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【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第08巻【ネタバレばれ】

2015-02-05 02:29:16 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第08巻 ※第7章(途中から)第8章(途中まで)

第7章 炎のエチュード

『奇跡の人』は演劇界の話題を独占していた。
特にマヤの演じるヘレン・ケラーは、先の見えない展開と、
姫川歌子演じるサリバンとのコンビネーションが、毎回新たなストーリーを紡ぎだし、
見るたびに異なる思いを抱かせると評判になり、リピーターが続出していた。
その点が、常に安定した集客ながら、観客の感想もほぼ同じという
亜弓のヘレンとの最大の違いであった。

回を重ねるごとに増えるファンや取材の申し込みに、戸惑うマヤ。
舞台を降りるとただの女の子、取り立てた魅力は放たない。
いつだって、彼女が一番輝く場所は舞台の上なのだから。
終演後、劇場を訪問していた真澄とうっかり目が合ってしまったマヤは、
前回同様、大声であきれるほどに馬鹿丁寧な挨拶をし、真澄を笑わせる。
ひきつった顔で必死に取り繕う様子のマヤに、
いつになったら君はそんな顔つきで自分を見るのをやめてくれるんだ?
と少し憂いを帯びた目をしながら言い去って行った。
「まるでムカデかケムシかゴキブリでも見たって顔つきをする・・・」
「ふんだ、ゴキブリのほうがまだ可愛げがありますよ!大都芸能の冷血漢、人でなし、鬼!」

マヤと真澄のやりとりを聞いた麗は、速水真澄の真意を冷静に分析する。
本当に潰れてほしければ、挨拶や礼儀は大切なんてアドバイス、する必要はない。
そのまま放っておけば、勝手に恥をかいて自滅するのだから。
きっと速水はマヤの事を思って言ったのだろうと。
しかしマヤはおよそそんなことは信じることができないのだった。

ある日の公演終了後、カーテンコールでマヤに観客席から一輪の紫のバラが投げ込まれた。
紫のバラの人が来ている!
終演後衣装もそのままに慌ててロビーに飛び出たマヤだったが
それらしい姿はどこにも見えない。
反対にマヤに気付いた観客たちが周囲に集まってきて、ちょっとした騒ぎになってしまった。
ロビーに飾られていた柱にぶつかり、マヤに向かって倒れ掛かってきた。
とっさにその柱を支え、マヤの身を守ったのは、ほかならぬ真澄だった。
自分を憎んでいるはずのこの人がどうして・・・。
しかし真澄はまるで自分の真意を隠すかのように冷たくマヤに言い放った。
「うちの大事な商品に傷がついたらたまらんからな、千秋楽までまだある」

やっぱりいい人でなんかあるはずがない!マヤの中に真澄への憎しみが再燃し、
その様子を悟って真澄は静かに安堵の気持ちを抱く。
それ以上に、辛く苦しい気持ちがあることに気付かないようにするが如く・・・。

**

『奇跡の人』は大熱狂のうちに、亜弓の回、そしてマヤの回と千秋楽を迎えた。
その打ち上げの間隙を縫うかのように、マヤをスカウトしようとする芸能社の人間の
言葉巧みな誘い文句を受けていると、おもむろに現れた真澄がその話をさえぎるようにマヤを連れ去り、
強引に車に乗せた。
せっかくの主役級オファーを妨害されて怒り心頭のマヤに対し、
三流の芸能社とつきあっていると自分自身も三流に見られるぞと冷静に語る真澄。
そして、マヤが現在アカデミー芸術祭演劇部門の最優秀助演女優賞候補であることを伝えた。
毎年、アカデミー芸術祭で賞をとった俳優は、春からの大河ドラマの出演が約束されており、
それはとりもなおさずスターへの道に他ならない。
そんなマヤの現在の立場を知るからこそ、マヤの為にと真澄は動いたのだ。

同じく助演女優賞にノミネートされていた亜弓の心は晴れなかった。
公演の間、日を追うごとにマヤの演技が話題となってたことも知っていたが、
何より亜弓は、一度も歌子から頬にキスをされることなどなかったことに傷ついていた。
なぜ、歌子は私ではなくマヤに、そしてなぜ、私ではなくマヤが最有力候補に・・・・

新日帝ホテル 孔雀の間で開催されるアカデミー芸術祭、
演劇部門
音楽部門
舞踊部門
大衆芸能部門
映画部門
ラジオ部門
テレビ部門
レコード部門
能楽部門
まさに芸能界の華やかさの集結ともいえるその授賞式が今まさに始まろうとしていた。
特に演劇部門は受賞者がそのままMBAテレビの大河ドラマ出演につながるだけに注目の的である。

明らかに場違いな自分の姿、それなのにそんな自分が助演女優賞の最有力候補、
会場に現れた瞬間ぱっとスポットライトが当たったように光り輝く姫川亜弓でなく、こんな自分が、まさか。
きっとこれは夢だ、目が覚めれば消える夢の世界だ。
そう思いながらじっと座るマヤの耳に、発表の声が届く。

助演女優賞:北島マヤ


舞台上には受賞した華やかなスターたちに紛れてマヤの姿もあった。
姫川歌子はアニー・サリバン役で主演女優賞を獲得、
姫川亜弓初めての敗北か、と記者たちが囁くなか、颯爽と舞台上の母、そしてマヤに
お祝いの言葉をかける亜弓、その顔にこれまでのような悲壮感はみじんもない。

亜弓はマヤの授賞理由が「新鮮なヘレン」であったことに納得がいったのだ。
自分のヘレンは「完璧」だった。

舞台上にマヤと亜弓が並んでいたちょうどその時、
いつの間にか会場に来ていた月影千草が突如登壇し、
公に「紅天女」の候補としてマヤをそして亜弓の名を宣言した。
今まで裏工作を重ねながら、何としても自分のものにしようと画策してきた真澄をはじめ
大都芸能だったが、こうして大勢の目撃者のいる前で堂々と宣言されてしまっては手も足も出ない。
作戦勝ちを皮肉にほめる真澄に対し、改めて千草は上演権を手放すことはないと通告する。

アカデミー芸術祭 助演女優賞、そして幻の舞台「紅天女」の候補女優・・・・
マヤに思いもよらない肩書きが一挙にかかり、そしてそれが徐々にマヤの女優人生を変えていくことになるーーー

授与式後のパーティーでも、相変わらずマヤは隅でもじもじすることしかできず、
満足に自分を売り込むこともできずにいた。
華やかなパーティーの中心にいるのは、大都芸能の速水真澄だった。
今年も大都芸能の躍進はとどまるところを知らず、12部門独占と圧巻の結果、
その若社長としての手腕はもちろんのこと、
ハンサムで普通にしていても女性の注目を浴びる真澄だが、
事結婚に関しては冷酷さが際立つ。
愛だの恋だのはヒマなくてはできない、そんな暇があるなら仕事をしているほうがおもしろい
あからさまな女優のアプローチをけんもほろろにいなす真澄を、ライバル社の人間は歯がゆい思いで
見ていた。
あの冷血漢で仕事の鬼の弱点はいったいなんなのか・・・。

そんな注目の的は果たして、壁際にポツンと佇むマヤにダンスを申し込んだ。

あの速水真澄がダンス相手に選んだのが、まさかあんな地味な少女だとは。
いやでもマヤと真澄に視線が集中する。
たどたどしいマヤを巧みにリードしながら、真澄は自分を覚えてもらえるように、
どうすれば目立つのかを考えろとマヤにアドバイスする。
この世界は、才能だけでは生きていけない、
それがスターへの道なのだと。

しばらくはおとなしく真澄の言葉を聞いていたマヤだったが、真澄の
「金の卵を孵る前にこわしたくない」という発言に激高した勢いで隣の人の足につまづいてしまう。
とっさにしがみついた真澄の胸、その感触はなにかに似ている、
そう、あの夏長野の別荘で触れたあの・・・。
マヤがなにかに気づきかけていることを察した真澄はさっとマヤを突き放すと、慌ててその場を後にした。
真澄とのダンスは充分に効果を発揮し、マヤはたくさんの著名人に顔を売ることができた。
その様子を静かに見ていた水城は、真澄の心の中の変化を冷静に分析していた。


助演女優賞獲得、そして大河ドラマ出演決定、
マヤの前途を祝してつきかげと一角獣の仲間たちが集まってくれた。
普通なら活躍をねたむ者も出ておかしくないはずのこの世界、
しかし不思議とマヤの周りには心からマヤの門出を祝い、応援する者しかいなかった。

桜小路に電話で受賞の事、そして大河ドラマ出演の事を伝えるマヤ、
しかし桜小路の反応はつれなく、どこか距離を感じる声にマヤはその理由がわからなかった。

その頃長野の福井病院では、
結核と栄養失調の後遺症でほとんど目が見えなくなったマヤの母、春が
いつかの切り抜きをボロボロになるまで握りしめながら
何処で何をしているとも知れないわが子の事を思っていたーーー

MBAテレビ局、
大河ドラマの記者会見が行われる。
初めて足を踏み入れる華やかな世界。
激しくたかれるフラッシュに、これまで経験したことのないスタジオセットやカメラの数、
どこか普通の人とは違う業界人同士のやりとり。
右も左もわからないまま、ただマヤは目の前の道を進み、その扉の向こうに足を踏み出した。

