緑の街の水先案内人

都城市で緑の街の水先案内人として移る日々を写真と日記で綴ります。

隣家の光景

2011年12月05日 18時36分11秒 | 農業
12月5日(月)  

 火への郷愁と言えば良いのか、昔の囲炉裏を再現した築数年を経た住宅を午後から見学する機会があり、ご婦人の先導で入室して、まず炭を赤々とおこしている囲炉裏前で立ち止まります。現代風囲炉裏は他に空調施設があり、燃料として薪は使わずに炭火だけの装飾的な色合い濃いもので、天井には煙を引き込むダクトが設置されています。

 囲炉裏の灰も真っ白で、堅木を燃やしてゴミを取り除き丁寧に集めたもので、ここまで来ますと主の訪問客をもてなす様子が浮かんできます。炎のもてなしが出来る居宅とは何に代え難いものがあると思いますが、結構、室内は灰が溜まるもので小まめな清掃が欠かせません。外に出て周囲を見渡しますと、隣家は四百坪ほど農家造りの住宅が人の気配も無くひっそりと建っています。

 昔風馬小屋が母屋の西側にあり、農耕馬も居なくなった二階屋は車庫と倉庫代わり使用されており、それでも昔の風情を留めたところがあります。あれから半世紀以上を経た農家、つい、その気になり農家の庭木を目で追いますと、まず日当たりの良い場所でシュロの木が目に入ります。シュロの役目は農閑期に繊維の多い皮を剥いで、繊維質を取り出して手回しの縄ない機で農作業用のシュロ縄を作ります。長さにして五間は有ったでしょうか。

 シュロの次に目にしたのは柿の木、実は秋の味覚、実家の味でしょうか。既に実も葉も無くなり枝だけが残っております。不思議と一本だけ植栽されてます。さぞかし、今秋は柿の豊作、ヒヨドリやムクドリの飛来が多かった事でしょう。気候風土に柿の木は合っているのでしょうか。先日、九州自動車道を北上した折り熊本県に入りますと実をたわわに付けた柿の木を至るところで見る事が出来ました。柿の木は田舎の風景に合う何かがあります。

 三本目の樹木は何で有りましょう?道路との境界沿いはブロック壁が設けられて、観察の仕様では殺風景と言えばその通り、ブロック塀に近づいて内側に植えられた低木の垣根を調べてみますと、葉の形からして茶の木です。毎年、茶摘みをするほどの本数でもありません。しかし、剪定が施されてそれなりの高さを保っております。屋敷周囲に植えられた茶の木でそれなりの量を製茶してました。

 農家の三本の樹木とは、シュロの木、柿の木、茶の木。四本目の樹木は何か?女性の髪油にもなる椿の木、もしくはカタシの木(正式な樹木名は?)、農閑期に堅い実を採集して油を絞り、食用にもしていたのでしょうか?その当たりが農家庭木の定番でありました。そんな事を考えていますと、風邪の兆候、喉の痛みも薄れて気分が直ってきます。

 そう、最後は四百坪はある旧農家屋敷ですの、庭は家庭菜園として季節の野菜が栽培されています。雑草もなく見事な手入れが施された農家の家庭菜園、人様の生活ぶりを拝見する思いでしす。こうして半世紀以上前の農家生活を再現しますと、農作業を除いてもさまざまな作業があります。味噌醤油それに高麗菓子など菓子類まで自家製でしたので、豊かな食文化が有ったと言って過言では無いでしょう。豊かさとは囲炉裏から入り込んで、何気なく有るものだと感じ入りました。

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