山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

キノコ追いし彼の山

2023年11月15日 | キノコ採り

 『遭難未遂事件』から3日後、再び彼の地を訪れた。

 今回のキノコ採りは、A氏、M氏との3人組。

 当初は、M氏と『キノコ山』に出かけるつもりでいたのだが、諸般の事情により、このような変更になった。

 本日は、夜明け直前まで雨が降る予報なので、安全という観点からも、こちらの方が良かろう。

 車を駐めて身支度を整えると、森に潜入する。

「ここは、足元でなくて、頭の上を見てけろ。」

「はああ???」

この山に初めて入るM氏は、何を言われているのか分からない様子。

「んだがら、ここのキノコは、殆ど頭の上さ生えるんだズ。」

論より証拠、

       立木のムキタケ

実物を見ると、

「ああ~、この前見っけだ木とおんなじな。」

と言って探し始めた。前々回の立木ナメコを思い出してくれたようだ。

       「お見事!」としか言いようのないキノコの群生

 M氏は、夢中になってムキタケ採りをしている。

 マタギは、この地のムキタケが無尽蔵に採れることを知っているから、そんなに頑張らない。

 A氏に至っては、本日は、ムキタケを採る気がないみたい。

 とにかく、車から降りて間もなくの場所だから、歩く苦労は殆どない。もちろん、川を渡るなんてこともない。

 そうして間もなくすると、

       今年も健在な『ラスボス』

 なんとも見事なナメコの木です。ナメコの数もさることながら、超肉厚の極上ナメコであることが分かります。

 しかし、悲しいかな、この木は、断崖の上にせり出している上に、ナメコの生えている場所がかなり高いんですよ。

 去年は、

「このナメコは酸っぱい。」

と言って、採ることを止めたマタギたちでしたが、ここに来て、やおらA氏が動き出しました。

       ナメコを採り始めたA氏

 古い渓流竿に、川虫捕り用のタモを括り付けてナメコを落とす作戦のようです。

 さては、去年から考えて、この作戦を立てたのだな。

 マタギも作戦は準備していたんです。

        ナメコ採りの飛び道具です

 マタギの作戦は、カマで切り落として、落ちるナメコを下でキャッチする方法。残念ながら、この木では、『キャッチ』の方が無理です。これは、主にムキタケ採りで使うことになりました。

「養生テープでつないだんだけど、これは、濡れるとだめだね。」

なるほど。A氏は、次の作戦を考え始めているようです。

 こちらも、次の作戦を考えておいた方が良さそうですね。

 ・・・この辺が、この採り場での楽しみなんですよ。手の届かないキノコをどうやって手に入れるか、知恵を巡らせながら試行錯誤する楽しみ。年寄りでも、童心に返ることができます。

 

 さて、高い場所に手が届かなくても、

       こんなのや

       こんなのが生えています(これは来週用)

 今回も、十分な収穫を戴くことができました。

「なんだズ。今までの苦労は何だったのかと考えてしまうぞ。」

「これは、『ナラ枯れ』のせいな。この状態が何年続くかは、分からない。だけど、せっかくの自然の恵みだから、楽しませてもらいましょう。」

「うん。それはいい。ただ、ここには、苦労して見つける喜びがないズね。」

それも、その通り。

       アカゲラやアオゲラたちの開けた穴

 この現象は、多分、一部の鳥たちにとっても、思いがけないプレゼントなんだと思う。

 このプレゼントが、いつまでも続くとは思えないんだけど、そうなったとしても、その時には、別の形で、人間を含めた生き物たちに幸せをもたらしてくれるといいなあ。

       紅葉とキノコの世界(見える?)

 それから、M氏が言うように、自分の全身・全力を使って自然と対決するキノコ採りもずっと楽しみたいなあ。

 ちょっと贅沢な望みかもしれません。でも心からの願いです。『キノコ追いし彼の山』が末永く保たれていきますように。

 山の神様、天気の神様、これからも、どうかよろしくおねがいいたします。



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