月影千草は深く沈んだ顔を見せていた。
あの子はスターになるかもしれない、でも大失敗するかもしれない。
女優としてダメになるか、大きく飛躍するか、
紅天女を生み出すため、千草はマヤにそれを賭けていたーーー。


第8章 華やかな迷路

MBAテレビ局大河ドラマ『天の輝き』
激動の明治時代、文明開化の嵐の中で
天の輝きだけを仰ぎみて生きる情熱的な一人の男を中心に
明治という時代を生きるさまざまな群像を描く

森平四郎を中心に、その恋の相手役となるおりん、
おりんの敵役である田沼虎次郎とその息子田沼満そして、その妹沙都子ーーー

マヤはその伯爵令嬢 田沼沙都子を演じる

テレビドラマは初めての経験、華やかな記者会見から衣装合わせ、スポンサー企業との顔合わせなど
息つく暇もないことに振り回されながらも、マヤはただ
演じられることの喜びに浸っていた。
平凡ななんのとりえもない自分が、なんにだってなれる、無限の可能性がある。

しかしそんな喜びは徐々に急激な現実世界の変化との狭間で揺らぎ始める。
一躍時の人となり、学校でも注目を浴びるようになる。
白百合荘には近所の人が連日押し寄せ、ひと目マヤの姿を見ようと話をしようと集まってくる。
セリフ覚えも、おんぼろアパートでは近所迷惑になってろくに本読みもできない。
それでも必死に自分の中に沙都子を見出そうと必死で取り組むが、
その姿勢が反対にドラマスタッフに生意気ととられてしまう。
日舞などの経験も殆どなく、殺陣の身のこなしや振る舞いがどうしてもぎこちない。
マヤの目の前には難題が山積みとなっていった。
それでも必死でほうきで長刀の特訓をやっているところへ、思いもかけない人物が訪ねてきた。
大都芸能、社長秘書水城
そして彼女の口からマヤにとって衝撃的な事実が伝えられた。
月影千草が、マヤを大都芸能に入れたいと申し出てきたとーーー

信じられないマヤに、水城は千草直筆のサインの入った契約書を見せると、
千草に見捨てられたと泣き叫ぶマヤを新たに用意したマンションに連れて行く。
マンションについても泣き通しのマヤ、しかし翌日水城に連れられて高校とスタジオ、そして
日舞の稽古と分刻みのスケジュールを渡され心の整理をつける暇もない。
そうこうするうちにMBAスタジオにはセットも組み立てられ、
本格的な撮影がスタートする。
自分自身に用意された沙都子の衣装に身を包み、スタジオ内に再現された明治時代の
風景に溶け込んだその瞬間、
これまでのどこか自信がなくておどおどした様子の少女は姿を消し、
文明開化の中、好奇心旺盛な一人の伯爵令嬢が堂々と未来を見据えて立っていた。

**

立稽古が始まり、少しずつテレビドラマの現場にも慣れてきたマヤ。
しかしながらまだ、ストーリーをコマ切れに撮影するそのスタイルになじめず、
先に撮ったシーンの心情を引きずってしまう。
それでも何とか必死に稽古に取り組むマヤだったが、どうしても納得のできないことが一つあった。

なぜ、千草は自分を大都芸能に預けたのか、あの宿敵速水真澄の元に!

あの日、千草は自ら大都芸能に赴き、真澄にマヤを託した。
今まで何度口説いても決して頭を縦に振らなかったマヤを、よもや師匠自ら差し出してくるとは、
真澄は嬉々とした表情を隠すこともなく、千草の要望を受け、
そして代わりに千草は真澄の義父、速水英介が個人的に出資しているアクターズスタジオの講師を
務めることとなった。

にわかには信じられないその話だったが、千草自身の口からその事実が告げられると、
マヤはあふれる涙を止めることもせず、真澄に差し出された契約書にサインをした。
「君はスターになるんだ」
自信ありげにそう告げる真澄、その時マヤに一輪の紫のバラが届けられた。
そうだ、自分がスターになれたらきっと、紫のバラの人は喜んでくれる。テレビを見てくれる・・・。
バラを握りしめ微笑みを浮かべるマヤを見つめる真澄の顔は、なぜか冴えない。

「なんのまねだ」
社長室に戻った真澄は、水城に尋ねた。
「きみが贈ったんだろう?」
「それがわかるのは、当の紫のバラの人本人しかいませんわね」

水城は紫のバラの人の正体に気付いていた。同時に真澄が名前も名乗らず紫のバラを贈る真意にも・・・
「あの子を愛してらっしゃるのね」

思いがけない水城の言葉に激しく動揺する真澄。
11歳も年下の少女を、冷血漢の自分が愛するなどあり得ない、しかし
真澄自身も自覚のないその思いを愛だと言い切る水城の頬を、真澄は思わずはたいてしまう。
とっさに出た、コントロールできない自分の行動。
それは真澄自身にとっても初めての感情だった。

**

稽古を通じてマヤは確実に沙都子になっていった。
まだカメラの前での表情づくりや、やっと乗ってきた所でかかるカットの声など、
戸惑うことは多いが、早く慣れるしかない・・・
そう思っている時、スタジオに初めて見る顔があった。
青春ドラマで人気の里美茂だ。
初めてにもかかわらずその持前の明るさと人懐っこい笑顔、いつの間にか心の中に
滑り込んでくるような親近感に、マヤは好印象を抱いていた。

ある日、マヤは沙都子の扮装で記者会見に呼ばれた。
そこに現れたのは、ボロボロの衣装に身を包んだ亜弓。
亜弓は春から帝都テレビで始まる新ドラマ『虹の記憶』に出演するのだ。
ある事件の為に一切の記憶を失くしてしまう少女、聖子役。
未来の紅天女を競う二人の若き女優が、春のドラマで一足先に争う・・・
視聴者の期待をあおる、大都芸能の巧みな戦術だった。

北島マヤ『天の輝き』VS姫川亜弓『虹の記憶』

日本中の注目を浴びる、亜弓と比べられる・・・
無意識に肩に力が入り演技が固くなるマヤを、里美茂は優しくフォローする。
自分をさりげなく励ましてくれる里見の優しさに、マヤの心は温かくなるのを感じた。
しかしそれとは反対に、マヤに、里美のファンの視線は冷たく突き刺さる。

気付けば視線が里見を追ってしまう。
自分の食べかけのエクレアを「あの子のならいいや」とパクリとくわえた里美に
心がずきんとしてたまらない。
里美に腕をつかまれるシーンで、沙都子の仮面がはがれ、顔を真っ赤にしてしまう。
里美の笑顔を見るだけで、胸のどきどきが止まらない。

マヤは里美に恋をしていた。

一方、帝都テレビでは、亜弓が完璧な演技力で撮影をこなしていた。
記憶を失くした少女、自分を車ではねた青年、洋二を
恋人がいると知りながら愛してしまう。
しかし自信に満ち溢れていた亜弓の耳に、共演者の声が聞こえてくる。
「姫川亜弓の目、あれ、恋してないぜ」

意識しないようにと思っても、里美の声が、笑顔が頭から離れない、目を離せない。
恋をして、演技ができないマヤ。
それでも何とか必死に、里美にあきれられないような演技をしようと自分の心に蓋をして
必死に沙都子に集中しようともがいていた。

どんなに完璧に愛を表現しているように見せても、
恋をしている目ができない亜弓。
しかし亜弓は端役の俳優を巧みに誘い、その俳優が自分に向けてくる
恋する熱いまなざしを利用して、その表現を体得していった。

大都芸能では、北島マヤの売り出し戦略が話し合われていた。
大河ドラマのスタートに先駆けてマスコミを利用した売り込み、
スポンサー企業とのタイアップCMと同時に
ドラマの出演シーンを増やしていくことで人気を高める。
さらに放送開始に合わせた全国でのイベント参加や、夏休み公開映画の主演、
大作舞台劇への出演など、向こう一年間のスケジュールが詰め込まれるなか、
真澄はもう一つ大きな仕掛けをもくろんでいた。

北島マヤ、行方不明の母親との再会・・・・
裏で密かにマヤの母、春を見つけ出した真澄は、ほとんど失明状態であることを知ると
春を軟禁状態にするよう病院に金を握らせ、マヤの情報が入らないように規制をかけさせた。
全ては劇的な再会を演出するために・・・マヤをスターにするために・・・。
しかしこの事実を知ったら、恐らくあの子は俺の事を殺したいほど憎むだろう、
そう思うと冷血漢なはずの真澄の胸はなぜか痛む。

そこへ水城から、正式にマヤのマネージャーに任命してほしいと直訴の連絡が入る。
「マヤは恋をしています。共演者の里美茂に・・・・」

真澄の瞳は白く固まる・・・・

マヤの売り出し戦術が進むにつれ、周囲の妬みの感情はどんどん表に現れてくる。
マヤに映画の主役を奪われた、巴万里
マヤに出演シーンを削られた、吉川
マヤに長年務めていた日向電機のCMを取られた大女優山崎竜子
そして、マヤが恋する里美茂のファン

それぞれの思惑が醜く渦を巻くスタジオ、
そんな中、マヤの撮影シーンがスタートした。
沙都子がパイを口にした瞬間ーーー

仕込まれていたガラスの破片がマヤの口内を傷つけた。

第09巻へは・・・こちらから

*****感想**************************************
前回、あらすじ短くなるかもなんて言ってて嘘嘘!!
やっぱり劇中劇やってないと内容が多くて長くなりました。
しかも心情炸裂の芸能界編!
真澄の心も、マヤの心も、激動だらけで大変です。
真澄さん、ヘレン・ケラーのウォーターばりに、自分の感情がマヤへの愛だと
指摘され動揺中。(こ、これが愛・・・!!この気持ちが、愛するということ!?)

