前々回のキノコ採りに同行出来なかったA氏に連絡を入れると、明日出掛ける予定とのこと。しかも、はるばるT氏が来るらしい。
「俺も混ぜて!」
同行決定!
目的地は、T川である。
T氏とは、住む地域が違う関係で、春の山菜採り以外では、めったに同行することがなくなっている。キノコ採りは10年ぶりぐらいだろうか。マタギとしては、昨日、たっぷりとキノコを収穫したばかりなので、そんなに何でもかんでも採りたいわけではない。ただ、久しぶりに一緒に山の空気を吸いたいという思いは強い。何てったって、40年来の山仲間だ。のんびり同窓会を楽しみましょう。
そして、当日。
「おう!」
「おっはよう。ところで、トイレすっだいず。」
「んだら、この先にあっから行ってこい。A氏、車頼む。」
「あそこに、トイレなんかあるの?」
「あるある。俺もさっき使ったばりだ。」
なんだか気の抜けた再会となったけれど、このリラックス感が我々らしいのかもしれない。
トイレが済んで、準備が整ったところで山に入る。先導するのは、この山をホームグラウンドにしているA氏。
しかしですね、歩くペースが、いつになく速い。これは気合いが入っている証拠ですね。日頃、鍛えていないマタギにとっては厳しいペースかも。
「ごめん。ちょっとペース落としてもらえる?きつい。」
「ああ、そう?」
ペースが落ちると、周りの様子を観察する余裕も出てくる。秋真っ盛り。もしかしたら、一年中で一番美しい日に当たったかもしれない。
第一目的地の倒木に辿り着く。
「思ってたより育ってないね。」
とA氏が指さす木には、ナメコ。
なかなかのナメコです
「T氏、貰えはあ。」
「んだが。」
はるばる遊びに来てくれたT氏にたっぷりと楽しんでもらいたいという気持ちは、多分A氏も同じはずだ。
去年より育ちが良くないけど、ありがたい恵みの木です
続いて沢を遡って斜面に取り付く。去年ムキタケの採れた木は、今年は沈黙。まだ早いのだろうか。トラバースしてブナハリタケの木を覗いてみたが、こちらは終わっていた。今年のキノコは気難しい。
諦めて沢に降りたところでA氏が発見。
いい案配に開いたナメコ
こっちにも出てますね
実のところ、ナメコとサワモダシは、一昨日それなりに収穫しているから採らない予定でいたんです。でも、これだけ高品質だと手を伸ばしたくなる。このナメコは、T氏と山分け。
これだけで満足だ。
その後、サワモダシをたっぷり戴いたT氏も、
「もう、十分だ。」
ということなので、終了かなと思ったんだけど、
「気になってる木があるのよ。」
とA氏。
「ちょっと登ったところにあるんだ。」
と言われるままについていく。けど、ちょっとじゃないですね、この斜面は。
「V字川思い出すにゃあ。」
同感。昔は平気で通っていたけど、今は行けなくなった川に近いきつさだ。
暫く登ると傾斜が緩くなり、巨大なブナの倒木。まだ、倒れてからそれ程年数が経っていないのだろう。木肌がしっかりしている。
ナメコです(この辺はA氏が収穫)
待望のブナハリタケ(マタギが戴きました)
T氏は、サワモダシやヒラタケを貰っていました。凄い木でした。キノコのデパートと言っていいかも。
もう、十分に満喫出来ました。
収穫もさることながら、
たまりません
この美しさ
最盛期に入ったキノコと紅葉と、そして仲間との親交を堪能させていただきました。
ありがとう、山の神様。案内してくれたA氏。 そして、T氏、また山で遊ぼうね。
大満足の同窓会になりました。