(み)生活

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ep第45話【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2017-04-18 18:18:44 | ガラスの・・・Fiction
ep第44話←                  →ep第46話
********************
「恋愛なんて、仕事の邪魔になるだけです」
マヤの目の前でそう言い切ると、彼女はカレーをスプーンで
口に運んだ。

4月に入り、マヤは舞台の稽古に臨んでいた。

舞台『NATASHA』
ブロードウェーで大人気の本作品は、過去にハリウッド映画化もされ
世界中で有名なミュージカルである。
日本版の上演は初となり、その主役ナターシャ役に
北島マヤが抜擢された。
本舞台は現在日本では最高峰と称される俳優陣がキャスティングされ
国内外ともに注目度が高い。
その、北島マヤ演じるナターシャの子供時代を演じる子役が
今、目の前にいる彼女ーーー松多愛都なのだが・・・・・。

「あ、あいとちゃん、何歳だっけ。」
「12歳です。」
北島マヤの再来と噂される彼女は、若干3歳の頃から芸能界で活躍する
天才子役として有名であり、経歴だけで見ればマヤよりはむしろ
姫川亜弓を彷彿とさせる。
10年に一人の逸材、と言われる彼女は、なるほど確かに演技力は
ずば抜けていて、北島マヤの子供時代を演じるのに遜色ないと
全会一致でオーディションに合格したのだ。

「12歳なら、学校に好きな子とかいないの?」
稽古の休憩時間に流れから始まった恋愛話を、愛都は一刀両断した。
「私、恋愛体質な人、嫌いなんです。」
聞けばかつて出演した映画で主役を演じていた女優が
プライベートの恋愛問題がこじれてスキャンダルとなり、
映画公開が中止された過去があるという。
「主役の立場で、自分の感情もコントロールできなくて仕事をつぶすなんて
 プロとして失格です。」
若干12歳の厳しい意見に、マヤもたじたじだ。
「北島さんは、そんなことないですよね。」
探るような愛都のまっすぐな目線が痛い。
"い、いえない・・・。速水さんの事が気になりすぎて、紅天女の演技が出来なかったなんて・・・"
「そ、そう・・・ね。。私は、どちらかというと演技に集中しすぎちゃうくらいで・・」
「・・・・・良かった。」
ほ、っと小さく息を吐く愛都は、本当に思ったことをそのまま口にするタイプなのだろう。
幼いころからの芸能活動のせいか、年よりずっと大人びた性格だ。
「でも・・・、恋愛をすることは演技にとって悪いことじゃないと・・」
「え?何か言いました?」
「い!いえ・・・。いや、昔、月影先生にそういわれたことが・・・・」
「月影先生・・・、ああ、『紅天女』の元上演権保有者の方ですよね」
「ま、まあ・・・・ね。」
愛都の言葉はどこまでも無駄がなく、だからこそグサグサ刺さってくる。
「私、『紅天女』観ました。」
昨年のマヤ、そして今年の亜弓の舞台も観たのだという。
「どうだった!?」
「良かったです。」
「・・・・・・・・・」
淡々と答える愛都の表情は変わらない。
「魂の片割れなんて、一昔前の恋愛小説みたいなテーマを
 とても自然に演じられていて、さすが北島さん、姫川さんだなと思いました。」
「・・・・ひと、むかし・・・」
自分が会得するのにかけた努力と日数、そしてなにより身も心も削りながら挑んで
掴み取った舞台を、いまどきの子はこういう風にとらえるのか・・・
マヤは怒りよりも驚きを覚えた。
「で、でも愛都ちゃん、今回のナターシャは子どものころから情熱的な役だけど、
 その辺は難しくないの?」
「? 恋する演技なんて、別に実生活と関係ないですよね。まさか・・・」
北島さん、本当の恋愛してないと演じられないと言うんじゃ・・・・・と
見る見るうちに顔がこわばっていく愛都。
"だ、だめだ。このまま会話してたら、どちらかが崩壊する・・・"
新世代の達観した感覚にあてられたマヤは、ちょうど食べ終わったのを機に
その場を後にした。
「やれるかな・・・私。あの子と・・・」