一方マヤはマヤで、しっかりはっきり初恋しちゃっています。
桜小路君に対してはあんなに、この気持ちなんだろ~~、わかんないけどまいっか~~~みたいな
適当な感じだったのに・・・。


高校生女優、マヤの栄光と挫折の第8章はいろいろ辛すぎて、
これまであんまり真剣に読んでなかったのですが、
改めてじっくり読むと、すごく重要なシーンやセリフが満載でした。

次巻はもっと・・・・つらいよね。
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【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第07巻【ネタバレばれ】

2015-02-03 11:22:32 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第07巻 ※第7章(途中から)(途中まで)

第7章 炎のエチュード

最終審査を終え、審査会場は紛糾していた。
全ての審査をパーフェクトな演技でこなした亜弓の実力は疑いようもなく、またネームバリューとしても、
歌子との母子共演という話題性からいっても、その優位性は揺らぐことはない。
しかし、審査員の心の中には、粗野ながら一風変わったマヤの演技の印象が消えず、
結局最終投票でも同数に割れてしまう。
最後の1票は姫川歌子の手に握られている。

部屋の外で審査を待つマヤの心は震えていた。
この役を得られなければ、劇団つきかげを破門、女優としての道は閉ざされる。
そして亜弓もまた、これまで感じたことのない不安を感じていた。
自分の才能に絶対的自信があるのに、なぜか気になる、北島マヤいう存在に。

ヘレン・ケラー役は、姫川歌子の投票により、
マヤと亜弓のダブルキャストに決定した。

**

いよいよスタートラインに立った『奇跡の人』、その顔合わせ会場で、マヤは真澄に遭遇する。
いつものようにからかい口調で声をかけてくる真澄に対し、目も合わせずぞんざいな対応をするマヤ。
すると真澄の顔から浮かべていた微笑みが消え、乱雑にマヤのあごをつかむと無理やりその顔を自分に向けさせた。
そして、芸能界では何より礼儀が大事であること、自分を嫌うのは構わないが、私情を表に出さず、
関係者は大事にするようにと厳しく指導して去っていった。

**
本格的に稽古がスタートした。
さすがの呼吸を見せる歌子と亜弓のペアに対し、
いまいちかみ合わないマヤとの演技、
予測不能の動きを見せるマヤに、歌子が翻弄されてしまうのだ。

演技がうまくいかず笑われてしまったと公園で落ち込んでいたマヤの目の前に、桜小路が現れた。
桜小路は、話題となっている舞台で、しかも亜弓とダブルキャストとなったマヤがプレッシャーを感じているのではないかと心配していたのだ。

久し振りに会うのに、なぜか取り澄ました様子の桜小路にいらだったマヤはどんと桜小路を突き飛ばす。
マヤはなぜ突然桜小路が距離をおいたように接してくるのか、不満だったのだ。
そんなマヤの昔と変わらない素朴な様子に、抑えようとしていた恋心が再び蘇る桜小路。
思わずつかんだマヤの手をぎゅっとにぎると、熱い眼差しを向けた。

あわててその場を後にしたマヤの心は、先ほど握られた手から熱いものが流れてくるように
どきどきとしていた。
その気持ちの意味など分からないまま・・・。

『奇跡の人』の稽古は続くが、マヤも亜弓も頑なにお互いの稽古は一切見ることなく、
ひたすら自身のヘレンに集中するように心掛けていた。
そしてふたりは舞台の重要なシーン、
ヘレンが初めて物に名前があることを知る、
"水=ウォーター"の奇跡の表現に向かう。
部屋中を水浸しにしながら役作りに没頭する亜弓とマヤ。
そしてとうとう亜弓は、水に”感電”する感覚を、
そしてマヤはぎりぎりまで膨らんで弾けるヨーヨーの水しぶきを体現するに至る。

**
『奇跡の人』初日
さすがの知名度を誇る亜弓の舞台は満員御礼、著名な劇評家や演出家も多数駆けつけ、ロビーにはたくさんの花束が並べられていた。
アカデミー芸術祭にエントリーしている本作品、その審査員も見守る中、姫川亜弓のヘレンの幕が上がる。

すっかり人気のなくなったロビーでただ一人、黙々と鯛焼きを食べるマヤに、速水真澄が話かけてきた。
とっさに体を強ばらせるマヤだったが、以前真澄にきつく言われた、礼儀を大事にしろという言葉を思い出し、
たどたどしくも慇懃に挨拶をしようとする。
そのあまりのぎこちなさに高笑いが押さえられない真澄は、マヤにジュースを差し出すと、
鯛焼きをひとつもらい、隣に腰掛けて一緒に食べ始めた。
そして、とにかく演技をしている時は、自分が生きていると感じるというマヤの言葉に、
小さくうらやましい・・・とつぶやくのだった。

亜弓のヘレンは、喝采と共に観客を感動の渦に巻き込んだ。

**
翌日、マヤの舞台の初日は、さすがに客の入りは前日の比ではない。
亜弓と比べられることへの不安に押しつぶされそうなマヤ、しかしそこへ盛大な紫のバラの花輪が届けられると、
マヤは自分のヘレンの仮面をかぶった。
私のヘレンを待っている人がいる!

ロビーでは、昨日のマヤのように今日は亜弓が、ひたすら鯛焼きを食べている。
そして客席に座る真澄の前に、マヤのヘレンが姿を現した。

紫のバラの人、これが私のヘレンです!

マヤのヘレンは、全く先が読めなかった。
共演する歌子も、稽古の時とは全く違う動きを見せるマヤのヘレンに、何か自分の中の歯車が狂い始めるのを感じていた。
そして演技が本気になっていく感覚を感じていた。
それは歌子の長いキャリアの中で初めての体験だった。
舞台上での演技という闘い。

変幻自在に動き回るマヤ、そしてそれにこれまた思いもよらぬ対応を見せる歌子の演技に、観客は時に大笑いをし、
最後には大きな感動を覚えたのだった。

カーテンコールで、歌子はマヤの頬に優しくキスをした。
歌子自身、自分が舞台の上でどんどん本気になり、役柄と同化していく感覚は初めての体験であり、
その達成感に高揚を抑えきれずにいた。

こうして台本度外視のマヤと歌子の舞台は話題を呼び、無名な少女はどんどん光のさす世界へと
足を進めていく。

第08巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
この辺りからどんどん劇中劇の割合が増加してきて、反対にあらすじとしてまとめる部分は
少なくなっていくという予感・・。
劇中劇、すごくおもしろくて大好きなんだけど、まとめようがないですよね。
(『奇跡の人』でも大変なのに、『ふたりの王女』どうなっちゃうんだろう・・・)
そしてどんどんこれから真澄とマヤの関係もジェットコースターになっていくのです。

今巻での見どころは(劇中劇以外で)、やっぱりなんといっても真澄あごクイからの説教シーンでしょう。
後に、あんなに小さな頃からずっと私のことを時に厳しく親身になって助けてくれていた!と
感動するに至る・・・・エピその1。

そろそろ真澄のマヤLOVEバロメーターでもつけはじめようかな・・・。
『奇跡の人』現在
マヤ:15歳(高1)
 ~大都芸能は『紅天女』のために劇団つきかげをそして千草をつぶそうとしている悪いヤツ。
  そして真澄はその会社の社長なんだから一番悪いヤツ。
  あいつの思うとおりになんかさせたくない。だけどつい相手のペースに乗せられてしまう。
  いやみったらしく説教して来たり、マヤの事をうらやましいと言ったり、たまに極悪社長らしからぬ
  表情を見せるような気がして、そこは少し気にかかる・・・。
真澄:26歳
 ~マヤの純粋に演技に向かうひたむきな姿勢に心を動かされる。
  何も持っていないのに、真実だけは持っているようなその輝きをうらやましく思う。
  今まで幸せという言葉に興味もなく、求める事もなく生きてきた、そしてそんな人生に何の不満もなかった。
  しかし、そんな地位も名誉も金も持っている自分自身が、
  マヤを見ているとふと幸せとはなにかを考えてしまう、自分自身の心の変化に戸惑う時も。
  そして全て計算づくで生きる事が当たり前だった自分が、マヤに対してだけ
  本能的に動いてしまう事が理解できない。

鈍感な二人ですが、マヤはとりあえず真澄の事特に好きではない御様子。
うっかり手を握った桜小路くんにどきどきするくらいの、初恋にも至っていない乙女です。高1なのに・・・。
真澄も真澄で、多分これまで本気恋愛したことないだろうから、自分のこの気持ちが
愛だー恋だーという事に気づいてないという・・・・、もう立派な社会人なのに・・・。

あらすじが短くなると、感想が長くなる・・・。
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【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第06巻【ネタバレばれ】

2015-02-02 23:10:20 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第06巻 ※第6章(途中から)※第7章(途中まで)

