2月4日発表の政府輸出統計によれば、令和三年の農産物の輸出総額は1兆2000億円で初の一兆円越えを果たしたそうだ。2025年には2兆円を政府は目指すという。2020年度の自動車の輸出総額が9兆500億円であるから、もはや日本は工業立国ではなく農業国の様相を果たすようになったことは数字の上で明白だ。
白物家電と呼ばれる洗濯機やエアコン、コンピューター関連品に至るまで2000年ごろまでは技術的に優位であったものが急激にその競争力を失ったことは私たち世代(40から50代)にとって目をそらしたくはなるが、疑う余地のない現代史となっている。
農業輸出品の金額でここ十年来一位を守る品目はホタテ。今日のラジオの特集で知るまで自分も知らなかった。恐らく漠然とした経済ニュースできていたのかもしれないが、金額639億円は2位以下を引き離しての額である。中国での消費が堅調であること、アメリカでの食文化にあることなどからここしばらくトップであるそうだ。ただしアメリカ産のホタテの生産が増えればその影響を受けるという。ホタテは海水温25度いかでないと死滅するらしく、温暖化の影響も今後は出てくるだろうと新聞でも懸念している。
回転寿司でも年々ホタテの大きさが同じ金額では小さくなっている気がしてならない(憶測です)
工業品輸出の恩恵は円安で受けてきたものの、ここ数年の円安、原油高ですっかり物価上昇の波がうねりをあげてしまっている。同じ生産力でありながら、ただ単に日本の高品質な食材(勝手てな思い込み)が海外で安く買い叩かれていることを理解する人は少ないと思う。
鉄道や原子力発電の技術的な輸出はどうなっているのだろう。日本はこれからの十年外貨を稼ぐ産業はなくなってしまうのではないかと危惧している。
話がやや飛躍するが、学校教育が始まったのは明治初期のことで、寺子屋から小学校へと転換されたのは明治19年(1886)のことだそうだ。まだ150年にも満たない。
学歴より人間性、などといって学校の成績よりも本人の様々能力によって評価すべきと言われて久しい。
ところがすでに学校で学ぶよりインターネットや様々なツールで学び、大人になっていく子供たちが増えている。よい悪ではなく学校を中心とした教育制度も実は長い歴史で見れば200年300年と変わらないものではないらしい。
ましては日本が工業生産によって成り立つ技術立国などという概念は少なくとも平成半ばまでには終わっているといっていいだろう。
むしろこれからは流通サービス、販売方法といった日本のサービス形態が海外に進出するときなのだろうか。
いづれにせよ稼ぐ力のあるものが残っていく時代なのだろう。