Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

ソフビ制作裏話 その138

2009年08月07日 | 制作裏話
制作裏話「大戦争ゴジラ スタンダードカラー」編 Part.2


▲最終決定前の粘土原型。各パーツは仮組状態。

■シェーポーズをさせるための手のパーツの角度

 前にも「こだわり」で書きましたが、この「大戦争ゴジラ」の原型を作る際の造形部分において、一番大変だったのは手のパーツとボディパーツのその接合部分です。
 左右どちらの手も上下でき、同じようにシェーポーズになるように……。
 肘部分や手首部分から分割して動かせるようにすれば、さほど問題なくできたでしょう。「簡単に遊べる」という点、見た目、予算を考えればそれはしたくありません。手のパーツは左右それぞれ1パーツにしたいのです。
 できるはず……しかしこれはあくまでも私の頭の中。原型制作時にはいつものようにラフを紙に書いて検討するのですが、それでも100%可能かどうかは微妙です。
 不安を持ちながらも原型作りを始めたのですが、予想以上に難しさを感じました。

 肘の曲っている角度や指の角度もある一定ラインを越えると成型時に抜けなくなるか破損してしまいます。最終的にはギリギリです。
 それ以上に微妙な加減が必要だったのが、ボディパーツとの接合部分の角度です。いつもの弊社の他のゴジラソフビと比較していただければすぐにわかると思いますが、腕の接合部分はかなり前側に斜めになっています。つまり胸が狭くなっています。
 これ以上胸を広くすると角度も変わり、腕はシェーポーズをした時に降ろした手がお腹から離れてしまい、シェーに見えなくなります。反対にこれ以上胸を狭くすると挙げた時の手が顔に触れてしまいます。
 考えなければならないその接合部分の角度は、前後だけではありません。上下の角度も微妙に調節しなくてはなりません。
 身体の芯に対して平行に近い角度ですと、シェーどころかいつもの構えたポーズの時の手に近くなってしまいます。
 内側に傾けた角度にし過ぎると、シェーをした時に挙げた手が頭から離れ過ぎてしまいます。

 手の位置の目指す所は、できるだけ劇中のゴジラのシェーポーズに近い位置になる事。
 ボディ部分も手の部分も何度も粘土を足したり削ったりを繰り返し、サンプルになりそうなものは一切ないし、途中何度も「無理かも……」と心が折れそうになりました。
「原型作りの経験豊富な方や上手な方でしたらもっとこういうケースは楽にできるのかな」とか「不可能だから今まで誰もやらなかったのかな」等と余計な事まで考えたりもしました。
 とにかくそれでも諦めずになんとか形になりました。 
 サンプル成型の際に、トラブルもなく抜けた時は本当にほっとしました。心の中で「やっぱ、できるじゃん!!」。ちょっとだけ「えっへん!!」でした。
 と、同時にこの時は想像していた事をソフビで立体化する難しさと喜びをを改めて痛感しました。

 余談ですが、この手の付け方をする上で、「大戦争ゴジラ」がなで肩で助かりました。怒り肩でしたらもっと苦労していたか、できなかったかでしょう。

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