ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

不滅のロックンローラー、復活す!

2011-12-06 21:33:24 | 文化
“Rock and Roll”が縮まって“Rock’n Roll”。ロックンロールというコトバは、1953年にアメリカのDJ、アラン・フリードが使い始め、定着させたのがその由来だそうです。

アメリカでロックンローラーと言えば、まず思い出されるのが、もちろん世代にもよりますが、エルヴィス・プレスリー。キング・オブ・ロックンロールです。1950年代から60年代初頭を中心に活躍し、1977年に42歳で亡くなってしまいました。

ロックンロールも歴史の中でさまざまに変容し、プレスリーの活躍した1950年代から60年代初めの初期の音楽をロックンロールと呼び、それ以降のロックとは別の音楽という解釈もあるようです。

しかし、日本のミュージック・シーンでは、ロックンロールへの憧れは根強いのでしょうか、Mr.Childrenも『ロックンロールは生きている』で、♪♪レヴォリューションと歌っていました。

そして、「ロックンローラー」は「ロック」以上に不滅。年齢を重ねてもその反逆的な生き方は変わらない! 日本では、「永ちゃん」こと、矢沢永吉。そして、最近では事業仕分けの会場に現れるなど、音楽以外で話題となる内田裕也。

そして、そして、フランスでロックンロールと言えば、後にも先にも、この人を置いては語れない・・・そう、ジョニー・アリディです。

Johnny Hallyday:1943年6月15日、パリ生まれの、68歳(因みに、私とは一回り違いの未年で、同じふたご座。関係ないですが・・・)。本名、Jean-Philippe Smet。生後8カ月にして両親が離婚したため、伯母に育てられる。その家庭のいとこ二人がプロのダンサーだったため、3歳の頃からショー・ビジネスを見て育つ。いとこの一人が結婚したアメリカ人ダンサーが、Lee Holliday。このリー・ホリディがジョニー・アリディという芸名の名付け親であり、ジョニーはリーを心の父と慕っている。

ジョニーは11歳頃からステージで歌うようになり、やがて、エルヴィスの歌にショックを受ける。リーの勧めもあり、このアメリカ発のロックンロールに熱中するようになる。そして、デビュー。フランスでロックをはじめて歌った歌手という確認は取れないが、少なくともフランスにロックンロールを広めた歌手ではあることは間違いない。

それからの活躍は、言うまでもない。アイドルから、大スターへ。今までに、スタジオ録音のアルバム47枚、ライブ録音のアルバムを26枚。180回に及ぶコンサート・ツアーで、動員した観客総数は2,840万人。今日でも、もっとも有名なフランス語で歌う歌手の一人であり、最もメディアに登場するフランス人のアーティストの一人である。

プライヴェートでは、さすが、フランス男、華麗な女性遍歴。お馴染み、シルヴィー・ヴァルタン(Sylvie Vartan)との結婚は1965年。一粒種のDvid Hallydayを儲けるも、1980年に離婚。それからは、1981年12月から1982年2月まで、1982年から86年、1990年から92年、1994年から95年、そして1995年から、と合計6人のパートナーとの生活を送っている。

政治的には、右派の支持者で、ジャック・シラク、ニコラ・サルコジの支持者として有名。また、節税に熱心で、現在は税率の低いスイスに居住。フランスの税務当局との法廷闘争も続いている。

さて、こうした経歴のジョニー・アリディ、2009年以降は、さすがのロックンローラーも寄る年波には勝てないのか、病気との戦いが続いています。まず、結腸癌の手術をしていたことを公表。この年の秋には椎間板ヘルニアの手術を受け、その後ロサンジェルスで入院生活。予定されていたコンサート・ツアーをキャンセルしています。

しかし、2年ほどの休養を経て、復活の日を迎えたようです。新たなコンサート・ツアーへ。そのスケジュールなどを語る記者会見の模様を4日の『ル・モンド』(電子版)が伝えています。

国民的アイドルが復活の場に選んだのは、フランスでもっとも有名なモニュメントだった・・・ジョニー・アリディが3日夜、病魔から復活して初めて行うコンサートツアーの詳細をエッフェル塔で発表した。

腰を手術し、ロサンジェルスで長い入院生活を送ったため、ジョニー・アリディは前回のツアー“Tour 66”の終盤をキャンセルせざるを得なかった。

3日の記者会見で、68歳のジョニー・アリディは、フランス国内外での32回のコンサートを行う、デビュー以来181回目となるコンサート・ツアーのスケジュールを明らかにした。そのスタートは、来年4月24日、ロサンジェルスでのコンサートで、その後、モンペリエ(Montpellier)、ナンシー(Nancy)、ジュネーヴ(Genève)、ソショー(Sochaux)、アンヴェール(Anvers)、ボルドー(Bordeaux)、ナント(nantes)、ルマン(Le Mans)で行う。また、6月15日から17日まで、パリ郊外のフランス競技場(Stade de France)でも3回のコンサートを予定している。

一方、ロシアのモスクワ、イスラエルのテルアビブでも初めて歌うことにしている。さらには、10月15日・16日にはロンドンのロイヤル・アルバート・ホール(Royal Albert Hall)での2回のコンサートをスケジュールに組み込んでいる。「以前は、海外でのコンサートを好まないプロデューサーと組んでいたから」と、ジョニーは後悔しているが、記者会見場でのジョニーは元気そうで、饒舌だった。今回のコンサート・ツアーはプロデューサー、ジルベール・クリエ(Gilbert Coullier)との初めての仕事になる。

今回のツアーで、ジョニーは最近のヒット曲と共に、ファンのお気に入りだが、長い間コンサートなどで歌ってこなかった曲も歌うことにしている。コンサートは特殊効果も交え、素晴らしいスペクタクルになると確約しているが、ジョニー自身がどうやって舞台に登場するかは明かさず、めくるめくようなものになるとだけ語り、ファンの期待を膨らませている。

ジョニーはまた、「特別病気だったわけではない。多くの人と同じように、腰に問題を抱えていただけだ。この1年ほど運動を続けているし、タバコも止めた。今度こそは、禁煙に成功した」と、語っている。

2012年末には新たなアルバムを発表することを明かし、常により良い曲作りを目指していると述べている。“Autoportrait”(自画像)というタイトルの新曲をすでにネット上で公開し、無料でダウンロードできるようにしている。ジョニーはこの曲を「ファンにとってのクリスマス・プレゼントであり、ファンに対する愛の歌だ」と紹介している。

記者会見の後、23時30分、ジョニーはエッフェル塔の2階で非公式のコンサートを行った。その模様は12月22日からネット上のサイト“Liveathome”で公開され、また12月31日にはテレビ局・TMCでオンエアされることになっている。

・・・ということで、フランス版「キング・オブ・ロックンロール」は今なお健在。癌にもヘルニアにも打ち勝ち、大した病気ではなかったと平然と語り、68歳にて、新曲発表とコンサート・ツアー。まだまだ意気軒高です。

有名人の人気ランキングで必ず上位に顔を出し、また高額納税者としてもアーティストとしてはトップクラス。どんな障害も弾き飛ばして、ロックンロールの道をまっしぐら。その生き方や、よし。その生き方こそが、衰えを知らない人気の秘密なのかもしれません。生涯、ロックンローラー。頑張れ、中高年の星。Bon courage !