第6章 舞台あらし

千絵として舞台へ立ったものの、セリフもわからずなんと答えていいのか
分からないマヤ。
分かっているのはただ自分が千絵ということだけ・・・。
「なんとかいったらどうだ千絵!」
なんとか言わねばならない・・・なんとか・・・・
マヤは静かに、行けてあった百合の花を口に加え、ギュッとかみしめた。
悲しみやくやしさを表しながらも、何も答えられない状況にしたのだ。
思わずセリフを飲む舞台上の共演者、そこへ助け船を出すように
亜弓が姿を現した。
お互いの演技カンだけが頼りのアドリブ芝居。
これが、亜弓とマヤ、初めての共演となる。

亜弓はマヤにわからせるように千絵の人となりをセリフとして伝えた。
亜弓が導き出したいのは千絵の怒り、そして家を出ていくというセリフ・・・。

千絵のこと、千絵の父親のことなどを語りつつも、巧みにマヤを挑発する
ような動きを見せる亜弓に、自らを怒らせようとしていることを察したマヤは、
亜弓の呼吸に合わせるように暴言の応酬をみせた。
次にどんなセリフが出るか誰もわからない、息をのむような展開に
観客そしてスタッフ達もかたずをのんで見守った。

その後も亜弓は巧みにリードしながらマヤの言動を誘導する。
そして亜弓の言葉に思わずマヤは、こんな家出て行ってやると言いそうになり
言葉をのむ。
もしこのセリフが芝居の筋から外れていたら・・・・
そんなマヤの背中を押すように、やおら亜弓は振り上げた右手で
したたかにマヤのほほをぶった。

「こんな家、出ていってやる!!」

マヤは思わず声を荒げ、そしてそのまま舞台そでに走りだした。

亜弓にぶたれたほほは真っ赤にはれていた。
しかしそれ以上に、圧倒的な亜弓のリードで自分が操られていたことを
実感し、自分と亜弓の間の実力差をまざまざと見せつけられたようで
マヤの心は大きく沈むのであった。
しかし亜弓は、自らに堂々と立ち向かってきたマヤの舞台度胸に
改めて脅威を抱くのであった。

舞台終演後、喝采を浴びる亜弓の一方、隅で顔色も悪く立ちすくむ
マヤに、真澄が声をかけた。
マヤがセリフもわからないまま舞台に立とうとしたときは
ひどく動揺し、思わず止めようとした真澄だったが、
今はいつもの冷徹な落ち着きを取り戻したかのようにマヤに話しかける。
ちょうど両親の迎えを受けていた亜弓を見ながら、
大女優と映画監督の娘という恵まれた環境にあり、美しく演技の天才、
生まれつきの主人公である亜弓の輝かしさと自分の地味さを改めて
対比し、深く落ち込むマヤ。
いまだやまない雨、真澄はマヤを車で送ろうとするが、
マヤは大都芸能に送ってもらうくらいなら濡れていった方がましだと
拒否する。
その様子を見ていた周囲の人間は、天下の大都芸能若社長である
速水真澄になんて失礼なことをいうのだと非難する。
その言葉にいらだちを強くしたマヤは、さらに真澄にくってかかり、
これまで受けた妨害工作など、非難を大声でぶつける。
誰もはむかうことのできない真澄に真正面から暴言を吐く姿は
あまりにも強烈で、周囲は凍りつく。
そしてそんな言葉をまともに浴びせられた真澄は冷たく、
「どんな手を使ってもおれは自分の欲しいものを手に入れるだけだ」
と言い放った。
やはり思っていた通りの冷血漢、いやなやつ、だいっきらい。
あんな人の思い通りにだけはなるものか、マヤの心はさらにかたくなになっていく。

台本をすり替えられ、セリフも筋立てもわからないまま舞台に立ったマヤ、
そして天下の大都芸能の鬼に食って掛かる怖いもの知らずの無茶な子。
いままであんな少女に出会ったことがない・・・・
真澄は静かにグラスを傾ける。

**
相変わらず行方の知れない母のことを思うマヤのもとに
紫のバラの人から花が届く。
さらに一ツ星学園の制服や靴、教科書に万年筆など高校進学のための
プレゼントも贈られた。
送り主の名は分からなかったものの、おだやかですずしげなはりのある男の人の
声だったときき、紫のバラの人への思いを強くする。

一ツ星学園高等部入学式
真新しい制服に身を包んだマヤのクラスはタレントクラス、
周囲を見渡しても華やかで個性的なクラスメートがひしめいている。
しかしそんなスターのタマゴ達が、「北島マヤ」の名を聞くとどよめくのだった。

一ツ星学園演劇部は、全日本高高校演劇大会で毎年優勝する名門クラブ。
有名な演出家や役者が演技指導を行い、入部するのにも演技テストにパスしなければならない。
そんな演劇部の中でも、一際異彩を放つのが、三年生の金谷英美ーーー
その役がのり移ったかのような鬼気迫る演技に、マヤの背筋も凍りつく。

そんなマヤの元に、紫のバラの花束が届けられた。
あわてて紫のバラの人を追って玄関に向かうも、すでに人影はない。
姿を見せない紫のバラの人に、落胆の気持ちを抱いていたマヤは、
生徒たちが何やら騒いでいるのに気付く。
何でも大都芸能の速水真澄が学校を訪問してきたようだ。
一ツ星学園には多くの大都芸能所属タレントが在籍しているため、
毎年多額の寄付をしているのだ。
玄関前に止められた、大きな黒塗りの車、何気なく覗き込んだマヤは、
その後部座席に残された1輪のバラに気付く。
そのバラは、紫色をしていたーーーー。

真澄が来ているという校長室に飛び込むマヤ、紫のバラの人が
大都芸能の車に乗っていたのではないかと、真澄に詰問する。
マヤから直接紫のバラの事を問われ、最初は動揺した真澄だったが、
すぐに落ち着きを取り戻すと、車に乗せていた女優の持っていた花束にあった
バラが紫だったのだろうと取り繕った。
マヤが紫のバラの人への感謝の気持ちを伝えたく思っている様子を察するが、
当然真実を語ることは出来ず、結局いつものように軽口の応酬に
最後はマヤが怒り出して校長室を後にした。
大人げなくマヤをからかい、高笑いをする真澄の楽しそうな様子に、
部下は目を白黒させていたが・・・。

**

未だ謹慎の解けないマヤの元に、一人の黒ずくめの男が尋ねてきた。
以前『石の微笑』を、そして演劇部の金谷英美の所にも姿を見せていたその男は
大都芸能の人間だった。
そしてマヤは、大都新劇場のこけら落とし公演『奇跡の人』ヘレン・ケラー役の
オーディションを受けないかと誘われる。
オーディションは8月の終わり、目も見えず口もきけず耳も聞こえない三重苦という難役。
難しい役だがやりがいのある挑戦に、麗たちもマヤを後押しする。
しかしその舞台は因縁の大都芸能、
『紅天女』を手に入れる為に汚い手を使って劇団つきかげをつぶした宿敵、
しかも同じヘレン・ケラー役の候補には、姫川亜弓、そして一ツ星学園演劇部の
金谷英美もいるという。
演出は劇団オンディーヌの小野寺一、さらに家庭教師アニー・サリバン役は
亜弓の母、姫川歌子という完全アウェイの状況にマヤの心はひるむ。
絶対受けないと拒否するマヤに、月影はヘレン・ケラー役を勝ち取らなければ
つきかげを破門すると通告した。

その頃、姫川亜弓もまた、ヘレン・ケラー役を親の七光りでなく、実力で勝ち取る為、
家を出ることを決意する。
その様子を静かに見送る母、歌子。
二人の関係はもはや親と子ではなく、女優対女優のものだった。

オーディションの日程が8月20日に決まったこと、そしてようやく北島マヤが
オーディションを受けると言ってきたとの報告を受ける真澄に、
秘書、水城は皮肉を込めたような顔で言葉をかける。
「また、紫のバラでも贈ってはげまされたらどうですか?」

誰も知らないはずの、そのバラの存在ーーーーー
舞台『奇跡の人』を巡って、何かが変わっていく、動いていく


第7章 炎のエチュード


大都芸能に集まった5人のヘレン・ケラー候補

白鳥令奈 劇団「風」所属
早川あきこ 劇団「てんま」所属
金谷英美 一ツ星学園演劇部所属
姫川亜弓 劇団「オンディーヌ」所属
そして、
北島マヤ 劇団「つきかげ」所属

層々たる実績、そして知名度のあるメンバーが揃った。
そんな中マヤは、不安を感じながらも、
何も持っていない自分に唯一残された演劇という道が、
この役を勝ち得なければ破門となって絶たれてしまうことに危機感を抱き、
宿敵大都芸能の謀略に負けず、紫のバラの人の励ましを支えに
精一杯取り組むことを決意する。

夏休みに入って、教会の稽古場で麗を相手に稽古を続けるマヤ。
そこへ現れた千草は、マヤが三重苦の役をつかんでいないことを
的確に見抜き、厳しく指導をする。
目も見えず、耳も聞こえず、口もきけないヘレンがどうやって一人で遊ぶのか。
しかし病院を抜け出してきた千草の体力は続かず、すぐに息が上がってしまう。
更なる指導を受けようとした矢先、稽古場として借りていた教会の持ち主が変わり、
取り壊されることになる。
そのショックで心臓発作が再発した千草は、追ってきた速水真澄によってまた病院へ連れ戻された。
稽古場を失ったマヤ、何処で稽古を続ければいいのか途方に暮れる。
その様子を真澄は思案顔で見ていたーーー。
そして、数日後、マヤの元に紫のバラの花束が届く。
長野の別荘への招待状と共に。
いつも絶妙なタイミングで救いの手を差し伸べてくれる、紫のバラの人。
その正体もなにもわからないまま、マヤは一人、長野の別荘へと向かう。