「ちょっとショックだった・・・・」
私の考えって、古いのかな・・・そういって手にしていたティーカップをぎゅっと両手で握る。
ここは大都芸能社長室ーー
「だって私、愛都ちゃんより11も年上だし。」
「む。それは確かに戸惑うな」
どこかで聞いた、いやよく言っていた言葉だな・・・と思いながら
真澄はマヤの向かいに腰かけた。
「しかし確かに、いまどきの若者はあまり恋愛に積極的でないと聞く」
「そんなっ・・・・」
「恋愛をテーマにした作品はそれこそ舞台・ドラマ・映画に限らず
 マンガやアニメにまで幅広く存在するが、それらが必ずしも現実的である必要は
 現代の若者にはないのかもしれんな。」
二次元世界で楽しむだけで十分、そんな人々が増えているという。
「やりにくいか?松多愛都とは」
「いいえ、愛都ちゃん本当にうまくて、私の子役時代だから直接一緒の
 場面はないんだけど、私は彼女の演技を引き継がなきゃいけないでしょ?
 だから稽古の時はなるべく近くにいるようにしているんだけど・・・」
愛都の言葉に間違いはなく、確かに愛都演じるナターシャは見事に
恋を表現していて、観る者をきゅっと切ない気分、高揚した気分にさせる魅力を持っていた。
「主役は君だぞ」
かつてマヤが子役時代を演じた舞台『嵐が丘』
そこでマヤの卓越した演技は評価される一方
舞台荒らしという異名がつくほど、主役の演技を食ってしまったことがあった。
そのマヤが、今度は新たなる若き才能を前に戸惑っている。
真澄は流れた年月を思った。
「君は君の思うナターシャを演じればいい。」
子役に合わせようとするな、ぴしゃりと言ってのけた真澄。
こうして時に優しく、時に厳しく指導してくれる真澄と言う存在が
マヤにとってはとてもありがたいものだった。

「そういえば・・・、私の相手役ってまだ発表されてないですよね。」
数多くの恋愛遍歴を重ねるナターシャが
最後に出会う運命の相手、その役を演じる俳優は
まだ公にされてはいなかった。
「ああ・・・。まあいろいろと調整することがあってな。」
どこか伏し目がちで言葉少なな真澄の様子に、マヤは少し疑問を
抱きつつも、再び舞台の事に思いをはせた。




「ふっ」
マヤが帰った後のカップを片づけながら、水城は笑いをこぼした。
「どうした?」
「いえ・・、マヤちゃんったらしきりに年の差を気にしてて・・・。
 思わず昔の事を思い出してしまいました。」
ちらりと向けた視線は、いつものメガネに隠れてよく見えない。
「・・・・・。まあ、あの子も後輩を指導する立場になってきたわけだ。」
11歳下とはいえ、女優の世界は年功序列ではない。
秀でた才能さえあれば、トップに立つ事も可能なのだ。
「いい機会になるかもしれませんわね。マヤちゃんにとって。」
『紅天女』は作り上げられていく過程から苦楽を共にしたいわば
仲間での作品、今回のように一から関係性を築きあげねばならない
新しい舞台は、これまでのようにただ役になることにだけ
集中していればいいというものではない。
マヤが座長として、舞台全体を成功させなければならないのだ。
「そうだな・・・。沈まない為には浮かび続けるしかない。」
「それにしても・・・・・。あの件は本当に決まりなのですか?」
「ああ。俺もいろいろと考えたが、これがマヤにとって、
 北島マヤの女優人生にとって最善の道だという結論に至ったよ。」
「マヤちゃん・・・。つらい記憶を思い出さなければいいけど・・」
そして誰より、真澄の心中を思い、水城は顔を曇らせた。
窓越しに街並みを見下ろしながらゆっくりとタバコに火をつける真澄。

彼女にとって息をするよりも大切な"演技"
それを奪うきっかけとなった事件、そしてその時の後悔を
思い出さずにはいられなかった。


**
「とうとう相手役の発表なのね!!」
マヤ主演の舞台『NATASHA』舞台発表のため、
マヤはホテルへと向かっていた。
会見場では、ストーリーの鍵となるマヤ演じるナターシャの
相手役、マーレーを演じる俳優の発表もされるそうだ。

「それにしてもダンスレッスンが大変・・・」
本場ブロードウェイミュージカルということもあり、
稽古の中心はもっぱら歌そしてダンスだ。
「歌で気持ちを表現するなんて、なんて難しいの!」
そういうと車のなかでマヤは大きな声で歌い始めた。
その様子を、少し複雑な思いを抱きながら横目で見る大原だった。

