貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

伝統的治療石

2021-12-16 20:30:26 | 漫筆

今はパワーストーンとか言って、持っているといろいろいいことがあるという宣伝が世に溢れています。否定するつもりはありませんけど、金運とか恋愛運がよくなるなんていう世俗的欲望ムラムラの表現にはちょっと辟易します。(そんなこと言わずに金運を開くタイガーアイを身につけなさい)

けれども、石に不思議な力があるということは、昔から言われてきたものですわね。日本古来の「イワクラ信仰」だって、石の力への信仰かもしれない。
イワクラとは別に、日本には「薬石」なるものがあって、病人に持たせたり、削って微量を飲んだりしていた。
有名なのは姫川薬石。姫川というのは、糸魚川市を流れている、翡翠が採れるので有名な川。実はあちきはずっと糸魚川だと思っていた。
あちきも姫川薬石と銘打たれたものを一つ持っています。ちょっと赤色が強く入っていて、正統なものかどうかは不明。

カミさんは別にニューエイジャーではないのだけど、これがえらく気に入っていて、よく体をマッサージしています。「トモダチ」と呼んでいる。ふむ。
マッサージをやってもらうと、石の触感がとても気持ちいい。いや触感だけではない、何かこうぽわんと感じるものがある。ような気がする。

確実に正統なものを手に入れたい人はこちらかな。鉱物学的には蛇紋岩の一種らしい。微細な水晶結晶を含んでいて、表面にはそれが脱落した小さな穴がある。縞模様があって、虎目石という別称もあるらしい。
で、その姫川薬石は、実は超微量の放射線を放出している。
放射能というと一目散に逃げ出す人がいるけれど、非常に微量な放射線は、実は健康にいい。ホルミシス効果と言う。最近では宇宙ステーションに行った植物が、地上に戻ってきてどっさりと花を咲かせたり実をならせたりしたというニュースがあった。まあこんなことを書くとむにゃむにゃ。
似たようなものに蛭川薬石がある(蛭川は岐阜県)。こちらもラジウム含有らしい。ほかにもあちこちにあるのかもしれない。
もっとも、姫川薬石の効果が放射線によるものだけかはわからない。別の何かがあるかもしれない。たぶんあると思う。まあパワーストーンですね。

姫川薬石と同様、微量放射線を発する石に、北投石があります。
これは某安売り店のバーゲンで1000円で買ったペンダント。

これ自体が北投石なのではなくて、そのかけらをセラミックに練り込んで焼いたもの。北投石自体は、黒っぽい、あまり見栄えのしない石。
秋田でも採れるらしいけれど、本場は台湾。現在は採集禁止になっているとのことだけど、どっから採れたのかは不明。たぶん周辺で出たものでしょう。サイトには「マイナスイオン計測済み」なんて書いてありましたけど、ちょっと違うんじゃないかなあ。
別に疑っているわけではなく、しょっちゅう身につけてますよ。


放射線とは関係ない薬石もあります。これはベン石という、中国伝統の薬石。

ベンは日本にはない漢字。真っ黒で、ちょっと硯に似た感じ。カミさんが肩こり持ちなので、買ってあげた。やさしい。(自分で言うな)
泥岩が変成したものらしく、滑らかで、柔らかな感じがあって、気持ちいい。ちょっとやさし過ぎるかも。
中国ではこれを服用したという話もある。もっとも、古書にそう書いてあるけど、当のベン石が何を指すのかわからず、近年に再発見された隕石衝突性の変成岩「泗濱浮石」がこれだろうということになったらしい。こちら参照。でも優しく黒光りしていてなかなか美しい。ちょっと分析に掛けてみたい。

カミさんの肩こりついでで言えば、オレンジカルサイトのマッサージ棒というのもある。

ちょっと石とは思えない姿ですな。
これは「ほかのものを注文するついでに」買わされた。カミさんの話によると、一時、オレンジカルサイトが「ヒーリング石」としてブームになったことがあるらしい。あちきは知らない。
カミさんはオレンジカルサイトが大好きで、丸玉も買わされた。色に関しても一家言あるけれどあちきにはよくわからない。
鮮やかなオレンジのものはあまり多くない。石屋さんの話では、そういった色のものはブームの時に採り尽したらしい。
先端が少し尖り気味のと、ゆったり丸いのと両方になっていて、ツボを押すのは尖り気味のほうでやるらしい。けっこう気持ちいいけど、少し感触が強い。ツボをぐりぐりやるのにはいいかもしれない。しかしなんでオレンジカルサイトなのか。

石というものは、特別な治療石でなくても、触っているだけで何となく気持ちがいいものです。感触の快感もさることながら、何かしら不思議な力を感じるような気がする。何億年も掛けて、ものすごいエネルギーを注ぎ込んで造られてきた石。むしろ何もないことがおかしいかもしれません。

石好きは「美」を求めての話だったのだけど、まあこれは余興のようなもので。
伝統文化の知られざる一端に触れるということも含めて。


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