**

白樺高原に着いたマヤを、別荘の管理人夫婦が優しく出迎えた。
自分の事を詮索しないでほしい、というメッセージと共に置かれた紫のバラの花束を抱えながら、
マヤは、以前千草に出された宿題を思い返していた。
三重苦のヘレンは、どうやって一人で遊ぶ・・・・

別荘では管理人の山下夫妻がマヤを丁寧にもてなしてくれる。
その優しさに感謝の気持ちを抱きつつも、そんな環境ではいつまでもヘレンの心は掴めないと、
マヤは自身の耳に粘土を詰め、目には包帯をぐるぐる巻きにし、三重苦のヘレンとして過ごすことを決意する。
部屋中をグチャグチャにし、全身あざだらけになりながらも、
役作りだから心配するなと山下夫妻に筆談で伝えるマヤだったが、
あまりに尋常でない様子にたまらず、管理人夫婦は自分達の雇い主である真澄の元を密かに訪ね、
その状況を報告した。

不自由な状況でもがき苦しむマヤだったが、いまだにヘレンの心が掴めず苛立ちばかりが募っていく。
わずらわしい包帯や耳栓、もうすべて取り払ってヘレンの世界から逃げ出してしまいたい。
音もない闇の中手探りだけの生活は辛く、さらにひどいことに、階段から落下した際に
足をねんざしたのか立てなくなってしまった。
管理人の報告を受け、ひそかに別荘を訪ねていた真澄は、
その様子を離れて見守っていたが、動かない足で無理やり立とうとしてよろめくマヤを
とっさに両手で支えあげた。
その感触はいつもの山下のものではない。
"あなたはだれ?"
指で問うマヤに、真澄は胸に差していたバラを握らせる。
"あなたはむらさきのバラのひと?"
真澄が手を握って答えるとその瞬間、
マヤはその胸の中に飛び込んでいったーーーー。

ずっと会いたかった、紫のバラの人。
目も見えず、耳も聞こえない状態ではあったが、その胸をぎゅっと抱きしめると、あふれる涙を
抑えきれず、嗚咽を漏らす。
そんな健気なマヤを思わず強く抱きしめた真澄は、慌ててマヤをソファまで連れて行くと
静かに座らせ、何も言わずにその場を去っていった。
名前だけでも教えてほしいというマヤの叫びに答えることもなく、ただ
"あなたのヘレンをたのしみにしています"
とマヤの手のひらに残して。

紫のバラの人の励ましで、くじけそうになっていた心を立て直し、
必ずヘレンの心つかむと、気持ちを新たにするマヤ、
しかしそんなマヤとは反対に、真澄は自分自身の思いもよらない行動に激しく動揺し、
戸惑いを感じていた。

10歳以上も年下の少女に、おれともあろう者がーーー

なにをするともなく、ただひたすら食べ物を探し、食べ、横になるだけの生活。
ずっと目も見えず、耳も聞こえない生活を続けるうちに、次第にマヤの心のなかで
変化が起こっていた。
不意に体のまわりに感じる虫の気配、
ふと見つけたなにか柔らかく軽いものの感触。
毛糸玉から糸ををほどいては丸め、またほどいてはまとめる。
ただそれだけのことをマヤは飽きもせずずっと続けていた。

ある日、体に吹き付ける風、そして雨を感じたマヤ。
開いていた窓を閉めようとするが、固い窓の桟に手を挟んでしまい、身動きが取れなくなる。
どうもがいても開かない窓、挟まれた手の痛みに耐えられず、
マヤは必死にもう片方の手で窓を割りながらうめき声をあげ、苦しむ。

声を出して助けを呼ぶことができるにもかかわらずーーーー

**

姫川亜弓は、施設「希望の家」で目が見えず、耳が聞こえず、言葉も話せない子供たちにまぎれていた。
亜弓は誰よりも真摯にその施設で
ボランティア活動に取り組み、その真剣な姿に職員たちも心を打たれ、
今は盲聾唖の人たちと全く同じ扱いをうけながら生活をしている。
その様子は、そこで暮らす人たちと全く区別がつかないほどだった。

金谷英美は、実存する三重苦の少女のビデオを何度も何度も繰り返し見ながら、
徹底的にその動き方を体に叩き込んでいた。
その他の候補者たちも手取り足取り演技指導を受けながら連日の稽古に汗を流している。

そして、いよいよ8月20日、オーディションの日がやってきた。
乱雑に広げられたおもちゃの中、ヘレンとして遊ぶ審査。
並べられた豪華な食事を、ヘレンとして食する審査。
3次審査ではヘレンの実演を舞台上でおこなう。
それらの審査の過程において、各々がそれなりにヘレンとして
印象的な演技をする中、
マヤのある種動物的で独特な演技は
どこか違和感を残しつつも、審査員たちの印象に引っかかるものを
感じさせてはいた。
しかしやはり姫川亜弓、そして金谷英美が最有力視されていた。

そしていよいよ最終審査
ただ椅子がならべられただけの殺風景な部屋で、ただ座って待つ、
ヘレンとして。

突如、静寂を破る非常ベルの音が響き渡る。

一様に慌てふためき、何が起こったのかと立ち上がり周囲を見渡す
候補者達、しかし・・・。

ヘレンの耳に、そのけたたましい音は決して届かない。

姫川亜弓、そして北島マヤは微動だにすることなく、
ただ椅子に座って何をするともなく、そこにいた。

第07巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
すごーくすごーく間が空いてしまいました。申し訳ない。
なんというか、かなり重要巻であるにもかかわらず、まとめにくい話ですね(笑)

この巻の見どころはなんといっても、

☆水城さん、真澄の紫の秘密にサッサと気付いているご様子
☆真澄さん、自分の中に起こったマヤへの衝動に戸惑いのご様子(まだ恋心とは思ってない)

です。

ちなみにマヤは1年E組のクラスにいましたが、自己紹介するときは
1年D組っつってました。
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【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第05巻【ネタバレばれ】

2014-09-25 11:27:32 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

--------------------------------------------------
『ガラスの仮面』文庫版第05巻 ※第6章(途中から)(途中まで)

第6章 舞台あらし


『紅天女』はいつか必ず正当な手段で手に入れる・・・
冷酷で非情な仕事の鬼、そして父子で『紅天女』に執着する大都芸能の速水真澄が、
そう千草の病室で宣言している頃、
窓の外ではマヤが桜小路を相手に舞台『嵐ヶ丘』の読み合わせを行っていた。
マヤに好意を抱く桜小路は、目の前でヒースクリフへの思いを語るマヤの、
自分を突き抜けていくまなざしに耐え切れず、自分はヒースクリフではない!と
叫んでマヤのもとから去っていった。
桜小路が急に怒ってしまった理由が分からず呆然とするマヤ、
そしてその様子を木陰から真澄は冷静に見ていた。

本格的な稽古が東洋劇場で始まった。
マヤの演じるキャサリンのヒースクリフへのひたむきな愛はあまりに激しくまっすぐで、
共演者たちの間でも圧倒的なインパクトを残している。
そしてなにより、ともに子供時代を演じるヒースクリフ役の真島良にとっては、
日を重ねるごとに強い印象を残していった。
いよいよ初日ーーー
舞台そでのマヤはいつもの地味でおとなしい女の子ではなかった。
キャサリンの仮面を完全にかぶったマヤは舞台上でも圧倒的な存在感を放ち、
観る者を自身にくぎ付けにした。
途中、舞台上でヒースクリフが流血するというハプニングに見舞われるも、
とっさの判断でキャシーとして大胆にもスカートのすそを破ってその血をぬぐう
アドリブでうまく対処し、その本当とも演技ともつかない真剣なまなざしに、
ヒースクリフを演じる真島は本気の恋の思いを強く燃やし、
それを観客席で見る真島の恋人由紀はせつない思いで見つめていた。
同様に桜小路も、観客席でキャサリンとヒースクリフの若いながらも激しい恋の
舞台に、現実のマヤと真島をだぶらせて見てしまう。
「いかないで、ヒースクリフ この荒野から出てはいや。わたしのそばからいってはいや」
観客を見ることもなく、ただヒースクリフと見つめ合ったまま発せられる
マヤのセリフに、耐えられなくなり席を立とうとする桜小路を、
「あの子が好きなら最後まで見ろ」
と押しとどめる真澄、しかし桜小路は自分の気持ちを抑えることができず
そのまま会場を後にした。
一方、仕事の合間に舞台を視察に来ていた真澄は、秘書水城に
「最後まで見ていく」
と告げ一人、劇場に残った。

舞台が終わると、いつもの恥ずかしがり屋で引っ込み思案なマヤに戻っていた。
そのギャップに周囲が驚きを隠せない中、マヤは初日にきてくれたつきかげのメンバーと
談笑する。
しかし桜小路が舞台途中で席を立ったことを聞き、さびしい思いで
劇場に一人たたずんでいた。
そこへ近づく真澄、ヒースクリフに行かないでといったあのシーン、
桜小路が直視できず思わず席を立ったあのシーンを、
まるで子供がおもちゃを取り上げられそうになっているようだったと
冷静に見抜き、
「早く成長するんだな、チビちゃん」
とからかいながら劇場を後にした。
“あの子はまだ本当の恋を知らない”

