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【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第16巻【ネタバレばれ】

2015-02-13 00:57:12 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


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紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第16巻 ※第10章(途中から)※第11章(途中まで)

第10章 冬の星座

『ふたりの王女』開演
舞台上にまず現れたのは、マヤ演じるアルディス・・・
それは、いつものマヤを知っている者のほうがむしろ信じられないと思うであろう、
美しく可憐で輝くような温かさを醸し出す、天使のような王女だった。
マヤは舞台の上でこそ、本能が目覚める・・・。

そしてオリゲルドの登場。
出てきた瞬間に劇場全体が凍りつくような寒さに包まれる。
身も心も閉ざされた冬の王女がそこに居た。

オリゲルドの印象は圧倒的で、舞台を一気にオリゲルドの世界に染める。
そこへアルディスが登場、生のオーラで包み込む。
ふたりの戦いは始まったばかりだ。

アルディスは浮浪者であふれる街中に初めて足を踏み入れる。
これまで豪勢な屋敷の中で美しいものに囲まれて暮らしてきたアルディス姫、
初めて接する物乞いの手を、思わず振り払ってしまう。
そんな自分に戸惑いショックを受けるアルディス。
マヤはその、天使の姫が初めて感じた嫌悪の感情、そのあとに浮かぶ罪悪感を
自然に演じていた。
全身でアルディスになっている。
マヤは舞台上でどんどん光の王女に育っていった。

オリゲルドが登場すると、舞台は緊張感で包まれる。
陰のオーラを身にまといつつも光り輝く亜弓の演技、
観客の印象は一気にオリゲルドに釘づけとなる。

王族に反旗を翻す国民の前に姿を現し、今こそ一致団結をと民衆に説くアルディスのシーン。
姿を見せたマヤはこの世の者とは思えない、慈愛に満ちた愛くるしい微笑み、
その笑顔にすべての観客が、まるでラストニアの民であるような錯覚を感じ、
アルディスの言葉と態度に説得されていた。

**
幕間の休憩時間、
真澄は桜小路と遭遇する。
かつてマヤと一緒にいたころと比べても身長も伸び、すっかり青年に成長していた。
いつの間にか大人に、そう、チビちゃん、君もいつの間にか・・・・。
真澄は舞台上でマヤが見せる成長した姿に、これまで以上に心を奪われていた。

舞台裏でマヤは届けられた紫のバラを抱きしめながら、
この劇場のどこかにきっといる紫のバラの人に見てもらえることを
喜びに感じていた。

果たして北島マヤは姫川亜弓を越えられるのか、
超えられないまでも同等の力量を示せば、演劇界の扉が大きく開くことになる、
取材記者たちも興奮を抑えきれない

**
話が進むにつれ、オリゲルドの激しさはどんどん加速度的に増し、
観客をひきつけてやまない。
その残酷なまでの冷徹さ、人を人とも思わない猜疑心の塊。
亜弓が演じるオリゲルドは背筋も凍るような冬の王女そのものだった。

そしていよいよアルディスとオリゲルドの直接対決の場面。
これまで憎悪と野心のかたまりだったオリゲルドがはじめてその弱みをさらけ出す
天使のようだったアルディスがはじめて憎しみと殺意をみせる

オリゲルドがこれまで背負ってきた圧倒的な孤独と不遇によって育てられた氷の心。
観客はオリゲルドに同情し、まさにこの舞台の主役の輝きを放つ。
やっぱり姫川亜弓、クライマックスで観客の心を全て自身に集めてしまった。

しかし、どんなに影が濃くても光がなければ影はできない・・・
泣き崩れるオリゲルドを優しく包み込むアルディスの慈愛に満ちた表情は
まるで聖母マリア。
会場は、そのやわらかな光に癒されていった。

舞台終了

割れんばかりのカーテンコールはいつまでもつづき、『ふたりの王女』は大成功を収めた。
やはり圧巻だったのは亜弓演じるオリゲルド。
その天才といわれる姫川亜弓の圧倒的な演技に、
観客の印象は全て持って行かれたといっても過言ではない。
しかし、マヤのアルディスも人気が高く、一気にファンになったものも多い。
さすがに実力のほどを見せつけられた、しかしマヤは穏やかな表情を浮かべながら、
亜弓に拍手を送る。
その笑顔に負け惜しみの心はみじんもなかった。

