「だめなの。」
ベットの端を背に、両膝を抱え、ようやくでた言葉。
深夜と呼べる時間。
明かりもつけず。(自動的に付く機能はさっき叩いた。まだちょっと手が痛い。)
唯一人。
この世にいるのは、自分だけ。
そんな感覚。
いや、事実そうだと感じてる。思いこんでる、思いこみたい。
言い換えれば、ひとりでいたい。そしてこのまま消え入りたい。
言語化せぬとも、背中が語る。
冷たい言葉。
放っておけば凍死しそうなほどの。
それでも、望むのは、誰かの温もり。
無条件の。
そして、
「誰か、いないの?」
分かってる。
虚しく響く、そしてその返事さえも拒絶している自分の内も。
別に解決して欲しいわけではない。
この気持ちを理解して欲しいわけでもない。
そして、まだ心は開けない。
友達と呼べるひともいる。
たぶん、話せば同情してくれる。
でも、今は。
そんなものが欲しいわけではない。
いや。
話したくないのだ。
知られたくない。のかもしれない。
あまりにも、不確定で、惨めで、哀れで。
そして、分からない。
そこにあるのは、感情だから。
理屈ではない。
言葉を使って説明できる自信もない。
テレビをつければ、"heav"がいる。...たぶん。
でも。できない。説明。
なのに。時間を取らせるのも...
"heav"に気を遣っていることに気づく。
ようやく。
さっきから頭の片隅にはあった。でも否定(本当は拒否)してきた。
えい!
思い切って腕時計に仕込んである片手用キーボード(ホログラム)を起動する。
そして、キーを二つ叩いてテレビをつける。
heav>> ん?のぞきか?
ryo>> はぁ?
heav>> ひとの入浴を覗くってのはあまりいい趣味とは言えんな。
ryo>> なに言ってんの、わけわかんない、
heav>> 俺も風呂ぐらい入るってことだ。
ryo>> ...お風呂にまで持ち込んでんの、それ、
heav>> お前みたいに、気遣いが足りないのがいるからな。
ryo>> わ、悪かったわね、いいわよ後で、
heav>> いや、聞いとくよ。今は風呂に入っていたい気分だ。急がせるな。
...意味が分からん。
けど、分かる気もする。
のんびり風呂に浸かっているようだ。人の気も知らずに。
ryo>> わからないの、
heav>> そらそうだろうな。
ryo>> なんでわかるのよ、
heav>> 分かってたら、悩むまい?
ryo>> ま、まあ、
heav>> 何があった?
ryo>> ...言いたくない、
heav>> ふむ。なら、どんな気分だ?
ryo>> もういや、
heav>> って気分としておこう。
ryo>>
何か言おうとしたが、黙ってEnterを押す。
heav>> 死んでもいいことないぞ。
ryo>> 生きてるよりましよ、
heav>> また、随分深刻だな。今日は。
ryo>> あなたに何が分かるって言うの、
heav>> いや。わからん。
ryo>> ...聞く気ある?
かなりの勢いでキーを叩く。
が、相手はフォログラム。
叩いた分の反作用(衝撃とか、硬さとか、痛さなど)はない。のが、また気に入らない。
身を乗り出して、テレビの下のキーボードを引っ張り出す。
heav>> ああ。もちろん。準備万端。
ごもっともで。
拒否してたのは自分だった。
のを、認めるのも大きな抵抗。
ryo>> いやなの、
heav>> ほう。それは、どの辺りが?
ryo>> 全部、もう、いや、
heav>> ならどうしたい?
ryo>> なにが、
heav>> 現状がいやなのだろう。なら、こうしたい。というのがあるはずだ。
ryo>> ...わかんない。
heav>> 隠してるだろ。
ryo>> 何も隠してなんてないわよ、大体、何を言おうと何を言うのやめようと私の勝手でしょ、
heav>> ああ。そうだ。俺に対してはな。
ryo>> そうよ、...どういう意味よ、
heav>> 自分に。だ。自分に何か隠していることはないか?
ryo>> あるわけないじゃない、私が私に何を隠すって、隠せるって言うの、
heav>> 意識的に、あるいは無意識のうちに、考えないようにしているものはないか?
ryo>> ないわよ、あるわけないじゃない、そんな
そんな、で指が止まる。
湧き起こってくるこの感情の底にあるもの。
決して思い出したくない、数々の出来事。そしてその時の想い、感情。
もう涸(か)れたかと思っていた、涙がまた流れ出す。
止めどなく。
ただただ。
"heav"は黙って次のひと言を待つ。
ryo>> だから、なによ、
逆ギレされるのもいい加減慣れた。
問題はここから如何に言葉をつなげるかだ。
heav>> つらいのは、そのせいだ。というのは、気づいているな。
ryo>> うるさい、
この際これを肯定の返事と受け取る。
まるで子供を相手にしているようだが...
