2024年4月20日(土)
> 1871年(明治四年)4月20日、日本の郵便事業が開始された。それまでの通信手段は飛脚による書状の配達だったが、これを国営化し、より安くより安全確実なサービスをしようと考えたのが、近代郵便の創始者、前島密である。
きっかけは、官吏であった前島のもとに回覧されてきた、東京~京都間を行き来する間文書の嘘運送費についての書類だったという。その金額の大きさに驚いた前島は、数か月にわたって飛脚に支払う費用を調査し、月額約1500両にも上ることを突き止めた。
前島は、これだけの金額を使えば官民共用の文章を毎日定期的に配達できるのではないかと思い立ち、早速政府内に計ったところ、賛同の意を得て具体的にその計画をまとめた。飛脚に支払う金額を知ってからわずか二十日余りで、郵便創業の具体案を太政官に建議したという。1870年6月2日のことだった。
六月末、前島は折からイギリスに派遣されることになっていた政府高官と共にイギリスの郵便制度の視察に出立する。各地で郵便制度の視察をした前島が、たくさんのアイディアと共に帰国したのは翌年8月15日だった。ちなみに、郵便事業が始まった4月20日は「郵政記念日」とされている。
晴山陽一『365日物語』(創英社/三省堂書店)P.116
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/af/d308cb149374ebddbfce61f9b0aab14c.jpg)
前島 密
1835年2月4日〈天保6年1月7日〉 - 1919年〈大正8年〉4月27日)
これは嬉しいこと、ちょうど1月3日に門井慶喜氏の連載小説『ゆうびんの父』について書いたところだった。
『坊主が通夜に行くときは』
僕は愛媛新聞で読んだのだが、前島密は下記の通り越後の出身であり、まずは新潟日報に連載され地元で記念講演会も行われた。2023年6月28日で連載を終えたとある。少し遅れて重なりながら、愛媛新聞や四国新聞(香川)にも掲載されたというわけだ。
ともかくこれは読んでみたく、書籍化が待ち遠しい…と書いたところ、ちょうど4月17日付けで発売されている。さぞ面白く書かれているに違いないが、できれば郵便制度の成立によって生業を失ったと思われる飛脚たちや元締めらが、その後どのように新時代に適応していったかも扱っていてほしいものである。
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