亜弓もまた、この舞台で今までにない感覚を感じていた。
舞台の上で別の人格が自分を支配しているような、
身も心も別な人間になりきる、体の隅々にまで充実した思いが広がっていく、
私は舞台の上でオリゲルドとして生きていた。

終演後の舞台裏では、亜弓に取材陣が殺到していた。
続いてマヤを探す記者たち、しかしアルディスの仮面をはずしたマヤはいつもの通りの
地味で目立たないマヤ、その落差に記者も戸惑う。
演劇界復帰第1作の感想を聞かれたマヤは幸せでしたと答える。
なぜかと聞かれて戸惑うマヤに、
「アルディスが幸せな少女だったからだろう」
と真澄が声をかけた。
「まったくよく化けたもんだ、あのアルディスがこのチビちゃんと同一人物とは・・
さすがのおれもだまされる所だった」
真澄の嫌味をとりあえずほめ言葉だと受け取ったマヤだったが、
最後まで席を立たなかったことに、賭けには勝ったのだと知る。
「きみのアルディスはよかったよ、予想以上だ」
そう真澄に言われたマヤは、柄にもなく顔を真っ赤に染めてしまう。
約束通り君に花を贈ろうと言い残して真澄は去って行った。
周囲で聞いていた人々が、あの速水真澄からマヤへの花とは、たいへんな宣伝になると
話をしているのを聞き、
みんなが自分に注目するように花を贈ってくれるのかと、真澄の真意を想像するが、
にわかには信じがたい。

とにもかくにも、マヤはこの舞台によって、また表舞台へと本格的に足を踏み出した。


第11章 紫の影


休日の速水邸、真澄は義父、英介と『ふたりの王女』について話をしていた。
やはり注目は姫川亜弓が圧倒的、ドラマそのものを亜弓のオリゲルドが支えているといっていい。
演技術の点でいけば北島マヤはまだ姫川亜弓の敵ではない。
そう語る真澄に、英介はやはり紅天女は姫川亜弓が有力かと尋ねた。
真澄は、今回マヤが今までにない役柄を演じ、その自分とは全く正反対の人間を、
舞台上でごく自然に演じていた点を高く評価し、
さらにその技量でオリゲルドと二分する人気を得ていることを報告する。
今度の舞台によって道が開けたマヤ、あとはこの道をどうやって彼女自身が紅天女に
つないでいくか・・・。
千草の設定した期限まであと約1年、以前道は険しい。
しかし北島マヤは、1%の可能性に賭ける少女だ。

紅天女をなんとしても大都で上演することを真澄に厳命した英介は、
真澄に今好きな人いるのかと尋ねた。
いないと答えた真澄に、英介は見合い話を持ち出す。
これまでに何度となく話は出されているが、真澄はいつも、まだ結婚する気などないと
今回も写真を見もせず断ろうとした。
しかし、今回の縁談はこれまでとは違う。
仕方なしに写真に手を伸ばした真澄は、その見合い相手に驚きを隠せない。
「見合いをしろ真澄 これはわしの命令だ!」

第17巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
ほらー、ほぼ全編『ふたりの王女』だから短くなっちゃった・・・。
そしてあっという間に第10章が終わってしまい、いよいよ次巻からは・・・紫の影!
真澄がマヤマヤ挙動不審に堕ちていく過程が哀しくも切ない。
そしてとうとう、あの方登場・・・ふ、筆が鈍る。。

長くなるわ~~~たぶん次は。

【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第15巻【ネタバレばれ】

2015-02-13 00:04:57 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第15巻 ※第10章(途中から)(途中まで)

第10章 冬の星座

生活を交換したマヤと亜弓。
亜弓の家はまさにアルディスの部屋といってもいい豪華さと高級感に満ち溢れていた。
ばあやをはじめとする使用人も優しくマヤの世話をしてくれ、自分でやることなど何もない。
亜弓から毎日送らてくる美しい花に囲まれて、マヤはここでアルディスの心をつかむことができるのか。

一方亜弓は、冷たく暗い地下劇場で、固い床の上にわずかばかりの敷物ををしきながら
生活をしていた。
まさに、オリゲルドの過ごした牢獄。
誰からも見放された、光の差さないこの部屋で、亜弓は少しずつ周囲との交流を絶ち、
自分だけの世界を研ぎ澄ませていく。