まあ、感情的になっている、そして否定を繰り返している人間なんてそんなもんだ。
heav>> くさいものにふたをしても、どんなまじないを掛けてもそれは、消えんぞ。
ryo>> なら、どうしろっていうの、忘れるなんて...無理、よ、
heav>> ああ、分かってる。忘れられるくらいのことなら、疾うに忘れてる。
ryo>> なら、どうしろと、わけわかんない、
heav>> 忘れられないのは、それを消化できてないからだ。
ryo>> 胃薬でも飲めと?ばか?あんた、
めちゃめちゃ攻撃的。
さすがに"heav"もちょっと怯む...かと思いきや。
heav>> ま、それもいいかもな。
ryo>> ...ばか、
早く、話を続けろと促す。(涼子は促しているつもり。この言葉で。)
...こんな時の、女の子の言葉を額面通りに受け取っても何の解決にもならない。
heav>> その、いやなこと、恐らく過去の出来事あるいは、後悔だと思うが、
ryo>> 、
heav>> それに対して、真剣に向き合ったことはあるか?
ryo>> 私に死ねと?
heav>> 安心しろ。そんなことくらいで死ぬんなら俺は100回は死んでる。
ryo>> できるわけないじゃない、そんなこと、
heav>> したことあるのか?
ryo>> ある...、
ないらしい。
heav>> 既に終わったことだ、いくら考えても事実は変わらない。
heav>> しかし、自分の中での、その出来事の意味はいくらでも変容できる。
ryo>> なんで、事実は変わらないのに、
heav>> 他人にとってのな。けれども、自分にとっての事実は如何様にもなる。
heav>> 例えば、失恋も、うじうじと、自分の何が悪かったのかと考えるのと、
heav>> あんな男、こっちの方から願い下げ、別れるきっかけをくれてありがとう。
heav>> ってのでは、違うだろ。その事実さえ。
ryo>> ...だって、つらいのよ、
heav>> 分かってる。
ryo>> なら、軽く言わないで、
heav>> つらいから、できないのか?つらいから、やらないんだろ。つまり逃げてる。
痛い。
傷んだ心に塩を塗るようなことをする。
でも、事実。あまりにも、正しいから、だから、痛い。
ryo>> できない、
heav>> そう思いこんでるだけだ。ryoならできる。強い娘だろ。
ryo>> なんで、
heav>> そういってたじゃないか。私は強い女だって。
ryo>> ...そんなこと、...分かってるでしょ、ほんとのわたしを、
heav>> こんな言葉知ってるか。
ryo>>
heav>> できるかできないかではなく、やるかやらないか。
heav>> できないというのは、簡単だ。でもそれは単なる逃げ口上。
heav>> 本当にできるかどうかは、やってみなければ分からない。
ryo>> 今の私に、それをしろと?
heav>> できるだろ?本当は。
ryo>> したくない、
heav>> なぜ?
ryo>> だって、今までずっと、そんな私を、私の中の事実を前提に生きていたのよ、
ryo>> 今までの自分を否定しろと言うの?
heav>> それで、つらさを乗り越えられるなら、ひとつやってみてもよいとはおもわんか。
ryo>> 自分を否定するな、と言ってたのはあなたでしょう、
heav>> ふむ。確かに。ちょっと言葉が足りなかったか。
heav>> 自己否定ではない。本当の自分を見つける。ということだ。
ryo>> つまり、今までの自分はうそだったってこと?
heav>> 半分はな。でも、安心しろ、本当のryoはそこにいる。
ryo>> どこに、
heav>> 過去の自分と向き合った、その先だ。
ryo>>
heav>> もう気づいているはずだ、そのことに。
heav>> 今までも、幾度となく繰り返してきたことだ。例え無意識で、であっても。
ryo>> 大切な人なのよ、今でも、
heav>> ああ。
ryo>> なのに、どうして、そんなことができるって言うのよ、
heav>> 大切な人なら、なおさらだ。そのひともきっと、自分のせいで苦しむryoを見たくはないだろ。
ryo>> ...、
heav>> 今度会えた時、心の底からの笑顔で挨拶ができるように。
ryo>> どうすればいいの?
heav>> 徹底的に悩めばいい。
ryo>> 私に死ねと?
