週刊モーニングに連載されているサラリーマン島耕作シリーズもいよいよ終わりを迎えた。先週号で相談役島耕作が終了し、初芝電産(TECOT)での一切の仕事を終わることとなった。また新たな展開をするとの予告があり、続きを楽しみにしている。
早稲田大学を卒業した島耕作が半世紀にわたり会社員(後半は取締役であるから、経営者)を通じ社会と向き合ってきたサラリーマンのバイブルのような漫画だ。他社に移って社外取り締まりをするような予感がするが、是非NPOの代表となって新たな側面も見たいようにも思う。
2002年頃に連載されている取締役島耕作。本社取締役に上がる前、島耕作は出向として福岡初芝販売に専務として出向いている。
そのときに取り組んでいたのが、初芝ショップとよばれる個人販売店を直営化し、自社製品の販売だけではなく、修理や交換
メンテナンスを一手に請け負う、販売ケア事業を本格化させたこと。
1970年以前の50代以上の人口比率はわずか20%。2002年においては人口の40%。現在2022年では50%を越えている。
若者は自分の足で歩き、車にのり、好きなものを選んで買う。量販の比重が高い。ところが高齢者は自分で設置したり運ぶことはしない。
セルフからケアの時代となってからすでに四半世紀が過ぎている。その間物流とインターネット通販が爆発的に延び、ケアの需要すら飲み込むことになりつつある。
日本の家電業界にとって転機となったのは1998年施行の家電リサイクル法だと言われている。
エアコン、TV、洗濯機、冷蔵庫については処分時にリサイクル費用を消費者が負担する仕組みとなった。今ではSDGs名のもとにさらにリサイクル環境の整備が進められているが、実はこの家電リサイクル法によって廃棄の際に高額な料金がかかる仕組みそのものが、景気の足かせになったとも言われている。要するに買い換え需要を妨げる原因になってしまったのだ。
企業努力によってそのリサイクルシステムを構築させるのが直営店だというのだ。
島耕作が取締役となってから20年後の今、家電量販店は『下取り強化』の名のもとに、買い換え需要を喚起している。ものを大事にすることと同時に、新商品を市場に出さなければメーカーは困るのだ。
ネット販売店でも今ある○○を下取りにしてお支払はいくらです、という販売方法が主流となっている。
読み返してみると常に島耕作は20年後の日本社会を見ていたのだと思う。売るだけではなく、旧品を動かすことで新商品の需要を喚起する。売りっぱなしという姿勢ではいつかは行き詰まる。
75才となった今の島耕作の瞳にはどんな日本の未来が写っているのだろうか。