稽古場でのふたりの王女稽古。
マヤも亜弓もそつなくそれぞれの王女役をこなしているように見えたが、
皇太后ハルドラ役の千草は、二人が全く心理をつかんでいないことを見抜いていた。
二人にそれぞれの王女として、自分からお茶を受け取るエチュードをさせた千草、
亜弓のオリゲルドはただの気品ある貴族の娘、
マヤのアルディスは愛するおばあさまを前にしているにしては
あまりに緊張感のある臣下のような演技、
千草は二人とも失格だと告げた。

マヤが高貴なお姫様の役作りに苦戦していることを知った真澄は、
亜弓の家へマヤの様子をうかがいに来た。
部屋のピアノをゆっくりと奏でる真澄。
その優しい音色に、マヤはまた、真澄の意外な一面を見た気がした。
「トロイメライ・・・今はこれしか弾けない・・。」
静かに語る真澄だったが、マヤが愛らしく可愛く美しいお姫様を
まだ全然つかめていないと茶化す。
真澄だけには馬鹿にされたくないマヤは、
絶対こいつの鼻をあかしてやるんだと気色ばむ。
「いまにみてらっしゃい!あなたがびっくりするくらいの
華麗で美しい王女になってやるから!」
「そういう奇跡にはやくお目にかかりたいもんだ」
帰りの車中、本気で怒るマヤの顔を思い出しただけで
真澄の笑いは止まらない。

日帝劇場での稽古は続くが、マヤはいまだにアルディスをつかみ切れていなかった。
一方亜弓は日に日に近寄りがたい雰囲気が高まり、暗く陰気で無口になっていった。
冷たく突き刺さるようなオリゲルドの視線。
マヤはいつか真澄に言われたように、このままではオリゲルドが主役になってしまうと焦る。
今回の配役は千草の提案によるものだと知ったマヤは、なぜ自分をアルディスにしたのか尋ねた。
アルディスのようにきれいでも華やかでも上品でもない、
亜弓のほうがよっぽどアルディスにふさわしい、なのに。
そんなマヤにそして亜弓に、千草は亜弓はオリゲルドをやるにふさわしい才能を、そして
マヤはアルディスをやるにふさわしい才能を持っている、
自分たちの表面にごまかされて気付いていないだけだと語った。
マヤに、華麗で光輝く美しい王女アルディスを演る才能が、
亜弓に、野心を抱き復讐心を抱いて生き抜く激しい少女オリゲルドを演るに
ふさわしい才能が・・・。

そんなマヤのもとに紫のバラの人から素敵なドレスが届き、さらに食事への招待を受けた。
とうとう紫のバラの人に会える!!
贈られたドレスやアクセサリーを身にまとい、緊張しながら指定されたレストランに着いたマヤ。
そこで会ったのは・・・・・宿敵・速水真澄だった。

偶然別の席で接待をしていたという真澄、まさかこの冷血漢が紫のバラの人であるわけがないと
納得するマヤだったが、自分をじっとみつめ、優しそうな目でドレスがよく似合っているという真澄に
また、戸惑いの感情を抱く。
その時、もう一人穏やかな年配の女性が現れた。
紫のバラの招待状を受け、ここへやってきたという北白川藤子、
彼女はオペラ歌手としてかつて『ふたりの王女』のアルディス役を演じたことがあるという。
真澄は手早く自分の席もテーブルに用意させると、
真澄・マヤ・北白川といった不思議なメンバーでの食事がスタートした。
北白川との会食、きっとあなたの役にたってくれるでしょうと書かれた紫のバラの人からの
メッセージを受け取ったマヤは、ここに紫のバラの人は現れないのだと知り、涙を流す。

