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Living Is Difficult with Eyes Opened

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012(0)

2012-07-10 23:59:05 | 2012 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭

 

久しぶりの更新。約2週間ぶり、ということは半月ぶりということか。

4月以降、思うように映画の感想を書ける時間がとれぬまま、

既に夏も本番を迎えようとしつつある。

例年、この時期は仕事も生活もペースがつかめず、

映画を観ることもままならない。ましてや・・・な状態だったのだが、

今年は、映画はそこそこバッチリ観てる(笑)

そのかわり、それをじっくり消化する時間はとれていない。

7月になったことだし、上半期ベストと称して総括がてらダラダラ書こうと思ったが、

まぁそう後ろ向きでいるよりも、いっそ前向きにいきましょー!ってことで(ウソ)、

今週末から開催されるSKIPシティDシネマ映画祭2012のラインナップでも見てみるか、

って趣向です。というか、自分が観る作品を選ぶに際していろいろ調べてたところ、

ついでだから記事にしちゃえってだけのことなのですが。実際のところは。

 

昨年はオープニングで

ヌリ・ビルゲ・ジェイランの『昔々、アナトリアで』が上映されるという贅沢な幕開けだったが、

今年はコンペ以外に目立った目玉はなく(あくまで個人的な印象では、だが)、

その分コンペで面白そうな作品をできるだけ観てみようかと。

コンペは、デジタル撮影された作品を対象に世界から集まった長編を審査する部門と、

国内の若手映像作家による短編を審査する部門がある。

前者を中心に(限定して?)観賞作品を選定しようと思い、

長編コンペディション部門のラインナップを眺めつつ諸々調べてみたりした。

 

まず、「情報」的に注目というか、作品の質が高そうな作品を3本。

 

沈黙の歌(2012年/チェン・ジュオ) Song of Silence

今年の香港国際映画祭で、ヤングコンペティション部門のグランプリを受賞した作品。

同映画祭の同部門がどのような質・傾向だかはよくわからないが、

今年は『恋に至る病』(木村承子)が審査員賞を獲っていたりもするらしい。

監督は初長編とのことだが、建築を学んだりアートの世界を広く渡り歩いたみたいだし、

予告編を観る限りなかなか好みそうなので、是非観てみたいと思う。

中国のインディペンデント映画は今、本当に面白いからね。

 

二番目の妻(2012/ウムト・ダグ) Kuma

今年のベルリン国際映画祭パノラマ部門で上映されている。

この監督も長編一作目だが、実力派ベテランのプロデューサーがバックアップしている。

ミヒャエル・ハネケの作品を手がけてきた(最新作『LOVE』も)ファイト・ハイドゥシュカと、

『4分間のピアニスト』などでクリス・クラウスと組んだりしているHeinrich Mis。

本作は、いくつかの映画祭で既に賞を与えられている模様。

ウムト監督はウィーン・フィルムアカデミー出身で、ハネケの指導を受けてようだ。

(『ルルドの泉で』のジェシカ・ハウスナーも同アカデミーでハネケに師事。)

プロデューサー&師匠の影響によるハネケ・テイストと、

クルド人移民の家族に産まれたという出自、本作で描かれるトルコ系家族のイスラム世界、

どんなケミストリーが起こっているか、非常に楽しみ。

 

 

レストレーション~修復~(2011/ヨッシ・マドモニー) Restoration

私の最も嫌いなタイプの邦題だが(笑)、まぁそれはどうでもいい。

本作も既に数々の受賞歴があるようで、サンダンス映画祭でも脚本賞を受賞している。

地元イスラエルのアカデミー賞では10部門以上でノミネート。(受賞は音楽のみ)

エルサレム映画祭でもグランプリ(たぶん)を受賞しているようで、

数年前の同映画祭でグランプリを獲ったのが、

TIFFでもグランプリを獲得した『僕の心の奥の文法』だったりすることもあり、期待。

『僕の心の~』はTIFFグランプリなのに劇場公開も何もないまま2年近くが経とうとしてる。

個人的にも「グランプリ」だった(コンペ半分くらいしか観てなかったけど)一作だっただけに、

何かしらの形で紹介される日を心待ちにしているのだが・・・。

ちなみに、本作は昨年のカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭のコンペにも出品されており、

そちらでもグランプリを獲得。ちなみに、今年の同映画祭コンペには日本映画も参加。

高橋恵子主演の『カミハテ商店』(今秋ユーロスペース公開予定)という作品。

 