heav>> ああ、それで死ぬんなら死んでみるのもいいだろう。
若干投げやり。
ryo>> ちゃんと答えて、
heav>> 向き合うことだ。見たくないものを、見、訊きたくないことを訊き、
heav>> 考えたくないことを考えて、その全てを見ることだ。
heav>> そうしていく内に、本当の自分はそれをどう考えているのかが分かってくる。
ryo>> そんなことしたら死んじゃうわ、
heav>> ああ、そうして、生まれ変わる。
ryo>> ...屁理屈、
heav>> そうして、ひとは大きくなっていくものだ。
ryo>> ハードル、
heav>> そうだ。人生の中の、乗り越えなければならないハードル。
ryo>> ...百回は死ぬって言ったわよね、
heav>> ん?...ああ、悩んで死ぬんだったらな。
ryo>> 何を悩んだの?
heav>> さて、昔のことだ、忘れちまったな。
ryo>> に・げ・て・る、
heav>> ああ、さて、そろそろ風呂上がらんと。のぼせてきた。
ryo>> ...ありがと、
heav>> 大変なのはこれからだ。戦いに疲れたらまたこい。
ryo>> そ、ね。
珍しく向こうから切られる。
限界だったらしい。
フォーラムのトップページへ強制移動させられた。
「ふぅ。」
チャンネルを変える。
音が聞きたい。なんでもいい、人の声が。
「向き合う。か。」
これを片づけなきゃ、あのひとにも心を向けられない。
だから、悩んでた。
それが、怖いから、本当にそんなことをしていいのか分からなかったから、
感情だけが、あふれてた。
それを、してもいいと言うことが、わかっただけでも、なんか、心が軽くなった。
というか、もう、結論は出ていた。
自然と向き合っていたのだ。あのひと、あのことと。
でも、それを認めたくなかった。
「ふぅ。」
拒否していたのは、自分だったのだ。
大切な、あのひとを。あのひととの思い出を。
丸ごと受け入れてあげれば、それで済むのに。
愛していたなら、本当に愛していたなら、できるはずなのに。
拒否していた。
そうしたら、それをしたなら、終わってしまうから。
そしたら、もう考えることもなくなる。
それが怖かったのかも知れない。
"heav"の言うとおり、既にそれをしたことあったし、もうしていた。
結論も出ていた。ようだ。
無意識のうちに。
「ふぅ。」
何度目かのため息の後、んー、と伸びをして、顔を洗いに行く。
全ての、過去にこびりついた負の感情を洗い流しに。
ベットの端を背に、両膝を抱え、ようやくでた言葉。
深夜と呼べる時間。
明かりもつけず。(自動的に付く機能はさっき叩いた。まだちょっと手が痛い。)
唯一人。
この世にいるのは、自分だけ。
そんな感覚。
いや、事実そうだと感じてる。思いこんでる、思いこみたい。
言い換えれば、ひとりでいたい。そしてこのまま消え入りたい。
言語化せぬとも、背中が語る。
冷たい言葉。
放っておけば凍死しそうなほどの。
それでも、望むのは、誰かの温もり。
無条件の。
そして、
「誰か、いないの?」
分かってる。
虚しく響く、そしてその返事さえも拒絶している自分の内も。
別に解決して欲しいわけではない。
この気持ちを理解して欲しいわけでもない。
そして、まだ心は開けない。
友達と呼べるひともいる。
たぶん、話せば同情してくれる。
でも、今は。
そんなものが欲しいわけではない。
いや。
話したくないのだ。
知られたくない。のかもしれない。
あまりにも、不確定で、惨めで、哀れで。
そして、分からない。
そこにあるのは、感情だから。
理屈ではない。
言葉を使って説明できる自信もない。
テレビをつければ、"heav"がいる。...たぶん。
でも。できない。説明。
なのに。時間を取らせるのも...
"heav"に気を遣っていることに気づく。
ようやく。
さっきから頭の片隅にはあった。でも否定(本当は拒否)してきた。
えい!
思い切って腕時計に仕込んである片手用キーボード(ホログラム)を起動する。
そして、キーを二つ叩いてテレビをつける。
heav>> ん?のぞきか?
ryo>> はぁ?
heav>> ひとの入浴を覗くってのはあまりいい趣味とは言えんな。
ryo>> なに言ってんの、わけわかんない、
heav>> 俺も風呂ぐらい入るってことだ。
ryo>> ...お風呂にまで持ち込んでんの、それ、
heav>> お前みたいに、気遣いが足りないのがいるからな。
ryo>> わ、悪かったわね、いいわよ後で、
heav>> いや、聞いとくよ。今は風呂に入っていたい気分だ。急がせるな。
...意味が分からん。
けど、分かる気もする。
のんびり風呂に浸かっているようだ。人の気も知らずに。
ryo>> わからないの、
heav>> そらそうだろうな。
ryo>> なんでわかるのよ、
heav>> 分かってたら、悩むまい?
ryo>> ま、まあ、
heav>> 何があった?
ryo>> ...言いたくない、
heav>> ふむ。なら、どんな気分だ?
ryo>> もういや、
heav>> って気分としておこう。
ryo>>
何か言おうとしたが、黙ってEnterを押す。
heav>> 死んでもいいことないぞ。
ryo>> 生きてるよりましよ、
heav>> また、随分深刻だな。今日は。
ryo>> あなたに何が分かるって言うの、
heav>> いや。わからん。
ryo>> ...聞く気ある?
