◇それはもう楽しみ過ぎて、
本作をループ観賞するためにフリーパスの取得時期を遅らせたほど!
な割りに、実際に観たらループ観賞ってほど気持ちが盛り上がることもなく、
正直観てる間は耐えがたい冗長さを感じもしたものの、
見終わってアレコレ考えはじめると・・・
そもそも私の場合、観賞中に必ず
「テーマ探し」というか「テーマ設定」を脳に課しがちな性向あり。
あくまでそれは「自分なり」に腑に落ちるものであれば好いのだけれど、
そうした《ストンッ!》って瞬間が訪れないと全然映画に入っていけないし、
まったく「読む」ことが始められなかったり。
ま、すべては自己満足自己完結な次元の話ではありますが。
本作の場合、それが観ながら全然起こってこなく、苛々苛々・・・
でも、最後の最後でいろんなことが自分の中でようやく繋がり始め・・・
というわけで、ネタバレ全開で(というほど筋に触れぬ=無視するかもしれないが)
勝手な「読み」を敷衍しながら反芻してみます。
本作に従来のタイムトラベルものと異なる特長があるとすれば、
それは即物的なSFから逃れ、唯心論的世界観で展開しようとした点にあると思う。
低予算という現実的なハンデをアイディアで乗り越える、
模範的インディペンデント・スピリット。
つまり、この物語で重要なのは(もっと強調されても好いと思うんだけど)、
とにかく「記憶」。
未来を変えるため、過去にやってくる未来のジョー(ブルース・ウィリス)。
彼は過去の記憶を手がかりに動く。その記憶への依存は呪縛とも思える執拗さ。
そして、彼は「残したい記憶(たとえば、妻との出会い)」や
「存続させたい記憶(たとえば、妻との生活)」のために、
「消したい記憶(妻の殺人およびその因子)」の元を絶とうとする。
しかし、「消したい記憶」の元であるかどうかは、撃ってみないとわからない。
成就したところで成就を感知するための材料(記憶)も消える。
当然、彼と対照的な存在として配置されているのが
現在のジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)なわけだけれども、
あまり顕著には描かれていない(気がする)。
「同一人物」でもあるので、むしろそれが自然かもしれないが。
現在のジョーもやはり過去の記憶が現在を呪縛している側面もある。
というより、過去が現在の彼を形成したことは「身の上話」から明らかだ。
しかし、彼がラストでとる行動は、未来のジョーとは極めて対照的に、
記憶の昇華が成し遂げられている。
過去が現在を押さえつけるのではなく、現在(の自己)が過去を未来に照射する。
そして、そこに見えた未来を変えるため、現在の自分が現在の自分に働きかける。
「過去に根づいたまま不動な記憶」(あの切り株はそうした〈過去〉のメタファー?)
という呪縛の側面から解放されて、根こそぎ抜いた記憶を未来に移植する。
そして、それを成し遂げられるのは、〈現在〉の自分しかいない。
と同時に、未来のジョーが過去にやってくる際の設定が
「〈現在〉の移動(転移)」のように映るのも、
もしかしたら「人間の意識にある(認識できる)のは〈現在〉だけ」という教訓か?
〈過去〉の記憶を宿しつつも、〈現在〉を起点として〈未来〉を選びとる。
真の「前向き」を提示しようとした肯定的な語り口に思える。(そこが後から好きになった)
記憶がテーマということは必然、物質世界と精神世界の対比が際立ってくる。
その点で「ラッパ銃」がラストで重要な役割を果たしているように思う。
ほんの僅かな射程距離の「ラッパ銃」は、外部へ働きかけられる範囲は狭い。
一人の人間が直接働きかけられる物理的射程距離の卑小さを象徴してる。
時間的にも、世界全体に比すればほんの一瞬の存在である一人の人間。
直接影響を与えられる範囲など、たかがしれている。
しかし、精神世界においてはどうであろうか。
現在のジョーの最後の一発が直接物理的に与えた衝撃は、
現象界での事実を遙かに凌ぐ波紋となって、シドの精神世界に広がり続けることだろう。
そして、シドの〈未来〉が書きかえられるということは・・・
また、そういった発想に全く及ばぬ未来のジョーが手にしている銃の破壊力は、
自らの非力さから来る内省の機会を奪い、精神世界での対峙へは導かない。
未来のレインメーカーを物理的に消去することしか頭になかったのもそのせいだろう。
現在のジョーがシドの精神に対して働きかけたように、闇の力を産み出す源(精神)を
絶つ(ということは、必ずしも物質的消去[身体の破壊=生命の打倒]ではない)
という選択肢だってあったはずなのだ。それを「思いつかない」のも反面教師なのだろう。
◇そんな「こじつけ」であれこれ思い返すと、急に面白くなって来たりもした。
再挑戦してみたら、一瞬一瞬が活き活きと迫ってきたりする?
とはいえ、やはりこうした設定というかジャンルにしてはモタつき過ぎな印象で、
これは90分台にまとめてこそな題材というかジャンルだと私は思う。
また、そうやって少々雑さというスピードでグイグイ引っ張るか、
もしくはもっと教訓めいた伏線を丁寧に序盤からばらまくかして欲しかったかも。
まぁ、私が同時進行的に把捉できなかっただけかもしれないけれど。
◇「looper」には「シャクトリムシ」の意味もあるらしい。
「loop」が〈輪〉であるのに対し、「looper」が〈輪〉に(なりそうで)ならない虫を表す。
どんなに接近しようとも、決してくっつかない時間。過去、現在、そして未来。
あの頃の未来に僕らは立っているのかな。みたいな。