遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

まあ、仕事あるので

2019-08-21 22:44:55 | 読書
今日は休日出勤分の代休を取りました。朝はゆっくり起きて、眼科の病院に行ってきました。結膜炎です。体のあちこちがへたってて抵抗力無くなってます。もうしんどい。眼科へ行って飯食って、そんでから部屋でゴロゴロしてました。そんな体力でしたが、頑張って帰省してきた時の写真を『いでんや』にまとめました。 
gooニュース
21日(水)の天気引き続き大気が不安定、急な雨・雷に注意を
22日も全国的に大気不安定 秋雨前線と台風の動向は (tenki.jp)
今日発生した台風11号は水蒸気を前線に供給したりしてますが、直撃はなさそうです。週間天気を見ると土日の天気予報が好転していますが、どうにも南風が強そうなのでパラグライダーで遊ぶのはなさそうだな・・・まあ、仕事あるのでどーでもいいんですが。

さて、最近読了した本「ドナルド・キーン自伝」。
コロンビア大・ケンブリッジ大での大学教育編、米国海軍日本語担当編、戦後日本文壇との交流編てな感じです。米国陸軍は日本語担当を日系人兵士にさせていたようですが、海軍は日系ではない米国人語学エリートを使っていたらしいです。拠点はハワイ州ホノルル。キーンさんが初任務で戦地に行く際、船の行き先は言われておらず、てっきりどこかの南の島だと思ってたら、アッツ島という北の島だったそうで、えらい寒い思いしたらしいです。彼がその島に着いた時は日本軍は撤退した後だったらしいんですが、もちろんそれを確認するために情報を集めに上陸するのが彼のお仕事。上陸用舟艇の前のスラップが外れて氷の海に投げ出されたのが彼が最初に味わった「戦争の味」だったそうです。次に連れてかれたキスカ島では、日本軍が撤退するときに建物にペスト患者収容所の標識を落書きして去ってて、そのために彼らはサンフランシスコに連絡してペストの血清を送ってもらわねばならなくなり、数日間は体のどこかに斑点が出てこないか不安な日々を過ごしたらしいです。キスカ島からハワイに戻ると、次がとうとう沖縄への派遣。命がけでした。
〈以下引用〉
沖縄上陸前、一度だけ死と間近に遭遇した。ある朝早く、デッキに立っていた私は、空に黒い点のようなものを見つけた。それは、ぐんぐん大きくなっていくように見えた。しばらくして、それが神風特攻機であることに気づいた。明らかに特攻機は、船団の中で最大の輸送船である私の船を狙っていた。特攻機を見つめたまま、私は動けなかった。急降下してきた特攻機が隣の船のマストのてっぺんにぶつかり、水中に突っ込んでいなかったら、たぶん私は殺されていただろう。操縦士のわずかな計算ミスが、私の命を救ったのだった。


彼が沖縄上陸した時には全く抵抗がなく浜には複数の民間人がいただけ、その中に小さな子供を連れている女性がいて、彼女が全く危険に気付いてない様子だったので、日本語担当の彼が子供を抱えて負傷者を収容する囲いの方へ連れて行ったそうなんですが、彼女が何を言ってるのか彼にはさっぱりわからなかったし、彼の日本語も伝わらなかったそうです。昭和初期の琉球弁は日本語をコロンビア大で学んだ人には無理だったんだろうな。 洞窟に逃げ込んだ現地の人々との接触についても書かれていますが、もうどうしていいかわからずオロオロしていたというのが彼の観察です。
まだまだありますが、まあ本を買って読んでください。彼にとっては軍から言われたミッションはあまりやりがいを混じるようなものではなく、兵士が残していった「日記」にすごく興味を持ったそうです。日本人は古くから上から下までよく日記を書く民族らしい。戦地から故郷に送られる手紙は軍の検閲があるので本当のことは書かれていない。日本兵の本音が知れるのが「日記」だそうだ。彼の日本人の日記に対する造詣は「百代の過客 日記にみる日本人」を読むとよくわかります。
東日本大震災後、彼は日本に帰化します。彼の日本人名は「キーン ドナルド」。「鬼怒鳴門」は彼の雅号です。まあ、呼び方はどうあれキーン先生の日本文学界を世界に広げた貢献は日本にとって「恩人」と言っていいでしょう。どんな分野にしても高等教育機関を充実させることがこういった恩人を増やす努力に繋がると思います。


本日のお酒:SUNTORY TOKYO CRAFT KOLSCH STYLE 2019 + 立山 特別本醸造 + 大分麦焼酎 IICHIKO SUPER 


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