自分の演技が、子供からヒントを得ていることを見抜かれ呆然とするマヤに、
千草の容態が悪化したとの連絡が届き、つきかげメンバーとともにあわてて
病院に駆けつける。
緊急手術は成功したが、あとは本人の体力次第、こん睡状態は4日間続いた。
今日が山場、もし目が覚めなかったら・・・
意識が戻らない千草に、マヤは紅天女を私に教えて!!と叫び、その言葉に
呼応するかのように千草は意識を回復した。
そして枕元のマヤの腕を取ると、紅天女を受け継ぐものだと語り、
同時にもうひとりいることを示唆する。

その人物は今にわかる、その人と紅天女を目指して戦いなさい、
途中で挫折すればその人が紅天女を勝ち取るでしょう・・・・

自分が幻の名作『紅天女』の候補であるといわれてもいまいちぴんと来ないマヤ。
しかし東洋劇場でのマヤの存在感はどんどん膨らみ、
それが反対に、舞台上で浮き出るほどになっていった。
回を重ねるごとに子供時代のキャサリンとそれに引っ張られるヒースクリフ、
そして大人時代の演技達者な役者たちとのギャップがどんどん広がっていった。
あまりに熱く激しい子供時代の二人が、本来の主役の演技をくってしまっていたのだ。

とうとう千秋楽を迎えた。
初日に真澄から、マヤを愛しているなら最後までみてやれ、と言われた桜小路は
再びその舞台を観にやってきた。
しかし舞台上のマヤを見ながら、マヤの心はいつも演技ことでいっぱいで、
自分のことを見ていないことへの寂しさ、そして
舞台上で共演する真島が本気でマヤのことを思っていることも察し、
せつない思いで押しつぶされるのだった。
この舞台を、自分に見てほしいなんて、マヤはあまりに残酷だと。

そして千秋楽を迎えたマヤのもとに、紫のバラが届けられた。

「この舞台は失敗だ・・・」
皆が舞台の成功を喜ぶ中、東洋劇場会長は静かにそう言い放った。
子供時代から大人時代へ切り替わるときの違和感、
あまりに圧倒的なマヤの印象は強烈で、しかし
ひとりで演技をしているような浮き立った存在感。
演劇はまわりとの呼吸が大事であるにも関わらず・・・。
マヤの役者としての未熟さと不気味なまでの存在感を恐れた。


**


劇団つきかげの次回公演が決まった。
『石の微笑』
その舞台でマヤはなにも語らず、動くこともない、人形の役を演じることになった。
舞台あらしとして、他をくう存在感を見せるマヤに、
千草は自分を殺す演技を身につけさせようとしていたのだ。

『石の微笑』では、劇団一角獣との共演が実現した。
毎日にぎやかな稽古が続く。
そんな中、だたひたすら舞台上で座っているしかできないマヤは、
ついいろいろなことを考えてしまい、無である人形になりきることができない。
稽古場にしている教会で、セリフ覚えも終えたメンバーは、
千草の病室で演技指導を受けるようになった。
しかしその時もマヤは一人、病室の隅の椅子に腰かけ、
人形として座っているだけだった。
人形としての制限された体の動きがつかめないマヤに、千草は
独自の稽古をつけることにした。

ひそかに病室を抜け出し、マヤと二人で教会の稽古場に来た千草。
病院からそのことを聞いた真澄が、まさかと駆けつけると、
そこには不自然な動きのマヤがいた。
千草を連れ戻そうとする真澄に、椅子から転がり落ちるマヤの姿が
見える。
その違和感に思わず駆け寄った真澄は、
マヤの体に縛り付けられた竹製のギブスに驚愕する。
千草はマヤの体に竹を縄で縛り付け、身体の動きを制限することにより、
人形としての動きを身につけさせようとしていたのだ。
あまりにも行き過ぎた千草の演劇指導に呆れつつ、
真澄は千草と、そして竹が刺さってけがをしたマヤを病院へ連れ戻した。

病室で千草の演劇への情熱、そして劇作家尾崎一蓮への愛を知る真澄。
千草は『紅天女』の作者尾崎一蓮を愛していた。妻のあるその人を。
一蓮は女優としての千草を愛してはくれたが、女として愛されることはなかった。
そして尾崎一蓮を自殺に追い込んだのは、真澄の義父、速水英介。
しかし一蓮が千草に残した演劇への情熱が、一蓮亡き後の千草を支えていたのだと。


怪我の治療を終えたマヤを、真澄は車でアパートまで送っていった。
断りも聞かずに強引に車に乗せた真澄に対し、人さらい、誘拐犯などと
暴言を吐くマヤ。
そんなマヤに真澄は高校進学はしないのかと尋ねた。
金銭的に余裕のないマヤは進学をあきらめていたが、今後の演劇人生に
おいても高校での知識は役に立つと考えた真澄は、
大都芸能にスカウトし、高校進学の一切の面倒を見ることを提示した。
しかしマヤは、これまでの確執から死んでもいやだと拒否し、
業界最大手である大都芸能にたてついた。
本当は行けるものなら高校に行きたい、
そんな人の弱みに付け込んで、なんて卑劣で憎ったらしい、あのアホ、速水真澄・・・。
そして真澄の心にはマヤの残した「死んでもいや」の言葉が刺さっていた。

その後マヤのもとに、紫のバラの人の支援により、一ツ星学園高等部への
進学が打診された。
あまりのことに腰を抜かすマヤ。そして心の底から紫のバラの人への
感謝の気持ちがあふれ出てきて止まらない。

まだマヤは、その正体を知らないーーーーーー

**

紫のバラの人からの優しい応援にこたえるためにも、『石の微笑』での
人形として、自分を殺す演技をなんとか修得したいマヤは、千草特製の
竹ギブスを身に着け稽古に励む日々。
その頃、『嵐ヶ丘』でマヤと共演した真島良は、いまだ心に残る
キャサリンの熱いまなざしの残像をぬぐえずにいた。
そしてもう一人、桜小路はマヤへの思慕を忘れるかのように
クラスメートの女子たちに囲まれていた。
先日の『嵐ヶ丘』千秋楽で借りていた傘を返そうと、桜小路の学校に寄った
マヤは、そんな桜小路との間に見えない距離が出来ていることを感じる。
今まであんなにやさしくしてくれた桜小路と、話すこともなく
ただ見る事しかできない、そんな寂しさを感じた時、
桜小路はマヤに聞こえるか聞こえないか分からない声で
「ヒースクリフがうらやましかったよ」と告げた。
変わらず優しい桜小路くん、でも以前とは何かがちがう。


劇団つきかげ+一角獣の公演『石の微笑』は、
つぶれた喫茶店が入っていたビルの地下を改装して行われることになった。
その向かいにはオリオン劇場。
大きなビルの7Fにあるきれいなその劇場では、あまりに流行らない
薄気味悪い地下劇場を揶揄する声で盛り上がっていた。
そこへ訪れた姫川亜弓は、劇団つきかげと一角獣の実力について
淡々と語り、さらに舞台あらしと恐れられる北島マヤの名を挙げ、
オリオン劇場の舞台があらされないようにと忠告した。

ボロボロのビルの内装をみんなでなんとか改装し、
みすぼらしいながらもなんとか劇場としての体裁を整えた仲間たち。
本格的にその地下劇場での稽古がスタートした。
相変わらず体中に竹を巻き付け体の動きを制限するマヤ。
少しずつだが人形としての動きが分かるようになってきた。
しかし、何もしないまま座り続けるマヤの心には
いつの間にかいろいろな思いが浮かんでは消え、
いつしか横浜においてきた母のことが思い出された。
母は劇団つきかげがつぶれたことも、今のアパートに越してきたことも
そしていくつかの舞台に出たこともきっと知らない。
いつか母の為にも、本物の女優になって見せる・・・・

表情のないはずの人形に、表情が出てしまい、麗に指摘される。
心の無い表情に、どうしてもなれないのだ。
そんなマヤに、千草は禅寺での修業を指示し、
連れてこられた山相寺で、マヤは石と同化し、石になるという心をつかみ始める・・・


その頃横浜では、結核が悪化したマヤの母、春が、働いていた中華料理店を辞め、
サナトリウムへ移ることになっていた。
2年前に家を飛び出していった娘、今年は中学を卒業するはずのマヤからは
なんの連絡もない。
いったいどこで何をしているのか、親不孝な娘・・・。
サナトリウムへ向かう電車の中で、春はマヤの『嵐ヶ丘』の記事と小さく映る
マヤの写真を目にする。
その姿は、自分の記憶するマヤより少しだけ大きくなった娘だった。
女優としてやっていく、その言葉通りに芝居の道に進んだマヤの成長を
心から喜び、その切り抜きを胸に大切に抱きながら、春は療養所へと向かった。

**

『石の微笑』初日
地下劇場には、姫川亜弓、真島良の姿もあった。
実力者の集まる舞台は大成功。
マヤも目の前でみなが生き生きと演じる姿を感じながら、
人形として一分の隙もなく演じきった。
そして今まで自分が、人に合わせる演技など考えてもいなかったことに
気づかされた。
公演初日から10日もたつ頃には、小さなボロボロの地下劇場の
前に長蛇の列ができるほどの人気となり、向かいのオリオン劇場は
完全にくわれてしまっていた。