かなりの勢いでキーを叩く。
が、相手はフォログラム。
叩いた分の反作用(衝撃とか、硬さとか、痛さなど)はない。のが、また気に入らない。
身を乗り出して、テレビの下のキーボードを引っ張り出す。
heav>> ああ。もちろん。準備万端。
ごもっともで。
拒否してたのは自分だった。
のを、認めるのも大きな抵抗。
ryo>> いやなの、
heav>> ほう。それは、どの辺りが?
ryo>> 全部、もう、いや、
heav>> ならどうしたい?
ryo>> なにが、
heav>> 現状がいやなのだろう。なら、こうしたい。というのがあるはずだ。
ryo>> ...わかんない。
heav>> 隠してるだろ。
ryo>> 何も隠してなんてないわよ、大体、何を言おうと何を言うのやめようと私の勝手でしょ、
heav>> ああ。そうだ。俺に対してはな。
ryo>> そうよ、...どういう意味よ、
heav>> 自分に。だ。自分に何か隠していることはないか?
ryo>> あるわけないじゃない、私が私に何を隠すって、隠せるって言うの、
heav>> 意識的に、あるいは無意識のうちに、考えないようにしているものはないか?
ryo>> ないわよ、あるわけないじゃない、そんな
そんな、で指が止まる。
湧き起こってくるこの感情の底にあるもの。
決して思い出したくない、数々の出来事。そしてその時の想い、感情。
もう涸(か)れたかと思っていた、涙がまた流れ出す。
止めどなく。
ただただ。
"heav"は黙って次のひと言を待つ。
ryo>> だから、なによ、
逆ギレされるのもいい加減慣れた。
問題はここから如何に言葉をつなげるかだ。
heav>> つらいのは、そのせいだ。というのは、気づいているな。
ryo>> うるさい、
この際これを肯定の返事と受け取る。
まるで子供を相手にしているようだが...
まあ、感情的になっている、そして否定を繰り返している人間なんてそんなもんだ。
heav>> くさいものにふたをしても、どんなまじないを掛けてもそれは、消えんぞ。
ryo>> なら、どうしろっていうの、忘れるなんて...無理、よ、
heav>> ああ、分かってる。忘れられるくらいのことなら、疾うに忘れてる。
ryo>> なら、どうしろと、わけわかんない、
heav>> 忘れられないのは、それを消化できてないからだ。
ryo>> 胃薬でも飲めと?ばか?あんた、
めちゃめちゃ攻撃的。
さすがに"heav"もちょっと怯む...かと思いきや。
heav>> ま、それもいいかもな。
ryo>> ...ばか、
早く、話を続けろと促す。(涼子は促しているつもり。この言葉で。)
...こんな時の、女の子の言葉を額面通りに受け取っても何の解決にもならない。
heav>> その、いやなこと、恐らく過去の出来事あるいは、後悔だと思うが、
ryo>> 、
heav>> それに対して、真剣に向き合ったことはあるか?
ryo>> 私に死ねと?
heav>> 安心しろ。そんなことくらいで死ぬんなら俺は100回は死んでる。
ryo>> できるわけないじゃない、そんなこと、
heav>> したことあるのか?
ryo>> ある...、
ないらしい。
heav>> 既に終わったことだ、いくら考えても事実は変わらない。
heav>> しかし、自分の中での、その出来事の意味はいくらでも変容できる。
ryo>> なんで、事実は変わらないのに、
heav>> 他人にとってのな。けれども、自分にとっての事実は如何様にもなる。
heav>> 例えば、失恋も、うじうじと、自分の何が悪かったのかと考えるのと、
heav>> あんな男、こっちの方から願い下げ、別れるきっかけをくれてありがとう。
heav>> ってのでは、違うだろ。その事実さえ。
ryo>> ...だって、つらいのよ、
heav>> 分かってる。
ryo>> なら、軽く言わないで、
heav>> つらいから、できないのか?つらいから、やらないんだろ。つまり逃げてる。
痛い。
傷んだ心に塩を塗るようなことをする。
でも、事実。あまりにも、正しいから、だから、痛い。
ryo>> できない、
heav>> そう思いこんでるだけだ。ryoならできる。強い娘だろ。
ryo>> なんで、
heav>> そういってたじゃないか。私は強い女だって。
ryo>> ...そんなこと、...分かってるでしょ、ほんとのわたしを、
heav>> こんな言葉知ってるか。
ryo>>
heav>> できるかできないかではなく、やるかやらないか。
heav>> できないというのは、簡単だ。でもそれは単なる逃げ口上。
heav>> 本当にできるかどうかは、やってみなければ分からない。
ryo>> 今の私に、それをしろと?