といった既に一定の評価を得ている作品はいずれも地味であるからか、

他の作品には明るめだったりポピュラリティのあるものが選ばれている気もする。

 

コンペのなかで最もポップだと思われるのが、

ワイルド・ビル(2011/デクスター・フレッチャー) Wild Bill

監督名を見て「!」となる貴方はなかなかのUKフィルム通。

(私は顔見るまで気づけませんでした。)

そう、『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』のあのメンバーであり、

最近では『キック・アス』にも出演。『三銃士』ではダルタニアンの父親役でした。

本作が初監督作のようですが、早くも次作が決まっているようで、

そちらはマーク・ストロング主演の模様。

本作には、ジェイソン・フレミングも(チラッと?)出演したりしているみたい。

主要キャストの一人でもあるサミー・ウィリアムスは『アタック・ザ・ブロック』にも出てるみたい。

あと、英国TVドラマ『Misfits』でオタクキャラ演じるイワン・リオンも正反対キャラで出演。

昨年コンペの『タッカーとデイル~』枠的扱いの一作かな。好評なら劇場公開ありそう。

 

昨年のコンペにも参加していたトルコ映画。今年も参加。

我が子、ジャン(2011/ラシト・チェリケゼル) Can

こちらもサンダンス映画祭で今年、ワールドシネマ部門の審査員特別賞を受賞している。

(今年のIDCF[SKIP~映画祭の略称]コンペはサンダンス絡みが結構多いみたい)

トルコ映画界が新鋭セイフィ・テオマン監督を今年5月に交通事故で喪った悲しみは

かなりのものだったに違いないが、後に続く新たな才能への期待も大きいだろう。

実は、テオマン監督作は観たことがないので、何処かで観られる機会をつくって欲しい。

何しろ、台湾ニューウェイヴに最も影響を受けたというのだから。

 

他はいまのところ個人的注目は低いのだが、『死と乙女という名のダンス』には、

『星の旅人たち』(好き!)でタバコやめられないサラ役のデボラ・カーラ・アンガーが出演。

『真実の恋』は予告観ると、邦題やチラシの写真とかなり印象違うけど、実際は!?

『旅の始まり』はもともとオランダで放映されたテレビ映画のようだ。

『ノノ』は予告を観る限り、ファミリー層へのサービス的チョイスなのかなぁ~なんて。

なにしろ、この映画祭は超絶アットホームな雰囲気ですからね。

郷土愛あふれる(みなぎる!?)川口市民に支えられてる感は其処此処に。

独特の居心地の好さが感じられもする映画祭。

 

ちなみに、日本映画も3作ほどエントリーされているのだが、

予告を観る限りでは・・・

 

あと、いよいよ存続に対する危惧も感じてしまうのも正直なところ。

というのは、過去受賞作を見てみると・・・

ロネ・シェルフィグ、ミランダ・ジュライ、スサンネ・ビア、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン

といった錚々たる顔ぶれから、

レオン・ダイが監督作で参加したり、

『ジョニー・マッド・ドッグ』や『やがて来る者』といった国際的評価も高い作品も参加。

昨年も、『シンプル・シモン』や『キニアルワンダ』といった国際的にも評価される作品が

散見できもしたけれど、やはり少しずつ小粒化してきている気がしないでもない。

ただ、それはむしろより「発見」や「発掘」が潜在する面白さにつながるかもしれない。

 

でも、運営資金が集まっているのかという心配も。

というのも、最優秀作品賞に贈られる賞金が、

第5回まで1,000万円だったのに対して(それはそれで随分高額だけど)、

第6回が600万円、第7回が300万円、そして第8回(昨年)はついに150万円に。

 

そして当然、審査委員の面子もわかりやすく・・・

監督や役者だけの審査員団も微妙だけど、そうした者が一人もいないっていうのも・・・

過去の審査員がなかなか豪華だっただけに、余計・・・

(過去にはメイベル・チャンやホン・サンスなんかも審査員やってたり)

 

とはいえ、このイベントは市民ボランティアなどによってかなり支えられているようだし、

そうして作り上げられている映画祭の雰囲気は前述の通り、他では得がたいもの。

いち早く「デジタルシネマ」という括りで発掘を試みた先進性を忘れずに、

新たな映画祭づくりに向けて飛躍していって欲しいと思う。

 

というわけで、来週は川口にぶらりと気ままに足を運べたらいいな。

川口で会いましょう(笑)

 


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