこうやって二人で会話をすることは
あっただろうか。
あくまで事務所社長と女優、その範疇を越えないように気をつかい、
距離を守ってきた。
「ここは秘密の場所、俺たち以外は誰もいないんだ・・」
ふいに足を止めた真澄の背中に、追いかけてきたマヤが止まりきれずにぶつかる
「わっ!!速水さん、急に止まらないで!」
ぶつかってきたマヤの手をぎゅっと握ると
「マヤ、ここでは俺はもう気を使わんぞ」
そういってひょいっとマヤを横抱きにして駆けだすと
「は、速水さん!!!!」
真澄の腕の中で表情をくるくる変えるマヤのおでこにキスをした。


「ここ、ですか・・・」
二人がたどり着いたのは、湖畔から少し入った森の中に広がる
ちょっとした広場のような空間、その中央にそびえる大きな木
「そう、この上にあるんだ」
ちょっと待っててとマヤを降ろすと、真澄は軽快にその木に昇り、
ほどなく上の枝から縄梯子を降ろした。
「上ってこれるか、マヤ」
梯子使ってマヤがたどり着いた先は、なかなかの広さの
ツリーハウスだった。
「確かにエイカー夫人の言うとおり、ずいぶんと誰も訪れていないようだ」
「ここが、速水さんの秘密の場所?」
「そう、そしてここが」
『スヴァンスタイン荘の住人』が生まれた場所だーーーー




ep第49話←        →ep第51話
~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
お久しぶりです。
本当にお久しぶりです。

たまに頂くコメントに、お返事もできないくらい
放置状態でしたが、ようやく永い眠りから覚め再始動。
少しずつですが、進めていきたい。2020はもうすぐそこ!!

~~~~~


体質改善日記:2019

2019-03-04 15:39:38 | カロリー日記

思い起こせば、一年前・・・・ 体質改善日記:食事編2018
で、悲劇的なFラン頂戴しましたが、
今年もやってきました、この季節。

健康診断の結果が届きました!!!

食事制限・・・するっていいましたね、記録するっていいましたね
そうですよ、結局途中でグズグズになっちまいましたよ。
9時以降食べないとかいってましたね
そうですよ、全然無視して夜ごはん食べましたよ

と・は・い・え

全体的に食事には気を使って生活してきました。
サバいっぱい食べました。
運動も有酸素週2~3、ヨガ週2でやってきました。
通ってたせいで夜ごはん遅くなったんだからしょうがない。

その結果・・・・

LDLコレステロール:去年184→今年135
総コレステロール:去年268→今年229

あ~~~~下がってる~~~~~ぅ!!

体重増えたのに、下がってる~~~~~ぅ!!(複雑)


感動しました。
報われる努力だったのかもしれません。

逆に結果が出たならばもっとちゃんと頑張ろうという気にも
なりました。
LDLは引き続き基準値超えではあるので。