heav>> できるだろ?本当は。
ryo>> したくない、
heav>> なぜ?
ryo>> だって、今までずっと、そんな私を、私の中の事実を前提に生きていたのよ、
ryo>> 今までの自分を否定しろと言うの?
heav>> それで、つらさを乗り越えられるなら、ひとつやってみてもよいとはおもわんか。
ryo>> 自分を否定するな、と言ってたのはあなたでしょう、
heav>> ふむ。確かに。ちょっと言葉が足りなかったか。
heav>> 自己否定ではない。本当の自分を見つける。ということだ。
ryo>> つまり、今までの自分はうそだったってこと?
heav>> 半分はな。でも、安心しろ、本当のryoはそこにいる。
ryo>> どこに、
heav>> 過去の自分と向き合った、その先だ。
ryo>>
heav>> もう気づいているはずだ、そのことに。
heav>> 今までも、幾度となく繰り返してきたことだ。例え無意識で、であっても。
ryo>> 大切な人なのよ、今でも、
heav>> ああ。
ryo>> なのに、どうして、そんなことができるって言うのよ、
heav>> 大切な人なら、なおさらだ。そのひともきっと、自分のせいで苦しむryoを見たくはないだろ。
ryo>> ...、
heav>> 今度会えた時、心の底からの笑顔で挨拶ができるように。
ryo>> どうすればいいの?
heav>> 徹底的に悩めばいい。
ryo>> 私に死ねと?
heav>> ああ、それで死ぬんなら死んでみるのもいいだろう。
若干投げやり。
ryo>> ちゃんと答えて、
heav>> 向き合うことだ。見たくないものを、見、訊きたくないことを訊き、
heav>> 考えたくないことを考えて、その全てを見ることだ。
heav>> そうしていく内に、本当の自分はそれをどう考えているのかが分かってくる。
ryo>> そんなことしたら死んじゃうわ、
heav>> ああ、そうして、生まれ変わる。
ryo>> ...屁理屈、
heav>> そうして、ひとは大きくなっていくものだ。
ryo>> ハードル、
heav>> そうだ。人生の中の、乗り越えなければならないハードル。
ryo>> ...百回は死ぬって言ったわよね、
heav>> ん?...ああ、悩んで死ぬんだったらな。
ryo>> 何を悩んだの?
heav>> さて、昔のことだ、忘れちまったな。
ryo>> に・げ・て・る、
heav>> ああ、さて、そろそろ風呂上がらんと。のぼせてきた。
ryo>> ...ありがと、
heav>> 大変なのはこれからだ。戦いに疲れたらまたこい。
ryo>> そ、ね。
珍しく向こうから切られる。
限界だったらしい。
フォーラムのトップページへ強制移動させられた。
「ふぅ。」
チャンネルを変える。
音が聞きたい。なんでもいい、人の声が。
「向き合う。か。」
これを片づけなきゃ、あのひとにも心を向けられない。
だから、悩んでた。
それが、怖いから、本当にそんなことをしていいのか分からなかったから、
感情だけが、あふれてた。
それを、してもいいと言うことが、わかっただけでも、なんか、心が軽くなった。
というか、もう、結論は出ていた。
自然と向き合っていたのだ。あのひと、あのことと。
でも、それを認めたくなかった。
「ふぅ。」
拒否していたのは、自分だったのだ。
大切な、あのひとを。あのひととの思い出を。
丸ごと受け入れてあげれば、それで済むのに。
愛していたなら、本当に愛していたなら、できるはずなのに。
拒否していた。
そうしたら、それをしたなら、終わってしまうから。
そしたら、もう考えることもなくなる。
それが怖かったのかも知れない。
"heav"の言うとおり、既にそれをしたことあったし、もうしていた。
結論も出ていた。ようだ。
無意識のうちに。
「ふぅ。」
何度目かのため息の後、んー、と伸びをして、顔を洗いに行く。
全ての、過去にこびりついた負の感情を洗い流しに。
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