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imaginary possibilities

Living Is Difficult with Eyes Opened

アイルランドの事件簿(2011/ジョン・マイケル・マクドノー)

2012-05-30 23:29:44 | 2012 映画祭(その他)

原題:THE GUARD (IMDb) DVD邦題『ザ・ガード/西部の相棒

 

「EUフィルムデーズ2012」か・・・。やっぱり「デーズ」はないよな(笑)

でも、さすが「国立(national)」らしいっちゃぁらしい。「らしい」といえば・・・

500円という観賞料金やキャンパスメンバーズという制度といった好い「ならでは」と、

定員入替なのに整理番号付で発券せずに軍隊的整列強いられる厭な「ならでは」があり、

その両極がせめぎう(私の中では後者を忌避する気持がいつもは勝り気味な)

「億劫な劇場」という位置づけの、東京国立近代美術館フィルムセンター。

 

この特集上映も(企画としては)今回で10回目、

フィルムセンターでの開催としては6回目を数えるのだとか。

毎年4~5月は何かと日々の生活のペースを掴むことで精一杯だったり、

我が花粉症のピークが5月末~6月初旬だったりということもあり、

極私的事情として通い難い特集の筆頭だったりもする。

だから、毎年数本程度しか観られないのが実際。

 

ところが、今年は出だしから頑張っちゃいました。

「デーズ」の2日目に2本も観てきちゃいました。

 

昨年末からの映画賞なんかでしばしば目にしていた『アイルランドの事件簿』が上映される

とあっては、万難排して駆けつけねばと。というか、万難排さずとも運よく完全オフだったし。

 

タイトルからも判るように(?)、本作はコッテコテのビバ!アイルランド体質な映画。

じゃぁ、なんでビバ![イタリア語]なんだよ・・・

まぁ、そう堅いことは言わないで。まぁ、とにかく愛流ランドな映画なわけです。

俺たちの国サイコーな空気が充満している感じは、その所以をろくに解すことのできぬ

由縁なき私にも伝わってくるほどのご当地感あふるるローカリズム。

アイルランド版アカデミー賞で作品賞はじめ監督賞・脚本賞・助演女優賞を獲得。

本作を観た人なら「え?主演男優賞は獲ってないの!?」とお思いだろうが、

その主演男優賞はマイケル・ファスベンダー@SHAME!イイネ!(※)

 

本作で強烈な個性を発揮している地元警官を演じるブレンダン・グリーソンは、

フィルモを見る限りこれまで何度もスクリーンで会ってるはずなのだが、

ばっちり認識したのは今回が初めてかも。しかし、その存在感はサイコーですよ。

ちなみに、彼は前述のアイルランド版アカデミー賞で受賞は逃しているものの、

本作同様に同賞で最多ノミネートとなり4部門を受賞した『アルバート・ノッブス』にも出演。

(そちらはイギリスとアイルランドの共同制作。監督はロドリゴ・ガルシア。)

ブレンダンが昨年のアイルランド映画界における「顔」であったことは間違いなさそう。

そのブレンダン・グリーソンとのナイスな凸凹コンビのお相手はドン・チードルで、

彼は本作のエグゼクティヴ・プロデューサーまで務めている。

他にも、リアム・カニングハムやマーク・ストロング(ジム・プリドー!)

といった馴染の顔が度々チラつくのも安心二重丸。

 

さすがアイルランドだけあって、

ドロップキック・マーフィーズっぽい音楽(正しくは逆ですが)が冒頭から流れ、

気分はすっかりアイリッシュ。

とはいえ、ネタの半分もわかっちゃいないんじゃなかろーかレベルの地域密着型は、

ともすると「ひたすら置いてけ堀」状態に陥りそうなものなのだけど、

場内にいたネイティヴ(?)観客の爆笑効果もあったからか、

意味がわからなくとも《愉快》な気分はなぜか味わえる。

おそらく登場人物一人ひとりの「力技」的オーラが物を言っているのだろう。

それらを手際よく整理してバディ感やらウエスタン風味やらで巧く塗し、

90分強で一気にまとめた手腕は、長篇一作目の新人監督にしては出来すぎ職人技。

ただ、その巧緻さはダイナミックさにやや欠けて、前半の奔放さが随分と

収まりのいい着地点を見つけちまいそうな終盤に一抹の寂しさも。

ラストの「含み」もすこし取ってつけた感が否めない気もしたし。

 

とはいえ、B級臭を漂わせたバッチリA級づくりな映画が好きな者どもには大好物!だろうし、

ディスり愛たまんない!というアンビバレント野郎にはもってこいの逸品。

 

◆アイルランドの田舎町にやってきたFBIの麻薬捜査官(ドン・チードル)が

   FBIの人間だと名乗ると必ず町の人から「行動分析課?(BAU)」か尋ねられ、

   「違う」と返答すると皆がことごとくガッカリ・・・。

   『クリミナル・マインド』が向こうでも大人気だったりするのだろうか。

 

◆ボイル(ブレンダン・グリーソン)は、FBI麻薬捜査官(ドン・チードルから

   「子供の写真見る?」と訊かれて(といっても、どう考えても見せる必至なつもり)

   「見たくない」とキッパリ。「どうせ、みんな同じ顔。じゃなけけりゃ、よっぽどのブサイク」

   いやぁ、なるほど(といっては不味い?)な明察です。少なくとも単身者にとっては(笑)

 

◆本作に出てくるパトカーには「GARDA」の文字があり、

   ずっと「何なんだろう・・・」と思っていたのだが、

   どうやらゲール語で「POLICE(警察)」の意味らしい。

   「警官」を表すときも「GARDA」か「GUARD」が用いられるらしく

   つまり原題の「THE GUARD」とはまさに「警官」そのものを表しているのだ。

   ちなみに、イタリアのタイトルが可愛い(笑)>『Un poliziotto da happy hour』

 

 

※アイルランド版アカデミー賞の余談。

   シアーシャ・ローナンが凄いことになっている。

   『つぐない』で2008年に受賞して以来、5年連続で受賞をしているのだよ。

   だって、『ラブリー・ボーン』ですら主演女優賞を獲得しちゃってるって、

   どんだけ国民的女優なんだよ。

   彼女の父親がアイルランド人(で俳優)らしく、

   生まれはニューヨークながら、3歳でアイルランドに移住して田舎町で育ったようだ。

   テレビの端役からキャリアをスタートし、映画デビューはエイミー・ヘッカリング(!)の

   『I Could Never Be Your Woman』だったとか。(日本未公開のようだが観たい!)

   ちなみに、エイミーの新作は今年公開予定の『Vamps』。

   タイトルからも察しがつくように、ヴァンパイア物のようだ(ますます日本公開無理そう)。

   で、主演がなんとアリシア・シルヴァーストーンで、『クルーレス』コンビ復活!

 


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