エズラ・ボーゲル先生の下でのソフト・パワー勉強会を通じて、あるいはケネディスクールでの日々の生活の中で、日本を発信すること重要性を実感する毎日ですが、それならば、
「まずは自分達が出来ることから始めよう!」
ということで昨年末よりスタートしたケネディスクール日本人会(Japan Caucus)の取組みがあります。
題して「Discover Japan」
ケネディスクール日本人会のウェブサイト、そして今年のKorea-Japan Tripに参加予定のケネディスクールの学生約50名へ向けて定期的に発信するメールマガジン(News Letter)という二つの媒体を使って、僕達日本人学生一人ひとりが、自らの経験や想いを織り交ぜつつ、「こだわり」のある日本の姿について紹介していきます。
これまで紹介したテーマは京都、新幹線、日本の長寿の秘訣、日本酒、安部政権の外交政策、松坂大輔投手、日本人の宗教観などなど硬軟様々。半分お笑いのような自己紹介文と併せて、ケネディスクールで学ぶ世界中から集まった学生達に日本の姿を紹介しています。
先日僕も「Discover Japan」を通じて記事を配信しました。その中でスポットライトを当てた僕の中での「日本のこだわり」は・・・
広島!ヒロシマ!
仕事の関係でほんの一年間住んだことがあるだけでしたが、僕にとって広島は、自分のアイデンティティの中で確固として光を放つ存在です。僕は外国生まれで日本の中に「ホームタウン」と言える町がないこともあり、勝手に広島を僕の「自称ホームタウン」と位置付けてしまっています!(生粋の広島人の皆さん、ゴメンナサイ・・・)、
広島の何にそれ程惹きつけられたのか・・・
川と緑に包まれた街の雰囲気、歴史、広島カープ、宮島、お好み焼き、牡蠣、そして何事にも一生懸命で熱い、そして暖かい人々・・・挙げているときりがないですが、要するに全てです。
こんなに魅力が満載の広島の紹介文を「5分で読める原稿」に収めるのは至難の業でしたが、「Two symbols forming the shape and the soul of Today’s Hiroshima 」(今日の広島の姿と心を形作る二つのシンボル)というテーマの中でピックアップした話題は、“ひろでん”と原爆死没者慰霊碑に刻まれたメッセージ。
僕が毎日通勤で揺られていた“ひろでん”。1912年に開設されて以来、広島の人々の足として活躍してきたこの路面電車は、1945年8月6日の朝も、今と同じように通勤・通学のお客さんを乗せて広島の町を走っていました。そして人々から全てを奪ったピカドン。苦しみと絶望のどん底に臥していた人々に希望の光を運んできたのもまた“ひろでん”でした。何と、原爆投下の3日後には電車が動き出し、負傷者の救助度に活躍したそうです。その後、広島が放射能に支配された死の町から活力溢れる中国地方最大の都市に復興するまで走り続けてきた、そして今も元気よく町を縦横に駆ける“ひろでん”は、僕の中では広島のシンボルです。
もう一つ、世界に発信したい広島が体現する価値。それが、原爆死没者慰霊碑に刻まれた「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」のメッセージ。
人類最初の被爆地として、その悲劇が再びこの世界で繰り返されないために、誰かを責めるのではなく、戦争そのものを、そして自分達一人ひとりが犯してしまった過ちを深く見つめ続ける。
一方で世界に目を向ければ、「私の家族を殺したあいつらは決して許せない」という憎悪と報復の連鎖が止まらないパレスチナを初めとする多数の紛争地域があります。また、「あいつが持っているから俺も持つ」というパワーバランスの発想に立った、核の拡散の問題も止まるところを知りません。
こうした人類が抱える困難な課題に対峙する普遍的な価値が、あの碑には刻まれているように思うのです。
Korea-Japan Tripまで後1ヶ月。ケネディスクールで出会った素晴らしい仲間達と、「マイホームタウン、広島」の土を再び踏む日が来るのが待ち遠しくてなりません。
時に、3月30日(金)にはレセプションを開くことになっておりますので、その場でSatsukiさんと直接お話できるかもしれませんね。楽しみにしています!