天網恢恢疎にして漏らさず

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【映画】「シスター 夏のわかれ道」@64作目

2022年12月01日 | 映画感想
「シスター 夏のわかれ道」

中国映画。香港映画や台湾映画は結構観る機会が多いんだけど、大陸制作の作品って実はあんまり目にする機会がないかもしれない。そのせいもあって本作に出演している役者さんは誰一人見覚えがありませんでした&監督さんのお名前にも記憶がありません。すんまそん。

あらすじ
看護師として働きながら、医者になるため大学院進学を目指すアン・ラン(チャン・ツィフォン)。ある日、長らく疎遠だった両親が交通事故で亡くなり、会ったこともない6歳の弟ズーハン(ダレン・キム)が突如現れる。姉だからという理由で親戚から養育を押し付けられた彼女は、弟を養子に出すことにする。養子先が見つかるまで面倒を見ることになり、わがまま放題のズーハンに振り回されるアン・ランだったが、徐々に幼い弟を思う感情が芽生え、彼女の決意は揺らぎだす。(Yahoo!Movieから丸パク)

↑上のあらすじは物凄い要約してくれているんだけど、映画観てると冒頭で事故があってどうやら主人公の両親が亡くなったらしい…けど、どうも親子関係が今一つ希薄な感じ?みたいな違和感から始まって、その後↑あらすじの展開になって歳の離れた弟(少なくとも両親の葬式当日まで一度も顔を合わせた事もなかったらしい)を押し付けられて~という流れになっていました。なんだか主人公と両親には確執?でもあったのかな?みたいに思いながら観ていましたが、話が進むにつれてどういういきさつだったのかは分かってきます。

本作は話の流れ的には「ありがちな(お涙頂戴系)ヒューマンドラマ」なんですが、その話の流れの中のそこかしこに「中国の社会問題(の闇)」が噴出していましたね。

中国は長らく「一人っ子政策」という施策を行っており(2014年に廃止)、1夫婦に子供は1人しか産んではいけないという政策を取っていました。
それで生まれた子供が女の子だと跡継ぎがいなくなってしまうという事で…昭和の日本でもよくあった話ですが「跡継ぎ長男至上主義」ってヤツですね、なんとしても男の子が欲しい夫婦が養子を取ったり2人目の子供を何とか作ろうと政府に虚偽の嘆願したり色々工夫していたようです。
それで、主人公のアン・ラン(♀)もその犠牲に遭って「どうしても跡継ぎ男児が欲しい」両親から疎まれて「1人目の子供が障害児だったから2人目の子供を作る事を了承して欲しい」というウソの嘆願をされたり、大学進学も努力家で成績も優秀だったアン・ランは北京の医大(医学部)に願書を出すものの、両親の「女は実家から通える大学に行って家族の為に奉仕しろ」というナチュラル差別を食らって勝手に願書を地元の大学の看護科に変更させられたりと踏んだり蹴ったりな人生を送って来ています。

それで、多分だけど大学進学を機に家を出たアン・ランは親に学費も頼らず全て自分で働いて学費も生活費も賄って来て、そして看護師にはなれたもののやっぱり医師になりたいという希望が捨てられない彼女は更に努力を重ね、ようやく北京の医大の大学院への進学(大学院へ進んで資格を取れば多分医師になれるのであろうと)を目前に控えたトコロで本作の冒頭の事故が起こって歳の離れた弟の面倒を押し付けられて「コレどーすんだよクソが💢」という…

他にも、主人公の伯母も「男尊女卑差別」で自分の人生の殆どを「ファミリー」という名の牢獄に繋がれて生きていたり、主人公が勤める病院の産婦人科患者も多分妊娠中毒症?で命の危険がありながらも「自分の命よりもお腹の中の男児の方が大切」という選択を強いられて転院していく様子等を見せています。

まあ…でもさ、何て言うのかな…見てて思ったのが「本作に登場する人全員なんだかんだで自分勝手よなw」ですかね。
「家族」という名の印籠を振りかざしてなんでもかんでも縛り付けようとしたり厄介事を押し付けたり。はたまたその「家族」の呪縛から逃れる為に非道な選択も辞さなかったり。
コレはかつての日本、いや今でも地域によっては同じような事が繰り広げられているだろうと思いますが、本作はそんな「家長制度の膿」をヒューマンドラマ仕立てでオブラートに包んでちょっといい話風味に味付けした社会風刺作品だったなぁ~と思いましたね。←自分も相当ひねくれてるタチなんでw

主人公の役者さん(全く知らん)も上手かったけど…本作子役のガキンチョの演技が激的に上手かったなぁ~!
なんとなくだけど主人公の役者さんと顔付きもちょっと似てるんだよね。歳の離れた姉弟という設定だから敢えて似た顔付きの子役を探したのかな?
そして…本作は映画ラストで「結局何の解決にもなっていない」シーンで終わります。ヒューマンドラマとしては正解なんだろうけど個人的にかなりモヤりましたね(苦笑)

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