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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

動物園でパースナリティ理論を思索!(コミュニケーション 4/10)

2011-05-05 | 第九章「愛」

 何で、こんなに危険な原発が認可されてきたのか。何で、かつて経験された津波の史実が活かされなかったのか。何で、あんなに優秀なマスコミの人達が、愚かな報道をするのか。そんな疑問がふつふつと湧いてくる中、もう一度、人間とは何か・・・それを臨床心理学の基礎とも言える、臨床心理学者、カールロジャースのパースナリティ理論(19の命題)から考えてみようと思った。

 人間とは何か、そして、議論とは公共での議論とは、何を踏まえなければならないのか・・・そんな、ちょっと大袈裟な想いを、実に身近な(家のそばなので)動物園で思索した。

 5月4日は、多摩動物園ではじめての孔雀が羽を広げた姿を見。さらに、ヒグマの水浴び、オラウンターンのスカイウォークまで見物できた。ゆったりと優雅に動物の思考・感情・行動に触れ、パースナリティ理論を楽しんだ。

 さて、初夏の日射しも結構厳しい中、入場無料もあり、沢山の家族連れの観客の中、ヒグマのミチを久しぶりに見た。始めは涼しい高いところでのんびりしていたが、立ち上がり動き始め、しばらくすると階段をおり始めた。

 次の熊の画像をクリックしスライドショウで見てくださいね。

2011-05-04 ヒグマ

 始めは、ヒグマは何をしようとしているのか観客は見守ったが、ミチは暑いので、水浴びを楽しんだのである。これだけの話ではあるが、親は子供に楽しそうに説明をし、動物も人間に似ているねと楽しんでいた。しかし、これを現象学に立脚したロジャースのパースナリティ理論で考えてみると、いろいろ考えさせられる。19の命題すべてで考えることもできるが、今回控えて命題4~6で考えてみたい。

4)有機体は、一つの基本的な傾向と渇望(striving)を持っている。すなわち、体験している有機体を現実化し、維持し、強化することである。

 >北海道で生き抜いてきたヒグマ。きっと、寒さには強いが暑さには弱いのだろう。そうした身体の傾向や渇望を維持、強化するためには水浴びが浮かんだのだろう。

5)行動とは、基本的には、知覚されたままの場において、有機体が、経験されたままの要求を満足させようとする、目標指向的な企てである。

 >立ち上がり、歩き、水浴びのための水槽に入る。この一連の行動は目的指向的である。

6)情動は、前述のような目標指向的な行動をともない、かつ、一般的には、このような目標指向的な行動を促進するものである。情動の種類は、行動の追求的様相が完成的様相に関連しており、情動の強さは、有機体の維持と強化に対する意味についての知覚と結びついている。

 >暑い最中で、動き回るには強い情動が無ければできないだろう。ミチは水浴びをするイメージをきっと胸に抱いたのだと思う。

7)行動を理解するために、もっとも有利な観点は、その個人自身の内部的照合枠(internal frame of reference)から得られるものである。

 ミチが人間と同じような理想(水浴びで涼む)を持っていたか聴くことはできないが、何となく判る。

 ヒグマのミチの一連の行動は、理論からいうと以上のような説明になるのであろう。人は、身体を持ち、独特の成育史を持ち、そして魂を持つ存在である。その行動等は今回のミチのように単純ではないかもしれないが、基本的な原理は同じだとつくづく思う。

 最近、毎日考えている放射能問題も同じだ。

 原発で賛成してきた人、反対してきた人、無関心であった人(私もそうだ)・・・いろいろ居らっしゃると思うが、この5~7の観点で考察するといろいろ考えさせられる。

 2-3年の先の利益を考える人。数百年の先の利益を考える人。お金や現世的価値を大切にしてきた人。企業人として企業の原理を大切にしてきた人。人の基本的価値や人権を大切にしてきた人。放射能汚染での健康問題を大切にしてきた人。国の繁栄を大切にしてきた人。神仏を大切にしてきた人・・・

 簡単に、どれが良いか悪いかは言えない。人それぞれの個性とリンクするのだ。しかし、今回のように、国=公共の悲惨を経験すると、少なくとも議論のフェーズ合わせが何とかできないものかと残念に思う。今回は、もっとも基本的な土台の問題であったからだ。

 パースナリティ理論を、思索すると不思議に落ち着いてくる。理論は空しいとされることが多いが、良い真実に触れる理論はこころの平安をもたらす。

コミュニケーション 4/10

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