貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

法花寺の木下雲母

2023-07-05 21:09:14 | 国産鉱物

雲母の世界はカオスなので踏み入りたくなかったのですが、これはちょっと名前が縁あるものだったので購入。
ちなみに木下は古い日本の姓です。どうも京都先住民カモ氏の「木ノ下(このもと)神事」とか日吉社の「樹下(じゅげ)神事」と関係しているのではないかと妄想しているのだけどよくわからん。藤吉郎なんて謎の出自の英雄もいるし。まあ余計な話。

どどーんと重い石が到着。
薄ピンクと藍鼠色の混ざった不思議な色合い。
京都府法花寺産。土地勘がないのでわからないけど、京都というより奈良に近い感じ。浄瑠璃寺もそう遠くない。
さあてどれが木下石だ?

木下雲母、キノシタライト(Kinoshitalite)は、1973年に岩手県野田玉川鉱山で発見された日本産新鉱物。名前は九州大学の鉱物学者木下亀城から。
組成は (Ba,K)(Mg,Mn,Al)3Si2Al2O10(OH)2。
金雲母(フロゴパイト、KMg3AlSi3O10(OH)2)のカリウムがバリウムに置き換わったもの。テフロ石(Tephroite、マンガン橄欖石。Mn2SiO4)の中にあることが必須条件とのこと。

京都府レッドデータブック2015「法花寺野のマンガン鉱物」には次のようにある。
《本鉱床は堆積岩中の層状マンガン鉱床が花崗岩類の貫入により接触変成作用を受けた結果、……バラ輝石、テフロ石(マンガンかんらん石)などのマンガン珪酸塩が増加したものである。……古くからマンガン鉱山として開発されてきたが、1972年頃から採石場になっている。……主要なマンガン鉱床は千枚珪岩中の石英脈付近に見られ、……園石、アレガニー石、マンガン透輝石、マンガン角閃石、含マンガン金雲母、パイロファン石、木下石などの多種類のマンガン鉱物が認められた。……最も多量に産するバラ輝石は美しいピンク色の粗粒の結晶質塊である。……
木下石は……テフロ石あるいは園石中に径1mm、ときに1cmの淡黄色板状結晶で……金雲母に類似しているが、黄色味が強い。金雲母はバラ輝石にともなうが、木下石はテフロ石にともなう。》

やれやれ。ややこしい。基本的にはスカルン鉱物なのですね。しかしこういうふうになるともうペグマタイトとほとんど変わらん。

確かに黒っぽいテフロ石の中に、きらきらと輝く雲母らしき鉱物がある。これかあ。




たくさんあるけど写真にはなかなか写らない。
ロードナイトの中にも輝く雲母はあって、そちらは金雲母なのでしょう。
どう違うかと言われても、うーむ、わからない。黄色みが強いと言われれば確かにそうかも。
けど、藍鼠の橄欖石に抱かれて輝く雲母の光点は、なかなかゴージャスです。


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