貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

黄色

2021-12-15 19:58:04 | 漫筆

黄色い石というのは、案外ないみたい。
黄金色――これ、おうごんいろなのかこがねいろなのかわからないね――(同じだ)の石はちょこちょこある。ゴールデンね。ヘリオドール、クリソベリル、トパーズ、スキャポライト、ゴールデンカルサイト、シトリン……不透明では、金、ルチル、パイライト……
しかしもろ黄色というのは……
オーピメント、自然硫黄、くらい? まあカルサイトやフローライトに黄色のものはあるけれど。

これはオーピメント。

Orpiment。雄黄。ただし中国語では雄黄はリアルガー(鶏冠石、As4S4、赤色)を指し、オーピメントは雌黄と言うとのこと。
As2S3。硫化砒素。恐ろしい感じ。
黄色の顔料として古来から用いられてきたが、毒性があるので使われなくなった。何せ砒素ですからね。といっても食べなけりゃ大丈夫。一応袋に入っている。いざという時には出して食べよう。(どういう時だよw)
見た目も妙に毒々しくて素敵。(どういう美学だ?)

これは自然硫黄。

あるのは知っていたけど、「大涌谷の石にこびりついているあれだろ、あんなものわざわざ買うかよ」と思っていた。ところが、いつもの五反田さんでうろうろして、(またかい)ふと見たら、実に鮮やかな色でびっくり。3個入って650円。インドネシア産。つい買ってしまった。見事に黄色い。石と言えるかどうか微妙だけど、これだけ完璧な黄色を出しているのは偉い。
自然硫黄の最大の特徴は、「に お う」ということ。こすらなくても、鼻を近づけるとかすかに臭う。うーむ、温泉。絶景の露天風呂に行きたい。
けど、臭う石なんてほかにあるか? 持ってないけど赤鉄鉱なんかはこすればサビの臭いがするのかもしれない。
臭うということは微粒子が飛んでいるということ。つまりだんだん小さくなっていくのではないか。まあいいけど。ちゃんとケースに入れておこう。
3個あっても困る。一緒にお風呂入ると瞬時に溶けてしまうだろう。この量では温泉気分にもならない。で、近所の子にあげた。何か変なものを見たような、少しおびえたような表情をしていた。(おいおい) 確かにこの黄色は少し毒々しい。教育上よろしくなかっただろうか。(もっとロマンチックなものなかったのかよ)

これはブルーサイト(ブルース石、水滑石)。

Mg(OH)2。単純に水酸化マグネシウム。
こんなものが安定的であるはずもないので、けっこう稀少石。蛇紋石などのマグネシウム入りケイ酸塩鉱物が分解してできた二次鉱物。きわめて柔らかい。主に白色板状の姿だけれど、微量金属を含むと緑や黄色に発色する。時々美しい結晶が出るけれどすごく高い。
これは淡い色で、形も弱々しい。服にこびりついて乾いたご飯みたい。(ひどい) でもきれい。

これはイエローカルサイト。ちょっと大きめの卵。あまり芸もなくただ黄色。その一徹さを買う。(何だよそれ)

実は黄色はあちきの趣味ではない。カミさんのほう。このイエローカルサイトもけっこう気に入っているらしい。
加えて、あちきの目は少し黄色に鈍いらしい。緑のベスビアナイトが、少しく暗いところで見ると薄青に見える。茶色の石が紫に見えることもある。フローライトなんかで緑のものが青に見える。どうもいずれも黄色の感受性が弱いからではないかと疑っている。世の人々はもう少し黄色を鮮やかに感じているのかと思うと、何か不思議な感じがする。

黄色というのはけっこう奇妙な色で、「赤橙黄緑青藍紫」では真ん中、じゃないな。まあでも中間だよ。(大ざっぱだな) 中国の方位と色でも、黄色は中央で皇帝の色。
けれど、たとえば橙色に黄色を見るか、緑色に黄色を見るか、というと、そういうことはない。茶色にだって黄色は見ない。
黄色は純粋でないと黄色に感じないらしい。
色の三原色には黄色があるけれど光の三原色には黄色はない。は? 何だよこれ。太陽は黄色じゃないんか?
わけがわかりませぬ。黄色というのは不思議な色だあ。


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