光り輝くうまれながらの王女、アルディス。
自分と正反対の美しく愛らしいアルディスの役がつかめないというマヤに、
北白川は穏やかな微笑を浮かべた。
自分が初演時の年齢は31歳、しかもいわゆる美人とはいいがたい、
かわいらしいほのぼのとした雰囲気の北白川は、
それでも自分はアルディスだと信じて舞台に立っていた、とかつてを語る。
そしてマヤに、飾られてあったバラを持たせ、「なんてきれいなバラ」と演じさせる。
バラは本当に美しく、マヤは自然に「なんてきれいなバラ」と言うことができる。
次に北白川はそのバラを手で握り潰し、同じセリフをマヤに言わせた。
「なんてきれいなバラ」
手にしたボロボロのバラを見ながらのマヤのセリフを「そのセリフは、嘘ね」と言い、
次に花を折って、茎だけになったバラを持たせ、
舞台に立っているつもりで、とまたセリフを言わせた。
頭の中に、美しく咲くバラを思い浮かべたマヤは、
まるでその茎の先に花が咲いているかのように
「なんてきれいなバラ」
と輝く笑顔で言った。
それを北白川は“感覚の再現”だという。
自分の中のアルディスの気持ちを、再現する。自分はアルディスだと信じる。
そのことに、実際の見た目やこれまでの生活環境は関係ない。
王女の心をもってふるまえばどんな動きもそれらしく見えるもの。
マヤは、少しずつ、自分の中のアルディスを探し求める。

**
稽古場で、二人の王女の演技は少しずつ進んでいるように見える。
しかしそれを見ていた千草は、中途半端な演技は見苦しいと一喝する。
そして二人に対し、アルディスとして、オリゲルドとして、
皇太后ハルドラと会話をする芝居を行わせる。
二人はいったいどんな生き方をし、どんな考えを持っているのか、
何が好きで、こんな時何と答える、内面をどんどん掘り下げる会話の応酬に、
二人は自分たちがいかにアルディスを、オリゲルドを表面的にしか
捉えられていなかったのかを痛感する。
そして会話を通して初めて自分のなかからあふれ出るアルディスの、
そしてオリゲルドの思いや考え方、感じ方を初めて体感していた。

更に千草は、二人を精肉卸店に連れ出す。
「二人の演技には、気温がない」
『ふたりの王女』の舞台となる北欧ラストニア国は、冬ともなればマイナス30度を超す
冷気に覆われた凍てつく国。
二人を冷凍庫に閉じ込めた千草は、
今の二人の演技には、刺すような寒さや、待ち焦がれる春のぬくもりもが
全く感じられないと指摘する。
身も凍る寒さに、徐々に体の動きを奪われるマヤと亜弓。
必死に二人でおしくらまんじゅうをして暖を取ろうとするが、すぐに気管に冷気が入り、
息をするのも苦しくなる。
その時、扉の向こうから千草の声がした。
「オリゲルド、セリフを!!」
今居るここは、ラストニアと同じ冬の温度・・
「ラストニア・・わたしの国、一年の半分は冬将軍の支配するこの国
吹雪の音がきこえる わたしの耳にはたえず吹雪のうなり声がまとわりついて離れない
わたしの心も氷の刃と雪のよろいでかたまってしまった・・・
わたしは王女オリゲルド!わたしの心に永遠に春のくることはない!」
文字通り氷の張りつく気温の中で魂を絞り出すような亜弓のオリゲルドは、
まさにこの世の冬を全て集めたような冷たく、突き刺さるものだった。

ようやく冷凍庫から出された二人。
外気の暖かさが体をゆっくりと包み込む。そして静かに体内の氷を溶かしていく。
そこで千草は、マヤにアルディスのセリフを言わせた。
「ラストニア わたしの国!一年の半分は雪と氷にとざされた冬将軍の治めるこの国
わたしは王女アルディス けれどわたしはしっている
春の女神のほほえみが冬将軍の剣よりも強いということを
冬将軍の治めるこの国のすべての民にとって わたしは春の女神の娘でありたい」
冬の後には春がある。皆を包み込むような温かい春の日差しを思わせるマヤのアルディスは、
厳しく長い冬の冷たさを乗り越えてこそ感じられる、真の暖かさだった。

この感覚を、再現する。

千草は、一週間後にそれぞれにテストをすると告げた。
テストの内容は、千草演じる皇太后ハルドラの大切にしているロザリオを手に入れる。
アルディスとして、オリゲルドとして。

冷凍庫から脱出したマヤと亜弓は、帰りに二人でパフェを食べながら、
取り留めもない会話をする。
生まれも育ちも、容姿も頭の出来も全く違う二人、だけど二人は演劇という一つの情熱に対して
全く同じ立場だった。
お互いがお互いをライバルとして尊敬し、畏怖し、そして憧れる。
全く対照的な二人が対照的な役を演じる過程で、二人の心は
反対にどんどん引き付けられていくようだった。

