Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

坂野義光監督

2017年07月20日 | 代表羽沢のG雑感
坂野義光監督のこと

 『ゴジラ対ヘドラ』の坂野義光監督が、5月7日に86歳で他界されました。

 初めてお会いしたのは、Gメモリーズセレクションをスタートしてから1年ぐらいでしたから、10年以上前になります。
 弊社が出店したトイイベントに、坂野監督はトークとサイン会のゲストでお越しでした。私はブースを離れられずにそれらには参加できませんでしたが、ある時、並べてある羽沢組のゴジラ達の前で、かわいいゴジラ達が「気に入った」と、一人のお爺さんがいろいろ質問をしてきました。「随分ゴジラに詳しいおじいちゃんだなぁ」と思いながら、しばらくゴジラの話をしました。
 帰られる時に「何かあったら連絡して」と名刺を置いていかれて立ち去られました。あとで、そのお名前を見てびっくり。トークとサイン会の休憩時間に、ひょっこりおひとりで会場内をまわられていた坂野監督だったのです。
 書籍などでお顔は知っていたのですが、掲載されていた写真は『ゴジラ対ヘドラ』当時のもの。ですからその当時の監督は存じ上げなかったので、監督が立ち去られてから大いに驚いたのです。
 翌日、存じ上げないままでいろいろお話しさせていただいた非礼を詫びるとともに、気に入ってくださったGメモリーズのソフビをプレゼントさせていただきました。
 それからメールなどでのやり取りをちょくちょくさせていただくようになりました。

 坂野監督からは、ご自身の映像の企画のプレゼンを何度か見せていただいたことがあります。僭越ながらその都度、感想をお伝えしたり、意見と言えるほどではないにしろ「こんなアイデアはどうでしょう?」など、生意気なことも言わせていただいたりもしていました。
 2014年のレジェンダリー版「GODZILLA ゴジラ」には、エグゼクティブプロデューサーとして名を連ねておられますが、元々は坂野監督の企画が二転三転して行き着いた結果として生まれた作品であることは、多くのファンの皆さんもご存知でしょう。
 この時の最初の企画書も随分前に拝見させていただいていました。レジェンダリーに話がいくずっと前のことです。最初のコンセプトは『ゴジラ対ヘドラ』の続編的要素で、ゴジラが自然を汚染する怪獣と戦うもの。のちに敵怪獣の名が「デスラ」で、時間的には中編、IMAX・3Dでアメリカでの公開を先にしてという企画で進められました。何としても実現したいという熱い情熱をずっとお持ちなんだというのを実感しました。そして一般の劇場作品以外で監督がたくさん撮られている、自然や環境破壊をテーマにした作品と同様に、ブレないライフテーマがここにもあるんだなぁと感じました。
 のちのちいろいろあって、これが2014年の「GODZILLA ゴジラ」になるわけですが、坂野監督がやりたかった『ゴジラ対ヘドラ』の持つテーマとは離れたものでした。そのあとも『ゴジラ対ヘドラ』の続編的作品を作りたいという意欲はお持ちだったようですし、それに近い別の企画も拝見させていただいてましたが、残念ながら実現されることなく旅立たれました。

 取材やインタビューなどでももちろん何度かご協力もいただいてます。
 今だから言える爆笑エピソードもいくつかあるのですが、それはまた別の機会に。
 ひとつだけ「おおっ」というエピソードを。
 近年『ゴジラ対ヘドラ』のブルーレイが発売されました。映像特典で、「かえせ! 太陽を」の再現(?)収録や坂野監督インタビューの収録が収められています。お手伝いというほどではありませんが、私もその現場におりました。
 スタッフの方々の準備中、私はスタジオの外で待っておられる坂野監督の話し相手をしておりました。話し口調は以前よりもすっかりゆったりとなられ、「あんたにこれ」と次の映像の企画書をくださいましたが、つい数ヶ月前にもいただいてたものです。「ああー、監督すっかりおじいちゃんになっちゃったなー」と失礼ながら思ってしまいました。
 そして特典映像のインタビュー収録。そこで驚いたのが、カメラが回るとしゃきっとされて、さっきまでノンビリ口調だったのが嘘のようにハキハキと話されるのです。『ゴジラ対ヘドラ』当時のこともちゃんと覚えておられて、私だけかもしれませんが、目に力が入っているのを感じました。カメラの前では「監督」なんですね。驚きました。

 私のような立場の者にも耳を傾けてくださる方でした。
 昭和のゴジラ映画の本編監督としては唯一ご存命だった方でしたし、個人的にももっといろいろお話しさせていただきたかった方でした。
 少しばかりではありますが、監督との十数年のやりとりは、書籍などでゴジラ関連のお仕事をさせていただく上で、私の財産のひとつにもなったと思っています。
 香典や礼服を用意しておきながら、体調不良で告別式に参列させていただくことはできなかったのが心残りですが、今は心からご冥福をお祈りさせていただきたく思います。

 天国で『ゴジラ対ヘドラ』の続編を進められているかと思います。
 坂野監督、ありがとうございました。
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