地下劇場には、初日から毎日観劇に訪れる真島良の姿がある一方、
桜小路の姿は一度も見られなかった。
そして大盛況のうちに千秋楽を迎える頃、真島はマヤに思いを伝えるが、
マヤは桜小路のことを思い出しながらその申し出を断った。
いつも親切で優しくしてくれる桜小路、しかし今回は一度も舞台を観に来てくれない、
桜小路に会いたい気持ちが涙になってマヤのほほを流れていった。

そんなマヤのもとへ、かつて住み込みで働いていた中華料理店の娘、杉子が訪ねてきた。
そして杉子は、母が結核を患い山梨の療養所へ移ったこと、
そのサナトリウムから行方をくらませたことを知らされ動揺する。
あわてて街を彷徨い母を探そうとするマヤ、しかし今日は『石の微笑』千秋楽、
舞台に穴をあけられないマヤは劇場へ連れられ舞台に立つ。
客席には、一足早く千秋楽を迎えたオリオン劇場関係者や千草の姿もあった。

絶対に失敗できない最後の舞台。
しかしマヤの脳裏には母の面影が浮かんでは消え、母への懺悔の気持ちが
とめどなくあふれ、人形の仮面をはがした。

舞台上で涙を流した人形のマヤ、
そして舞台終了後、マヤは千草から謹慎処分を命じられた。
「あなたは役者として失格です」

その頃大都芸能では、秋にオープン予定の大都新劇場のこけら落とし公演
『奇跡の人』のキャスティングについての会議が行われていた。
もっとも重要であるヘレン・ケラー役には、各劇団やタレントなどから
15名ほどの候補者がリストアップされている。
そこへスカウトマンが、さらなる候補者として、マヤの写真を提示した。
近頃話題の地下劇場で、人形役を演じたマヤに演劇的才能を見出した
スカウトマンの熱弁に、思わず微笑みを浮かべながら真澄は候補追加を了承した。
もちろん候補者の中には、姫川亜弓の姿もあった。

**

『石の微笑』終了後、来る日も来る日も母を探して街をさまようマヤ。
しかしこの広い東京でたった一人、いるかいないかもわからない人を見つけ出すことは
困難に近い。
「千万分の一でもいい、ほんのわずかでも可能性があればそれにかけたい」
そういってマヤは母を探し続ける。
急に降り出した雨を避けるため、雨宿りに入ったビルは大都プラザ劇場。
そこでは大都芸能所属俳優ばかりが集まる豪華絢爛な舞台『夢宴桜』が上演されていた。
劇評家たちの間でも話題のこの作品、中でも話題の中心は、
華族の令嬢役の姫川亜弓だった。
圧倒的な美しさ、舞台に出ただけで放たれる光に、将来の活躍が期待された。

その舞台の様子を視察にきた真澄の耳に、役者の一人が急なけがで出演できなくなった
との情報が入る。
開演まであと1時間半しかない、この代役を務められる14,5才の少女はいないか。
ふと真澄の視界に、雨宿りをするマヤの姿が入ってきた。

そして嫌がるマヤにうやうやしく、代役としての舞台出演を正式依頼した。
実力は噂になっているとはいえ、セリフもなにも知らない少女が、この短時間で
稽古もなく舞台に立つことができるのか、不安を感じる演出家に真澄は、
「並の子じゃありませんよ」
と言い切ってマヤのやる気をかきたてた。
もしかしたら、紫のバラの人も観に来ているかもしれないよ、と言いながら。

こうして期せずしてマヤと亜弓の舞台初競演が実現することとなる。

一通りの舞台の流れを聞き、残りの時間を必死にセリフ覚えに充てるマヤ。
月影千草が「紅天女」候補として育てているという噂はすでにこの舞台関係者の
間でも話題になっており、コンクールでの実績や、舞台あらしと呼ばれるほどの
卓越した演技力に、他の出演者の畏怖の心は高まる。
そして同時に、嫉妬の炎も巻き起こし、マヤを陥れたいと策略する役者によって
意図的に台本をすり替えられてしまう。

舞台開演、ぎりぎりまでセリフ覚えに集中するマヤ、
あとは千絵として、どう演じるかということだけを考えていた。
もしかしたら見ていてくれるかもしれない、紫のバラの人を心に浮かべながら。

舞台上ではおよそ稽古もしていないとは思えない演技力で、他を圧倒するマヤ。
巧みに間を取りながら千絵としてそこに居るマヤの姿に、亜弓は
やはりただ者ではないという思いを強くする。

しかし次のマヤの登場シーンである4場が始まったところで、マヤは
自分に与えられた台本と、実際の舞台とが異なっていることに気づく。

セリフも、話の流れも全く異なる。
改稿前の台本を与えられていたことを知ったマヤと真澄。
しかしもう、セリフを覚えなおす時間はない。
話の流れも何も知らないまま舞台に上がるのは無謀だ、
いつになく動揺し声を荒げる真澄、だがそこへ
舞台上から千絵の名を呼ぶ声が響く。
その声にいざなわれるように、マヤは静かに、舞台上へと向かっていった・・・。

第06巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
マヤの女優としてのキャリア及び実力がどんどん業界内に
広まっていく、地味ですが重要なエピソードが満載の巻です。
舞台あらしとして、業界内で恐れられているということが
今後マヤの演技力の箔づけとなっていきます。

同時にストーリーの大きな柱のひとつである母へのエピソードも進んでいきます。
マヤの母親は、入所したサナトリウムを早くも逃げ出したようです。
脱走癖は昔からあったのでしょうか・・・。真澄永遠の心の十字架事件が起こる前から、
春は逃げるタイプの人だったんだと、誰か教えてあげてほしい・・・・。

マヤはこの頃からどんなにわずかな可能性にもかける少女であることも判明。
千万分の一の可能性は叶いませんでしたが、1%の可能性なら・・・かなえられそうです。

それにしても、第6章「舞台あらし」は長いですね。

マヤが真澄にたてつくシーンで、「アホ」っつってて笑えました。
本巻での見どころはやはり、マヤの人形養成竹ギブス、ここで真澄は
はじめて一応下着姿のマヤを見ますが、
さすがに26歳から見た15歳の女の子の下着姿は、まだ大丈夫(笑)だったみたいです。
でも中学3年生だったら、成長している子はしていますけどね・・・。

関係ないですが、桜小路君の高校は吉祥高等学校というようです。
あと、真澄はまだ若社長と呼ばれています。

ヒースクリフとの絡みでは、「まだあの子は本当の恋を知らない」とかいって
余裕ぶっこいている真澄ですが、
巻末の『夢宴桜』では動揺を表に見せ始め、そろそろ溢れ出すのも時間の
問題・・・・なのか!!
次巻、二人の関係性が大きく動く!!!!のか!!!
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【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第04巻【ネタバレばれ】

2014-09-24 01:31:53 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

--------------------------------------------------
『ガラスの仮面』文庫版第04巻 ※第5章(途中から)※第6章(途中まで)

第5章 あした草

足の不自由な演技を修得するため、マヤは自身の左足を縄で縛り上げた。
そして撮影2時間前からずっと階段の昇り降りを続けている。
本番スタート
縄を解き、入院服に身を包んで動かない足を引きずりながら階段を昇る様は、
もはや病人のそれと変わらなかった。
ほとばしる汗と弾ける笑顔
「はい、おとしもの」
カメラはその時主役の姿ではなくマヤ1人を映し出していた。
名前もないチョイ役のマヤだけを。

母、歌子に紅天女について尋ねる亜弓。
それはとても難しい役、女優として多くの演劇経験を積み、
才能を磨いていったその先にようやくうっすら見えてくるものだと。
さまざまな役に挑戦するため、亜弓は慰問劇で野獣の手下という
いわゆる端役に名乗りをあげた。

エキストラ出演で得たわずかばかりのギャラでつきかげメンバーに
ケーキをふるまうマヤ。
さらに色々な役に挑戦したい意欲がふくらみ、マヤは学校の演劇部の
ドアを叩く。
いまいましく思う部員達はマヤに雑用ばかりさせるが、マヤは全く
厭う様子もなく作業を行う。
そしてようやく回ってきた役は、ただの通行人だった。
セリフも何もなく、ただ舞台の端から端まで歩くだけ、
さぞかし落胆するだろうとほくそ笑む部長にマヤは
「どういった人物ですか」
と尋ねた。
例え単なる通行人であっても、若いのか年寄りか、
お金持ちなのか貧乏なのか、演技の違いが生まれる。
マヤは当たり前のように女優として、通行人になりきろうとしていた。
迎えた星城学園文化部発表会当日、女王役の中村が急に腹痛を訴え舞台に立てなくなってしまった。
そして稽古の過程でセリフを全部覚えていたマヤが急きょ代役を務めることになった。

舞台の上でのマヤはまさに女王だった。
いつものおっちょこちょいで地味なマヤをみじんも感じさせない演技、
セリフだけでなく立ち振る舞いなど全身から威厳がにじみ出ていた。
舞台は無事に終了し、また一つ新しい役に挑戦できたマヤは達成感と
さらにさらに次の舞台を求める気持ちが高まるのだった。

