私が若いころは、心理学というと、催眠術とか超能力の研究とか、夢判断、性格分析などいろいろ話題豊富・刺激的ですらあった。そして、一時はそういう本などを読み漁ったものだ(だいたい、良く判らなかったが)。
ただ、心理学も学問的に成熟しつつある現在、かつて話題性のあったこともも実効がないのか廃れてしまったものも多いようである。そして、今は、心理学の魅力は、腰を据えて吟味する時期なのかもしれない。
人はともかく、自分にとって心理学(U先生の生き甲斐の心理学を11年勉強しているが)の魅力は何だろう?
身近な人のこころの病をいやしたり、予防することに役立ってもらう。それもある。ただ、自己の探求や自己実現をするための大事な道案内ということも大きな魅力である。
例えば、私はカトリック(キリスト教)の母のもとで、幼児洗礼をし、キリスト教的な雰囲気のなか成長していったが、中学、高校、大学と成長する中で、順調にカトリックから離れて行った。妻とはカトリック式で結婚したが、こころの内は不可知論的であった。
そんな私が40歳台のある瞬間に、こころの底から宗教(私の場合はカトリックだが)に目覚めた。それは、凄い精神力動であった。その一日のことは今でも忘れられない。しかし、そういう分野も欧米を中心に心理学の対象として研究されているのだ(日本人は殆ど知らないが)。
この11年間、心理学の勉強をするなか、仕事も変わった。多様な人との関わりが多い仕事についていると、様々なこころの動きや美しさを垣間見る機会が与えられる。福祉の仕事で、認知症の高齢者の方々ともお付き合いの機会を頂いた(一年であったが)。
その中、ある春の日に、人生の大先輩を車いすでおしながら、二人きりで、こころゆくまでお花見をした経験が忘れ難い。今ここに咲く桜を見ながら、一緒に今ここの幸福感に浸る(過去を思い出すのではなく)。この幸福感の謎も一つである(別に、人生の大事なイベントに成功したわけでもなく、共通の思想や宗教があるわけでもない)。
そんなこと(<今ここ>の不思議さ)が、私にとっての魅力なのだろう。
愛の舞台 2/10