明日からは、またライバル。
素晴らしきライバル。

稽古以外の時間は、美術館に通ったり、素敵な香水を探したり、
北白川が指導しているという讃美歌を聞きに
教会に行ったりと、稽古とはかけ離れたような日常を過ごしていた。
美しく響きわたる讃美歌、そして北白川の歌う力強いアルディスの歌声、
マヤの心の中は、この世にあるすべての美しきもの、尊ぶべきもの、
優しく包み込むものに満たされていき、
いつしか、マヤは亜弓の家の使用人からも、まるで亜弓がいるかのようだと思われるような、
優雅な生活を自然に送るようになっていた。

一方亜弓は、周囲にさげすまれ、猜疑心と反骨心の塊であるオリゲルドの心情をつかむため、
顔に醜いあざのメイクを施して夜な夜な場末の繁華街へ向かう。
その辛気臭い顔は裏街道でも異質で、強盗まがいの恐喝に絡まれたり、
女だからと露骨に下心をもって近づく男たちをあしらいながら、
亜弓はどんどん自分だけの閉ざされた世界に引きこもっていく・・・
まるでオリゲルドのように。

一週間後、
千草からの課題である、ロザリオを受け取る試験に取り組む二人。
まずはマヤのアルディスから。
当初優しいおばあさまに甘えてロザリオをもらおうと思っていたマヤだったが、
千草演じるハルドラから、そのロザリオにまつわる思い出を聞かされたマヤは、
ロザリオに込められた重みに、どうしてもおねだりする気になれなくなってしまった。
おばあさまがそんなに大切にしているものを、私がもらっちゃいけない・・・。
素直にアルディスとしての心情を語ったマヤに、千草はアルディスならそう思うでしょうねと言い、
そのまま演技を続けさせた。
そんなに大切な物をおねだりしようとしてごめんなさい、そういって謝るアルディスにハルドラは、
その可愛く汚れのないアルディス、あなたならきっと大切にしてくれるでしょうとロザリオを渡した。
大好きなおばあさまから譲り受けたロザリオ、大事に大事にしようと握りしめたアルディスに、
亜弓のオリゲルドが近づく。
アルディスのおばあさま、自分にとってもおばあさま、そんなに大切な物を譲り渡してくれるなんて、
あなたは本当に愛されているのね、私とは違って・・・とオリゲルドは悲しい目を向ける。
もし、それを私がもらえるのなら、おばあさまの愛が自分にもあるんだと思って私はきっと強く生きられる、
そう語るオリゲルドの言葉に、アルディスはお姉さまのためにとそのロザリオを手渡す。
その時の二人の心情ーーー
アルディス:
オリゲルドお姉さま、あんなに喜んでくださってよかった・・。きっとおばあさまもゆるして下さるはず・・
オリゲルド:
馬鹿なアルディス、まんまと私に騙されて、こんな大事なものを私に渡した。
これさえあれば女王ハロルドの威光を利用できる・・・

マヤも亜弓も、千草の試験に合格した。

**
いよいよ『ふたりの王女』公演初日
約束通り舞台中央前より7列目、最上級の席を用意して真澄を招待したマヤ。
自分の挑戦をうけてたった。
きっと自分の期待を超える演技をしてくれる、そしてそれがマヤの演劇界での復活の足掛かり、
紅天女への細く険しい道のりへの第一歩となる・・・・真澄は信じていた。
日帝劇場の観客席には、劇団つきかげや一角獣の仲間たち、そして桜小路の姿も見える。
観客たちのほとんどがミスキャストと言ってはばからないマヤのアルディス、
そして亜弓はいったいどんなオリゲルドを演じるのか・・・・。

期待と不安渦まく中、いよいよ舞台の幕が上がるーーー
舞台上にまず現れるのは、マヤ演じるアルディス・・・


第16巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
ふたりの王女の役作り編は、いろいろ重要だとは思うのですが、
話として停滞する部分も多く、パラパラ読みしちゃう部分もあったり・・・。
ひさびさのスパルタ指導としては、冷凍庫稽古もありましたが、
役作り以外のエピソードとしては、やっぱり真澄さんのトロイメライですよね。
引出が多すぎです、真澄さん。

15巻の後半から『ふたりの王女』本編がスタートしてますが、切が悪いので
その辺もあわせて次の巻まとめにいれちゃいます。
次は本編がほぼずっと続くので、短くなりそう。。
どーまとめたらいいのやら。。でも目指せ!真澄からバラの花束ゲットだぜ!