発表会の帰り、アパート前に大都芸能の黒塗りの車が停まっているのを見つけるマヤ。
速水真澄がみずから月影千草に、紅天女の上演権を任せるよう交渉に訪れていたのだ。
大都芸能、いや真澄の父英介とは古くからの因縁がある千草、何があっても大都にだけは譲るつもりはない。
興奮した千草は持病の心臓発作で倒れこんでしまう。
そばで泣きじゃくり真澄を罵倒するマヤ、しかし真澄は冷静に、すぐに医者を呼ぶよう指示をしながら
みずから千草を介抱し、なんとか大事には至らなかった。
「チビちゃん、オンディーヌへの入団を断ったそうだね」
マヤの反抗も素知らぬ顔、マヤをチビちゃん扱いしながら、真澄は冷徹に
つきかげのこと、千草のことを思うならオンディーヌに入った方が金銭的負担が軽くなっていいと
言い放ち帰っていった。
真澄から発された冷酷な言葉にマヤは大いに傷ついた。
しかし同時に真澄の心も傷ついているのだった。

現在千草は落ち着きを取り戻しているが、現状ではすぐにでも入院の必要があるとの
医師の診断、しかし高額な入院費を出せる余裕はなかった。
途方に暮れるメンバー、劇団さえつぶれていなければ・・・。
そこへ例の演劇コンクールで審査対象から外れる原因を作った元団員達に遭遇する。
彼らはオンディーヌの小野寺にそそのかされて工作を行ったことを告白し、謝罪した。
小野寺、そしてその後ろには大都の速水真澄が糸を引いているに違いないと思って疑わないマヤは、
千草の見舞いに訪れた真澄を追い帰し、持ってきた花束を投げつけた。
自分が全国大会の裏工作の首謀者であると疑われたことにショックを受けた真澄だったが、
千草がすぐにでも入院が必要なことを知り、紫のバラの人の名前で千草を入院させる手続きをとった。

よもや紫のバラの人が真澄であると知るはずもないマヤ、
こんなに自分に親身になってくれる自分のファンに、かならずや自分の芝居を見せたいと
改めて舞台への情熱を燃やすのだった。

**

どこか自分が出演できる劇場はないかと街を歩き回って探すが、そう簡単には見つからない。
何軒も何軒も門前払いを食らいながら、それでもマヤは劇場に向かい続けた。
栄進座の座長原田菊子は、月影千草がマヤを紅天女の後継者にと思っていることを知り、興味を抱く。
そしてマヤを起用することにした。
マヤは栄進座『おんな河』の子守役として出演することが決まった。

その頃亜弓は、次の舞台で王子とこじきの一人二役に挑戦していた。
亜弓は長かった髪をばっさり切り落とした。
こじきの役になりきるため全身を汚し、みすぼらしい格好。
これまでの美少女のイメージとはまったく異なるその姿に、周囲は驚きと動揺を隠せない。
ある日、日帝ホテルで開催された演劇関係のパーティーに出席した姫川歌子と亜弓は、
同じく出席していた原田菊子から、マヤが栄進座の次の舞台に立つことを聞く。
紅天女の候補女優、いったいどれほどの実力があるのか興味があると。
マヤが紅天女の候補だと聞いた亜弓の体には、ふつふつとわき立つライバル心があふれていた。
そして、その話を偶然聞いた真澄の心中ではどこか期待と喜びの思いが膨らむのであった。

こじきの演技を修得するため、本当のこじきのように街中でふるまう亜弓。
本番でもそんな亜弓の本格的な演技に、普段の美しい姿を期待していた観客は飲まれてしまう。
しかし亜弓は機転を利かせ、自らの演技力でうまく観客を自分の味方につけ、
舞台は大成功、連日の超満員、TV中継までされるほどの人気となったのだった。

一方マヤも、栄進座の舞台に立つ。
途中、マヤに役を奪われた女優のいやがらせで、小道具の人形の頭が外れるというハプニングが起こるが、
マヤは見事なアドリブでピンチを切り抜けた。
その後も舞台上でどんどん存在感を増し、光り輝くマヤ。
ほんの端役にも関わらず、観客は気づけばマヤの動きを追うようになっていった。
舞台は大成功、かと思われたが座長の原田菊子の表情は冴えなかった。
「あの子は・・・舞台あらし」
ひとたびマヤが舞台に立てば、全体が彼女に巻き込まれる・・・・。

第6章 舞台あらし
普段は地味で目立たない普通の女子中学生のマヤ。しかし舞台に上がれば不思議な魅力を放つ彼女に、
クラスメート達も驚きを隠せない。
入院している千草のもとには、今日も紫のバラが届いていた。
名前も知らないマヤのファン。千草をはじめつきかげメンバーも、誰ともわからないその人に
感謝の気持ちを抱いていた。
そんな千草の所に栄進座の原田菊子が見舞いに訪れた。
原田菊子はマヤの持つ天性の才能に気づき畏れた。彼女が出れば舞台がかすむ。
彼女によって舞台は荒らされる・・・。
原田は自らの栄進座を守るため、マヤを二度と起用することはなかったのだ。
そんな原田に、しかし千草はきっぱりと言い放つ。
「いつか大衆があの子を望むようになる!なによりも大きな大衆の力でささえられる日が来る!」

桜小路がマヤに、アルバイトの話を持ってきてくれた。
知り合いの通う大学の演劇サークルで雑用係を探しているという。
さっそくそのバイトを始めるマヤ。
ある日幼稚園への訪問イベントでのステージ準備を手伝っていると、団員の車が事故渋滞で送れるとの
連絡が入る。
じっとできない子供たちはどんどん騒ぎだし、それをなだめるためにマヤは自ら
白雪姫を演じ、語り始めた。
何人もの役を一人で見事に演じ分けるマヤに、園児達は引き込まれ、かたずをのんでマヤの演技に
見入っていた。
そして遅れて到着した団員をよそに園児たちはマヤに夢中になり、面目をつぶされた団員は
プライドを傷つけられたとマヤのクビを切った。
ショックを受けるマヤ、しかし麗の励ましもあり再び演劇への情熱を燃やすのだった。
そんなマヤのもとに、東洋劇場の人間が訪ねてきた。
東洋劇場新春舞台『嵐ヶ丘』の主役キャサリンの少女時代の役のテストを受けてみないかと
スカウトしに来たのだ。
栄進座の『おんな河』の舞台を観ていた東洋劇場の会長はマヤに興味を持っていた。
テスト当日、緊張して思うような演技ができなかったマヤだったが、その会長の押しにより、
テストに合格、キャサリン役をつかむ。

稽古がスタートしても、なかなかキャサリンの心情がつかみきれないマヤ。
しかし偶然出会った小さな男の子の遊び相手をしているうちに、ヒースクリフ以外に友達のいない
キャサリンがいかにヒースクリフを大事に思い、誰にも渡したくない気持ちでいたか、
その激しい思いを身に付けるのだった。
私には、ヒースクリフしかいない。私から、ヒースクリフを奪わないで!!
見違えるようなマヤの変化に、ヒースクリフの子供時代を演じる真島良は激しく心を揺さぶられた。
由紀という恋人がいながら、気づけばマヤのことを考えてしまう。

大都芸能では、来年10月オープン予定の大都タウンビル10Fの新劇場でのこけら落とし公演に関して
議論が交わされていた。
演目は、ヘレン・ケラーの『奇跡の人』
しかし、三重苦という難役をこなすことのできる役者を見つけるのは大変なことである。
特定の劇団に絞らず実力のある役者を見つけるため、今からめぼしい人材をリストアップするよう
真澄は指示をだした。
部下から最有力候補として姫川亜弓の名を出された真澄、しかしその亜弓が恐れる少女がいることを
伝え、優秀な候補を引き続き探すよう部下を促した。
さてそんな少女はいったいどこに・・・。

その頃、横浜の小さな中華料理屋では、マヤの母、春が結核を患っていた。
飲食店の従業員が結核など、即クビになってしまう。
しかし働かなければ生きていけない、いったいわが子マヤはどこで何をしているのだろう。
女優になりたいだなんて、おまえみたいなつまらない娘が・・・
本当に馬鹿な娘・・・・

第05巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
「ほんに子守も楽じゃねえ」の名言炸裂の「おんな河」そして舞台あらし・マヤの登場です。
何をやっても真澄が憎い、が確立しました。
演劇コンクールの裏工作は完全に小野寺の仕業なのに、真澄も噛んでることにされて、
ま、普段の真澄だったらそういうことも平気でやっていたのでしょうから
疑われても致し方ない、という気持ちだったかどうかは定かではありません。
しかし、理不尽にマヤから花を投げつけられてほっぺたに傷を負ったのに、
そのすぐ後に医者から千草の様子を聞いて即入院手続きを取るなんて、
改めて読み返してその行動力と心の広さに脱帽モノです。

『ジーナ・・・』以降、マヤの舞台は直接見ていないと思いますが、
その代り直接顔を合わせ、話をする機会も増えているので、
マヤの素の顔を見れば見るほど、惹かれちゃってるって感じでしょうか。
というより、わざわざ顔を見るために行く口実作っているという気もする。

いやいや、本人気づいていないだけで完全にもう真澄、マヤのこと好きですよ。

そして巻末ではのちに二人の最大の障壁となるマヤの母問題が少しずつ膨れています。
いなくなってもまだ“つまらない子”と言っちゃってる母に、
私はやっぱり感情移入できません。。。
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