発表会場へ到着したマヤ。
他の主要キャストと共に舞台発表へ臨むマヤ。
見回したところ、マーレー役の俳優らしき姿は見当たらない。
「なにをそんなにキョロキョロしてる。」
そういってマヤの後ろに立ったのは真澄。
いつもの軽口とは裏腹に、どこか表情が固い。
「今日はマーレーの発表もあるって聞いていたので・・・・」
そういったマヤの顔をしばしじっと見つめた真澄は
おもむろにマヤの両肩に手をやると
「・・・・・いいかマヤ。たとえどんなことがあったとしても、
 それは君にとって重要な道なんだ。何かあったら俺に言え。」
君を支えるのが、速水真澄の使命なのだからーーー
周囲を気にして控えめな声量ながら、しっかりと伝わる強い声で
真澄はマヤにそう告げた。
「・・・・・・はい。」

ここ数日、周囲がどことなく自分に気を使っていることは感じていた。
とりたてて何かがあるわけではない、しかしみんなが少しずつ
自分の顔色をうかがっていたり、少し憐れんでいたりするようなそんな
雰囲気がするのだ。

"きっと、私にとってびっくりすることが、あるんだ"
そしてそのことをみんな心配してる・・・・




「それではいよいよ、ナターシャの相手役、マーレーを演じる俳優の発表です!!!」
このキャスティングはまだ共演者の誰も知りません、と司会者があおる。

舞台の制作発表、配役発表の後、主役のマヤを中心に意気込みを語り
質疑応答も行われた会見終盤、マヤの相手役が発表された。
"いったい誰なのかしら・・・・"
たとえどんな人が相手だって、その人の事を愛し、運命を乗り越えるーーー
私はナターシャ!!
場内の照明が落とされ、スポットライトを浴びたドアの奥から現れたのは・・・・
「!?」
「・・・・ウソだろ。」
「まさか、北島マヤと再共演とは・・・・」
「二人は確か過去に・・」
フラッシュがまぶしいくらいにたかれ、登場者の顔がよく見えない。
"・・・・うそ"
目を細めながらゆっくりと、そして確実に壇上のマヤに近づいてくる。
そしてようやくその歩がマヤの隣まで来て止まった。
「・・・・久しぶりだね、マヤちゃん。」
「お久しぶりです。何年ぶりなのか・・・」
「あの頃と比べて、ずいぶんと大人っぽくなったね」
昔と変わらないさわやかな笑顔。
マヤと同じだけの年月を重ねたとは思えない
あの日のままの彼がそこにいた。
呆然と立ち尽くすマヤの耳に
これまで聞いたことのないような口調でささやく愛都の言葉が
飛び込んできた。
「・・・・すごい!世界のSHIGERU SATOMIと共演できるなんて・・・」

里美茂
かつて大河ドラマ『天の輝き』で共演し、初めての恋心を教えてくれた人
そして、その後の謀略によりドラマは降板、決定していた舞台も降り
芸能活動を絶たれることとなる。

それよりなによりーーーー
その頃の記憶は、母の死の記憶でもあった

昔の事を知る者は、この二人の再共演に驚き、
知らない者は、今となっては本場アメリカで活躍するスターとなった
里美茂の凱旋公演という興奮にどよめく
特に若き女優松多愛都にとっては、SHIGERU SATOMIといったほうが
聞き馴染みあるくらいの海外スターだ。
ちらりと目をやった愛都の顔は、今まで見たことがないくらい興奮した様子だった。

ーー自分の感情もコントロールできなくて仕事をつぶすなんて
 プロとして失格です。ーー

いつかの愛都の言葉がマヤの胸に突き刺さる。

"・・・・・ごめんねあいとちゃん。 私この人と恋愛して、仕事に穴をあけちゃったんだよ・・・・"


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~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
え~と、出てなかったですよね。里美くん・・・・・。
もし出てたらすみません。。。。
自分で書いていながら記憶が、そして読み返すのがちょっと
恥ずかしい&大変で・・・・・

正確にいうと、乙部のりえの策略は、真澄氏の
母親軟禁事件を利用したものであり、
決してマヤは里美くんとの恋愛に夢中で仕事放棄したわけでは
ありませんが。

伝家の宝刀里美くん再登場ではありますが
多分次の話でちゃんと説明してくれると思うけど
これはちゃんと意味があることで・・・・


追記**
本編中の"世界のSHIGERU SATOMI"というのはもちろん
KEN WATANABE的なイメージで使ったんですが、
この話をかいたのはもうだいぶ前で、まさかその後渡辺謙までが・・・と
リアルに驚愕しております。

~~~~~